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第二章 神器
術式
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涼音が取りだしたひとつの水晶。
それは水色の、なんてこともないただの水晶だった。
「……それで何か見れるの?それで自分の術式がわかるの?」
「いや、全部は見えないわ」
「そうなん?」
「あくまで、これは補助でしかないわ。そもそもとして、陰陽師は己の持つ呪力の操作を覚えながら徐々に自分の持つ術式を理解していくものなの。だから、普通は成長過程で自覚する。でも、自覚しなかった子。特殊な事例の時に使われるこれは術式を認識するのを補助してくれるもの。光明だけをかすかに見させてくれるものなの」
「……ふぅーん」
まぁ、普通覚えるというのなら、僕のような特殊な事例に対応するための道具の研究も進んでいないか。
自分の術式……全然、そんなのわからないのだけど。
「とはいえ、まずは優斗の場合、呪力を操作できるようになるところからだから。あくまで、最初にこれに触れることで自分の術式についてのふんわりとしたことを学び、そこから次につなげていく。そんな感じでいきましょう?
「いや、呪力操作はもう出来ているからいいんだけど」
「えっ?」
「ほいっ」
僕は自分のポケットの中に入っていた硬貨を取り出し、それを呪力で飛ばす。
その硬貨は中庭を素早く飛んでいき、そこらへんに生えている木へとめり込んだ。
「はっ……?」
その様を見て、涼音があり得ないとばかりに声を漏らす。
「刀に触れたとき、ついでみたいなノリで呪力の扱いを覚えたんだよね」
「そ、そんなことあるの?」
「あったんだよ」
「まぁ、神器よ。何が起きてもおかしくないわ。なら、もう術式についてもとんとん拍子でわかるんじゃないかしら?ほら、早く水晶に触れてみなさいよ!」
「そ、そんな簡単にうまくいくはずがぁ……」
僕は真莉愛の言葉に従い、涼音の手にある水晶へと触れる。
「……あぁ~?」
その瞬間、僕の頭の中に多量の情報が流し込まれる。
その感覚は刀に触れ、呪力の扱い方を知った時と同じような感覚だった。
「わかった、かも?」
そして、僕は全部理解したような、気がする……っ?
「ほらぁ!やっぱり!」
「……何なの?この天才。というか、冷静に考えて、さっきの呪力は何?あれに込められていた呪力、私の総量と同じくらいだったんだけど。そりゃ木にだってめり込みくらいするわよっ。何で術式なしでありえないことをしているわけ?意味が分からない……私の努力って、何なの?」
「どうなんだった?」
「……ちょっと待ってね?」
涼音がぶつぶつと言葉を漏らす中で、僕は自分の術式について考えていく。
なんか流し込まれてきた情報がちょっと判然としない形かつ膨大だったから、うまくまとめられていない。
「……木の力に由来する調伏術式『命調審判』、かな?」
「おー、良い感じの名前ね」
「……なんか、こう。普通に名前まで突然、頭に叩き込まれるのキモいんだけど」
「魂に刻み込まれた情報だからね。攻撃を喰らうと痛いって思うのと同じよ」
「えぇ……」
絶対に同じじゃないと思うんだけど。いくら何でもそれが同じは無理があるって。
「それで?その術式の効果、って何なの?」
「……うーん。妖魔を自分に即した形へと変え、ストックする。そんな感じの術式かな?」
「何それ。ちょっと怖くない?」
「そうかも。でも、ほら。相手を進化させた上で、自分の味方にする術式、っていえばいい感じでしょ?というか、こっちかも」
「中々に強そうね?」
「まぁ、そうかも。正直に言って、攻撃手段で言えばあの刀で足りているから、小回りの利きそうな術式でよかった。というか、後、気づいたんだけどさ」
「ん?」
「多分だけど、この子って僕の術式の効果だよね?」
僕は自分の中から、色々とお世話になった黒い毛玉を取り出す。
「えっ!?その子、まだいたの!?」
「うん。この子はずっと自分の中にいたよ。多分だけど、この子ってば僕の術式で調伏させた子だよね?多分、あの時に召喚されたこっくりさんかな?僕はこっくりさんを配下にしたんだと思う」
「……えっ?あのこっくりさんを?」
「へぇー、凄いわねぇー」
僕の言葉に対し、涼音はありえないとばかりに驚愕し、真莉愛の方はサラッと流した。
何というか、天才肌の人間と、そうじゃない人間って感じの反応だね……というか、さっきからずっとそうで、なんか僕はもう涼音に対して若干の申し訳なさを抱いていた。
ここで僕が同情しに行くのは違うだろうから、何も声はかけないけどさぁ……。
それは水色の、なんてこともないただの水晶だった。
「……それで何か見れるの?それで自分の術式がわかるの?」
「いや、全部は見えないわ」
「そうなん?」
「あくまで、これは補助でしかないわ。そもそもとして、陰陽師は己の持つ呪力の操作を覚えながら徐々に自分の持つ術式を理解していくものなの。だから、普通は成長過程で自覚する。でも、自覚しなかった子。特殊な事例の時に使われるこれは術式を認識するのを補助してくれるもの。光明だけをかすかに見させてくれるものなの」
「……ふぅーん」
まぁ、普通覚えるというのなら、僕のような特殊な事例に対応するための道具の研究も進んでいないか。
自分の術式……全然、そんなのわからないのだけど。
「とはいえ、まずは優斗の場合、呪力を操作できるようになるところからだから。あくまで、最初にこれに触れることで自分の術式についてのふんわりとしたことを学び、そこから次につなげていく。そんな感じでいきましょう?
「いや、呪力操作はもう出来ているからいいんだけど」
「えっ?」
「ほいっ」
僕は自分のポケットの中に入っていた硬貨を取り出し、それを呪力で飛ばす。
その硬貨は中庭を素早く飛んでいき、そこらへんに生えている木へとめり込んだ。
「はっ……?」
その様を見て、涼音があり得ないとばかりに声を漏らす。
「刀に触れたとき、ついでみたいなノリで呪力の扱いを覚えたんだよね」
「そ、そんなことあるの?」
「あったんだよ」
「まぁ、神器よ。何が起きてもおかしくないわ。なら、もう術式についてもとんとん拍子でわかるんじゃないかしら?ほら、早く水晶に触れてみなさいよ!」
「そ、そんな簡単にうまくいくはずがぁ……」
僕は真莉愛の言葉に従い、涼音の手にある水晶へと触れる。
「……あぁ~?」
その瞬間、僕の頭の中に多量の情報が流し込まれる。
その感覚は刀に触れ、呪力の扱い方を知った時と同じような感覚だった。
「わかった、かも?」
そして、僕は全部理解したような、気がする……っ?
「ほらぁ!やっぱり!」
「……何なの?この天才。というか、冷静に考えて、さっきの呪力は何?あれに込められていた呪力、私の総量と同じくらいだったんだけど。そりゃ木にだってめり込みくらいするわよっ。何で術式なしでありえないことをしているわけ?意味が分からない……私の努力って、何なの?」
「どうなんだった?」
「……ちょっと待ってね?」
涼音がぶつぶつと言葉を漏らす中で、僕は自分の術式について考えていく。
なんか流し込まれてきた情報がちょっと判然としない形かつ膨大だったから、うまくまとめられていない。
「……木の力に由来する調伏術式『命調審判』、かな?」
「おー、良い感じの名前ね」
「……なんか、こう。普通に名前まで突然、頭に叩き込まれるのキモいんだけど」
「魂に刻み込まれた情報だからね。攻撃を喰らうと痛いって思うのと同じよ」
「えぇ……」
絶対に同じじゃないと思うんだけど。いくら何でもそれが同じは無理があるって。
「それで?その術式の効果、って何なの?」
「……うーん。妖魔を自分に即した形へと変え、ストックする。そんな感じの術式かな?」
「何それ。ちょっと怖くない?」
「そうかも。でも、ほら。相手を進化させた上で、自分の味方にする術式、っていえばいい感じでしょ?というか、こっちかも」
「中々に強そうね?」
「まぁ、そうかも。正直に言って、攻撃手段で言えばあの刀で足りているから、小回りの利きそうな術式でよかった。というか、後、気づいたんだけどさ」
「ん?」
「多分だけど、この子って僕の術式の効果だよね?」
僕は自分の中から、色々とお世話になった黒い毛玉を取り出す。
「えっ!?その子、まだいたの!?」
「うん。この子はずっと自分の中にいたよ。多分だけど、この子ってば僕の術式で調伏させた子だよね?多分、あの時に召喚されたこっくりさんかな?僕はこっくりさんを配下にしたんだと思う」
「……えっ?あのこっくりさんを?」
「へぇー、凄いわねぇー」
僕の言葉に対し、涼音はありえないとばかりに驚愕し、真莉愛の方はサラッと流した。
何というか、天才肌の人間と、そうじゃない人間って感じの反応だね……というか、さっきからずっとそうで、なんか僕はもう涼音に対して若干の申し訳なさを抱いていた。
ここで僕が同情しに行くのは違うだろうから、何も声はかけないけどさぁ……。
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