レベル1の俺が死んだらレベル999の最強チート美少女も死ぬらしい~異世界スローライフしたい俺と、帰りたい彼女の命がけバディ生活~

古池ケロ太

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第40話 魔鉱列車起動せよ(1)

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 というわけで、馬車に揺られて次の街・ミナブレンにたどりついた。
 各地から人やモノが集まる交易都市らしく、石畳の大通りは人波が途絶えることなく流れ、どの店の軒先も商売の活気に満ちている。

「すまねぇな。本当は港まで送り届けてやりたいんだが、馬車でも十日はかかっちまう。その間、村の仕入れを止めちまうわけにもいかなくてよ」

 御者のおっさんは申し訳なさそうに頭をかいた。

「気にしないでください。村のことが一番大事ですから」
「そそ。ここまで運んでもらっただけで十分っスよ」
「ありがとよ。たしか、ここから港まで乗り合い馬車が出てたはずだ。詳しいことは、そこの酒場の主人にでも聞いてみな」
「分かった。色々世話になりました」
「帰り道、気をつけてくださいね。コーディにもよろしく」
「ああ。あんたらも達者でな!」

 おっさんは馬車を走らせ、村への道を引き返していった。

「さて、と。そんじゃ、さっそく酒場に行ってみるか」
「うん!」

※※※

 酒場は昼間っから賑わっていた。
 この世界の酒場は、情報センター的な役割もあるらしい。
 店主に港までの馬車について尋ねると、明朝出発の便があると教えてくれた。
 途中で何度か乗り継ぐが、十日もあれば港につくそうだ。

「ってことだから、今日はここで宿をとろうぜ」
「それはいいけど、お金、大丈夫?」
「問題ないって。馬車代も宿代も十分足りる。ヤンさんがたっぷり持たせてくれたおかげだな」
「絶対なくさないでよ? 絶対だよ?」
「……フリかな?」
「違うってば。うー、なんだか心配になってきた。アタシが預かっていい?」
「そこまでしなくても——」
「だって星野君、前にひったくりにあったでしょ?」

 そこをつつかれると反論できない。
 俺はため息をつきながら財布代わりの布袋を渡した。

「にしても腹減ったな。何か食うか。ここ、普通の飯も出してるみたいだし」
「アタシが買ってくるね。何食べたい?」
「任せるわ」

 太刀川がカウンターへ向かう後ろ姿を見送り、俺は小さく笑う。
 あいつも少しは異世界に慣れてきたかな……と思ったら。

「あ、す、すみませんっ!」

 どん、と誰かにぶつかり、慌てて頭を下げている。
 やっぱり慣れてない。
 ホント、戦ってるときとギャップが激しいな。

 ――さて、こっから先が長旅だな。

 俺はひとりで考えを巡らせた。
 目指す魔導図書館ってのは、一体どんな場所なのか。
 村人や酒場の店主に聞いても「名前くらいは知ってるが……」という反応ばかり。
 この世界にSNSがあるわけでもないし、自分の目で確かめるしかなさそうだ。

 他にも気になることは山ほどある。
 黒の書に封印された黒蛇がいったい何なのか、とか。
 そして元の世界に帰る手がかりのことも。

「星野君……」

 太刀川の弱々しい声が思考を遮った。
 振り返ると、手ぶらの彼女が青ざめた顔をしている。

「おい、大丈夫か?顔、真っ青だぞ」
「ど、どうしよう……」

 太刀川が今にも泣き出しそうな表情で呟いた。

「お金……盗られちゃった……」
「は?」

 俺はその場でぽかんと口を開けるしかなかった。
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