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第一章

戦う者たち

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カンカンと金属がぶつかり合い、時折悲鳴に似た音が響き渡る。

擦れる独特の金属の音を立てながら剣を迫り合い。弾き、目の前の敵である招かれざる者を容赦なく切り付ける。

血飛沫が舞うのもお構いなしに足を踏み込み。追い打ちをかけるように心臓に突き刺す。

敵を倒すために、剣を振るう彼の白い服が赤く染まっていく。

「ディオージュ!そっちに一人行ったぞ!」

名前が呼ばれ弾かれたように振り向き、掌に複雑な陣が組まれ、中央から炎が放出され、ディオージュと呼ばれた男に向かったま招かれざる客人は火に飲まれた。

「ああぁあああぁ!」

苦痛に歪む声が大きく聞こえた。

スッと近くの扉へ視線を送るが、開く気配がなく小さく息を吐いた。

「うるさい、起きたらどうする?ウチの主人は今日は穏やかに眠っているのだから邪魔をするな」

そう、口にすると指を鳴らす。

火力が増し、次第に声も聴こえなくなり次第に炎は自然と消えていった。

カツカツと、馴染みのある足音が聞こえ、ゆっくりと音のする方を見る。

「アレクシスか。応援助かった」

「いいや?昨日は俺が助けられたからな。当然だ。しかし、まあ……今回お前にしては派手にやったな」

「加減ができるほどの敵の数と強さじゃなかったからね」

ディオージュの元へやってきたのは先ほど声をかけてきた男だった。

ディオージュとは違い紺色の騎士服を纏った第一王子の護衛騎士アレクシス。

顎に手をやった彼はつま先から頭までじっくり見ると、肩にポンッと手を置く。

「月の騎士が真っ赤の悪魔じゃ、女性が悲鳴をあげるぜ?さっさと第四王子の様子を見て風呂に入って寝ろよー」

それだけ言うとさっさと姿を消してしまう。

「はあ」

ため息をついたディオージュは上着の裾を持ち上げ下に視線を送れば言われた通りべっとりと赤く染まっていく。

「私らしくもないね」

呟きながら戦闘中に視線を送った扉に向かうとノックもなしにゆっくりと音も立てずに扉をひらけば、暗い室内を迷いなく進み、部屋の奥横にある扉を開けてそっと息をころし中に入る。

薄暗く色は判別はできないが、大きな天蓋のあるベットが部屋の真ん中に置かれている。この部屋は先ほどの部屋とは違い少し薬品の独特の匂いが香ってくる。

「すぅすぅ」

乱れのない綺麗な寝息が聞こえる。

寝ているベッドの主人の胸に手を置いてから額に手を薄せば満足したように頷き、部屋から出ていく。
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