レベル1の俺が死んだらレベル999の最強チート美少女も死ぬらしい~異世界スローライフしたい俺と、帰りたい彼女の命がけバディ生活~

古池ケロ太

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第39話 本物の証明(4)

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 翌朝、村の広場。
 柔らかな光の下、馬車の荷台に俺と太刀川は腰を下ろした。

「マジで、お金払わなくていいんスか?」

 前方で手綱を握る御者のおっさんに向かってそう声をかけると、返ってきたのは豪快な笑い声だった。

「いいって! アンタらのおかげで村は救われたんだからな。金なんてもらったらバチが当たるってもんよ!」

 ニセモノどもを村の外に放り出したあと、村の人たちは一晩中どんちゃん騒ぎで俺たちをもてなしてくれた。
 そればかりか、事情を打ち明けたら「ここで立ち往生は気の毒だ」と馬車まで出してくれるという厚遇っぷりだ。

 もちろん、この馬車が港街まで直行するわけじゃない。
 だが、作物の仕入れに行くという近くの街までなら、乗せていってくれるそうだ。それだけでも十分すぎるほど助かる。

 馬車の脇に立っていた村長のじいさんに、太刀川が声をかける。

「あの、村長さん……それで、アタシたちが契約者だってことは、その……」
「心配はいらんよ」

 じいさんは目を細めて、やさしくうなずいた。

「誰も口外はせん。王家がどうこう言ってきても、知らぬ存ぜぬで通してやるわい。それくらいの義理はあるでの」
「あ、ありがとうございます」

 太刀川は胸をなでおろし、俺のほうをちらりと見て、小さく微笑んだ。

 そこへ、ちょこまかと駆け寄ってくる小さな影。

「兄ちゃん、姉ちゃん!」

 コーディだった。その後ろから、母親も少し息を切らせてついてくる。

「本当に、ありがとうございました……。あなたがたは命の恩人です」
「そ、そんな……大げさですよ」

 母親は深々と頭を下げると、太刀川も頭を下げ返した。

「カッコよかったよ、姉ちゃん! 気をつけてね!」
「ふふ、ありがと。コーディ君も元気でね」

 太刀川が照れたように頬をかいたそのとき、コーディがこちらを見て、真っすぐ言った。

「兄ちゃん! オイラ、兄ちゃんみたいな人になるよ!」
「……あん?」

 俺は思わず聞き返した。

「いや、なんで俺? 強さでいったら、あの姉ちゃんの方がダンチで強かったろ」
「ううん。だって父ちゃんが言ってたんだ」

 コーディは胸を張り、にかっと笑った。

「強いヤツが勝つのは当たり前。弱い人間が、自分より強い相手に立ち向かうのが、本物の勇気なんだってさ」

 その言葉に、俺は一瞬、息を呑んだ。
 隣では太刀川が、目を細めて笑っている。
 思わず目をそらし、天を仰いだ。

「……そっか。いい父ちゃんだな」
「うん!」

 無邪気な声が、馬のいななきに重なった。

「さあ、行こうか!」

 オッサンの合図とともに、馬車がぎしぎしと動き出す。

「ばいばーい! 二人とも、頑張ってねー!」

 見送るコーディの声に、俺たちは手を振って応えた。

 
※※※

「って言ってもさ」

 揺れる荷台の向かい側から、太刀川がじっとこっちを見てきた。

「もうちょっと強くなってほしいんだけどな。せめて、あのニセモノの半分くらいはさ」

 からかうように細めた目で、ニヤリと笑う。

「うるせぇ。スローライフに筋肉なんて必要ねぇんだよ」
「だから半分でいいってば。少しは頼りがいのあるところ、見せてほしいなぁ~」
「俺は頭脳派なんでね。肉体労働は遠慮させてもらうわ」
「なるほど~。さすが頭脳派、口だけは達者だよね~」

 太刀川はニヤニヤと、おちょくり半分の顔。
 むっ。調子に乗りやがって。

「じゃあ、お前もあのニセモノ女の半分くらい、メリハリのある体になってくれよな」
「……は? 今なんて言った?」

 ぺったんこの委員長が、額に青筋を浮かべて睨みつけてくる。

「それ、セクハラ発言だよね?」
「ざーんねん、異世界にはそんな概念ありませ~ん!」
「本気で殴るよ?」
「はーん、やってみろよ! お前にもダメージが返るかんな!」

 そんなやりとりを眺めていた御者のおっさんが、面白そうにニヤリと振り返る。

「おいおい、痴話ゲンカか? 契約者ってのは仲もよろしいことで!」
「違う!」「違います!」

 二人の声が揃ったところで、御者のおっさんの笑い声が青空に響き渡る。

 馬車はゴトリと揺れ、次なる街を目指してゆっくりと進んでいった。
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