魔導人形と侵略者と救世主

7576

文字の大きさ
10 / 10

武器の開発。

しおりを挟む
「これでは魔力が足りませんよ!」

「じゃあシールドを削って」

シールドは魔力によって半透明の壁を生み出すようなものだ。
あらゆる攻撃から身を守れる。

「それだと数発が限度になりますよ」

「ドラケンの半分のシールド強度のはずでしょ」

「だからそれだと数発防げるかどうかですよ。ドラケンがあそこまで重装甲なのがわかってもらえましたか」

「ええ、わかってるわよ」

私は爪を噛んだ。

武器の開発は上手くいった。
石の礫をレールガンのように飛ばすという魔法武器がこの世界で一般的な銃の仕組みだ。
そうではなく私は弾頭を事前に用意し、そこに封入した爆発術式で加速力を得る前世もどきの銃を作らせた。

魔法のあるおかげでパーツを作るのもはやくて助かった。

それでも急造のため暴発の可能性の少ないシンプルなリボルバー式の拳銃になった。
けれど火力は向上したと思う。
時間があれば調整を重ねてもう少し効率的なリボルバーを作れたと思うけれど妥協した。
あと一発限りのロケット弾も作り出して腕部に装備させた。
モンロー効果をぶつけてやれとばかりの私の少ない魔力で作った特製だ。
効果が発揮されるかは定かではない。
何故私はモンロー・ノイマン効果を知っているのか。
あとは近接武器として刃先がウォーターカッターになっている斧と腕部に隠したトンファーや脚部に高周波ナイフなども装備させた。
これも前世で覚えていた波長で効率的かどうか確かめる時間はなかったけれど作り出せた切れ味は確かに向上した。
ウォーターカッターも研磨剤がわりに石や鉄の粒を忘れずに入れて切断力は上がっている。
魔法は簡単にこうした武器を作る事を可能にしてくれた。

けれどこの世界の近接武器は基本鈍器なのでこれで戦えるかはわからない。

他にもヒート系の武器やビーム兵器も当然考えたんだけれど魔力が全然足りなかった。
物理法則を捻じ曲げるほど魔力の消費は増大するのだ。
だから出来たのは高周波カッターとウォーターカッター擬きだ。
魔力で振動させたものと魔力で水を操っているだけのものだ。
魔力から物質を生み出してる時点で違和感はあるがこの世界ではそういうものなのだ。
ふと、頭部バルカンがあれば便利だろうなと思ったけれどドラケン相手には火力不足でボツ。
それでも諦めきれずに意地汚く目潰し用の泥でもかけてられたら便利だろうと思ったら条件次第では自分にかかるだろうと気づけたので頭部装備自体ボツになった。
複雑な機構を作っている余裕もないしね。
ロマンを求めたかったけれど魔力が足りないのだ。
そうだ。
さらに追加でグレネードぐらいは作っておこうかしら。

「もういっそのことパイルバンカーを装備して特攻かしらね」

あとはロケットパンチとかもつけて……

「え、あ、あの杭打ちですか。操縦するの私なのですが……あれを使ったらあいつになんと言われるか。でも面白いかもしれませんね!」

オリヴァーがそう言う。
だんだん彼も吹っ切れて来たわね。

お父様はオリヴァーの悪友であるらしい本職のパイロットを用意するらしい。
私は整備担当のオリヴァーで戦うというのにだ。

「冗談よ。もっと軽量の人形の可能性を見せつけないとね」

こうして形になっただけでもかなり上々だ。
でもお父様をコテンパンにしたい。

魔法式の武器を使うにはジェネレーターの一機では魔力が足りない。
前世方式も一から作っている暇も知識もないから魔法を使っているし。
魔力を武器に回せば唯一の防御であるシールドが無くなるし、防御に回せばドラケンを倒す事は非常に困難になる。
防御と火力のバランスに私は悩んでいた。

「武器と防御、その場で切り替えられたらまだマシになるしいいんだけどね」

「えっと、出来ますよ」

私の時が止まった。

「そういう事は早めに言って、もしかしてシールド発生も局所的に出来たりするの」

「あー、やろうと思えば出来ますけど……その、とっくにご存知かと……そもそもそういう発想はしないので。いえ、すみません」

「勉強不足だったわ。ごめんなさい。私は魔導人形を知る事を禁じられていたから細かいところはまだ知らないの。ありがとう。ならばやってもらうことがあるわ。それとあとはあなたの練習だけね」

「え、え、」

私が魔導人形に詳しくない事に驚いたのか訓練について驚いたのかオリヴァーは面白かった。

改良を終えた後少ない時間だがオリヴァーを鍛えた。


「こんな訓練は初めてしましたよ」

「コンボとキャンセルはまだまだだけど必殺技は出せるようになったわね。それにモーションの改良が出来てよかったわ」

せっかくコントローラで操縦できるようにしたのだから前世のゲームを参考に人形を動かす事にしたのだ。
人間的な動きとは少し違う格ゲー的な動きになってしまったけれどドラケンのノロマな動きより遥かにマシだわ。
コントローラーでも登録された固定的な動きしか出来ないけどやっぱり速さが違う。

「ところでこの試作人形の名前はどうしますかいつまでも試作機001では可哀想ですし対決の時に困るかと思うので」

言いづらそうにそうオリヴァーが言った。
確かにそうだ。
思えば開発中こうやって何度もオリヴァーは私に必要な事を言ってくれた。
たった数ヶ月だけれど何故かオリヴァーの事を前世でも知っているような気がするほど頼りにしている自分がいた。

名前なんてこのままでいいと思っていたけれど、001ぐらいでいいかななんて思っていたけれど……。

「うーん。じゃあオリヴァーにするわ。あなたとあなたと一緒に働いてくれた人にも感謝を込めてね」

「そ、それは困るというか、いえ名誉な事だと思います。はい」

「絶対勝ってね」

こうして訓練を終えて戦いの日がやってくる。


対決前夜

「オリヴァー・マイ技術中尉、よく来てくれた。娘はどうだったかね」

金髪の中尉に私はそう声をかけた。
明日だ、明日クリスがたった数ヶ月で生み出した人形と私のドラケンが戦う事になる。

「はっ!閣下。 クリス様の生み出した人形はドラケンに勝利する可能性もあるかと考えております」

そうだろうな。
オリヴァーの開発には軽量人形開発プロジェクト研究チームが期待している。
我が国の魔導人形開発は宇宙開発にはほとんど関われず防衛用の重魔導人形のみが取り柄だったのだが。
これがうまく行けば他国と変わらず宇宙用の人形開発や民間への普及も夢ではなくなるのだ。

「オリヴァー、君の報告書には目を通した。クリスは天才だ。たった数ヶ月で我々が研究中のものを思いつき形にしたのだからな。クリスは2年間考え続けていたのだろうが武器の方もまさかこのようなものを生み出すとはな。君もだ、よく娘の言う事を聞いてくれたな」

「研究チームの助けもありましたから、私だけの力ではありません」

初めはこちらから情報を流そうとしていたというのに、クリスからの情報を研究チームに渡す事になるとは思わなかった。

「この調子で我々より魔導人形技術が進んだ国々に追いつければ良いのですが」

それは難しいだろうがな。
昔から国力の差は如何ともしがたいものだ。
大国ばかりになったこの世ではなおさらだ。

「合衆国、海和では実用化され、帝国も時期に完成させるだろうものな。王国や連邦も秘匿されているだけでこの人形程度のものは既に作られ初めているのだろう。私も何故思いつかなかったのか。軽量な人形を宇宙でしか使えない代物と馬鹿にしてドラケンの改良ばかり考えていたと反省している。おっと、君に言う事ではないな、すまない。これではあの海馬鹿に叱られるわ。まぁよい、今は明日の事だ」

「はっ!」

「明日の戦い、私は口出しせぬ。全力を持って戦って見せよ。技術屋として私に新しい可能性を見せてくれ」

「了解です」

だがな、私だって負けてやる気はないのだ。

「ふん、まったく、やる気があるのは素晴らしい事だな」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...