魔導人形と侵略者と救世主

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地球軌道上で

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「ふぅー、スッキリした」

慣れない無重力で大変な事になると思ったけれど居住スペースは遠心力と魔法による重力があった。
お花を摘むのも地上とほとんど変わらなかった。

「ふむ、6時間もの長旅はやはりきつかったか」

お父様はそう笑った。
いやいや笑い事じゃないよ。
爆発しそうだったよ。

「はい!それはもう大変でしたよ……でも来れてよかったです!」

「全く笑い事ではないですよ」

お父様はお母様にこってりと後で怒られたらしい。

後から知ったが父が笑っていたのはこの世界の人間は魔法を鍛えれば一日程度は尿意を余裕で我慢できるようになるからだ。
極めれば排泄が必要に無くなるレベルになる事も……もう人間じゃねぇ!
そんなことは知りたくなかったかもしれない。

やり方を教わりしばらく練習すれば、魔力制御の得意な私も1日程度はそれが必要ない体になったとさ。

普通こういうのってお母様から教わるものだと思ったのだけれど、我がフォロス家では魔法に関する事は当主が教える事になっているらしい……私はこの方法を書いた本でも置いてあれば自然と学びましたよ……。
ちくしょう。

私の口が汚いのは前世のせいだ。
直す気はない。
これからさらに悪くなるのだった。

さてまぁ汚い話はこの辺にしといて大変だったけれど来れてよかったと心からそう思う。
前世とは軌道ステーションの大きさが違った。
速攻で行った展望室は体育館並みの広さで赤い絨毯が敷かれていた。

テーブルに食器までおかれて、高級レストランかーい!
ありえなーーい!!



展望室から見える地球は絶景だった。

展望室を覆う大きなガラス割れないよねと不安にもなったけど、絶景だった。 
地球は青かった、あとデカイ。
地球を見ながら飲む紅茶は美味しかった。

あと居住スペースの外は無重力で、厳密には擬似的な無重力でしかないとかなんとか父は言っていた、私もそう習った記憶がある気がする。
つまり私は無重力を、宇宙空間を泳いだのだ!
これはとても私の心を満たしてくれる。

前世じゃこんな体験なかなかできない。
大金と運が必要だった。

この世界でも大金がかかってるんだった。

そう、私の家は大貴族だ!
旅行先は宇宙だ!
貴族最高!
この世界素晴らしい!

イェェーーイ!

テンションが最高潮、もう気分は大爆発して馬鹿になっている。
ウェーイなパリピだ。
両親は何故かこのホテルに別の仕事の用事があったらしく一緒にいられない時間もあったが十分楽しむ事が出来たと思う。

そんな感じで私は地球軌道上で数日を過ごした。
前世で言えば可愛いネズミの夢の国に行くより最高な事だろう。

そしてあっという間に最終日、この目に焼き付けようと家族一緒に展望室で1日中過ごすと決めた日のこと。
私はとある女性と出会った。

「あら、フォロス家もここに来ていたとは存じ上げませんでしたわ。挨拶が遅れてしまい申し訳ありません」

そう言いながら展望室に入ってきたのは白衣を着た不健康そうなアジア系の若い女性だった。

「これはこれはクロス女史、貴方にお会いできて光栄ですな。結局仕事の方で会えるかと思いましたが、会えずじまいで……」

父と母がそういって頭を下げる。
クロス女史って誰だろうと思いながら私も形だけは真似して頭を下げた。
 
「よしてくださいな。ノルデンス王国の魔導人形を担う大貴族がただの研究者に頭を下げられては問題でしょうに」

ほほう! 
やはりうちはすごい大貴族なわけだ。
魔導人形にも触れられるわけね。
最高!

「いえいえクロス女史はただの研究者ではないでしょう。合衆国も海和帝国もあなたの操り人形とも噂されておりますからな。ハッハッハッ、失礼。私も、いえフォロス家として、あなたには尊敬の念を抱かざるおえませんよ」

むむ、負けず嫌いのお父様がそんな事を……この人はそれほどすごい人なのか。

「お父様、この方は?」

興味を持った私はそう尋ねる。

「あら、可愛い娘さんね」

「ありがとう、クロス女史。クリス、こちらはクロス・フォード博士だ。魔導人形や魔導爆弾の研究、それに物理学や心理学、魔導生物学……あとはなんでしたかな?」

「大体そのあたりですわね」

にこやかにそう言うクロス女史。

「まぁとにかく多くの分野で成果を残しているとっても頭のいいお姉さんだ。クロス女史、こちらが私の娘のクリスだ。年は5歳になる」

「初めましてクリス・フォロスです。クロス女史、魔導人形について具体的にお聞きしたいです!」

私はついフライングしてしまった。
体につられて私の心は幼くなっているのだ。
元からかもしれないけど……。

「こらこら、クリス。申し訳ない。数日前に魔導人形を見てからずっとこの調子でな」

「あら、やっぱりフォロス家ね」

そうクロス女史は笑う。

「申し訳ない。ところでどうしてこんなところへ?」

それから私の質問は忘れ去られ、星が綺麗ですねーなんていいながら親たちの歓談が始まった。
星々の輝きを見ながら地球以外の生命に想いを馳せるなんていう大人の会話には私は入れず、隅っこで紅茶を啜る羽目になったのだった。
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