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STEP3:一緒に帰りましょう
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「へぇ~。電話来たんだ? それで一緒に帰る約束したのね」
「約束っていうか、一方的に言われて切られたっていうか」
「なぁんか二人結構いい感じじゃん! 良かった良かった!」
鳴海くんとのアレコレを全て皐月ちゃんに話すと、彼女は何故かニヤニヤと笑っていた。
「どこがいい感じなの皐月ちゃん……」
げんなりしながら私が言えば、皐月ちゃんはドヤ顔を披露する。
「だって電話とはいえ男子と普通に話せてるじゃん。気付いてなかったの?」
……そういえばそうだ。電話越しとはいえ、私にしてはだいぶ男子と喋っている。鳴海くんへの恐怖心も、毎日メッセージのやりとりをしているせいかだいぶ薄れている。
「一緒に帰るなら対面で話せるチャンスじゃん。大丈夫。あたしもいるしさ?」
そう言われて、私は覚悟を決めた。
*
昇降口で部活終わりの鳴海くんと皐月ちゃんを待っていると、「あっ!」という大きな声が聞こえて振り返る。驚いたように私を指差している男子生徒二人は、同じ学年の子だ。……どうしたんだろう。私が男子が苦手だって事はみんな知ってるから、いつもは気を遣ってスルーしてくれるのに。二人は顔を見合わせると、アイコンタクトをとって軽く頷いた。
「あ、あの! 笹川さん!」
「っ、」
一人の男子が私の名前を呼ぶ。まさか話しかけられるとは思っていなくて、挙動不審になってしまった。それでも彼らは引く様子はない。
「あの、こないだうちの部活見に来てたよね!?」
見に行った部活は一つしかないので、この二人はバスケ部の男子なんだろう。ってことはミーティングは終わったのかな。皐月ちゃんたち早く来ないかな。
近付いてくる二人はめっちゃ背が高くて、見下ろされてる感じがちょっと怖い。いつの間にか目の前に壁のように立っていて、私は逃げ場を失ってしまった。
「もしかしてバスケに興味あったりする?」
「次いつ見にくる!? 明日!? 明後日!?」
「てか鳴海に手振ってたけど仲良いの!?」
「良かったら今度見に来た時俺たちにも手振ってほしいんだけど!」
ど、どうしよう。次々と飛んでくる質問に圧倒されてしまって上手く言葉が出てこない。
「……おい。お前ら何やってんだよ」
不機嫌そうな声が響く。前に立つ壁のような二人の隙間から見えたのは、睨むような視線をこちらに向けた鳴海くんだった。
「そりゃ笹川さんが居たから親睦を深めようと思って話しかけてたんだよ!」
「つーかお前いつの間に笹川さんと仲良くなってんの!?」
「抜け駆けかよこの裏切り者!」
はぁ~と深く息を吐いた鳴海くんは呆れたように言った。
「大声出すなよ。つーかそうやって囲むな。俺ら無駄にデカイんだから威圧感与えるだろ」
私は心の中で首が取れそうなほど大きく頷く。そうなのそうなの。二人とも声が大きくて、責められてるみたいでちょっと怖かったの!
「はぁ!? そうやってお前ばっかり株上げやがって! ずるいんだよ! 俺らの邪魔すんなよ鳴海!!」
「そーだそーだ!! 俺も笹川さんと話したい!」
「だったら笹川さん怖がらせてんじゃねーよ。戸惑ってんの見てわかんだろ」
鳴海くんがそう言った時、別の声が響いた。
「ちょっと! 何してんのよポンコツ二人組!」
「げっ!?」
「マ、マネージャー……!」
仁王立ちの皐月ちゃんを見た二人は顔が引きつる。
「あんたら、うちの可愛い一花をいじめるなんて良い度胸してるわね! 明日からの練習メニュー覚悟してなさいよ!?」
「違う違う! いじめてなんかないって!」
「俺たちはただ笹川さんと話がしたくて、」
「問答無用!! 明日は練習開始前に体育館20周! マネージャー命令!!」
皐月ちゃんがビシッと人差し指を突きつけながら言った。
「ヒィィィ! マネージャーの鬼! 悪魔!」
半分泣き叫びながら立ち去って行く二人の背中を見送り、内心でほっと息をついた。囲まれてちょっと怖かったとはいえ、あの二人には悪いことしちゃったなぁ。こんな風に迷惑かけちゃうし、皐月ちゃんの言う通り男子が苦手なのを克服した方がいいかもしれない。
「一花大丈夫? 何もされてない?」
「うん、平気。あの、皐月ちゃん。二人は何も悪いことしてないからお手柔らかにね」
「あいつらのことなんて気にしなくていいの! スタミナ不足の二人にはちょうどいいトレーニングなんだから!」
そう言って皐月ちゃんはニッコリと笑う。それにしてもバスケ部での皐月ちゃんの立ち位置って一体……。そんな事を考えていると、鳴海くんが私を見て心配そうにしているのに気付いた。
「本当に大丈夫か? 顔色悪いぞ?」
「あ……大丈夫。ちょっと大きい声にびっくりしただけだから」
「悪い。俺からもあいつらに言っとくから」
「そんな! 何も言わなくていいよ! 私が勝手にビビってるだけなんだから!」
「でも、」
「心配してくれてありがとう鳴海くん」
「いや、その…………うん」
お礼を言うと、鳴海くんの顔がぱっと赤くなった。照れてるのかな? ……ちょっと可愛い、かも。
「じゃあ一段落ついたし、そろそろ帰ろっか!」
やけにニヤニヤした皐月ちゃんを先頭に、私たちは歩き出した。
「約束っていうか、一方的に言われて切られたっていうか」
「なぁんか二人結構いい感じじゃん! 良かった良かった!」
鳴海くんとのアレコレを全て皐月ちゃんに話すと、彼女は何故かニヤニヤと笑っていた。
「どこがいい感じなの皐月ちゃん……」
げんなりしながら私が言えば、皐月ちゃんはドヤ顔を披露する。
「だって電話とはいえ男子と普通に話せてるじゃん。気付いてなかったの?」
……そういえばそうだ。電話越しとはいえ、私にしてはだいぶ男子と喋っている。鳴海くんへの恐怖心も、毎日メッセージのやりとりをしているせいかだいぶ薄れている。
「一緒に帰るなら対面で話せるチャンスじゃん。大丈夫。あたしもいるしさ?」
そう言われて、私は覚悟を決めた。
*
昇降口で部活終わりの鳴海くんと皐月ちゃんを待っていると、「あっ!」という大きな声が聞こえて振り返る。驚いたように私を指差している男子生徒二人は、同じ学年の子だ。……どうしたんだろう。私が男子が苦手だって事はみんな知ってるから、いつもは気を遣ってスルーしてくれるのに。二人は顔を見合わせると、アイコンタクトをとって軽く頷いた。
「あ、あの! 笹川さん!」
「っ、」
一人の男子が私の名前を呼ぶ。まさか話しかけられるとは思っていなくて、挙動不審になってしまった。それでも彼らは引く様子はない。
「あの、こないだうちの部活見に来てたよね!?」
見に行った部活は一つしかないので、この二人はバスケ部の男子なんだろう。ってことはミーティングは終わったのかな。皐月ちゃんたち早く来ないかな。
近付いてくる二人はめっちゃ背が高くて、見下ろされてる感じがちょっと怖い。いつの間にか目の前に壁のように立っていて、私は逃げ場を失ってしまった。
「もしかしてバスケに興味あったりする?」
「次いつ見にくる!? 明日!? 明後日!?」
「てか鳴海に手振ってたけど仲良いの!?」
「良かったら今度見に来た時俺たちにも手振ってほしいんだけど!」
ど、どうしよう。次々と飛んでくる質問に圧倒されてしまって上手く言葉が出てこない。
「……おい。お前ら何やってんだよ」
不機嫌そうな声が響く。前に立つ壁のような二人の隙間から見えたのは、睨むような視線をこちらに向けた鳴海くんだった。
「そりゃ笹川さんが居たから親睦を深めようと思って話しかけてたんだよ!」
「つーかお前いつの間に笹川さんと仲良くなってんの!?」
「抜け駆けかよこの裏切り者!」
はぁ~と深く息を吐いた鳴海くんは呆れたように言った。
「大声出すなよ。つーかそうやって囲むな。俺ら無駄にデカイんだから威圧感与えるだろ」
私は心の中で首が取れそうなほど大きく頷く。そうなのそうなの。二人とも声が大きくて、責められてるみたいでちょっと怖かったの!
「はぁ!? そうやってお前ばっかり株上げやがって! ずるいんだよ! 俺らの邪魔すんなよ鳴海!!」
「そーだそーだ!! 俺も笹川さんと話したい!」
「だったら笹川さん怖がらせてんじゃねーよ。戸惑ってんの見てわかんだろ」
鳴海くんがそう言った時、別の声が響いた。
「ちょっと! 何してんのよポンコツ二人組!」
「げっ!?」
「マ、マネージャー……!」
仁王立ちの皐月ちゃんを見た二人は顔が引きつる。
「あんたら、うちの可愛い一花をいじめるなんて良い度胸してるわね! 明日からの練習メニュー覚悟してなさいよ!?」
「違う違う! いじめてなんかないって!」
「俺たちはただ笹川さんと話がしたくて、」
「問答無用!! 明日は練習開始前に体育館20周! マネージャー命令!!」
皐月ちゃんがビシッと人差し指を突きつけながら言った。
「ヒィィィ! マネージャーの鬼! 悪魔!」
半分泣き叫びながら立ち去って行く二人の背中を見送り、内心でほっと息をついた。囲まれてちょっと怖かったとはいえ、あの二人には悪いことしちゃったなぁ。こんな風に迷惑かけちゃうし、皐月ちゃんの言う通り男子が苦手なのを克服した方がいいかもしれない。
「一花大丈夫? 何もされてない?」
「うん、平気。あの、皐月ちゃん。二人は何も悪いことしてないからお手柔らかにね」
「あいつらのことなんて気にしなくていいの! スタミナ不足の二人にはちょうどいいトレーニングなんだから!」
そう言って皐月ちゃんはニッコリと笑う。それにしてもバスケ部での皐月ちゃんの立ち位置って一体……。そんな事を考えていると、鳴海くんが私を見て心配そうにしているのに気付いた。
「本当に大丈夫か? 顔色悪いぞ?」
「あ……大丈夫。ちょっと大きい声にびっくりしただけだから」
「悪い。俺からもあいつらに言っとくから」
「そんな! 何も言わなくていいよ! 私が勝手にビビってるだけなんだから!」
「でも、」
「心配してくれてありがとう鳴海くん」
「いや、その…………うん」
お礼を言うと、鳴海くんの顔がぱっと赤くなった。照れてるのかな? ……ちょっと可愛い、かも。
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やけにニヤニヤした皐月ちゃんを先頭に、私たちは歩き出した。
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