8 / 29
STEP2:部活を見に行きましょう
3
しおりを挟む
*
その日の夜。やけに鳴り続けるスマホを手に取ると、画面に映っていたのは〝着信 鳴海優人〟という驚きのパワーワードだった。
はっ、えっ!? で、電話!? 鳴海くんから!? ななななんで!? も、もしかして勝手に部活見に行ったこと怒ってる!? 私はパニックを起こしながらも画面をスライドさせ、とりあえず電話に出る。
「も、もしもし?」
『……こんばんは。鳴海だけど』
スマホの向こうからは、ちょっとくぐもった低い声が聞こえてきた。
「あ、えと、うん……こ、こんばんは」
『……突然電話してごめん。今時間大丈夫?』
「時間は、大丈夫です、けど」
そう答えると、鳴海くんは一拍間を置いて話し出した。
『あのさ。今日、部活見に来てたよな?』
私の肩は大袈裟にビクついた。や、やっぱり部活見学のこと怒ってるんだ!
「ごごごごめんなさい! 皐月ちゃんに誘われて見に行きました!」
『……やっぱマネージャーの入れ知恵か』
「ご、ごめんなさい! もう勝手に見に行かないから!」
『別に怒ってねーし。むしろ見に来てくれたのは嬉しかったよ』
「え?」
そう言った鳴海くんは『ただ……』と拗ねたような声色で続けた。
『来るなら来るって事前に言っといてほしかった。……そしたらあんなカッコワリィとこ見せなかったのに』
「カッコ悪いところ?」
『……俺、ボール落としたりシュート外したりしただろ。言っとくけど、普段はあんなミスしねーからな』
さっきまでの練習風景を思い出した私の口からはするりと素直な言葉が出ていた。
「え? 十分カッコ良かったと思うけど?」
『っ、』
「別にシュート外してもカッコ悪いとは思わなかったよ。練習中はすごく真剣だったし後輩にもアドバイスしてたし。そういう鳴海くん初めて見たからなんか新鮮だった」
鳴海くんは息を呑んだまま何も言わない。
『……』
「な、鳴海くん?」
『……いや、なんでもない。そ、それより! なんで途中で帰ったんだよ』
「それは……」
まさかそこを突っ込まれるとは思わず私は俯く。
「……他の人に色々聞かれたの。だから、あのまま居たら鳴海くん達の迷惑になると思って」
『迷惑なんて思わない。……帰り、送っていこうと思ってたのに気付いたらいなくなってて焦った』
「えっ?」
『次から見に来る時は俺に言って。それから、明後日の部活、ミーティングだけだから送ってく』
「は?」
『用件はそれだけ。今日はありがとな。じゃあ』
「えっ、ちょ!」
待ったをかけるも、スマホからはもう何の音も聞こえてこなかった。ええと……送るってことは、もしかして一緒に帰るってこと!? ど、どうしよう。とりあえず皐月ちゃんに相談しなきゃ。
その日の夜。やけに鳴り続けるスマホを手に取ると、画面に映っていたのは〝着信 鳴海優人〟という驚きのパワーワードだった。
はっ、えっ!? で、電話!? 鳴海くんから!? ななななんで!? も、もしかして勝手に部活見に行ったこと怒ってる!? 私はパニックを起こしながらも画面をスライドさせ、とりあえず電話に出る。
「も、もしもし?」
『……こんばんは。鳴海だけど』
スマホの向こうからは、ちょっとくぐもった低い声が聞こえてきた。
「あ、えと、うん……こ、こんばんは」
『……突然電話してごめん。今時間大丈夫?』
「時間は、大丈夫です、けど」
そう答えると、鳴海くんは一拍間を置いて話し出した。
『あのさ。今日、部活見に来てたよな?』
私の肩は大袈裟にビクついた。や、やっぱり部活見学のこと怒ってるんだ!
「ごごごごめんなさい! 皐月ちゃんに誘われて見に行きました!」
『……やっぱマネージャーの入れ知恵か』
「ご、ごめんなさい! もう勝手に見に行かないから!」
『別に怒ってねーし。むしろ見に来てくれたのは嬉しかったよ』
「え?」
そう言った鳴海くんは『ただ……』と拗ねたような声色で続けた。
『来るなら来るって事前に言っといてほしかった。……そしたらあんなカッコワリィとこ見せなかったのに』
「カッコ悪いところ?」
『……俺、ボール落としたりシュート外したりしただろ。言っとくけど、普段はあんなミスしねーからな』
さっきまでの練習風景を思い出した私の口からはするりと素直な言葉が出ていた。
「え? 十分カッコ良かったと思うけど?」
『っ、』
「別にシュート外してもカッコ悪いとは思わなかったよ。練習中はすごく真剣だったし後輩にもアドバイスしてたし。そういう鳴海くん初めて見たからなんか新鮮だった」
鳴海くんは息を呑んだまま何も言わない。
『……』
「な、鳴海くん?」
『……いや、なんでもない。そ、それより! なんで途中で帰ったんだよ』
「それは……」
まさかそこを突っ込まれるとは思わず私は俯く。
「……他の人に色々聞かれたの。だから、あのまま居たら鳴海くん達の迷惑になると思って」
『迷惑なんて思わない。……帰り、送っていこうと思ってたのに気付いたらいなくなってて焦った』
「えっ?」
『次から見に来る時は俺に言って。それから、明後日の部活、ミーティングだけだから送ってく』
「は?」
『用件はそれだけ。今日はありがとな。じゃあ』
「えっ、ちょ!」
待ったをかけるも、スマホからはもう何の音も聞こえてこなかった。ええと……送るってことは、もしかして一緒に帰るってこと!? ど、どうしよう。とりあえず皐月ちゃんに相談しなきゃ。
3
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
アリアさんの幽閉教室
柚月しずく
児童書・童話
この学校には、ある噂が広まっていた。
「黒い手紙が届いたら、それはアリアさんからの招待状」
招かれた人は、夜の学校に閉じ込められて「恐怖の時間」を過ごすことになる……と。
招待状を受け取った人は、アリアさんから絶対に逃れられないらしい。
『恋の以心伝心ゲーム』
私たちならこんなの楽勝!
夜の学校に閉じ込められた杏樹と星七くん。
アリアさんによって開催されたのは以心伝心ゲーム。
心が通じ合っていれば簡単なはずなのに、なぜかうまくいかなくて……??
『呪いの人形』
この人形、何度捨てても戻ってくる
体調が悪くなった陽菜は、原因が突然現れた人形のせいではないかと疑いはじめる。
人形の存在が恐ろしくなって捨てることにするが、ソレはまた家に現れた。
陽菜にずっと付き纏う理由とは――。
『恐怖の鬼ごっこ』
アリアさんに招待されたのは、美亜、梨々花、優斗。小さい頃から一緒にいる幼馴染の3人。
突如アリアさんに捕まってはいけない鬼ごっこがはじまるが、美亜が置いて行かれてしまう。
仲良し3人組の幼馴染に一体何があったのか。生き残るのは一体誰――?
『招かれざる人』
新聞部の七緒は、アリアさんの記事を書こうと自ら夜の学校に忍び込む。
アリアさんが見つからず意気消沈する中、代わりに現れたのは同じ新聞部の萌香だった。
強がっていたが、夜の学校に一人でいるのが怖かった七緒はホッと安心する。
しかしそこで待ち受けていたのは、予想しない出来事だった――。
ゾクッと怖くて、ハラハラドキドキ。
最後には、ゾッとするどんでん返しがあなたを待っている。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる