26 / 53
第一章
26、甘すぎる朝
しおりを挟む
ふわりと髪を撫でられる感触がして少しだけ瞼を開けた。
外はまだ薄暗いし体がダルすぎる。それにしても、この肌の温もりと後ろから抱き締められている安心感。はぁ~幸せ。
「起こしてしまいましたか? 今笑ってましたよ」
少し低めの声と小さな吐息が頸にかかる。
(オーティスだ! オーティスが朝なのにいる!)
早起きの彼は俺が起きる頃にはもうベッドにいない。だからこうやって二人で朝を迎えるのは初めてなのだ。これも両思いになったからなのかな。いつもとは違う朝に、彼との関係が進展したことをじんわりと実感した。
「私にそっぽを向いて寝るなんて寂しいです」
しかも、なんて可愛いことを言うんだ。俺の後頭部におでこをすりすり押し付けちゃって、逞しい体と甘えん坊のギャップがたまらない。
「そっち向いてもいい?」
「ダメです」
「寂しいって言ったくせに」
「だって貴方のここにキスできなくなってしまいます」
「ここ」とはどうやら頸のことだったらしい。チュッチュッとキスの雨を降らせたかと思えば、後ろから硬くなったモノをぐりぐりとお尻に押し付けられて心臓が飛び出しそうになった。
「待って待って……今何時? (まだだとは思うけど)ランデルが迎えに来ちゃう」
「…………」
しまった……沈黙に不安がよぎる。今のラブラブタイムに「ランデル」名前は禁句だった。「あっ」と気付いたところでもう遅い。オーティスは沈黙したまま俺の胸先をキュッと抓った。
「い、痛いって……お願い、やめて……」
「…………」
なんてことだ。オーティスの奴、どうやら泣きそうな俺を無視するつもりらしい。しかも抓る力がギュッと少し強くなった。
「ごめん……ごめんなさい。俺が悪かったからやめて……」
「……じゃあ、私の名前を呼んでくれたら許してあげます」
「うん、オーティス」
「もっと」
「オーティス、オーティス!」
「もっとです……もっと」
抓っていた指先が今度は優しく胸先を擦りだした。そのうち手のひらは重要な所を巧みに避けながら胸元から太腿までを何度か往復。そして最終的には喉元をすりすりとさすった。
「止まってますよ」
「んっ……だって……んあっ」
悶え苦しむ俺の耳に唇を当てて「早く」と催促してくる。俺が恥ずかしい声を上げてるうちに舌を使った耳への愛撫まで始まってしまった。
(ダメだって感じてる場合じゃない。今日もアカデミーがあるのに準備の時間がなくなっちゃうよ。もぉ……)
「オーティスのやきもち焼き!」
なんとか快感に逆らった。オーティスの動きが止まってふぅと安堵の息を吐いたのに……あれ? どういうことだ!?
グイッと仰向けにさせられただけじゃない。俺の両手首はオーティスの片手に掴まれて、頭の上で押さえつけられてしまったのだ。
俺は半ベソ状態で余裕たっぷりな紫の瞳を睨みつけてやった。
「すみません……貴方を誰にも取られたくないんです。好きで好きでたまらないんです。今までの間違いを正して、これからは貴方への愛をたくさん言葉にして伝えていきますね。……この体勢、赤くなった顔がよく見えて良いです」
おいおい、悪いと思っているのか思っていないのか。
「もぉぉ……そんなことまで言わなくていいから。夜中だって容赦ないし……オーティスのバカ!!」
「ふふっ……とっても可愛いかったです」
「――っ!!」
上から見下ろされただけでもヤバイのに、オーティスの興奮した薄笑いと甘い言葉に俺の情緒が崩壊寸前だ。
俺はとんでもない男から愛されてしまったのかもしれない。愛され不慣れな俺には刺激が強すぎる。
「は、恥ずかしいから……ほどほどにしてよね……」
「嫌です。ほどほどではなく……たっぷりと」
――――――――――――
閲覧、応援ありがとうございます!
ここまでを第一章、両片思い編とさせていただきます。物語はまだ続くので、お付き合いくださったら嬉しいです。
外はまだ薄暗いし体がダルすぎる。それにしても、この肌の温もりと後ろから抱き締められている安心感。はぁ~幸せ。
「起こしてしまいましたか? 今笑ってましたよ」
少し低めの声と小さな吐息が頸にかかる。
(オーティスだ! オーティスが朝なのにいる!)
早起きの彼は俺が起きる頃にはもうベッドにいない。だからこうやって二人で朝を迎えるのは初めてなのだ。これも両思いになったからなのかな。いつもとは違う朝に、彼との関係が進展したことをじんわりと実感した。
「私にそっぽを向いて寝るなんて寂しいです」
しかも、なんて可愛いことを言うんだ。俺の後頭部におでこをすりすり押し付けちゃって、逞しい体と甘えん坊のギャップがたまらない。
「そっち向いてもいい?」
「ダメです」
「寂しいって言ったくせに」
「だって貴方のここにキスできなくなってしまいます」
「ここ」とはどうやら頸のことだったらしい。チュッチュッとキスの雨を降らせたかと思えば、後ろから硬くなったモノをぐりぐりとお尻に押し付けられて心臓が飛び出しそうになった。
「待って待って……今何時? (まだだとは思うけど)ランデルが迎えに来ちゃう」
「…………」
しまった……沈黙に不安がよぎる。今のラブラブタイムに「ランデル」名前は禁句だった。「あっ」と気付いたところでもう遅い。オーティスは沈黙したまま俺の胸先をキュッと抓った。
「い、痛いって……お願い、やめて……」
「…………」
なんてことだ。オーティスの奴、どうやら泣きそうな俺を無視するつもりらしい。しかも抓る力がギュッと少し強くなった。
「ごめん……ごめんなさい。俺が悪かったからやめて……」
「……じゃあ、私の名前を呼んでくれたら許してあげます」
「うん、オーティス」
「もっと」
「オーティス、オーティス!」
「もっとです……もっと」
抓っていた指先が今度は優しく胸先を擦りだした。そのうち手のひらは重要な所を巧みに避けながら胸元から太腿までを何度か往復。そして最終的には喉元をすりすりとさすった。
「止まってますよ」
「んっ……だって……んあっ」
悶え苦しむ俺の耳に唇を当てて「早く」と催促してくる。俺が恥ずかしい声を上げてるうちに舌を使った耳への愛撫まで始まってしまった。
(ダメだって感じてる場合じゃない。今日もアカデミーがあるのに準備の時間がなくなっちゃうよ。もぉ……)
「オーティスのやきもち焼き!」
なんとか快感に逆らった。オーティスの動きが止まってふぅと安堵の息を吐いたのに……あれ? どういうことだ!?
グイッと仰向けにさせられただけじゃない。俺の両手首はオーティスの片手に掴まれて、頭の上で押さえつけられてしまったのだ。
俺は半ベソ状態で余裕たっぷりな紫の瞳を睨みつけてやった。
「すみません……貴方を誰にも取られたくないんです。好きで好きでたまらないんです。今までの間違いを正して、これからは貴方への愛をたくさん言葉にして伝えていきますね。……この体勢、赤くなった顔がよく見えて良いです」
おいおい、悪いと思っているのか思っていないのか。
「もぉぉ……そんなことまで言わなくていいから。夜中だって容赦ないし……オーティスのバカ!!」
「ふふっ……とっても可愛いかったです」
「――っ!!」
上から見下ろされただけでもヤバイのに、オーティスの興奮した薄笑いと甘い言葉に俺の情緒が崩壊寸前だ。
俺はとんでもない男から愛されてしまったのかもしれない。愛され不慣れな俺には刺激が強すぎる。
「は、恥ずかしいから……ほどほどにしてよね……」
「嫌です。ほどほどではなく……たっぷりと」
――――――――――――
閲覧、応援ありがとうございます!
ここまでを第一章、両片思い編とさせていただきます。物語はまだ続くので、お付き合いくださったら嬉しいです。
210
あなたにおすすめの小説
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
婚約破棄された俺の農業異世界生活
深山恐竜
BL
「もう一度婚約してくれ」
冤罪で婚約破棄された俺の中身は、異世界転生した農学専攻の大学生!
庶民になって好きなだけ農業に勤しんでいたら、いつの間にか「畑の賢者」と呼ばれていた。
そこに皇子からの迎えが来て復縁を求められる。
皇子の魔の手から逃げ回ってると、幼馴染みの神官が‥。
(ムーンライトノベルズ様、fujossy様にも掲載中)
(第四回fujossy小説大賞エントリー中)
完結|ひそかに片想いしていた公爵がテンセイとやらで突然甘くなった上、私が12回死んでいる隠しきゃらとは初耳ですが?
七角
BL
第12回BL大賞奨励賞をいただきました♡第二王子のユーリィは、美しい兄と違って国を統べる使命もなく、兄の婚約者・エドゥアルド公爵に十年間叶わぬ片想いをしている。
その公爵が今日、亡くなった。と思いきや、禁忌の蘇生魔法で悪魔的な美貌を復活させた上、ユーリィを抱き締め、「君は一年以内に死ぬが、私が守る」と囁いてー?
十二個もあるユーリィの「死亡ふらぐ」を壊していく中で、この世界が「びいえるげえむ」の舞台であり、公爵は「テンセイシャ」だと判明していく。
転生者と登場人物ゆえのすれ違い、ゲームで割り振られた役割と人格のギャップ、世界の強制力に知らず翻弄されるうち、ユーリィは知る。自分が最悪の「カクシきゃら」だと。そして公爵の中の"創真"が、ユーリィを救うため十二回死んでまでやり直していることを。
どんでん返しからの甘々ハピエンです。
大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります
かとらり。
BL
前世でやっていたRPGの中ボスの大魔法使いに生まれ変わった僕。
勇者に倒されるのは嫌なので、大人しくアイテムを渡して帰ってもらい、塔に引きこもってセカンドライフを楽しむことにした。
風の噂で勇者が魔王を倒したことを聞いて安心していたら、森の中に小さな男の子が転がり込んでくる。
どうやらその子どもは勇者の子供らしく…
ゲーム世界の貴族A(=俺)
猫宮乾
BL
妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。
憧れのスローライフは計画的に
朝顔
BL
2022/09/14
後日談追加しました。
BLゲームの世界の悪役令息に憑依してしまった俺。
役目を全うして、婚約破棄から追放エンドを迎えた。
全て計画通りで、憧れのスローライフを手に入れたはずだった。
誰にも邪魔されない田舎暮らしで、孤独に生きていこうとしていたが、謎の男との出会いが全てを変えていく……。
◇ハッピーエンドを迎えた世界で、悪役令息だった主人公のその後のお話。
◇謎のイケメン神父様×恋に後ろ向きな元悪役令息
◇他サイトで投稿あり。
【本編完結】最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる