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最愛の弟から逃走
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「本当はショックを受けていたの。恥ずかしい話なんだけどね、学園に入ってもね、私って全然お友達できなくて、いつも独りぼっちだったのよ。そんな寂しい私の相手をずっとジルがしてくれていて、いつの間にか、ジルの優しさを当たり前と思っている自分がいたのよ。契約と言えど、婚約者だし・・・、いつかこのままジルと結婚するのかも・・・とか思っていたのね。早い話、ジルの優しさを愛情と勘違いした私が、契約で婚約してもらったことを忘れてしまい・・・、まぁ、本当に恥ずかしい話なんだけどね。最初は、泣きながらシオンに手紙を書いたの。でも、ジルに甘えて、シオンにも甘えてって考えたら、さすがに情けなくって・・・、出せなかったわ。」
それを聞いたシオンは、眉を下げて少し寂しそうな顔をした後、「そうだったの・・・。」と、溜息のように呟いた。
「姉さんが僕に対してそんな気を遣うなんて、僕は寂しいよ。入学前に約束したじゃないか、何かあったら必ず教えてって。酷いよ。姉さんが辛かった時に僕は何も知らないでのほほんと呑気に生活していたなんて・・・。姉さんは僕に迷惑かけたくないって思ったんだろうけど、僕はそんなこと望んでなんかいないんだよ。何一つ姉さんの役に立てないなんて、辛すぎるよ・・・。」
シオンの辛そうな顔を見て、フローレンスは素直に反省した。
「ごめんなさい。そうよね。私もシオンが辛い時は一緒に頑張りたいと思うわ。決して一人で苦しみに耐えてほしくないもの。私は、シオンに心配ばかりかける駄目な姉だから、これ以上頼るわけにはいかないって思い込んでしまって・・・。あなたの気持ちも考えずに本当にごめんなさい。」
「うん、今度、何かあった時には必ず手紙をちょうだいね。姉さん、約束してよね。」
そう言い、シオンはフローレンスに自分の隣に座るように手を引いた。隣にピタリと座らせると、そっと両腕でフローレンスを包み込んだ。シオンは、久々のフローレンスの香りに安心と興奮の波が同時に押し寄せてくるのを感じた。やましい気持ちを抑え込みシオンは懸命に平然を装った。
「でも姉さん・・・。婚約の解消はいいけど、ジルドナ様は本当にそれを受け入れるかな?」
「どうして? だって、本当にお互いに大好きって感じよ?きっと、二人にとって私は凄く邪魔な存在だと思うわ。」
「うーん・・・。でもなぁー・・・。」
(あの男が姉さん以外の女性に興味を持つなんて考えられないな・・・。ましてや、頭の悪そうな男爵令嬢か・・・ありえないな。その女を利用している可能性は高いけれど、目的はなんだ?一体何を考えてるんだろう・・・。)
「私が伯爵家へ嫁がないって決まったら、お母様がまた私に婿を取らせるとか言い出すのかしら?今はちゃんとシオンが跡継ぎとしてお義父様も考えてくれているのよね?でも・・・お義父様もなんだかんだ言ってうちの母親には甘いから。ふぅー!本当に嫌だわ。お義父様も女の趣味が悪すぎるわ。寄りにもよって私の母親となんて!!・・・ん?シオン?ちょっと近すぎる・・・シオ、うむっ!」
フローレンスが自分の母親と義父を悪く言っている間、フローレンスを両腕で抱え込んでいたシオンには、話の内容よりもフローレンスの小さくて愛らしい口元ばかりが気になった。自分の為に怒ってくれているのだが、その怒った顔も仕草も可愛くて仕方がない。少しずつ顔を近づけて行っても、フローレンスは前を向いて興奮気味に話し続けている。久々のフローレンスの優しい香りと、腕から伝わる体の感触に、シオンはもう我慢できなかった。フローレンスが気付いた時にはシオンの吐息が頬に当たるほど近づいていた。シオンは、少し離れて!と言われる前に腕に力を入れると噛みつくように唇を奪った。
「シオンっ・・・ちょ・・・やめなさい。ふうっ・・・シオ・・・離れて」
「なんで、嫌だよ。・・・離れたくない。」
「シオン!!駄目!!」
フローレンスは、手に力を入れシオンの顔を力づくで押し退けた。
一瞬驚きに目を大きく見開いたシオンだったが、自分がフローレンスから拒絶されたことにショックを受けて、顔を歪めて苦しそうな表情をした。
「なんで!?なんで嫌がるの!!僕のことが嫌いになったの!?」
怒りなのか悲しみなのか分からない感情に支配されて、シオンは叫ぶようにフローレンスを責め立てた。
「違う!!違うよ。嫌いじゃないよ!でも、駄目だよ。・・・もう、こんなことしちゃ駄目だよ・・・。私達は姉弟だから。こういうのは本当に好きな人とするものだよ。」
フローレンスは、立ち上がって、シオンと距離を取りながら、言い聞かせるように丁寧に説明した。学園に入る前は、愛情に飢えた弟の独占欲として受け入れていたが、さすがにもう、年齢的にも良くない気がする。二人に血のつながりがなくとも、シオンには、平民上がりの自分なんかより、ちゃんとした貴族のご令嬢と幸せになってもらいたい。
「酷いよ、姉さん!!僕から離れないって約束したじゃないか!!約束を破るの!?僕には姉さんしかいないのに・・・。僕から逃げないで・・・。こっちに戻って来て。」
既にドアの前まで後退りしたフローレンスに、シオンはじりじりと近寄ってくる。
「駄目よ!!まって!!いい?一つだけはっきり言っておくわ!!」
そう言うと、フローレンスは、シオンの瞳をじっと見つめて、後ろ手でドアノブを掴んだ。
「シオン!!私は何も変わっていない。今でもシオンが一番大好きよ!!シオンを裏切ったりしない。シオンから逃げたりしない。でも、わかって、私達は家族なの。家族としてシオンが大好きなのよ。」
そう言うと、「また来るわね!」と、フローレンスは叫ぶように別れを告げ、ドアを開けて素早く部屋を出て行った。ドアの向こうで、姉さん!!と、呼ぶシオンの声が聞こえたけれど、フローレンスは、振り返ることなく歩き去った。
それを聞いたシオンは、眉を下げて少し寂しそうな顔をした後、「そうだったの・・・。」と、溜息のように呟いた。
「姉さんが僕に対してそんな気を遣うなんて、僕は寂しいよ。入学前に約束したじゃないか、何かあったら必ず教えてって。酷いよ。姉さんが辛かった時に僕は何も知らないでのほほんと呑気に生活していたなんて・・・。姉さんは僕に迷惑かけたくないって思ったんだろうけど、僕はそんなこと望んでなんかいないんだよ。何一つ姉さんの役に立てないなんて、辛すぎるよ・・・。」
シオンの辛そうな顔を見て、フローレンスは素直に反省した。
「ごめんなさい。そうよね。私もシオンが辛い時は一緒に頑張りたいと思うわ。決して一人で苦しみに耐えてほしくないもの。私は、シオンに心配ばかりかける駄目な姉だから、これ以上頼るわけにはいかないって思い込んでしまって・・・。あなたの気持ちも考えずに本当にごめんなさい。」
「うん、今度、何かあった時には必ず手紙をちょうだいね。姉さん、約束してよね。」
そう言い、シオンはフローレンスに自分の隣に座るように手を引いた。隣にピタリと座らせると、そっと両腕でフローレンスを包み込んだ。シオンは、久々のフローレンスの香りに安心と興奮の波が同時に押し寄せてくるのを感じた。やましい気持ちを抑え込みシオンは懸命に平然を装った。
「でも姉さん・・・。婚約の解消はいいけど、ジルドナ様は本当にそれを受け入れるかな?」
「どうして? だって、本当にお互いに大好きって感じよ?きっと、二人にとって私は凄く邪魔な存在だと思うわ。」
「うーん・・・。でもなぁー・・・。」
(あの男が姉さん以外の女性に興味を持つなんて考えられないな・・・。ましてや、頭の悪そうな男爵令嬢か・・・ありえないな。その女を利用している可能性は高いけれど、目的はなんだ?一体何を考えてるんだろう・・・。)
「私が伯爵家へ嫁がないって決まったら、お母様がまた私に婿を取らせるとか言い出すのかしら?今はちゃんとシオンが跡継ぎとしてお義父様も考えてくれているのよね?でも・・・お義父様もなんだかんだ言ってうちの母親には甘いから。ふぅー!本当に嫌だわ。お義父様も女の趣味が悪すぎるわ。寄りにもよって私の母親となんて!!・・・ん?シオン?ちょっと近すぎる・・・シオ、うむっ!」
フローレンスが自分の母親と義父を悪く言っている間、フローレンスを両腕で抱え込んでいたシオンには、話の内容よりもフローレンスの小さくて愛らしい口元ばかりが気になった。自分の為に怒ってくれているのだが、その怒った顔も仕草も可愛くて仕方がない。少しずつ顔を近づけて行っても、フローレンスは前を向いて興奮気味に話し続けている。久々のフローレンスの優しい香りと、腕から伝わる体の感触に、シオンはもう我慢できなかった。フローレンスが気付いた時にはシオンの吐息が頬に当たるほど近づいていた。シオンは、少し離れて!と言われる前に腕に力を入れると噛みつくように唇を奪った。
「シオンっ・・・ちょ・・・やめなさい。ふうっ・・・シオ・・・離れて」
「なんで、嫌だよ。・・・離れたくない。」
「シオン!!駄目!!」
フローレンスは、手に力を入れシオンの顔を力づくで押し退けた。
一瞬驚きに目を大きく見開いたシオンだったが、自分がフローレンスから拒絶されたことにショックを受けて、顔を歪めて苦しそうな表情をした。
「なんで!?なんで嫌がるの!!僕のことが嫌いになったの!?」
怒りなのか悲しみなのか分からない感情に支配されて、シオンは叫ぶようにフローレンスを責め立てた。
「違う!!違うよ。嫌いじゃないよ!でも、駄目だよ。・・・もう、こんなことしちゃ駄目だよ・・・。私達は姉弟だから。こういうのは本当に好きな人とするものだよ。」
フローレンスは、立ち上がって、シオンと距離を取りながら、言い聞かせるように丁寧に説明した。学園に入る前は、愛情に飢えた弟の独占欲として受け入れていたが、さすがにもう、年齢的にも良くない気がする。二人に血のつながりがなくとも、シオンには、平民上がりの自分なんかより、ちゃんとした貴族のご令嬢と幸せになってもらいたい。
「酷いよ、姉さん!!僕から離れないって約束したじゃないか!!約束を破るの!?僕には姉さんしかいないのに・・・。僕から逃げないで・・・。こっちに戻って来て。」
既にドアの前まで後退りしたフローレンスに、シオンはじりじりと近寄ってくる。
「駄目よ!!まって!!いい?一つだけはっきり言っておくわ!!」
そう言うと、フローレンスは、シオンの瞳をじっと見つめて、後ろ手でドアノブを掴んだ。
「シオン!!私は何も変わっていない。今でもシオンが一番大好きよ!!シオンを裏切ったりしない。シオンから逃げたりしない。でも、わかって、私達は家族なの。家族としてシオンが大好きなのよ。」
そう言うと、「また来るわね!」と、フローレンスは叫ぶように別れを告げ、ドアを開けて素早く部屋を出て行った。ドアの向こうで、姉さん!!と、呼ぶシオンの声が聞こえたけれど、フローレンスは、振り返ることなく歩き去った。
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