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婚約解消
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そこは、入学してから毎日ジルドナとお昼を食べていた場所だった。いつものベンチに二人で腰かける。フローレンスは、見慣れた景色をしばらく観察すると、足が遠のいていた間に季節が変わっていたことに気が付いた。
「フローレンス、すまなかった。」
正直、謝られるなんて思っていなかったフローレンスは、真面目な顔で頭を下げているジルドナに驚いてしまった。
「ジル?・・・何を謝っているの?ねぇ、頭を上げて!?ジルは何も悪いことしてないわよ。」
「いや、俺は、結果的に君を裏切った。どうか・・・許してもらえないだろうか・・・。」
「ジル?許すも何も、貴方は何も悪くない!謝りたいのは私の方よ。・・・ごめんなさいね・・・。私は、本当に頭が足りなくて・・・自分でも嫌になってしまったわ。あの女性の言う通り・・・。私は、二人を引き裂く悪魔だったのよね・・・。ジルの優しさに甘えて、何も気付かなかったんですもの・・・。私は本当に愚かだったわ。」
「違う!!それは違うんだ!!」
「ジル、私が本当に謝らなくてはいけないのは、貴方の優しさを勝手に愛情と勘違いしてしまっていたことなの・・・。恥ずかしいわ・・・。でもね、ジルが良い人過ぎるのも悪いと思うのよ?私が勘違いしても仕方がないくらい貴方は優しかったから・・・。本当に、甘えすぎてしまったわ・・・。」
「っ!! フローレンス。」
「ジル、そんな悲しそうな顔しないで?泣きたかったのは私の方なのよ?貴方に本当の恋人が現れて、私、辛かったわ。勘違いしていた分、ショックが大きかったの。だけど、もう大丈夫・・・。私、一人になってたくさん反省したわ。今では、本当に貴方の幸せを祈っているの。もう、決して邪魔はしないわ。今まで本当にありがとう。・・・これで私と貴方の契約は終わり。さっきも言ったけど、私もシオンも貴方への恩は忘れないわ。何かあった時は、遠慮なく相談に来てね。これからは・・・どうか、自分の幸せを第一に考えて。」
「幸せになってね。ジル。」
そう言ったフローレンスには、もう迷いなど、どこにも見当たらなかった。今のフローレンスに何を言ったところで、全く無駄だということが分かったのだ。フローレンスの心は、既にジルドナの届かない所に行ってしまったことを痛感した。今にも泣きそうなジルドナが、声を詰まらせながら聞いた。
「さっきの・・・あいつが好きなのか?」
すると、顔を真っ赤にしたフローレンスは、黙って頷いた。
「・・・甘えてもいいって言ってくれたの。甘えてほしいって。こんな私を受け入れてくれたの・・・。」
それは、聞き取りにくいほど小さな声だったが、ジルドナには、まるで耳に焼き付くほどにはっきりと聞こえた。
(ああ、なんて可愛いのだろう・・・。)
ほんのりと頬を染めて、恥ずかしそうにモジモジしているフローレンスは、きつそうな見た目に反して、自分の目を疑うほど愛らしく映っている。夕日に照らされ、金色の美しい髪が光り輝いていた。
(綺麗だ・・・。本当だったら今すぐ抱きしめて嫌というほど愛を叫ぶのに・・・。)
「そうか・・・。良かったな。」
「うん。」
(フローレンス、どうか、俺のところに戻って来て。ねぇ、お願いだよ。)
「もう、俺が居なくても大丈夫そうだな・・・。」
「・・・私、頑張るよ。」
(お願いだ。俺はもう間違わないから・・・。愛しているんだ。だから俺から離れないで。フローレンス、本当は君だけを愛しているんだ。)
「お前も、幸せになれよ。」
「うん、ありがとう。ジルも・・・幸せになって。」
(嫌だ!嫌だ!嫌だ!! 離れないで!!離れないで、フローレンス!!お願いだ、もう一度、俺を見て!フローレンス!!)
「ジル、大好きだったわ・・・。本当に・・・大好きだったわ。」
「ああ。」
(うああああああ・・・。行くな、行くな、行くなー!!!!)
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「じゃあ、私行くわ。」
「・・・・・・・・。」
ジルドナに背を向けたフローレンスが、歩き出す。フローレンスの優しい花のような香りがジルドナに、さよならを告げるかのように漂って来た。
「お願いします! どうか、私の弟を助けてください。」
少し幼い顔に不釣り合いな化粧。派手なドレスに身を包んだ生意気そうなフローレンスが蘇った。
(ははっ、なんて似合わないのだろう・・・。でも、ああ・・・、あの時から彼女はとても愛らしかったんだな・・・。)
「フローレンス・・・。い、いか、ない・・・で。」
ジルドナは、遠ざかるフローレンスの後姿を見つめながら、声を殺して泣いた。
「フローレンス、すまなかった。」
正直、謝られるなんて思っていなかったフローレンスは、真面目な顔で頭を下げているジルドナに驚いてしまった。
「ジル?・・・何を謝っているの?ねぇ、頭を上げて!?ジルは何も悪いことしてないわよ。」
「いや、俺は、結果的に君を裏切った。どうか・・・許してもらえないだろうか・・・。」
「ジル?許すも何も、貴方は何も悪くない!謝りたいのは私の方よ。・・・ごめんなさいね・・・。私は、本当に頭が足りなくて・・・自分でも嫌になってしまったわ。あの女性の言う通り・・・。私は、二人を引き裂く悪魔だったのよね・・・。ジルの優しさに甘えて、何も気付かなかったんですもの・・・。私は本当に愚かだったわ。」
「違う!!それは違うんだ!!」
「ジル、私が本当に謝らなくてはいけないのは、貴方の優しさを勝手に愛情と勘違いしてしまっていたことなの・・・。恥ずかしいわ・・・。でもね、ジルが良い人過ぎるのも悪いと思うのよ?私が勘違いしても仕方がないくらい貴方は優しかったから・・・。本当に、甘えすぎてしまったわ・・・。」
「っ!! フローレンス。」
「ジル、そんな悲しそうな顔しないで?泣きたかったのは私の方なのよ?貴方に本当の恋人が現れて、私、辛かったわ。勘違いしていた分、ショックが大きかったの。だけど、もう大丈夫・・・。私、一人になってたくさん反省したわ。今では、本当に貴方の幸せを祈っているの。もう、決して邪魔はしないわ。今まで本当にありがとう。・・・これで私と貴方の契約は終わり。さっきも言ったけど、私もシオンも貴方への恩は忘れないわ。何かあった時は、遠慮なく相談に来てね。これからは・・・どうか、自分の幸せを第一に考えて。」
「幸せになってね。ジル。」
そう言ったフローレンスには、もう迷いなど、どこにも見当たらなかった。今のフローレンスに何を言ったところで、全く無駄だということが分かったのだ。フローレンスの心は、既にジルドナの届かない所に行ってしまったことを痛感した。今にも泣きそうなジルドナが、声を詰まらせながら聞いた。
「さっきの・・・あいつが好きなのか?」
すると、顔を真っ赤にしたフローレンスは、黙って頷いた。
「・・・甘えてもいいって言ってくれたの。甘えてほしいって。こんな私を受け入れてくれたの・・・。」
それは、聞き取りにくいほど小さな声だったが、ジルドナには、まるで耳に焼き付くほどにはっきりと聞こえた。
(ああ、なんて可愛いのだろう・・・。)
ほんのりと頬を染めて、恥ずかしそうにモジモジしているフローレンスは、きつそうな見た目に反して、自分の目を疑うほど愛らしく映っている。夕日に照らされ、金色の美しい髪が光り輝いていた。
(綺麗だ・・・。本当だったら今すぐ抱きしめて嫌というほど愛を叫ぶのに・・・。)
「そうか・・・。良かったな。」
「うん。」
(フローレンス、どうか、俺のところに戻って来て。ねぇ、お願いだよ。)
「もう、俺が居なくても大丈夫そうだな・・・。」
「・・・私、頑張るよ。」
(お願いだ。俺はもう間違わないから・・・。愛しているんだ。だから俺から離れないで。フローレンス、本当は君だけを愛しているんだ。)
「お前も、幸せになれよ。」
「うん、ありがとう。ジルも・・・幸せになって。」
(嫌だ!嫌だ!嫌だ!! 離れないで!!離れないで、フローレンス!!お願いだ、もう一度、俺を見て!フローレンス!!)
「ジル、大好きだったわ・・・。本当に・・・大好きだったわ。」
「ああ。」
(うああああああ・・・。行くな、行くな、行くなー!!!!)
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「じゃあ、私行くわ。」
「・・・・・・・・。」
ジルドナに背を向けたフローレンスが、歩き出す。フローレンスの優しい花のような香りがジルドナに、さよならを告げるかのように漂って来た。
「お願いします! どうか、私の弟を助けてください。」
少し幼い顔に不釣り合いな化粧。派手なドレスに身を包んだ生意気そうなフローレンスが蘇った。
(ははっ、なんて似合わないのだろう・・・。でも、ああ・・・、あの時から彼女はとても愛らしかったんだな・・・。)
「フローレンス・・・。い、いか、ない・・・で。」
ジルドナは、遠ざかるフローレンスの後姿を見つめながら、声を殺して泣いた。
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