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第一章
第四王子付き専属騎士
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ユーズファルス王国には王族一人一人に専属の騎士がつく、現在の国王に付く騎士は王剣。
王妃の騎士には紫亞の騎士。
そして、四人の王子と一人の王女は生まれた順番から第一騎士から第五騎士と国内外全体でそう呼ばれる。
もちろんそれは会話の中でその人物を指す名前であり、彼らも名前で呼ばれる。ただの分かりやすい渾名のようなものだ。王侯貴族は彼らの名前は知っているが国民は名前まではほとんどの人が知らないのだ。
その中でも一番有名なのが第四王子付き専属騎士ディオージュ。第四騎士と呼ばれている人物だ。
彼の出生は謎に包まれており、どこからやってきて貴族なのかも定かではない。
彼が仕える第四王子が12歳の頃、齢10にしていつの間にか側に伴って現れるようになっていた。
さらりとした艶めいた黒髪に近いミッドナイトブルーの髪に蒼眼で白い肌。中性的な声と顔立ちで白い騎士服を見に纏い夜遅く月の下で一人黙々と鍛錬している姿から、王城に勤めている女性たちからは月の騎士と呼ばれている。
そして、何より医学にも精通していて、体が弱い主人をよく診ているし、彼が最も有名な騎士なのは城下町で時折だが、教会や孤児院、診療所なので城下の人たちの診察や治療も行なってくれるからだ。
その腕は確かで王室付きの医者も彼に助けを求めるほどには。
事前に告知があるため、その日は彼が訪れた場所は長蛇の列になるし、休憩がままならないほどに人が並んでいても嫌な顔をせずに診てくれるため国民の覚えは高い。
だからこと正体が分からぬ人物でも異議を唱える人もいない。
医者としても勿論、棋士としても国内大会では剣の腕ら5位に入っているし魔術も優れている。
そんな彼は昨晩の夜戦の疲れなのか、王城の廊下で誰もいないことをいいことに大きなあくびをひとつして、目頭を押さえている。
「あまり眠れなかった…アレクシスが異変に気がついてきてくれて助かった」
疲れ混じりの声で呟くと大きく深呼吸すれば昨日の夜立ち入った部屋の前に来ていた。
「マリウス殿下、ディオージュです。入ります」
そっと静かな声で扉の中の主人へと声をかけるが反応はない。
初めから返事があるとは思ってはいないのか、形式上声を掛けただけである。
ゆっくりと音も立てず、部屋へ入ると昨晩同様迷いなく部屋に入っていく。
締め切られたカーテンの隙間から僅かだが朝日が覗いている。
寝室へ足を踏み入れれば、勝手知ったる部屋を足を進め断りもなくカーテンへと手を掛ける。
「おはようございます。マリウス殿下、今日もいい天気ですよ」
パッと容赦なくこの部屋の主人でディオージュが誓いを立てている主君へにこりと微笑みながら振り向けば、眩しさで目を覚ましたマリウスがモゾモゾと起き上がり、目を擦っていた。
「本日は体調が良さそうですね」
マリウスは日によって動ける日もあればそうでない日もある。
朝が元気でも日中に体調を崩す時もある。
「……取り敢えず…今の所は元気だよ。おはようディオージュ。君はあまり寝れてないみたいだね」
寝起きのとろんとした新緑を写したような綺麗な瞳がディオージュを見れば僅かに眉が動いた。
自分の騎士がまともに眠れていないと言うことは襲撃があったと言うことだ。深夜の警護は近衛騎士団が担うため睡魔の確保はできる。それなのに眠れていないと言うことはそう言うことだ。昨晩のマリウスは体調が悪かったわけでもないので看病されたわけでもないので、そう結論が出る。
「ネズミが出まして、やたらと足が早く…ですが第一王子の騎士アレクシスが応援にきてくれたのではやくしまつできましたのでご心配なく」
単に血を洗うのに時間を取られたと小さく口にして苦笑してみせた。
納得がいったのかマリウスは目を瞑ると首を傾かせるとニコリと笑う。
「そう、彼がきてくれたのか、君にとってはとても心落ち着いただろうね」
静かに言うと自ら来ていたパジャマに手をかけるとボタンを二つ外せばディオージュがいつの間にか手にしてきた聴診器が胸に伸びた。
「ええ、とても」
誘われるように笑った彼の耳は赤く染まっていた。
王妃の騎士には紫亞の騎士。
そして、四人の王子と一人の王女は生まれた順番から第一騎士から第五騎士と国内外全体でそう呼ばれる。
もちろんそれは会話の中でその人物を指す名前であり、彼らも名前で呼ばれる。ただの分かりやすい渾名のようなものだ。王侯貴族は彼らの名前は知っているが国民は名前まではほとんどの人が知らないのだ。
その中でも一番有名なのが第四王子付き専属騎士ディオージュ。第四騎士と呼ばれている人物だ。
彼の出生は謎に包まれており、どこからやってきて貴族なのかも定かではない。
彼が仕える第四王子が12歳の頃、齢10にしていつの間にか側に伴って現れるようになっていた。
さらりとした艶めいた黒髪に近いミッドナイトブルーの髪に蒼眼で白い肌。中性的な声と顔立ちで白い騎士服を見に纏い夜遅く月の下で一人黙々と鍛錬している姿から、王城に勤めている女性たちからは月の騎士と呼ばれている。
そして、何より医学にも精通していて、体が弱い主人をよく診ているし、彼が最も有名な騎士なのは城下町で時折だが、教会や孤児院、診療所なので城下の人たちの診察や治療も行なってくれるからだ。
その腕は確かで王室付きの医者も彼に助けを求めるほどには。
事前に告知があるため、その日は彼が訪れた場所は長蛇の列になるし、休憩がままならないほどに人が並んでいても嫌な顔をせずに診てくれるため国民の覚えは高い。
だからこと正体が分からぬ人物でも異議を唱える人もいない。
医者としても勿論、棋士としても国内大会では剣の腕ら5位に入っているし魔術も優れている。
そんな彼は昨晩の夜戦の疲れなのか、王城の廊下で誰もいないことをいいことに大きなあくびをひとつして、目頭を押さえている。
「あまり眠れなかった…アレクシスが異変に気がついてきてくれて助かった」
疲れ混じりの声で呟くと大きく深呼吸すれば昨日の夜立ち入った部屋の前に来ていた。
「マリウス殿下、ディオージュです。入ります」
そっと静かな声で扉の中の主人へと声をかけるが反応はない。
初めから返事があるとは思ってはいないのか、形式上声を掛けただけである。
ゆっくりと音も立てず、部屋へ入ると昨晩同様迷いなく部屋に入っていく。
締め切られたカーテンの隙間から僅かだが朝日が覗いている。
寝室へ足を踏み入れれば、勝手知ったる部屋を足を進め断りもなくカーテンへと手を掛ける。
「おはようございます。マリウス殿下、今日もいい天気ですよ」
パッと容赦なくこの部屋の主人でディオージュが誓いを立てている主君へにこりと微笑みながら振り向けば、眩しさで目を覚ましたマリウスがモゾモゾと起き上がり、目を擦っていた。
「本日は体調が良さそうですね」
マリウスは日によって動ける日もあればそうでない日もある。
朝が元気でも日中に体調を崩す時もある。
「……取り敢えず…今の所は元気だよ。おはようディオージュ。君はあまり寝れてないみたいだね」
寝起きのとろんとした新緑を写したような綺麗な瞳がディオージュを見れば僅かに眉が動いた。
自分の騎士がまともに眠れていないと言うことは襲撃があったと言うことだ。深夜の警護は近衛騎士団が担うため睡魔の確保はできる。それなのに眠れていないと言うことはそう言うことだ。昨晩のマリウスは体調が悪かったわけでもないので看病されたわけでもないので、そう結論が出る。
「ネズミが出まして、やたらと足が早く…ですが第一王子の騎士アレクシスが応援にきてくれたのではやくしまつできましたのでご心配なく」
単に血を洗うのに時間を取られたと小さく口にして苦笑してみせた。
納得がいったのかマリウスは目を瞑ると首を傾かせるとニコリと笑う。
「そう、彼がきてくれたのか、君にとってはとても心落ち着いただろうね」
静かに言うと自ら来ていたパジャマに手をかけるとボタンを二つ外せばディオージュがいつの間にか手にしてきた聴診器が胸に伸びた。
「ええ、とても」
誘われるように笑った彼の耳は赤く染まっていた。
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