【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!

隣のカキ

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聖女の暴力編

第85話 聖女の人格矯正

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 結局ルーシュ君は一言も言葉を発する事はなかった。

「いつまでも人の家に居ても仕方がないので帰りましょう。」

「コイツをこのままにしとくのか?」

 ギャモーはルーシュ君を指さし心配そうにしている。

「大丈夫ですよ。そもそも……生きる原動力が殆ど女である人なんて心配しても仕方ありませんし。」

「いや、そうかもしれんが……本当に良いのか?」

「良いんです。」

 私達はやけに静かで目が虚ろなルーシュ君を放置し、その場を後にする。

 帰り際にこちらを見て僅かに手を振る彼の様子は……まるで植物がそのまま人間の体を得たようだった。



「今のルーシュ君となら仲良く出来ますね。植物みたいに害も無いですし。」

「お母さんは前のルーシュ君の方が良いわ。」

「あんな人のどこが良いの?」

 良い所なんて一つも無いように思うんだけど、お母さんは違うみたい。

「あら、彼って面白いわよ? 馬鹿みたいな発言がポンポン出てきて楽しいじゃない。」

 お母さんはルーシュ君をおもちゃか何かと思っているのかしら?

「全然楽しくないよ。凄く迷惑だったんだから。」

 毎回あんな感じで絡んでこられると本当に困るのだ。

「アリエンナがそう言うなら仕方ないか……。」

「確かに迷惑っちゃ迷惑だったな。」

 優しいギャモーでさえも私と同じ事を思っているようね。

 まぁ、誰だってあんな風に言われたら迷惑だと思うに決まってるわ。

「で、この後はどうすんだ?」

「魔道具の効果がこうして証明されたので、村人に使おうと思います。」

 村の人達は元々意地悪だからこそ、あんなに私をいじめてきたんだわ。いくら村長さんに指示されたからって、毎回楽しそうにいじめてくるわけがない。

 その度にブッ叩いては追い返してストレス発散するのは大変だったんだから。

「皆の意地悪な癖を直してあげたいです。」

「……碌な事にならん気がするぞ。」

「大丈夫ですよ。今度はもうちょっとマイルドな感じに直してもらいますので、ルーシュ君のようにはなりませんから。」

 多分。

「だったら良いんだけどよぉ。」

 ギャモーったら心配性ね。

 最悪失敗したとしても、ルーシュ君のように大人しくなるだけなんだから全然問題なんて無いのに。

※問題大ありです



「こんにちはー。」

「げ、聖女!?」

「熱湯消毒はいらないってさっきも言ったよ!」

 私達は今、メリルの家にお邪魔している。

 丁度サリアも一緒だったようね。

「熱湯消毒の事じゃありませんよ? 良い物を手に入れたので使ってみませんか?」

「ほっ……。なら安心ね、サリア。」

「そうだねメリル。ちなみにどんな物なの?」

 二人は心底安心した様子で問いかけてくる。

 村人との和解が出来た今、皆と普通に会話が成立するのでとても助かるわ。

「これです。」

 私はトゲトゲ帽子を二人に見せる。

「何それ?」

「ちょっと格好良いじゃない。」

 どうやら興味を持ってもらえたようね。

 でも、格好良くはないと思う。

「これを使うと頭が凄くスッキリするんですよ。」

「へぇ、凄いじゃない。」

「使ってみたい!」

 お母さんは私達のやり取りをニコニコしながら見ている。

 娘が仲良く出来ているのを見られて嬉しいのね。

「お、おい……」
「じゃあ早速被ってみるね!」

 自分の頭にスポっと帽子を被せるサリア。

「なかなか奇抜なデザインね。あまり似合ってないわよ。」

「えぇ? 格好良いでしょ?」

 ご満悦な様子の所悪いけど、あまり恰好良くない。

 まぁ、本人が満足ならそれで良いか。

「では使ってみましょう。」

 私は一度咳払いをし、本来の目的を告げる。

「サリアの意地悪な癖を直して下さい。」

「別に意地悪じゃな……何!?」

 発言に合わせてトゲトゲ帽子が輝きだし、それに驚いたサリアは驚きの声をあげる。

 ルーシュ君の時とは違って光は一瞬で収まった。

「サリア、大丈夫なの?」

「うん。」

 メリルが心配そうに声をかける。

 返事はしているけど、少し様子が変ね。

「なんか元気ないね。」

「うん……私、最低だ。」

 サリアったら急に自虐を始めるなんて……もしかしたら、魔道具が上手く作用したのかしら?

「今までたくさん酷い事を色んな人にしてきた……。あんな訳の分からない植物の汁を人にかけるなんてしちゃいけないのよ。」

 臭い汁が並々と入った壺を指さし、悲し気な表情で俯きながら反省の色を示すサリア。

 そうよね。普通は絶対やらない事だわ。

「どうしたのよ?! いつもは超良い笑顔で『くっさい汁の大さーびすぅぅ』って言いながら人にぶっかけて一緒に遊んだじゃない!」

 そう言ってサリアの肩をガクガクと揺らすメリル。

「あの植物にメチャクサ草って名前付けて一緒に笑い合ったじゃない!」

 何その名前……。

「あんな事しちゃいけないわ。」

「どうしてそんな事言うの!? 本当の自分を思い出してっ! 正気に戻って!!」

 改めて聞くと本当になんて人達なんだろうかと思う。

 正気に戻ってというか、むしろ今までが正気じゃないわよね?

「流石に予想外ね。この子達っていつもこんな事してたの?」

 お母さんがかなり引いた様子で私に問いかけてくる。

「うん。流石にあんな汁をかけられたくはないから、私は全部回避してたけど。」

「……液体を回避する方が凄えと思うぞ。」

 ギャモーは相変わらず私を褒めてくれる。

 それにしてもこの二人ったら今までこんな事ばかりしていて、よく袋叩きにされなかったわよね……。
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