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第23話 四匹目♪
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今日はダラス襲撃イベントの日だわ。
この日の為に鍛えてきたと言っても過言ではない私のステータスは、既に全部が200オーバー。
宮廷魔導士を超える今の私にとって、今回の作戦は朝飯前。
ゲームにおいてステータスなんて条件を満たす為だけの飾りでしかなかったけど、実際この世界に入ってみると、ステータスとは如何に重要なものなのかに気付かされる。
「聞いてた通り、あの馬車はなかなか良い獲物だ。」
「おうよ。俺らに身代金を払ってくれる金持ちが乗ってそうだ。」
「へっへっへ。あんな貧相な護衛だとこの街道を通るのがヤバイって教えてやろうぜ。」
「いやぁ、俺らって本当に親切だよな? わざわざここが危険だって教えてやるんだからよぉ。」
「ははははははは!!」
皆さん元気がよろしいようで。
え? 私が何をしているかって? これから賊がダラスを襲撃するイベントがスタートするのよ。
メルトリアが一定以上のステータスを持っていれば、たまたま通りかかった私がここでダラスを助ける事が出来る。
ダラスは私に恩を感じ、マリーベルの婚約者である為味方とまではいかずとも、こちら側への妨害をやめてくれるようになるというなかなか素敵なクソイベントの日。
「よっしゃ行くぞ! 野郎ども!」
「「「「「おおお!!」」」」」
全く、こんな大声出したら気付かれるでしょうが。
私はインビジブルの魔法で姿を消しているので誰にもバレていない。王族だけが使えるはずの魔法だったけど、ステータスの高い私は一度見た魔法を難なく再現する事が出来ていた。
私の行動によってゲームシナリオからズレてしまったこの世界。
流石に賊の行動まではズレないだろうと思っていたのに、本来のイベントから二日ズレていたのには驚いた。
危なかったわ。
念のためにスケープゴートに出来るお友達のカタリナを経由して、馬鹿なお友達のクラリッサに賊の情報を集めさせておいて本当に良かった。
(そろそろ始まるわね。)
賊達はダラスが乗っている馬車を囲み、護衛達に脅しをかける。
「止まれ! 馬車の中にいる奴を置いて行けば命は勘弁してやる。」
「貴様等! この馬車がリクート侯爵家の馬車と知っての狼藉かっ!」
「お貴族様の名前なんて知らねえよ。で? この人数相手に戦うのか? それとも降参か?」
見たところ賊の数は30を超えている。対して護衛の数はたったの5。
人数の差が酷い。
「くぅっ! 誰が降参などするものか! 総員防御態勢! 賊を馬車に近付けるなっ!!」
「あーらま。勝てるわけねえってのに、騎士様ってのはご立派なもんで。野郎ども! かかれ!」
当然、騎士が護衛対象を放り出して逃げるわけなく、応戦の構えを取る騎士達。辺りは剣戟の音が鳴り響き、怒号が飛び交う。
個人の強さは騎士の方が上だけど、賊達は思いの外連携が取れていて、戦いは拮抗している様子だ。
本来なら、ここで私が助けに入るのだけど……。
「このままではマズい! 俺が特攻をかける! お前たちは馬車を死守しろ!」
「「「「はっ!!」」」」
(へぇ? 護衛隊の隊長かしら? 多少は強いのね。)
ゲームシナリオでは特に私が助けずともダラスは生還する。
多分、あの人物がいたから大事には至らなかったのだ。
(あの人、邪魔だわ。)
私は姿を消したまま護衛隊長に近づき、足を掛けて転ばせてやった。
「ぐっ!」
護衛隊長は転んだ拍子に足を挫いたようだ。
「野郎ども、今だ!!」
「がぁっ!!」
賊に群がられ、それでもなんとか戦おうとしているけど、やはり足を挫いた影響は大きく次々と攻撃をくらってしまっている。
(はい、おしまい。後は賊が護衛を全て切り伏せるだけ。)
隊長が死んでからは流れが一方的になり、次々と倒れる騎士達。
そしてとうとう……
「さぁさぁお坊ちゃん? 大事な大事なお勉強のお時間ですよおっと!」
「ひぃ! く、くせものめ!」
「そう言わずに。お坊ちゃんがお父さんにお願いしてお金を貰えば、ちゃあんと命は助けますからね?」
賊の一人が馬車からダラスを引き摺りおろし、身代金を要求している。
そろそろ学園に戻らないと不審に思われるので、私は賊が持っている剣にダラスの喉が刺さるよう調整して優しく転ばせた。
「なっ!? クソ! これじゃあ金を要求出来ねぇ!」
賊達は騒ぎ始めるが、私の知った事じゃない。後は何食わぬ顔で学園に戻るだけで良い。
うるさい賊共を尻目に私はこの場を去った。
(たまにはカレーが食べたいわ。この世界ってやっぱり不便よね。)
「聞いた? マリーベルの婚約者、死んだそうよ?」
「えぇ。聞いているわ。」
「このタイミングってつまり……。」
「マリーベル様、かもしれませんね。」
はい。
今日は楽しいお茶会inペトレネート家。つまり、ローズマリーのお屋敷で婚約者同盟が集まって作戦会議という事ね。
いやぁ……苦労した甲斐あってダラスをあっさりと処分出来たわ。
「ダラス様は賊に襲われたそうですが、多分マリーベル様ですよね?」
「そう思うわ。きっと第一王子の婚約者になる算段がついたのよ。」
「同意よ。」
「右に同じく。」
良いわ良いわ。
あまりにもマリーベルに利するタイミングであるが故に、皆マリーベルを疑っている。
実際に手を下したのは私。賊が襲う際にインビジブルの魔法で姿を消した私がこっそり支援してあげたのよね。
あの日、ダラスは助かるはずだった。メルトリアが一定以上のステータスを持っていれば、ダラスを助ける事が出来るし、最悪見て見ぬふりをしても生き残る予定のイベント。
ゲーム通りに攻略するなら私が助けに入る場面だったのだけど……
でもね。私が助けるわけないわよね?
時間が巻き戻る前の私にしてきた仕打ちはなかった事にはならない。マリーベルとダラスが協力して私を嵌め、処刑されるに至った事は決して忘れもしない。
あいつの喉に剣が刺さった瞬間なんて思わず嬉しくて声が出ちゃいそうになっちゃったわ。
賊の襲撃はマリーベルの手によるもの……ではない。
本当に偶然の襲撃。
本来ダラスは生き残るイベントだったのだけど、私が手を下したお蔭で死ぬハメになっただけ。
そして事前にカタリナ経由でクラリッサに賊の襲撃情報を集めさせていた際、どんな事があっても騒がない方が良いと忠告しておいた。
私が危険な人物を相手にしている事を匂わせるように。
そんな訳で、カタリナとクラリッサはマリーベルの犯行である事だと勝手に勘違いしてしてくれている。
あの二人には暫く黙っていてもらうつもりだ。
クラリッサが勝手に暴走しないようカタリナにはもう一度念を押しておこう。
じゃないと私が婚約破棄される前にマリーベルを追い詰めてしまうかもしれない。
「マリーベルがやった証拠はないけど、なんとか公開出来ないものかしら?」
「難しいわよ。私達って、この手のやり方に慣れていないもの。証拠をつかむ事すら難しいわ。」
「ダラス様とて高位貴族。とうとう高位貴族にまで手を下したところを見ると、もうメルトリア様だって随分危険ですわ。」
「身辺には気を付けていたけど、送迎の馬車は護衛を増やした方が良さそうね。勿論私だけじゃなくて、ここにいる全員がね。」
失敗したなぁ。ダラスの首、持ってきて飾れば良かったわ……。
マリーベルは殺した後に首だけ持って行こうかな?
「ふふふ。」
「急にどうしたの?」
「え? あぁ。ちょっと思い出し笑いを。」
「ちょっと、真面目な話してるんだからちゃんと聞きなさいよ!」
「ごめんって。」
いけないわ。今は作戦会議中。
マリーベルの首をどう保存するか、後でゆっくり考えよう。
この日の為に鍛えてきたと言っても過言ではない私のステータスは、既に全部が200オーバー。
宮廷魔導士を超える今の私にとって、今回の作戦は朝飯前。
ゲームにおいてステータスなんて条件を満たす為だけの飾りでしかなかったけど、実際この世界に入ってみると、ステータスとは如何に重要なものなのかに気付かされる。
「聞いてた通り、あの馬車はなかなか良い獲物だ。」
「おうよ。俺らに身代金を払ってくれる金持ちが乗ってそうだ。」
「へっへっへ。あんな貧相な護衛だとこの街道を通るのがヤバイって教えてやろうぜ。」
「いやぁ、俺らって本当に親切だよな? わざわざここが危険だって教えてやるんだからよぉ。」
「ははははははは!!」
皆さん元気がよろしいようで。
え? 私が何をしているかって? これから賊がダラスを襲撃するイベントがスタートするのよ。
メルトリアが一定以上のステータスを持っていれば、たまたま通りかかった私がここでダラスを助ける事が出来る。
ダラスは私に恩を感じ、マリーベルの婚約者である為味方とまではいかずとも、こちら側への妨害をやめてくれるようになるというなかなか素敵なクソイベントの日。
「よっしゃ行くぞ! 野郎ども!」
「「「「「おおお!!」」」」」
全く、こんな大声出したら気付かれるでしょうが。
私はインビジブルの魔法で姿を消しているので誰にもバレていない。王族だけが使えるはずの魔法だったけど、ステータスの高い私は一度見た魔法を難なく再現する事が出来ていた。
私の行動によってゲームシナリオからズレてしまったこの世界。
流石に賊の行動まではズレないだろうと思っていたのに、本来のイベントから二日ズレていたのには驚いた。
危なかったわ。
念のためにスケープゴートに出来るお友達のカタリナを経由して、馬鹿なお友達のクラリッサに賊の情報を集めさせておいて本当に良かった。
(そろそろ始まるわね。)
賊達はダラスが乗っている馬車を囲み、護衛達に脅しをかける。
「止まれ! 馬車の中にいる奴を置いて行けば命は勘弁してやる。」
「貴様等! この馬車がリクート侯爵家の馬車と知っての狼藉かっ!」
「お貴族様の名前なんて知らねえよ。で? この人数相手に戦うのか? それとも降参か?」
見たところ賊の数は30を超えている。対して護衛の数はたったの5。
人数の差が酷い。
「くぅっ! 誰が降参などするものか! 総員防御態勢! 賊を馬車に近付けるなっ!!」
「あーらま。勝てるわけねえってのに、騎士様ってのはご立派なもんで。野郎ども! かかれ!」
当然、騎士が護衛対象を放り出して逃げるわけなく、応戦の構えを取る騎士達。辺りは剣戟の音が鳴り響き、怒号が飛び交う。
個人の強さは騎士の方が上だけど、賊達は思いの外連携が取れていて、戦いは拮抗している様子だ。
本来なら、ここで私が助けに入るのだけど……。
「このままではマズい! 俺が特攻をかける! お前たちは馬車を死守しろ!」
「「「「はっ!!」」」」
(へぇ? 護衛隊の隊長かしら? 多少は強いのね。)
ゲームシナリオでは特に私が助けずともダラスは生還する。
多分、あの人物がいたから大事には至らなかったのだ。
(あの人、邪魔だわ。)
私は姿を消したまま護衛隊長に近づき、足を掛けて転ばせてやった。
「ぐっ!」
護衛隊長は転んだ拍子に足を挫いたようだ。
「野郎ども、今だ!!」
「がぁっ!!」
賊に群がられ、それでもなんとか戦おうとしているけど、やはり足を挫いた影響は大きく次々と攻撃をくらってしまっている。
(はい、おしまい。後は賊が護衛を全て切り伏せるだけ。)
隊長が死んでからは流れが一方的になり、次々と倒れる騎士達。
そしてとうとう……
「さぁさぁお坊ちゃん? 大事な大事なお勉強のお時間ですよおっと!」
「ひぃ! く、くせものめ!」
「そう言わずに。お坊ちゃんがお父さんにお願いしてお金を貰えば、ちゃあんと命は助けますからね?」
賊の一人が馬車からダラスを引き摺りおろし、身代金を要求している。
そろそろ学園に戻らないと不審に思われるので、私は賊が持っている剣にダラスの喉が刺さるよう調整して優しく転ばせた。
「なっ!? クソ! これじゃあ金を要求出来ねぇ!」
賊達は騒ぎ始めるが、私の知った事じゃない。後は何食わぬ顔で学園に戻るだけで良い。
うるさい賊共を尻目に私はこの場を去った。
(たまにはカレーが食べたいわ。この世界ってやっぱり不便よね。)
「聞いた? マリーベルの婚約者、死んだそうよ?」
「えぇ。聞いているわ。」
「このタイミングってつまり……。」
「マリーベル様、かもしれませんね。」
はい。
今日は楽しいお茶会inペトレネート家。つまり、ローズマリーのお屋敷で婚約者同盟が集まって作戦会議という事ね。
いやぁ……苦労した甲斐あってダラスをあっさりと処分出来たわ。
「ダラス様は賊に襲われたそうですが、多分マリーベル様ですよね?」
「そう思うわ。きっと第一王子の婚約者になる算段がついたのよ。」
「同意よ。」
「右に同じく。」
良いわ良いわ。
あまりにもマリーベルに利するタイミングであるが故に、皆マリーベルを疑っている。
実際に手を下したのは私。賊が襲う際にインビジブルの魔法で姿を消した私がこっそり支援してあげたのよね。
あの日、ダラスは助かるはずだった。メルトリアが一定以上のステータスを持っていれば、ダラスを助ける事が出来るし、最悪見て見ぬふりをしても生き残る予定のイベント。
ゲーム通りに攻略するなら私が助けに入る場面だったのだけど……
でもね。私が助けるわけないわよね?
時間が巻き戻る前の私にしてきた仕打ちはなかった事にはならない。マリーベルとダラスが協力して私を嵌め、処刑されるに至った事は決して忘れもしない。
あいつの喉に剣が刺さった瞬間なんて思わず嬉しくて声が出ちゃいそうになっちゃったわ。
賊の襲撃はマリーベルの手によるもの……ではない。
本当に偶然の襲撃。
本来ダラスは生き残るイベントだったのだけど、私が手を下したお蔭で死ぬハメになっただけ。
そして事前にカタリナ経由でクラリッサに賊の襲撃情報を集めさせていた際、どんな事があっても騒がない方が良いと忠告しておいた。
私が危険な人物を相手にしている事を匂わせるように。
そんな訳で、カタリナとクラリッサはマリーベルの犯行である事だと勝手に勘違いしてしてくれている。
あの二人には暫く黙っていてもらうつもりだ。
クラリッサが勝手に暴走しないようカタリナにはもう一度念を押しておこう。
じゃないと私が婚約破棄される前にマリーベルを追い詰めてしまうかもしれない。
「マリーベルがやった証拠はないけど、なんとか公開出来ないものかしら?」
「難しいわよ。私達って、この手のやり方に慣れていないもの。証拠をつかむ事すら難しいわ。」
「ダラス様とて高位貴族。とうとう高位貴族にまで手を下したところを見ると、もうメルトリア様だって随分危険ですわ。」
「身辺には気を付けていたけど、送迎の馬車は護衛を増やした方が良さそうね。勿論私だけじゃなくて、ここにいる全員がね。」
失敗したなぁ。ダラスの首、持ってきて飾れば良かったわ……。
マリーベルは殺した後に首だけ持って行こうかな?
「ふふふ。」
「急にどうしたの?」
「え? あぁ。ちょっと思い出し笑いを。」
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