レベル1の俺が死んだらレベル999の最強チート美少女も死ぬらしい~異世界スローライフしたい俺と、帰りたい彼女の命がけバディ生活~

古池ケロ太

文字の大きさ
7 / 49

第7話 決戦! 女騎士対オーク!(1)

しおりを挟む
「ミッション?」

 俺がそう聞くと、ラウラさんは執務室の豪奢な机の向こうでうなずいた。

「うちのギルドは歩合制。達成したミッションの難度に応じて、報酬が支払われるの。逆に、最低限のミッションポイントを稼がないと、除名処分になってしまう。貴方たちも例外じゃないわ」
「つまりノルマってことっスね」
「ごめんね~。貴方たちは免除させてあげたかったんだけど、ギルド長の権限でもそれは無理なの」

 ラウラさんが申し訳なさそうに言う。
 と、隣の元カタブツ委員長が前のめりで答えた。

「いえ、無料でごはんとかお部屋を提供してもらうのは心苦しかったので、ぜひやらせてください!」

 こら、余計なことを言うな。
 ノルマなんて、ストレスフリーな人生の天敵だぞ。
 
「それで、具体的には何をすればいいんですか?」
「モンスター退治よ。最近、近郊の洞窟にモンスターが住みついてね。近くの住人に被害が出ているの」
「分かりました。でも、洞窟の場所とかは……」
「それは先輩メンバーに同行してもらうから安心して」

 と、コンコンと扉をノックする音がした。

「ちょうど来たわね。入って」

 扉が開き、ノックの主が入ってくる。

「わ。かっこいい人……」

 と太刀川が思わず漏らす。

 金色の長髪を背中で編み込んだ、凛とした顔立ちの女性だった。
 背中に負ったでっかい両手剣。
 白銀の胸のプレートに手甲、膝当てという出で立ち。
 なのに不自然なくらい短いスカート。
 ビックリするくらいテンプレな女騎士だ。

 騎士さんはズンズンと大股で俺たちに近づいてくると、

「貴殿らがジュン殿、そしてタクミ殿か!」
「は、はいっ?」

 声でかっ。

「お初にお目にかかる! わが名はアイギス! ラウラ殿から話は聞いているぞ! この度のモンスター退治、私が来たからには心配無用! どんな相手でも切り倒してみせよう!」

 キスできそうな距離からすごい勢いで言い切られて、太刀川は「お、おっ……」と人形みたいに固まっている。
 えっと、何この人?

「アイギスちゃ~ん……。あのね、この子たちは黒の書の契約者で、つまりすっごく強いから、貴方には倒すとかじゃなく、案内だけお願いしたいんだけど……」
「ご冗談を、ラウラ殿! このような普通の少女たちが伝説の黒の書の使い手なわけがないでしょう!」
「でも、こないだバッシュ君を倒したっていう事実がね……」
「あいにくこのアイギス、自分の目で見たものしか信じません! ハッハッハ!」

 何がおかしいのか高笑いする女騎士。
 人の話聞かない系の武人か。
 これまたテンプレだな。

「貴殿らが何者かは知らぬが、私にとっては可愛い後輩! 騎士の名にかけて守ってみせよう!」
「は、はぁ……」
「特にジュン殿は私のそばから離れぬように! なにしろこの度のモンスターは、人間の女性に対して異常な執着を持つらしいからな!」

 え?
 なんか嫌な予感がするんだが……。

「あの、退治するモンスターって、まさか……」

 おそるおそる尋ねる俺に、テンプレ女騎士はきっぱりと答えた。

「オークだ!」

 おいおいおいおいおいおいおい。


※※※


 ということで、洞窟に来てしまった。
 薄暗く湿った岩壁に囲まれた通路を、俺たちはアイギスさんを先頭にして進んでいく。
 
 ちなみに太刀川は先日買った中華風の武闘家の服装。
 なんだかんだで気に入ったらしく、普段からその姿でいることが増えた。

 俺?
 描写するのもアホらしいくらい、普通の布の服です。
 男キャラなんてそんなもんだよね。

「あの~、アイギスさん。この洞窟には来たことあるんスか?」
「もちろん! 見回りで何度か探索したからな!」
「オーク退治は?」
「それは初めてだな! だが問題あるまい!」

 いや、問題しかないんだが……。

「星野君、さっきから浮かない顔してるけど、どうしたの?」
「いや、女騎士にオークっつったら、お前……」
「? なんなの?」

 アカン、こいつそういう方面はまったく無知だったわ。
 なんとかオブラートに包みながら説明せねば。

「つまりだな、薄い本によく書かれるパターンで……」
「薄い本? それって……」

 太刀川がハッと目を開く。
 えっ、知ってるの?

「もしかして黒の書に関係ある話? 詳しく教えて!」
「教えられるか!」

 変な方向から食いついてくるんじゃねぇ!
 
「オォ――――クゥ! オクオク、オック!」
「どあっ?」

 突然、野太い雄叫びが洞窟に響いた。
 正面の暗がりから姿を現したのは、ブタ面にでっぷり肥えた腹の、これまたテンプレ的なオークだ。

「出たな、醜悪な怪物め! 私の後輩たちには指一本触れさせんぞ!」

 アイギスさんが意気揚々と両手剣を構える。
 あ~あ、エンカウントしちゃったよ……。

「オンオン、オンッナ! ニンゲン、ニンゲンノオンッナ! ダイ、ダイ、ダイコウブッツ!」

 ブタ面はよだれを垂らしながら、嬉々として巨大な棍棒を振り上げる。
 それにしても、この世界のオーク語(?)は、えらくクセが強いな。

「いざっ!」

 と、アイギスさんは勢いよく斬りかかり、

「オクッ」
「きゃんっ」

 ぺちこーん! と吹っ飛ばされて、気絶した。
 よわっ! 予想の10倍くらい弱いな!

 って呆れてる場合じゃねぇ。次の展開に進むのを防がないと。

「太刀川、今のうちだ! やっつけちまえ!」
「でも、こんな狭いところじゃ……」

 通路の幅が狭すぎて、気絶したアイギスさんが太刀川の進路をふさいでいる。これじゃ攻撃できない。
 
 ――ええい、しゃーない。

 あたりを見回すと、ちょうど脇道があった。

「太刀川、こっちだ! アイギスさん抱えて来い!」
「わ、わかった!」

 オークが追ってくる足音を置き去りに、俺たちは逃げ出した。
 まったく、何やってんだろな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

木を叩いただけでレベルアップ⁉︎生まれついての豪運さんの豪快無敵な冒険譚!

神崎あら
ファンタジー
運動も勉強も特に秀でていないがめっちゃ運が良い、ただそれだけのオルクスは15歳になり冒険者としてクエストに挑む。 そこで彼は予想だにしない出来事に遭遇する。 これは初期ステータスを運だけに全振りしたオルクスの豪運冒険譚である。  

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...