断罪されて婚約破棄されそうですが、残念ながら私の方が一枚上手です!

チェンユキカ

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前編

 王立アカデミー内ににある煌びやかなダンスホール、王太子主催のダンスパーティにと著飾った同級生たちの視線を一身に集めながら、キャサリンは凜とした姿勢で、正面に立つ王太子・ジョンと対峙していた。 

(あれほど忠告しましたのに。どうしてもこの茶番を敢行したいのですね)

 周囲に悟られないよう、心の中で一つため息を吐いた。

「キャサリン!君は公爵令嬢として、また我が婚約者として相応しくない!今日この場、皆の前でその悪事の数々を反省せよ!」

「あら、何のことをおっしゃっているのか、皆目検討もつきませんわ」

「とぼけるな!彼女から全て聞いている!」
そう言って群衆の中から、一人の女子生徒を隣に引き寄せた。近頃ジョンがご執心の男爵令嬢であるミーシャだ。

「私がミーシャと親しくしている様を見て嫉妬に狂った君が、ことあるごとに彼女をいじめていたらしいな!」

ジョンの隣でクスッと笑うミーシャを一瞥し、キャサリンは答えた。
「私が何を?」

「シラを切るつもりか。まあいい。君の悪事の数々は、我が婚約者にはあるまじき行為だ。よって、私はここに、君との婚約を白紙に戻すことを宣言する!」

 ホール内が一斉にざわついた。
キャサリンは、心底面倒くさい、という思いを隠しつつ、冷靜に応戦した。

「なるほど。それほど重大な悪事とやら、当然証拠や記録をお持ちなんですね?」

「当たり前だ!被害者であるミーシャ本人から、詳細に報告を受けている!また、私の側近たちも証人だ!」

(一生徒である側近たちの証言はともかく、被害者からの申告は証拠とはなりませんのに……)

「では、お聞きしましょう。私がミーシャさんにどんな嫌がらせをしたのでしょうか?」

「取り巻きの生徒を使い、ミーシャの教科書を女子校舎のゴミ捨て場に捨てただろう!我が側近が、ゴミ捨て場に現れた女子生徒を見ているぞ!」

「あら、おかしいですわね?ジョン様はご存知ないのかも知れませんが、近頃女子校舎のゴミを漁る不審者がいるとの噂がありましたので、ゴミ捨て場周辺を王立警察が警備していましたのよ。主要家門の令嬢が集まる場ですから、何かが起こってからでは遅いので。その王立警察から、周囲を伺いながらゴミ捨て場に何かを捨てる変装したミーシャさんと、彼女を見張る男子生徒を目撃したという記録が上がっていますわ。そう、ちょうど、ミーシャさんの教科書が無いと騒動になった日の前日の警備記録でしたね。そして、その日はそれ以外の人物が現れたという記録はございませんでしたわ」


「なんだって⁈王立警察が警備をしていた⁈それは本当なのか⁈」

「はい。間違いございません。疑われるのなら王立警察にご確認ください」

 一介の男子生徒の証言と、王立警察の警備記録__信憑性が高いのはどちらかなど、一目瞭然だ。
ホール内が再びざわつき出した。

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