初恋の幼馴染。~幼馴染の親友が俺らカップルを助ける為に奮闘する話~

隣のカキ

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8 初恋の幼馴染。

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 笑顔の魔法少女に何も言えないでいる。

 樹君と恵奈もただならぬ気配を感じ取っているようだ。

「あーあ、記憶関係の魔法は得意じゃないんだけどなぁ…。」

 このままではマズいと、咄嗟に質問を浴びせる。

「あ、あの…魔法の時計をくれた人ですよね?」

 彼女は私に視線を合わせ、途端に驚いた表情を見せる。

「あれ?あなた…五回目?」

 やはり、彼女にはわかるようだ。

「はい…ありがとうございました。」

 とりあえずお礼を言っておく。

「どういたしまして。」

 彼女は笑顔で答える。

「ところで、私達に何をしようとしたんですか?」

 んーと顎に手を当て考える仕草を見せ…

「今見た事を魔法で忘れてもらおうかな?って思ってたんだけどねー……。」

(そういう事だったのね…。)

 この時間に来てから疑問に思っていた記憶の謎が解けた。前はこの人の魔法で私達の記憶がなくなってしまったのだろう。


「それは困ります。幼い頃に無くした記憶を取り戻して来いって、あなたに言われてここまで遡ってきたんですが…。」

「そうなの?うーん…困ったなぁ。」

 本当に困っているようだ。

「あなた、いつから来たの?」

「2022年です。」

「じゃあ中身は大人って事か…。今見た事を絶対言わないって約束出来る?」

「それは勿論です。」

(どうせ誰も信じないと思う…。それに言ったら言ったで何されるか分らないし。)

「でも、後二人がねー…。約束出来るか……。」

 確かに相手は子供だ。そう思うのも無理はない。

 私は魔法少女に近づき手招きをする。

 すると彼女は私の顔に耳を近付けてくれた。

 二人を眠らせてくれれば、後は夢だったって事にしておきます。と私はこっそり耳打ちする。

「じゃあそれでいっか。」

 納得してくれたようだ。


 そして彼女は何やらブツブツと唱えはじめ…

(◎△$♪×¥●&%#?!……)

「良い子は寝るのだ~!!あと、悪い子も寝ろ。」

 とステッキを振り、魔法をかける。

(あれ?…わたし……まで……眠くな…て………)

 瞼を閉じかけている私が目にしたのは、笑顔で手を振っている彼女だった。






 目が覚めると、母の背中におぶさっていた。山を下っている途中だったようだ。

 樹君と恵奈は既に目を覚まし、それぞれの母と手をつないで歩いている。

「あっ。けーちゃんおきた。」

 ゆっくりと地面に下ろされる。

「もう二人には言ったけど、心配したんだからね!」

「…ごめんなさい。」

 母に叱られ、しょんぼりしてしまう。

「まほうだよまほう!」

「ほんとにみたよ?おんなのこがね、きでぶわああってしたの!」

 早速バラしている二人。

(まあ子供だしね…。)

「けーちゃんもみたでしょ?」

「魔法?見てないけど。」

「えー?おんなのこがぼくたちをまほうでねむくさせたんだよ?」

「女の子?私達三人しか居なかったよ?」

 樹母は「夢だったんじゃない?」と言ってまともに取り合わない。

 それが普通だ。どうせ信じてもらえないだろうけど、魔法少女の話は絶対にしない方が良い。


 私達はそれぞれ帰宅した。

 そして、私は家でめっちゃ怒られた。








 後日、私が引っ越してしまった理由が判明した。

 知ってしまえばそれ程大した事ではない。

(まぁ…人それぞれ意見は異なるでしょうけど。)


 父は今の仕事をやめて東京でラーメン屋を始めたいと言い出した。ラーメンを作ってくれて味見してみろと言うから味見したのだが、普通に美味しいラーメンだった。しかし、それだけ。


「美味しいけど、ラーメン屋さんやってけるかどうかは別の話だよね?」

「ええ?でも美味しいだろ?だから大丈夫だ。」

「ラーメン屋を舐めてるの?美味しくても潰れる店はたくさんある。流行らなかったら?それなりに客が来ても食べていける程儲からなかったら?店舗候補地は?仕入れ先は?原価は?値段設定は?メニューの種類と一品辺りの利益は?損益分岐点は?ライバル店にはない魅力は?開店資金は借金?それとも貯金?客足の伸びが悪い時の撤退時期は?失敗した時の事考えてる?」

「…え?…あっと……そのー…」

「すぐに答えられないの?じゃあダメだね。」

 私は矢継ぎ早に質問を浴びせかけ、父の心を完膚なきまでに叩きのめす。

 父は泣いた。

 四歳児に泣かされる父の姿はとても情けなかったが、母も乗り気だったようで母までもが泣いていた。

 多分前の私は、ただ美味しいと言って喜んでたんだと思う。

 そして根拠の無い自信を持った父はラーメン屋を始めたのだろう。私はその時の事を覚えていなかったので、余程短い期間で店を畳んだのだと予想できる。

 父はラーメン屋を諦め、引っ越しの話も立ち消えになった。



 小学二年生時、恵奈が引っ越してしまった。理由は前回と同様、親の仕事の都合だ。

 私は引っ越し先の住所と連絡先を聞き出していたので、毎年親にお願いして三人会う機会を作ってもらっていた。


 中学にあがれば、個人での携帯電話の所有が許され頻繁に連絡出来たし、高校生になれば小遣いで三人デートも出来た。




 2022年7月18日

 あの出来事から15年。今は三人で例のアパートに住んでいる。私は…いや、私たちは幸せだ。

 三人は幼馴染として順調にここまで仲を深めてきた。前回までだって、元々記憶を失わなければ幼馴染だったんだろう。

 樹君が言う“けーちゃん”が二人だったのも、実は樹君だけが記憶を取り戻していた可能性があった。

 今日は三人で買い物へ出かけている。


「あら?あなたは…前にも会った五回目の子だよね?」
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