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第三章 戦争から帰ってきたら、私の婚約者が別の奴とも結婚するみたい。
第2話 出兵前の準備
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出兵までの間、レイベルトは両家両親を訓練漬けにし、夜は私と営んでいる。
お父さんは「怪我で引退したから……。」などと言っていたので「怪我していないところを訓練すれば大丈夫ですよ。」とレイベルトが励ましていた。
なんて優しいのかしら。
お父さんったら泣いちゃってまぁ…………もっと泣け。
「私もやる事をやらないとダメだわ。」
戦争に行ってしまう前に、やり残しが無いようにしておかないとね。
という事で私は今、ネイルの実家に来ている。
「エイミーさん。婚約者が戦争に行くんだって? もし何かあれば僕が力になるよ?」
へぇ?
力になってくれるんだ……。
商会に入ると、いきなりネイルが話しかけてきた。
「ありがとうございます。では早速ですが力になってもらいたいです。」
力になってくれるって言ってるし、本人の許可ももらえたから魂を吸収して私の力になってもらおうじゃない。
「何かな? 僕に出来る事なら何だって言って?」
私とこのクズは今の時点で殆ど面識なんてないにも拘わらず、このクズはやけに馴れ馴れしい。
この時点でモネーノ家簒奪は決まっていたという事かしら。
まぁ、こいつが今みたいに会話できるのも後少しだから許してあげよう。
「実は折り入って相談がありまして。」
私は家にあった宝石やそこそこの名剣を持って来て、これを売るのでレイベルトの助けになる物が欲しいと取引を持ち掛けた。
売れば結構な金額になる物を持って来た甲斐もって、ネイルに加えてその両親も呼び出す事に成功。
自分達の下衆な作戦ついでに小遣い稼ぎが出来るとでも思っているんでしょうね。
大口取引用の個室とでも言うべき場所に案内され、私は前回の仇達と直接対面している。
「彼の役に立てる物が欲しいんです。」
出入口は一つ。護衛は二人。
「そうでしたか。当商会では大抵の物を揃える事が出来ますよ? 具体的に欲しい物は決まっているのでしょうか。」
「はい。勿論決まっています。」
私は手の平をこの部屋唯一の出入り口に向け、魔法で鍵を掛けた状態にしてドアノブだけをピンポイントで破壊。
咄嗟の事にネイルとその家族、護衛すらも反応出来ず、私はそれを良い事にこの部屋から魔力が漏れださないよう、続けて魔力隠蔽結界を展開した。
そして何が起こっているのか理解出来ていない間抜けどもに、今最も欲しいものを要求する。
「貴方達全員の魂を下さい。」
勇者桜から受け継ぎ、繰り返しによって鍛えられた膨大な魔力を一気に放出した。
ただの人間ではあり得ない……勇者アオイですらも霞んでしまう圧倒的な魔力に、全員が顔を青ざめさせて膝を付く。
護衛の二人は特に実力差をはっきりと理解出来るからか、恐慌状態になってしまっている。
「貴方達のその顔が見たかったの。前回はあっさりと殴り潰しちゃったから、今回はじっくり焼いてあげるね?」
「何を言って……」
「な、なぜこのような事を……」
理由なんて言う必要もないわね。
この人達には理由も分からず理不尽な目に遭うという事を経験してもらおう。
「単に気分だから、でしょうか? 貴方達はこれから私の気まぐれで殺されるのよ?」
本当の動機は恨みなんだけどね。
でも、恨まれていたから殺されるのと、気まぐれで殺されるのでは絶望具合が違う。
良い気味よ。
何一つ納得できる材料も無しに死んでしまえ。
ネイルの一家には行方不明となってもらった。
存在そのものが証拠になり得るこのクズどもだけど、生かしておこうという発想が一切出てこなかったのは仕方がない。
まだ何もされていないとはいえ、前回は決して許す気にはなれないような事をされたのだから。
幸いスパイとしての証拠となる物の場所は覚えていたので、証拠だけを確保して一家全員と護衛をしっかり丁寧に焼いてあげた。
上手く焼く事が出来たので塵すらも残っていない。
これが碧ちゃんの世界で言うところの『上手に焼けました』なのね。
「ただいまー。」
「エイミー、遅かったじゃないか。」
「うん。ちょっとね。」
今、レイベルトと私はモネーノ家にて半同棲生活を送っている。
私の両親をロカネ家に宿泊させ、レイベルトの両親と共に地獄の特訓を受けてもらっている最中なの。
いわゆる合宿と呼ばれるもの。
レイベルト以外の全員が白目を向いて倒れてしまうものを合宿と呼んで良いかは不明だけど。
「あまり遅くなると心配するだろ。」
「ごめんなさい。ちょっと焼き肉の練習をしてて……。」
「成る程。これから戦地に行けば、食糧を現地調達する場面もあるかもしれない。悪い事ではないな。で、上手く焼けたのか?」
「うん。塵すらも残さなかったよ。」
「食材を無駄にするのは感心しないぞ。」
「ごめんね? でも、贖罪は無駄になってないよ?」
ネイル達で焼き肉してたのは勿論内緒。
魂だけは吸収したから彼らという食材も無駄にならないし、彼らの贖罪も完了したし、良い事尽くめね。
「まぁ、良く分からんが……とにかく、あまり心配をかけるなよ?」
「うん。大丈夫。こう見えても強いんだから。」
強くなっても心配してもらえるのは素直に嬉しい。
普通なら心配する必要さえもない程の強さを持っているのが今の私。
今の私は勇者桜が獲得した全ての知識を持ち合わせている。
自らの能力を封じる為に研究したであろう神の英知とも言えるような魔法知識までもが今や私の知識となった。
エピソード記憶というべきものはごっそり抜け落ちているけど、多分それで良かったんだと思う。
冷静に考えてみれば、一万年以上もの記憶なんてどんな影響があるか分からない。
勇者桜は恥ずかしいからなんて言っていたけど、今世の私を慮ってエピソード記憶がこちらに流れ込まないようにしてくれたんでしょうね。
兎に角準備は整った。戦争中は私も男のフリでもしておこう。
碧ちゃんをレイベルトと結婚させるのは既定路線。
あまり流れを変えてしまわないように気を付けないといけないので、戦地ではあくまで男の友人として振る舞ってもらう事をレイベルトに約束させた。
碧ちゃんがレイベルトに恋心を抱かないなんて事になったら大変だ。
魂が近ければ惹かれ合う性質があるとは言っても、私が最初から婚約者を名乗れば碧ちゃんが遠慮して恋心を抱かないように立ち回る可能性だってある。
そうなる事だけは避けなければ。
お父さんは「怪我で引退したから……。」などと言っていたので「怪我していないところを訓練すれば大丈夫ですよ。」とレイベルトが励ましていた。
なんて優しいのかしら。
お父さんったら泣いちゃってまぁ…………もっと泣け。
「私もやる事をやらないとダメだわ。」
戦争に行ってしまう前に、やり残しが無いようにしておかないとね。
という事で私は今、ネイルの実家に来ている。
「エイミーさん。婚約者が戦争に行くんだって? もし何かあれば僕が力になるよ?」
へぇ?
力になってくれるんだ……。
商会に入ると、いきなりネイルが話しかけてきた。
「ありがとうございます。では早速ですが力になってもらいたいです。」
力になってくれるって言ってるし、本人の許可ももらえたから魂を吸収して私の力になってもらおうじゃない。
「何かな? 僕に出来る事なら何だって言って?」
私とこのクズは今の時点で殆ど面識なんてないにも拘わらず、このクズはやけに馴れ馴れしい。
この時点でモネーノ家簒奪は決まっていたという事かしら。
まぁ、こいつが今みたいに会話できるのも後少しだから許してあげよう。
「実は折り入って相談がありまして。」
私は家にあった宝石やそこそこの名剣を持って来て、これを売るのでレイベルトの助けになる物が欲しいと取引を持ち掛けた。
売れば結構な金額になる物を持って来た甲斐もって、ネイルに加えてその両親も呼び出す事に成功。
自分達の下衆な作戦ついでに小遣い稼ぎが出来るとでも思っているんでしょうね。
大口取引用の個室とでも言うべき場所に案内され、私は前回の仇達と直接対面している。
「彼の役に立てる物が欲しいんです。」
出入口は一つ。護衛は二人。
「そうでしたか。当商会では大抵の物を揃える事が出来ますよ? 具体的に欲しい物は決まっているのでしょうか。」
「はい。勿論決まっています。」
私は手の平をこの部屋唯一の出入り口に向け、魔法で鍵を掛けた状態にしてドアノブだけをピンポイントで破壊。
咄嗟の事にネイルとその家族、護衛すらも反応出来ず、私はそれを良い事にこの部屋から魔力が漏れださないよう、続けて魔力隠蔽結界を展開した。
そして何が起こっているのか理解出来ていない間抜けどもに、今最も欲しいものを要求する。
「貴方達全員の魂を下さい。」
勇者桜から受け継ぎ、繰り返しによって鍛えられた膨大な魔力を一気に放出した。
ただの人間ではあり得ない……勇者アオイですらも霞んでしまう圧倒的な魔力に、全員が顔を青ざめさせて膝を付く。
護衛の二人は特に実力差をはっきりと理解出来るからか、恐慌状態になってしまっている。
「貴方達のその顔が見たかったの。前回はあっさりと殴り潰しちゃったから、今回はじっくり焼いてあげるね?」
「何を言って……」
「な、なぜこのような事を……」
理由なんて言う必要もないわね。
この人達には理由も分からず理不尽な目に遭うという事を経験してもらおう。
「単に気分だから、でしょうか? 貴方達はこれから私の気まぐれで殺されるのよ?」
本当の動機は恨みなんだけどね。
でも、恨まれていたから殺されるのと、気まぐれで殺されるのでは絶望具合が違う。
良い気味よ。
何一つ納得できる材料も無しに死んでしまえ。
ネイルの一家には行方不明となってもらった。
存在そのものが証拠になり得るこのクズどもだけど、生かしておこうという発想が一切出てこなかったのは仕方がない。
まだ何もされていないとはいえ、前回は決して許す気にはなれないような事をされたのだから。
幸いスパイとしての証拠となる物の場所は覚えていたので、証拠だけを確保して一家全員と護衛をしっかり丁寧に焼いてあげた。
上手く焼く事が出来たので塵すらも残っていない。
これが碧ちゃんの世界で言うところの『上手に焼けました』なのね。
「ただいまー。」
「エイミー、遅かったじゃないか。」
「うん。ちょっとね。」
今、レイベルトと私はモネーノ家にて半同棲生活を送っている。
私の両親をロカネ家に宿泊させ、レイベルトの両親と共に地獄の特訓を受けてもらっている最中なの。
いわゆる合宿と呼ばれるもの。
レイベルト以外の全員が白目を向いて倒れてしまうものを合宿と呼んで良いかは不明だけど。
「あまり遅くなると心配するだろ。」
「ごめんなさい。ちょっと焼き肉の練習をしてて……。」
「成る程。これから戦地に行けば、食糧を現地調達する場面もあるかもしれない。悪い事ではないな。で、上手く焼けたのか?」
「うん。塵すらも残さなかったよ。」
「食材を無駄にするのは感心しないぞ。」
「ごめんね? でも、贖罪は無駄になってないよ?」
ネイル達で焼き肉してたのは勿論内緒。
魂だけは吸収したから彼らという食材も無駄にならないし、彼らの贖罪も完了したし、良い事尽くめね。
「まぁ、良く分からんが……とにかく、あまり心配をかけるなよ?」
「うん。大丈夫。こう見えても強いんだから。」
強くなっても心配してもらえるのは素直に嬉しい。
普通なら心配する必要さえもない程の強さを持っているのが今の私。
今の私は勇者桜が獲得した全ての知識を持ち合わせている。
自らの能力を封じる為に研究したであろう神の英知とも言えるような魔法知識までもが今や私の知識となった。
エピソード記憶というべきものはごっそり抜け落ちているけど、多分それで良かったんだと思う。
冷静に考えてみれば、一万年以上もの記憶なんてどんな影響があるか分からない。
勇者桜は恥ずかしいからなんて言っていたけど、今世の私を慮ってエピソード記憶がこちらに流れ込まないようにしてくれたんでしょうね。
兎に角準備は整った。戦争中は私も男のフリでもしておこう。
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あまり流れを変えてしまわないように気を付けないといけないので、戦地ではあくまで男の友人として振る舞ってもらう事をレイベルトに約束させた。
碧ちゃんがレイベルトに恋心を抱かないなんて事になったら大変だ。
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