簡単なお仕事です!〜25人の優しい同意者〜

チェンユキカ

文字の大きさ
3 / 4

『担当の田中』さん

しおりを挟む
スイミングスクール後は、時間との戦いだ。幼稚園児にとって水中で動き回るなんて、どれだけ体力を消耗していることか。いつ寝落ちしてしまうかわからない。帰宅してすぐにお風呂に入れ、時短命の簡単なメニューで夕飯を済ませ、何とか就寝までたどり着いた。

子供を寝かしつけ、束の間のおひとりタイムが取れるのも主人が帰宅するまでだ。この時間を利用し、『担当の田中』さんとやり取りをして、いくつかわかったことがあった。

まず、今回選ばれた25人は概ね同じような属性、所謂子育て中のママ、ということ。そして、特定のアカウントというのも、同じようなママアカウントであること。私たち25人は、このママアカウントと交流すればいいというのだ。

ただ一つ、特別なことといえば、『担当の田中』さん曰く、このママアカウントはその内炎上する、というのだ。何でも、世間で話題になるような大炎上こそなかったものの、頻繁にボヤ程度の燃え方を繰り返し、その度にアカウントを作り直し転生している、らしい。

そんな人の投稿に、なぜ敢えて好意的な反応を送るよう依頼してきたのか、やはりそこが気になって質問してみると、今回の転生前に、「自分に同意してくれる味方の投稿は、意図的に消されている!」と、カスタマーサポートにしつこくクレームを入れて来たらしい。当然、1ユーザーに対してそんなことするわけもないのに。面倒な人間に絡まれた、と会社側が思い立った対策が、同意者をも含めて炎上をコントロールしてしまおう、ということなのだとか。

『担当の田中』さんによれば、最終的にまた勝手に燃えてクレームを言い出すだろうけれど、「味方の投稿を不当に削除している」というイチャモンは付けさせないためにも、今回の依頼が必要だったとのこと。ただし、炎上するよりも大分と早い段階で、私たち25人はお役御免になる予定だと言う。

変な仕事だという思いは消えないが、お小遣い稼ぎにぴったりだし、とにかくこの件、本格的に取り組むことに決めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

真実の愛を見つけたとおっしゃるので

あんど もあ
ファンタジー
貴族学院のお昼休みに突然始まった婚約破棄劇。 「真実の愛を見つけた」と言う婚約者にレイチェルは反撃する。

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【1話完結】あなたの恋人は毎夜わたしのベッドで寝てますよ。

ariya
ファンタジー
ソフィア・ラテットは、婚約者アレックスから疎まれていた。 彼の傍らには、いつも愛らしい恋人リリアンヌ。 婚約者の立場として注意しても、アレックスは聞く耳を持たない。 そして迎えた学園卒業パーティー。 ソフィアは公衆の面前で婚約破棄を言い渡される。 ガッツポーズを決めるリリアンヌ。 そのままアレックスに飛び込むかと思いきや―― 彼女が抱きついた先は、ソフィアだった。

あなたへの恋心を消し去りました

恋愛
 私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。  私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。  だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。  今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。  彼は心は自由でいたい言っていた。  その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。  友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。  だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。 ※このお話はハッピーエンドではありません。 ※短いお話でサクサクと進めたいと思います。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

処理中です...