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中編
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「で、ては、その後の事はどうだ!ミーシャに、授業に出るなと手紙をよこしただろう!私がこの目で実物を確認したのだ!」
「えぇ、確かにミーシャさんにお手紙を送りましたわ」
「やはりそうだろう!ミーシャを除け者にしようとしたのだな!」
一瞬たじろいだかと思ったが、ジョンはまた勢い付いてきた。
「ですが、そのお手紙、便箋二枚に渡っていましたのよ。一枚目には、教科書を無くされたお見舞いの言葉と、新しく教科書が届くまで授業に参加するのが難しいでしょうから、ダイアナ教授の個人補習を受けてみてはどうかというご提案を、二枚目に、教科書がないので無理して授業に参加する必要はない、という助言を書かせていただきました。もしかして、ジョン様は二枚目の便箋のみご覧になったのでは?」
「何だと⁈……いや、しかし、便箋が二枚あったなどどう証明するのだ!口からでまかせかも知れないだろう!」
「確かに、ジョン様に一枚目の便箋の存在を証明することは難しいかもしれません。ですが、よくご覧になって?その便箋はダイアナ教授が公式な知らせを書く際に使われているものです。封筒と、封蝋印は私のものです。あの日、生徒が教科書を無くすという、予想外の出来事が起こったので、早急にダイアナ教授のオフィスに伺い対応をご相談しましたの。教授から突然個人補習のお話をされるより、同級生である私からまず提案する方が良い、となりましたので、教授のオフィスで便箋をお借りしてお手紙をしたため、その間に私の侍女が封筒と封蝋印を準備したのです。ですので、ダイアナ教授にご確認いただくとはっきりいたしますわ」
「ミーシャ嬢がワザと二枚目の便箋だけをジョン様に見せたということか⁈」
「教科書だって、ご自分で捨てていたんでしょう⁈」
「キャサリン様の悪事だなんて、不敬にも程があるわ!」
生徒たちが小声で口々に話し出した。
「ならば……!階段からミーシャを突き落とした事は認めるな⁉︎現場に居合わせた私も側近も目撃しているんだぞ!」
「あら、ジョン様。あの日、あの時にもお伝えしましたが、お忘れでしょうか?現在、アカデミー内の全ての階段に監視カメラが設置されていますのよ?昨今の自然災害に備えて、アカデミー内で避難訓練を実施することになりましたでしょう?最適な避難経路を確立するため、普段の階段の混雑具合や、昇り降りの人数比を割り出せるよう、映像で記録して分析に出す予定でしたの。ですのであの日、私がミーシャさんに一切の接触をしていないという事実が映像にて記録されています。私がすれ違いざまに脚を引っ掛けた?でしたっけ?彼女の言い分と、映像記録のどちらが正しいのでしょうか?」
「監視カメラだと⁈しかし、ミーシャが確かに……で、では、異国の大使夫人が視察に来た日の事はどうだ⁈大使夫人が主催したティーパーティに、ミーシャだけ招かれなかったと聞いたぞ!」
「倭の国の大使夫人がいらした時の事でしょうか?あの日のお茶会は、大使夫人が倭の国の文化を披露してくださると言うことで、女子生徒全員に伝統衣装を用意してくださったのです。非常に貴重な贈り物ですので、アカデミーが管理保管することになりました。お茶会の前に、大使夫人の侍女の皆さんが私たちに衣装を着せてくれたのですが、ミーシャさんがご自分の衣装が破られている、と騒ぎ出されましたの。確かに彼女の衣装は刃物で裂かれた後がありましたが、その衣装には彼女と大使夫人の侍女しか触れていません。ですので、故意かどうかはわかりませんが、その場にいる全員が、彼女自ら衣装を裂いたのでは、と考えたのです。いただいた衣装を台無しにしたとなっては大使夫人にも失礼に当たりますので、ミーシャさんにはお茶会の場に出てくることをご遠慮願いました」
「そんなもの……初めからミーシャを除け者にするために君が事前に破いていたのではないか⁉︎」
「いいえ。あり得ません。先程申し上げましたでしょう?貴重な贈り物ですので、個人ではなくアカデミーが管理しておりました。そして、倭の国の伝統衣装は不思議ですのよ。着る人の体型に合わせて着付けることができるそうで、衣装の寸法は全て同じでしたの。つまり、保管している段階でどの衣装を誰が着るかは決まっておりませんでした。ミーシャさんの衣装がどれになるかわからないのに、事前に破いておくことは不可能です」
「ぐっ…」
(さて……そろそろ終わらせましょうか)
「えぇ、確かにミーシャさんにお手紙を送りましたわ」
「やはりそうだろう!ミーシャを除け者にしようとしたのだな!」
一瞬たじろいだかと思ったが、ジョンはまた勢い付いてきた。
「ですが、そのお手紙、便箋二枚に渡っていましたのよ。一枚目には、教科書を無くされたお見舞いの言葉と、新しく教科書が届くまで授業に参加するのが難しいでしょうから、ダイアナ教授の個人補習を受けてみてはどうかというご提案を、二枚目に、教科書がないので無理して授業に参加する必要はない、という助言を書かせていただきました。もしかして、ジョン様は二枚目の便箋のみご覧になったのでは?」
「何だと⁈……いや、しかし、便箋が二枚あったなどどう証明するのだ!口からでまかせかも知れないだろう!」
「確かに、ジョン様に一枚目の便箋の存在を証明することは難しいかもしれません。ですが、よくご覧になって?その便箋はダイアナ教授が公式な知らせを書く際に使われているものです。封筒と、封蝋印は私のものです。あの日、生徒が教科書を無くすという、予想外の出来事が起こったので、早急にダイアナ教授のオフィスに伺い対応をご相談しましたの。教授から突然個人補習のお話をされるより、同級生である私からまず提案する方が良い、となりましたので、教授のオフィスで便箋をお借りしてお手紙をしたため、その間に私の侍女が封筒と封蝋印を準備したのです。ですので、ダイアナ教授にご確認いただくとはっきりいたしますわ」
「ミーシャ嬢がワザと二枚目の便箋だけをジョン様に見せたということか⁈」
「教科書だって、ご自分で捨てていたんでしょう⁈」
「キャサリン様の悪事だなんて、不敬にも程があるわ!」
生徒たちが小声で口々に話し出した。
「ならば……!階段からミーシャを突き落とした事は認めるな⁉︎現場に居合わせた私も側近も目撃しているんだぞ!」
「あら、ジョン様。あの日、あの時にもお伝えしましたが、お忘れでしょうか?現在、アカデミー内の全ての階段に監視カメラが設置されていますのよ?昨今の自然災害に備えて、アカデミー内で避難訓練を実施することになりましたでしょう?最適な避難経路を確立するため、普段の階段の混雑具合や、昇り降りの人数比を割り出せるよう、映像で記録して分析に出す予定でしたの。ですのであの日、私がミーシャさんに一切の接触をしていないという事実が映像にて記録されています。私がすれ違いざまに脚を引っ掛けた?でしたっけ?彼女の言い分と、映像記録のどちらが正しいのでしょうか?」
「監視カメラだと⁈しかし、ミーシャが確かに……で、では、異国の大使夫人が視察に来た日の事はどうだ⁈大使夫人が主催したティーパーティに、ミーシャだけ招かれなかったと聞いたぞ!」
「倭の国の大使夫人がいらした時の事でしょうか?あの日のお茶会は、大使夫人が倭の国の文化を披露してくださると言うことで、女子生徒全員に伝統衣装を用意してくださったのです。非常に貴重な贈り物ですので、アカデミーが管理保管することになりました。お茶会の前に、大使夫人の侍女の皆さんが私たちに衣装を着せてくれたのですが、ミーシャさんがご自分の衣装が破られている、と騒ぎ出されましたの。確かに彼女の衣装は刃物で裂かれた後がありましたが、その衣装には彼女と大使夫人の侍女しか触れていません。ですので、故意かどうかはわかりませんが、その場にいる全員が、彼女自ら衣装を裂いたのでは、と考えたのです。いただいた衣装を台無しにしたとなっては大使夫人にも失礼に当たりますので、ミーシャさんにはお茶会の場に出てくることをご遠慮願いました」
「そんなもの……初めからミーシャを除け者にするために君が事前に破いていたのではないか⁉︎」
「いいえ。あり得ません。先程申し上げましたでしょう?貴重な贈り物ですので、個人ではなくアカデミーが管理しておりました。そして、倭の国の伝統衣装は不思議ですのよ。着る人の体型に合わせて着付けることができるそうで、衣装の寸法は全て同じでしたの。つまり、保管している段階でどの衣装を誰が着るかは決まっておりませんでした。ミーシャさんの衣装がどれになるかわからないのに、事前に破いておくことは不可能です」
「ぐっ…」
(さて……そろそろ終わらせましょうか)
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