神に愛された子

鈴木 カタル

文字の大きさ
101 / 124
連載

200

しおりを挟む


僕達の知っている情報と、昨日の出来事。
その事を今話し合っている。ユズノハ様達は、信じられないという表情をしながらも、ポツリポツリと知っている情報をくれた。

あの地下はサルエロ王国の初代国王が安らかな眠りにつけるようにと、当時の宰相が特別な力で作った場所で。
その宰相は、国王の仲間で魔力量は多く長命のため、最後に自分が死ぬと予想していたようだ。血が関係するあの扉があるため、自分が死んだ後、子孫達が困らないように書物を残していたらしい。
「見るのでしたら、保管庫にあるので後ほど案内します」と、ガノスさんが。それに嫌な顔をするユズノハ様。
隠せずに顔に出ちゃうのも、ちょっと見慣れてきたよ。今後は、どうにかした方が良いと思うけども。

それから暫くは様々な話し合いをして、主に国と国関係の話はロダンさんがなんか話をしていたいたけど、関係ないと思ってほぼ聞いてなかった。
時折出てくる飲み物や食べ物にしか興味が行かず……
サツマイモっぽいのとじゃがいもっぽいのが出てきたから、食いついてしまったんだよね。手に入れたいって思っていたから仕方ないじゃ無いか、うんうん。

今後のサルエロ王国についてとか、聞いても特に力になれることもないと……

【主様は 今後も関わるかと思いますけど】

イピリアから予想外な念話がきた。
ん? これが終わったら僕は学園生活に戻るから、関わることはなくなるんじゃないの?

【主はもう一度 ローレンを鑑定し直した方がいいよ?】

ちょっと呆れた感じのカルキノスからの念話だ。
そう言えば、ローレンさんも僕と同じように余り話には参加していないね? っていうか、全く関係ないって雰囲気を感じ……え?

そう考えながらローレンさんを鑑定していた僕は、鑑定で見えている情報に戸惑った。
ローレンさんの鑑定内容は、前と同じローレン・サルビエラがフルネームで、やはり「?」もあるんだけど、浄化って文字が見えるようになっている。何より例のアレ――称号が……

称号――聖なる巫女 稀人まれびと 

んで、聖なる巫女の詳しい内容が

聖なる巫女――偽りは通じず真実を見抜き 聖なる力を持つ巫女

なんだか、凄い内容になっているんだけどね……問題なのは稀人の方だ。

稀人――神と会いし者 

そう、神と会いし! だよ! ローレンさん、神様と会ってるんじゃんか!!
どういうことよ? 僕は会ってないんだけども? 何時会ったんだ!
しかもさ、この神と会いし者の効果? みたいなのも見えたるんだけど、稀な経験をしやすくなるってなっているのね。これって、この先もまた会うかもってことじゃないのかなー? なんて深読みしちゃうよね……
聖なる巫女もヤバいし。ローレンさんに嘘をついて騙そうとしても、真実しか話せなくなるみたいだよ。しかも、嘘をついた罰があるようだ……体の一部が麻痺するんだって。
本当の事を話すまでその麻痺は治らないってなっている。

こっわ。称号ってこっわ。
思わず、死んだ魚のような目になってしまった……

鑑定も前よりよく分かるようになってきている気がするし、僕の称号もヤバいやつなんじゃね? って、怖くてもう見ることが出来ない気がする。

【どうやら確認したみたいだね主 あのね~? 稀人は僕達でも分かるっていうか 感じるんだ 神関係は分かるみたいなの】

カルキノス達は聖獣だもんなぁ、神様に作られた存在だし? 今は僕の眷属だけど。

【でね? 多分主とローレンは近い存在だから 今後も何かと関わることになると思うよ~】

えー……なんだそれ。嬉しくない。アレ見ちゃったからか、とっても嬉しくないです。
イピリアもカルキノスも、アクリスですらちょっと引いた感じで見てくるんだけど。
僕は神様と関わるのも嫌だし、アレ関係で仲間意識持たれても困るし、っていうかあの称号……じゃなくて、あのアレは僕よりヤバいと思う。内容が。効果? 的なのが。

【いえいえ 主様のも相当な感じが致しますよ?】

おおおおおおおいっ! そんな感想は要りません!
イピリア、やめて……僕泣いちゃうよ?
思わず両手で顔を覆ったら、ジェンティーレ先生が具合が悪いの? って、声をかけてくれて、じわりと心が温かくなる。
ふるふると首を振り、大丈夫ですと呟くけど、僕の受けたダメージはかなり大きかった。

【主も諦めが悪いぞ あるものは仕方が無いだろうが】

アクリスから、ふんっと鼻で笑われた感じで届く念話にイラッとする。
アクリス、呪うからね。覚えとけよ……
背中の毛がモワッとなっていたけど、しーらない!
アクリスから顔を背け、カルキノスの後頭部に頬ずりした。ついでに、ちょっと匂いも嗅いだりして癒やされてみる。

視線を感じてそちらの方を向けば、ローレンさんがこちらをガン見していた。
困ったように微笑んでみると、どうやら視線はカルキノスで固定されているらしく、僕の事はカルキノスの付属品と見ていそうだ……

そう言えば、カルキノス……というか、聖獣を可愛いと言っていたっけな。
そっちの仲間は嬉しいんだけどなぁ、さっき見たアレが強烈過ぎて素直に喜べない。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あけまして おめでとうございます
皆様 今年もどうぞよろしくお願い致します!

しおりを挟む
感想 238

あなたにおすすめの小説

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!

にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。 そう、ノエールは転生者だったのだ。 そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。