意地悪な姉は 「お花畑のお姫様」

岬 空弥

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それぞれの道

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フローレンス・フーバート ――― 学園を卒業後、義父より領地経営を学び、シオンが学園を卒業するとすぐに結婚。義父と共に領地へも頻繁に足を運び、領民からの信頼を得ながら、多忙な夫に代わり、立派に領地経営をこなした。二人の子宝にも恵まれ毎日忙しいながらも幸せな日々を送っている。


シオン・フーバート ――― 卒業後、フローレンスと結婚して幸せを手に入れたシオンだったが、ロナウド王子が立太子すると、彼の右腕として多忙過ぎる毎日を送ることになった。妻に会えないと癇癪を起こし、王宮に妻を呼び寄せる度、妻とここで暮らすと周りを困らせたりもしている。侯爵領に携わりたくとも、王宮での仕事に追われ、結局妻に丸投げするしかない状態が続いている。妻の負担を減らす為、仕事のできる青年を雇ったはいいが、二人きりの時間が長すぎると嫉妬に狂い、青年と老齢の男性を入れ替えようとして妻に怒られた。


ジルドナ・スコット ――― 隣国に留学後、ルミリアと婚約を解消する。優秀なジルドナは学園を卒業後、隣国の王宮にて文官の仕事に就いた。爵位のないジルドナは、一番下の位からのスタートだったが、コツコツと着実に出世の道を歩んでいる。現在は王宮で働く侍女と結婚し、子宝にも恵まれ幸せに暮らしているという。


ルーベルト・スコット ――― フローレンスが最終学年に上がる年、ルーベルトが一年生で入学してきた。「フローレンス!」「ルー!」と、手を取り合って再会を喜び、ルーベルトは事あるごとにフローレンスに会いに教室に現れた。フローレンスもルーベルトをとても可愛がって面倒を見ていた為、二人はシオンに厳しく怒られ、シオンの居ない所で会ってはいけないと無理やり約束させられた。お互いが結婚した後も、両家の親交は続いている。


ルーナ・カズワルド ――― 美しく聡明なルーナは、数々の縁談を全て断り、医者の道に進んだ。現在は医学の勉強をしながら助手として毎日働いている。最近、平民の薬師と恋仲になったようだが、身分差を気にしてなのか、中々相手から結婚の話が出てこないとぼやいている。


キャシー・エナステル ――― 学園卒業後は、直ぐに幼馴染の商家の長男と結婚した。夫と共に仕事に力を入れ、元々裕福だった家を益々成長させ、資産と従業員を増やしながら、忙しくも二人仲良くやっている。


レイサス・クレイズ ――― 隣国のアリーナ王女と婚約すると、そのまま王女の護衛騎士になった。騎士として実力の伴っていないレイサスは、アリーナの希望でお飾りの騎士として、ただ黙って傍に仕えるだけの日々を送った。アリーナ王女が成人するとすぐに結婚。王家より名前だけの公爵を賜るが、一向に自分に心を開かないレイサスに嫌気をさしたアリーナが、邸に愛人を囲いだすと、何故か他国との戦争の為、レイサスに召集令状が届いた。騎士として碌な訓練も受けていなかったレイサスが向かった先は、最前線だった。
ロナウド殿下のもとにレイサス戦死の連絡が入ったのは、それからしばらく経ってからのことだった。




愛するフローレンスへ

元気でいるだろうか。お前のことだから、今頃は俺が想像する以上に美しくなっていることだろうな。フローレンス、毎日笑って過ごせているか?俺の目には、今もお前の笑顔が焼き付いているよ。
俺は、もうすぐ死ぬだろう。毎日、思い出すのは、俺達が出会ったあの図書室でのことばかりだ。俺の人生で、きっとあの時が一番幸せだったんだろうな。覚えているだろうか、お前はハンカチで目を冷やしながら言ったんだ。「貴方なら立派な騎士様になれるわね。」って。だが、俺はその期待に応えられなかった。俺は結局、何も手に入れることができなかった。夢だった騎士にもなれず、最愛の人とも一緒になれなかった。
フローレンス。どうか、幸せになってくれ。これが、俺の最後の願いだ。
愛しているよ、フローレンス。俺は、今でもあの頃と変わらず、お前を愛している。できれば、この手でもう一度抱きしめたい。もう一度チャンスが与えられるなら、俺は二度とお前を離さないだろう。
俺にはもう時間がない。だが、生まれ変わったらまた会いに行く。約束する。次は必ず俺がお前を幸せにすると。
俺は先に行っているからな。
また、会える日を楽しみにしている。

       レイサス・クレイズ



 レイサスの戦死が報告されてから半年後、シオンはロナウド殿下より、ボロボロになった一通の手紙を受け取った。

「これでも、幼い頃は、慕っていた従兄だったからな・・・。」

まるで言い訳でもしているようなロナウド殿下の目元は、薄っすらと赤く腫れていた。
シオンはそれに目を通すと、目を閉じて大きく息を吐いた。ロナウド殿下が、それ以上口を開かないと言うことは、これをどうするかはシオン次第ということらしい。

手紙を持ち帰ったシオンは、三日間考えた後、暖炉の中でその手紙を燃やしたのだった。

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