7 / 10
試験は1抜けピッだぜ!(受けてないともいうかもよ)
しおりを挟む
「……ほう、やってみろ」
ゴリマッチョ校長の許可が下りたので近くまで行って俺はプレアを見上げる。
コックピットが開いてワイヤーが降りてきたりはしない。
それは整備を行う時ぐらいだ……。
この巨人の中に入るには女神様に魔力を込めてお願いすれば良い。
この世界の魔法のほとんどは女神様に対価を用意してお願いする、ただそれだけで発動する。
「女神様、私にこのロボットを使わせてください!」
我先に立候補した俺に驚く周りを尻目に魔法を唱えてロボットに乗り込んだ。
地面からコックピットに転移したのだ。
いわゆる短距離転移魔法が発動した。
この体では初めての操縦だ。
ゲームとは比べようもないリアルな質感のコックピットに俺はめちゃくちゃテンションが上がった!
コックピットを舐め回しても良いぜ。
スリスリ、なでなで。
うおーー、ロボットだー!!
すぐ近くに人がいるところだし、隣にプレアが並んでるし、細かな調整もされてないし、ステータス的に激しくは動けないし、などの様々な理由で走り回るわけにはいかない。
だから俺はその場でプレアを操縦してラジオ体操を行ったのだった。
おおー、動くねー。
ゲームだとアシスト機能やらモーションの設定があったのだが、この機体にはそれらが設定されてないようだ。
設定機能はあるようだか。
『英雄風に言えばOSが初期化されていて、AIも宿っておらぬ状態だな。なんなら今私がその役目をする事ができるぞ。モーション登録もゲーム通りに登録することが出来る』
いや、今は良い。
『そうか……』
久しぶりにその機能がまったくない状況で操作してみたい。
それにそんなものは命の危険がある時で良い。
まぁアシスト機能は慣れると戦闘中無駄なものが多くてほとんど切ってたしモーションの登録がなくても体操する分には問題ない。
オーソドックスなペダルと二つの横倒しになったスティクとそれについた細かなボタン、あと魔法的なイメージによる補助で機体は動くのだ。
巨大ロボットを操作するのは楽しいものだ。
超楽しいものだ。
動き出したのをぽかんとみていた足元の人たちだが、ジャンプしたら校長が何事かを叫んでいた。
新入生たちは逃げ出し、結構遠くまで走って行きこちらを興味深そうにみていた。
人型ロボットが動いてるのをみたらそりゃあ、ああなるよな。
外から見るのも楽しそうだな。
『それは英雄だけだろう。あれは暴走したと勘違いして怯えているだけだ』
うるさいよ。
ハッハッハッ!
人がゴミのようだー!
ついでに一方的に殴られる痛みと怖さを教えてやろうか!
などと内心ふざけながら体操をさせていたが、ヒヤリとした感覚に冷静になった。
この感覚が起きたのは俺の機体の近くに来る足音が聞こえたからだ。
人型ロボットが歩くにしては静かな、けれど大きな足音だけが聞こえる。
何かが走ってきてるな。
なんとなくはわかる。
足音は近づいてきて俺のこの機体に組みつこうとでもしているのだろう。
大方、もし誰かが乗ってしまって暴走した時の為に控えていたステルス魔法付きのロボットだろう。
光学迷彩に減音の魔法を発動している奴だ。
そういうところはしっかりしてるんだなこの学園。
少し安心した。
それにいきなり蜂の巣にされなくてよかった。
銃を持ち出されるとかなり戦いづらいからな。
だが俺は暴れてたわけじゃなく体操させていただけなのだが……もしかして体操の文化もないのだろうか。
過去の異世界の勇者が広めていそうなものだが。
俺は気づかないフリをして体操を続け。機体を屈伸させるように自然としゃがみ込ませてタイミングを合わせて立ち上がる。
するとちょうど組みつこうとしてきた透明な機体にぶつかりそのまま相手は倒れる。
ドンピシャリってな。
ブワァンと音を立てて光学迷彩が解かれ、倒れ込んだ姿が目に入る。
やはりステルス型のプレアか。
これは確か名前はファントムだな。
西洋甲冑の見た目のプレアと違って装甲が外され、こっちは鎖帷子しかつけてないようなものだ。
頭部もプレアほど固められておらず鎖帷子のフードをかぶってる見た目をしている。
覗く顔の部分は黒く、まるで骸骨のようで中の配線も見えていて少しグロテスクだ。
こいつはステルス機体にしては安いし、ステルス性能も値段相応だ。
それにステルス部分に出力を割り振ったせいで性能も低い。
継戦能力も低く、プレアと比べたら整備や部品のコストが馬鹿みたいに掛かることになって俺はまともに一機も使ったことがなかった機体だな。
偵察にはありがたいが、偵察するならわざわざロボットでなくてもっと良いのを使う。
倒れた衝撃で壊れてなきゃ良いけど。
中の人は魔法で守られてるから怪我もしてないだろうけど、申し訳ないな。
楽しいからってやっちまったかな。
他にも近くに迷彩を解除した数体のファントムが現れた。
やる気かこいつら。
本当にやっちまったな。
テンションが上がって仕方なかったんだ。
本当に申し訳ない。
だがそう思いながらも俺は開き直る事にした。
難癖つけられたら困るしな。
機体のスピーカーをオンにする。
無意識にオンになったかのように振る舞う。
「体操させてたら何かに当たってしまいました。お、やっと試験の始まりですか! 女神様が操縦法を教えてくれたおかげだ! これなら戦えますね。さぁ掛かってこーい! 絶対合格して人類に貢献するんだ~~」
はい。
こんな感じで説明口調の独り言を恥じる事なく、ハキハキと喋った。
外に漏れ出てる事には気づかないフリである。
俺は無垢な9歳児ロリエルだからな。
しばしの沈黙の後、少し後ろに立っているファントムから、位置的に隊長と思われる機体から返事があった。
その気弱そうな女性の声はなんだか疲れていたような気がする。
本当に申し訳ない。
「はぁ……試験は終わりだそうです。あなたはそのままプレアに乗ってついてきてください」
「え? もう終わりですか。私何かしてしまったでしょうか!」
「い、良いからついて来てください! 動かせるのでしょう」
「は、はい、わかりました!」
俺はそのままついて行く事にした。
無邪気な少女を装いながら……。
やりすぎてしまったが、なんとかなったかな。
それに操縦技術を少しは見せられたのだ。
これでロボットに乗れるのは確定だろう。
『流石英雄だな』
女神の言う事は相変わらずよくわからなかった。
と言うかそれ皮肉か?
こんな調子で何が英雄じゃぁ~!
ゴリマッチョ校長の許可が下りたので近くまで行って俺はプレアを見上げる。
コックピットが開いてワイヤーが降りてきたりはしない。
それは整備を行う時ぐらいだ……。
この巨人の中に入るには女神様に魔力を込めてお願いすれば良い。
この世界の魔法のほとんどは女神様に対価を用意してお願いする、ただそれだけで発動する。
「女神様、私にこのロボットを使わせてください!」
我先に立候補した俺に驚く周りを尻目に魔法を唱えてロボットに乗り込んだ。
地面からコックピットに転移したのだ。
いわゆる短距離転移魔法が発動した。
この体では初めての操縦だ。
ゲームとは比べようもないリアルな質感のコックピットに俺はめちゃくちゃテンションが上がった!
コックピットを舐め回しても良いぜ。
スリスリ、なでなで。
うおーー、ロボットだー!!
すぐ近くに人がいるところだし、隣にプレアが並んでるし、細かな調整もされてないし、ステータス的に激しくは動けないし、などの様々な理由で走り回るわけにはいかない。
だから俺はその場でプレアを操縦してラジオ体操を行ったのだった。
おおー、動くねー。
ゲームだとアシスト機能やらモーションの設定があったのだが、この機体にはそれらが設定されてないようだ。
設定機能はあるようだか。
『英雄風に言えばOSが初期化されていて、AIも宿っておらぬ状態だな。なんなら今私がその役目をする事ができるぞ。モーション登録もゲーム通りに登録することが出来る』
いや、今は良い。
『そうか……』
久しぶりにその機能がまったくない状況で操作してみたい。
それにそんなものは命の危険がある時で良い。
まぁアシスト機能は慣れると戦闘中無駄なものが多くてほとんど切ってたしモーションの登録がなくても体操する分には問題ない。
オーソドックスなペダルと二つの横倒しになったスティクとそれについた細かなボタン、あと魔法的なイメージによる補助で機体は動くのだ。
巨大ロボットを操作するのは楽しいものだ。
超楽しいものだ。
動き出したのをぽかんとみていた足元の人たちだが、ジャンプしたら校長が何事かを叫んでいた。
新入生たちは逃げ出し、結構遠くまで走って行きこちらを興味深そうにみていた。
人型ロボットが動いてるのをみたらそりゃあ、ああなるよな。
外から見るのも楽しそうだな。
『それは英雄だけだろう。あれは暴走したと勘違いして怯えているだけだ』
うるさいよ。
ハッハッハッ!
人がゴミのようだー!
ついでに一方的に殴られる痛みと怖さを教えてやろうか!
などと内心ふざけながら体操をさせていたが、ヒヤリとした感覚に冷静になった。
この感覚が起きたのは俺の機体の近くに来る足音が聞こえたからだ。
人型ロボットが歩くにしては静かな、けれど大きな足音だけが聞こえる。
何かが走ってきてるな。
なんとなくはわかる。
足音は近づいてきて俺のこの機体に組みつこうとでもしているのだろう。
大方、もし誰かが乗ってしまって暴走した時の為に控えていたステルス魔法付きのロボットだろう。
光学迷彩に減音の魔法を発動している奴だ。
そういうところはしっかりしてるんだなこの学園。
少し安心した。
それにいきなり蜂の巣にされなくてよかった。
銃を持ち出されるとかなり戦いづらいからな。
だが俺は暴れてたわけじゃなく体操させていただけなのだが……もしかして体操の文化もないのだろうか。
過去の異世界の勇者が広めていそうなものだが。
俺は気づかないフリをして体操を続け。機体を屈伸させるように自然としゃがみ込ませてタイミングを合わせて立ち上がる。
するとちょうど組みつこうとしてきた透明な機体にぶつかりそのまま相手は倒れる。
ドンピシャリってな。
ブワァンと音を立てて光学迷彩が解かれ、倒れ込んだ姿が目に入る。
やはりステルス型のプレアか。
これは確か名前はファントムだな。
西洋甲冑の見た目のプレアと違って装甲が外され、こっちは鎖帷子しかつけてないようなものだ。
頭部もプレアほど固められておらず鎖帷子のフードをかぶってる見た目をしている。
覗く顔の部分は黒く、まるで骸骨のようで中の配線も見えていて少しグロテスクだ。
こいつはステルス機体にしては安いし、ステルス性能も値段相応だ。
それにステルス部分に出力を割り振ったせいで性能も低い。
継戦能力も低く、プレアと比べたら整備や部品のコストが馬鹿みたいに掛かることになって俺はまともに一機も使ったことがなかった機体だな。
偵察にはありがたいが、偵察するならわざわざロボットでなくてもっと良いのを使う。
倒れた衝撃で壊れてなきゃ良いけど。
中の人は魔法で守られてるから怪我もしてないだろうけど、申し訳ないな。
楽しいからってやっちまったかな。
他にも近くに迷彩を解除した数体のファントムが現れた。
やる気かこいつら。
本当にやっちまったな。
テンションが上がって仕方なかったんだ。
本当に申し訳ない。
だがそう思いながらも俺は開き直る事にした。
難癖つけられたら困るしな。
機体のスピーカーをオンにする。
無意識にオンになったかのように振る舞う。
「体操させてたら何かに当たってしまいました。お、やっと試験の始まりですか! 女神様が操縦法を教えてくれたおかげだ! これなら戦えますね。さぁ掛かってこーい! 絶対合格して人類に貢献するんだ~~」
はい。
こんな感じで説明口調の独り言を恥じる事なく、ハキハキと喋った。
外に漏れ出てる事には気づかないフリである。
俺は無垢な9歳児ロリエルだからな。
しばしの沈黙の後、少し後ろに立っているファントムから、位置的に隊長と思われる機体から返事があった。
その気弱そうな女性の声はなんだか疲れていたような気がする。
本当に申し訳ない。
「はぁ……試験は終わりだそうです。あなたはそのままプレアに乗ってついてきてください」
「え? もう終わりですか。私何かしてしまったでしょうか!」
「い、良いからついて来てください! 動かせるのでしょう」
「は、はい、わかりました!」
俺はそのままついて行く事にした。
無邪気な少女を装いながら……。
やりすぎてしまったが、なんとかなったかな。
それに操縦技術を少しは見せられたのだ。
これでロボットに乗れるのは確定だろう。
『流石英雄だな』
女神の言う事は相変わらずよくわからなかった。
と言うかそれ皮肉か?
こんな調子で何が英雄じゃぁ~!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる