ゲームの悪役貴族に転生した僕は悪役らしく女を囲い、貴族の強権で好き放題したいと思います。でも、断罪は嫌なので主人公陣営からは距離を取りつつ…

リヒト

文字の大きさ
43 / 119
第二章

第三話

しおりを挟む
 フェルジャンヌ王国とリーミャ王国の伝統と言える外務大臣を歴任する公爵家の嫡男同士の会談。
 それを眺める傍観席には眺める両王国国王陛下に両公爵家の当主、その他多くの両国の重要人物が勢ぞろいしていた。
 例年とは違い、多くの傍観者に囲まれた中行われる会談。
 だが、それでも例年通りに嫡男同士の緊張した姿を温かい目で傍観者たちが見守るような形になるだろうと会談が始まる前の誰もが思っていた。

 しかし、そんな予想を裏切って会談の雰囲気は前代未聞の何とも言えない空気感に包まれていた。
 その理由は単純。
 今日の主役とも言えるラインハルト公爵家の嫡男とラステア公爵家の嫡男の姿にあった。

「今日はよろしくお願いします」
 
 ラインハルト公爵家の嫡男であるノア・ラインハルトは耳に見ているこっちが痛くなるほどの多くのピアスを身に着け、衣服は貴族とは思えないほどにカジュアルな格好で会談に望んでいた。

「えぇ。よろしくお願いしますわ」

 そんなノアの対面に座っているラステア公爵家の嫡男……黒色の髪を伸ばしてばっちりとツインテールで決め、黒を基調として少しばかり珍しいドレスを身に纏った『嫡男』ガイ・ラステアが威風堂々たる態度で座っていた。
 
 ノアもガイも一切緊張しているようには見えず、外務大臣にも負けないほどの立派な姿を見せている。
 むしろ、立派な姿でないのは傍観席にいる大人たちの方であった。

「……男、であるよな?」
 
 フェルジャンヌ王国の国王陛下であるリリスト・フォン・フェルジャンヌは困惑の声を上げる。

「男であります……」

 それに対してガイの父であるレグ・ラステアが何とも言えない声色の声で情けなさそうに声を上げる。

「ふぅむ……」

 何とも言えない雰囲気が漂っている会談の傍観席。

「本日はこのような会談を設けてくださりありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます。ぜひ、実りある会議にしましょう」

「えぇ」

 そんな傍観席とは対照的に向かい合って座り、言葉を交わしているノアとガイの間には実に穏やかな雰囲気が漂っている。

「見てください」
 
 そんな彼らを見てガイストが声を上げる。

「彼らは一切動じることなく、会談に望んでいます。そんな最中。私たちが困惑しているわけにもいかないでしょう。先を歩く一人の大人として、父として。ここは温かく見守ってあげましょう」
 
 今、ガイの女装に全員の目が集中しているため、話題にも上がらないが普通に考えればノアも信じられないような恰好をしている。
 そのことに触れてほしくなかったガイストは威風堂々たる態度でこれ以上見た目にツッコむことは辞めようと提案する。

「うむ。確かにそうであるな」

「ガイスト殿言う通りですね!ここで我らが動じているわけにはいきません」

「ふぅむ……」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

異世界帰還者の気苦労無双録~チートスキルまで手に入れたのに幼馴染のお世話でダンジョン攻略が捗らない~

虎柄トラ
ファンタジー
 下校帰りに不慮の事故に遭い命を落とした桜川凪は、女神から開口一番に異世界転生しないかと勧誘を受ける。  意味が分からず凪が聞き返すと、女神は涙ながらに異世界の現状について語り出す。  女神が管理する世界ではいま魔族と人類とで戦争をしているが、このままだと人類が負けて世界は滅亡してしまう。  敗色濃厚なその理由は、魔族側には魔王がいるのに対して、人類側には勇者がいないからだという。  剣と魔法が存在するファンタジー世界は大好物だが、そんな物騒な世界で勇者になんてなりたくない凪は断るが、女神は聞き入れようとしない。  一歩も引かない女神に対して凪は、「魔王を倒せたら、俺を元の身体で元いた世界に帰還転生させろ」と交換条件を提示する。  快諾した女神と契約を交わし転生した凪は、見事に魔王を打ち倒して元の世界に帰還するが――。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる

歩く魚
恋愛
 かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。  だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。  それは気にしてない。俺は深入りする気はない。  人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。  だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。  ――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。

処理中です...