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四章 衝動の行く末
青天の霹靂
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*しゃね……しれない
***
あれから幾つ秒針は時を刻んだのか、ようやく動けるようになった幹太は、泣きじゃくる紗英の手を引いて、いつもの小さな砂浜にやってきた。
浜にあげられた小舟の影に、幹太は紗英を座らせて、ゆっくりと髪の毛をすいた。そのまま、紗英の腫れたまぶたにキスをひとつくれて、首筋に顔をうずめる。
「紗英」
耳元で感じる幹太の声。幹太はあっという間に、紗英と唇を繋いで、舌を絡ませた。息継ぎの最中に、途切れ途切れ紗英は、本音を漏らす。
「かんちゃん。やだ、おっかね」
と
「また……噛みたくなったらやだ」
と、紗英が言えば「噛んでも、いい」
幹太は言う
「なに、言うべさ。だめに決まってっちゃ」
紗英が返せば
「紗英になら」
と、
「食われても構わね」
と、幹太は告げて、さらに唇を含む。
「かん、ちゃん。だ、いすき」
何度も、何度も
「紗英……好きだ」
何度も、何度も
不安を拭うように、口づけを交わし合い、互いの気持ちを伝えあったあと、落ち着きを取り戻した幹太は、紗英を見据えて告げた。
「紗英、海神様のこと、調べてみねえか?」
紗英にとってその言葉は、まさに晴天の霹靂だった。パッと、辺りの色が鮮やかになった気がした。幹太は力強く言う。
「わからねえかもしゃね。んだけども、何かわかるかもしゃねぞ。……紗英が、紗英として生きる道のヒント」
幹太は、笑った。紗英の手をぎゅっと握りしめながら。
わかってくれた。普通に生きたいといった紗英の言葉を、幹太は覚えていてくれた。その優しさが、強さが心に染み込む。幹太を信じられる……。幹太は、海神様ではなく、紗英を見ている。
「うん……やってみよう」
紗英は、幹太を見つめ返す。その眼差しにはもはや、先程までの不安はない。
ちょうどその頃だ。紗英の言葉通り、穏やかな海にしとしとと、霧雨が注ぎ始めたのだった。
***
あれから幾つ秒針は時を刻んだのか、ようやく動けるようになった幹太は、泣きじゃくる紗英の手を引いて、いつもの小さな砂浜にやってきた。
浜にあげられた小舟の影に、幹太は紗英を座らせて、ゆっくりと髪の毛をすいた。そのまま、紗英の腫れたまぶたにキスをひとつくれて、首筋に顔をうずめる。
「紗英」
耳元で感じる幹太の声。幹太はあっという間に、紗英と唇を繋いで、舌を絡ませた。息継ぎの最中に、途切れ途切れ紗英は、本音を漏らす。
「かんちゃん。やだ、おっかね」
と
「また……噛みたくなったらやだ」
と、紗英が言えば「噛んでも、いい」
幹太は言う
「なに、言うべさ。だめに決まってっちゃ」
紗英が返せば
「紗英になら」
と、
「食われても構わね」
と、幹太は告げて、さらに唇を含む。
「かん、ちゃん。だ、いすき」
何度も、何度も
「紗英……好きだ」
何度も、何度も
不安を拭うように、口づけを交わし合い、互いの気持ちを伝えあったあと、落ち着きを取り戻した幹太は、紗英を見据えて告げた。
「紗英、海神様のこと、調べてみねえか?」
紗英にとってその言葉は、まさに晴天の霹靂だった。パッと、辺りの色が鮮やかになった気がした。幹太は力強く言う。
「わからねえかもしゃね。んだけども、何かわかるかもしゃねぞ。……紗英が、紗英として生きる道のヒント」
幹太は、笑った。紗英の手をぎゅっと握りしめながら。
わかってくれた。普通に生きたいといった紗英の言葉を、幹太は覚えていてくれた。その優しさが、強さが心に染み込む。幹太を信じられる……。幹太は、海神様ではなく、紗英を見ている。
「うん……やってみよう」
紗英は、幹太を見つめ返す。その眼差しにはもはや、先程までの不安はない。
ちょうどその頃だ。紗英の言葉通り、穏やかな海にしとしとと、霧雨が注ぎ始めたのだった。
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