不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ

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第三章

39、ほぐすのは今からですよ

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「はぁぁああ~いい湯だぁ~」

 湯船にずるりと体を滑り込ませて顎まで湯に浸かる。この大理石の浴槽は成人男性二人が入浴しても十分な広さがあって、俺がいつも使っていた一人用のバスタブとは大違いだ。

 夕食の前に体を流すことにした俺は、綺麗に体を洗ってオーティスと温かな湯に浸かってのんびりリラックス……はできないよね。
 別に一緒に入浴するのは初めてじゃないけど俺の心臓はドキドキしっぱなしなのだ。

「ねえ、レイモン伯爵について何か分かった?」

 今日から調査が始まったばかりだというのに、気がはやってしまう。

「彼の人となりと、この数年間の事業取引など皆で手分けして調査しています。レイモン伯爵は元々大人しい人物だったそうですよ」
「嘘っ!?」

 でっぷりとした二十代後半男性の「きゅるん」「キャピ」は今思い出しても鳥肌が立つ。変わるにしてもだいぶ方向性を間違えたな。

「ガラリと性格が変わったのが数年前。その頃からおかしな契約が結ばれるようになったと思われます」

「そうなんだ……」
 疑惑だけじゃこちらも動けない。小さな溜息をついた。


 そういえば浴槽の縁に見覚えのない小瓶がいくつか置かれてある。多分掃除をしてくれた新人ぽよぽよズが置いていったのだろう。

 小瓶を一つ手に取って、コルク栓を開けてみた。キュポンという音とともにふわっと華やかなバラの香りが鼻を掠める。もう一度栓をして別の小瓶の匂いを嗅いだ。こちらは甘いフルーツの香りだ。そうなると他の瓶の匂いが気になる。コルク栓を閉め直そうとした俺の手に背後からオーティスの手が重なった。

「いい香りがしますね」

(わわわわっ!!)
 不意打ちだ。急に真後ろに来られたことに加て耳元で囁かれたものだから、体がぎゅっと縮こまる。チュッと耳に口付けしたかと思えばキスは首筋から肩へと流れ、オーティスは俺が握り締めていた小瓶を手に取った。

「中身はなんですか?」
「わ、分からない」

 オーティスは瓶の中身を俺の手のひらに垂らすとその上に自分の手のひらを重ねた。液体はぬるっとした手触りで、指を絡めたり手のひらをこすり合わせるとぬめぬめして気持ちが良い。

「オーティス……これ……」
「潤滑液ですね」

『潤滑液』……ボンっと顔が熱くなる。
「俺じゃないよ! は、犯人は新人ぽよぽよズの誰かだな!」

「仕事ができる子ですね。褒めてあげなくては……」
「もお、オーティス! 真顔でそういうこと言わないの!」

 反射的にツッコミを入れてしまったが、サンキュ、ぽよぽよズ! キッカケが欲しかったこちらとしては誠にありがたい。下半身の疼きが増してきた俺は、意を決した。

「…………あのさ…………使ってみる?」

 心臓をバクバクさせながら後ろを振り向く。真顔で口を半開きにしたオーティスと目が合った。

 以前誘った時は、正式に婚約が決まってから繋がりたいと断られてしまった。しかし、正直なところレイモン伯爵のせいで悠長なことを言ってる余裕はない。少なくとも俺は焦ってる。

「オーティスのこれ……俺の中に入れたい……」
 お湯の中で硬くなったソレを上下にさするとオーティスが小さな吐息を漏らした。頬を染めて目を閉じる仕草に欲望が駆り立てられる。

(ああ、こういうのダメ……)
 感じている顔を見るともっとしたくなってしまう。

「今入れなくても柔らかくしておかなきゃ。オーティスのおっきいから前もって慣らしておかないと入らないよ。俺、痛いの嫌……」

 オーティスの上に跨って彼の敏感なモノをお尻で擦る。オーティス頬が赤くなってきた……眉根を寄せた余裕のない顔に欲心が募る。俺は腕を回して体をピッタリくっ付けた。

「俺のいいとこ一緒に探して」

 真っ赤な耳に軽くキスすると、オーティスが勢いよく俺の肩を掴んで引き剥がした。秒で唇が塞がれる。そこからは息も絶え絶えになるほど激しいキスを交わし、オーティスは「ここに手を付いてください!」と俺を立たせると、浴槽の縁に手を付いてお尻を突き出すように指示した。

(この体勢……死ぬほど恥ずかしいぃ……)

 息を荒くしたオーティスは俺の秘部を食い入るように見ている。顔が近付いてふっと息がかかった。

「――っ!!」
 ぬめっとした感覚に全身が強張る。

「フィル様……力を抜いてください。ほぐせません」
「や、柔らかくしてとは言ったけど、舐めてとは言ってない……きた……ないし……」
「貴方に汚い所なんて存在しません。言うことを聞いて……ほら、力を抜いてください」

 オーティスは舐めるだけでなく、俺の硬くなったモノを擦り始めた。全身から一気に力が抜ける。

「そうです……一度出しておきましょう」
 オーティスは片手に小瓶を取ると器用に栓を抜いて、とろりとした液体を前と後ろにたらりと垂らす。扱くスピードを早め俺を絶頂に導いた。

「んぁっ……はぁっ!!」
 欲望を吐き出してくたっと崩れ落ちる俺を大きな手が堰き止める。

「フィル様……ほぐすのは今からですよ」
 俺の腰をガッチリと掴んで、オーティスが薄く笑った。


 ◇◇◇

「い、今からって……」
「フィル様が誘ったのですよ」

 そうだけど……オーティスの色気に倒れそう。

「まず一本入れてみますか?」
「うん……ゆっくりね」

 相変わらずお尻を突き出した恥ずかしい体勢のまま情事が進んでいく。優しく優しく窄まりを揉んでいた指先がほんの少し中に入った。

(――ひゃぁっ!?)
 初めての感覚に全身が強張る。

「力を抜いて……絶対に痛くしません。私に身を委ねてください」

 その言葉どおりゆっくりじっくりと時間をかけて指が入ってくる。

「ぅ……」
 オーティスの優しさとたっぷり垂らした潤滑液のおかげで、痛くはないけどとても不思議な感じだ。

(本当にこれが気持ち良くなるのかなぁ……)

 不安と期待が入り混じる中、オーティスの指が円を描いてじわじわと中を広げていく。もう一本指が追加されたけど、今日の俺はそれが限界だった。

「それ以上はもう増やさないで……初めてだから……」

「…………わ、分かりました。では中を刺激していきますね」

 オーティスの指が先程とは違ってある一点を探るように動き始める。くいくいっと押したと思えば壁を擦ったり。とんとんと軽く叩いた次は奥と入り口を行き来して様々な刺激を与えてくる。

 そして今まで感じなかった新たな感覚が俺の腰を震わせた。

(――っ!!!!)

「ここですね」
「な、なに……そこ!」

「ここが貴方の良い所ですよ」

(今絶対笑った)

 悦に入るオーティスの笑みが脳内で再生される。他の所は用済みだと言わんばかりに指の腹がその一点だけを執拗に攻め始め、チュッチュッとお尻にキスまでされて余計敏感になってしまう。

「あっあっ……オーティスそれ以上刺激増やしたらダメっ」
 再び元気になったモノを大きな手で扱かれて、呆気なく二度目の熱を放出してしまった。

 へなへなとしゃがみ込もうとする俺の腰をまたしてもオーティスが掴んで阻止した。

「フィル様、しっかり太腿を閉じてください」
「え……あっ!!」
 潤滑液まみれのオーティスのモノがぬるっと閉じた股の間に滑り込んできた。肌のぶつかる音とお湯の弾ける音が浴室に響く。
(これ、後ろからされてるみたい。ヤバい、めちゃくちゃやらしい……)

 後ろから聞こえるオーティスの息遣いだんだんと切羽詰まったものに変わり、彼の限界が近いことを知らせる。

「フィル様……イキます……」
 最後オーティスは俺を後ろから抱き締めながら絶頂を迎えた。
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