『創造神始めました』ご注文をどうぞ。魔王軍で異世界侵略と若干狂気持ち彼女ですね?5番にオーダー入りまーす!

隣のカキ

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第15話 シロクマ

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「対戦モード。ランク指定は139。」





【ランク139の相手と対戦モードに移行しました。

 接続中…………。

 彼女お貸ししますとの対戦が受理されました。侵略ゲートの場所を指定して下さい。】







 対戦者は随分と高尚な趣味をお持ちらしい。借りるのだとしても、それってどうなの?と思うのに貸すだなんて。



 まぁ…。相手がどうしても、と言うなら借りるのもやぶさかではない。





「ゲートを魔王軍の前へ。」











 ゲートの向こう側に辿り着くと、辺り一面が白で覆いつくされている。空から降り注ぐ太陽光が反射してキラキラと光り、目が眩むようであった。それは銀世界と表現されるに相応しい幻想的な雪景色。





 魔王軍はその光景に驚いてはいたが、すぐに探索を開始した。彼らはその寒さにもかかわらず、初めての雪に気分アゲアゲで楽し気に歌いながら散策している。





 お前らピクニック気分かよ…。







 そうしてピクニックを楽しんでいる魔王軍は、全身が真っ白い毛で覆われた2.5m程の獣と遭遇する。





 どう見てもシロクマである。昔、動物園で何度もお世話になったものだ。











 学生時代お付き合いしていた女の子がシロクマ好きで、喧嘩する度に動物園へ連れて行きシロクマを見せるのだ。それが定番の仲直りイベントであった。







 何故別れたかって?



 シロクマと私、どっちが可愛い?と聞かれたので彼女だと言うと、シロクマは世界一可愛いんだと涙ながらに力説され、じゃあシロクマの方が可愛いと言えば、私じゃないの?と泣きながらに俺を責めてくるのだ。



 どうしろってんだよ…。







 最初はそんなところも可愛いと思っていたのだが、これが週3日制で行われる。彼女は他に目移りしないタイプであった為、当然交代要員は一切無し。1年で疲れ果ててしまった。





 今にして思えばなかなかの狂気である。







 彼女の洗脳が功を奏したのか、俺はシロクマを好きになった。



 でも、俺は彼女がちょっと嫌いになった。















 そんな話は置いておいて、そのシロクマである。





 シロクマは魔王軍を気にする事なく、もくもくと手を動かして何かをしている。



 俺は気になり映像を拡大すると、氷で出来た丸いお皿に雪と果物を盛りつけしていた。





 白いくまのアイスだ…。









 周りを見れば、他にも同様に盛り付けを行っているシロクマがちらほらと見える。





 その果物どこから持ってきたんだよ。







 盛り付けている果物はイチゴにミカン、パイナップル、キウイ…と多様であり、どう見てもこの場の植生と合わない。









 シロクマ欲しいなぁ…。







 俺は思わずシロクマ達を捕獲し、こちらの世界に連れてくるようサリリに指示を出した。





(捕獲魔法起動、有視界内全てのシロクマを囲うように縦横5m、高さ3mの檻を形成。材質は鋼、魔力でコーティング。檻ごと転移魔法を起動し、座標を元世界の北極点へ。)



「汝のあるべき場所へ帰れ。キャッチ&リリぃぃス!」



 サリリは杖をクルクルと回すように振ると、シロクマ達は突如出現した檻に捕らわれ、悲しそうな鳴き声をあげる。



 それはまるで、助けを訴えているようであった。



 檻は点滅するように輝いており、徐々に点滅の感覚が短くなっていき最後には…。











 この世界から中身ごと消え去った。







【彼女お貸ししますが音声通話を申請してきました。承諾しますか?】







 お?対戦相手に連絡って出来たの?



 今まで、よろ~、とかお願いします、とかオンラインゲーム基本の挨拶なんてしてなかったんだけど。今度からは対戦前に挨拶しとこ。





「許可。」





【彼女お貸ししますと通話を開始します。】





「初めまして。」



「初めまして。対戦ありがとうございます。」





 女性の声だ。





「シロクマをどうしたんですか?」





 声の中に憎しみがこもっている。



 相手は明らかに怒ってるな。



 対戦とは言え、こっちが無理矢理連れ去ったのだから、ここは素直に謝っておこう。





「すみません。シロクマがあまりに可愛かったので、つい自分の世界に連れて行ってしまいました。」





 許してくれるだろうか?





「あ、そうだったんですね!シロクマ可愛いですもんね。」





 先程とは一転して、嬉しそうな声に変化する。





「実は私、シロクマが昔から好きで、このゲームを始めた時からシロクマの世界を創って眺めていたんです!」





 話を聞けば、どうやら彼女はゲームを始める際にシロクマという種族の存在強度を一律で設定したらしく、全部の個体がそこそこ強いようだ。



 種族全ての存在強度を1上げる為にはWP1,000消費するそうで、現在のシロクマは存在強度330,000だとの事。



 ゲーム内時間を早送りに設定し、地道にWPを稼いでシロクマ達を一律に強くしていったらしい。ちなみに現在の個体数は6万頭程だとか。





「もし良かったら直接会ってお話しませんか?同じシロクマ好きの人に会えると思っていなくて、本当に嬉しかったんです!」



「それは良いですね。ぜひとも!」





 シロクマ好きという事で気に入られたらしい。



 ランク30を超えるとフレンド登録機能が解放され、お互いに行き来できるようになるそうだ。



 ヘルプさんはそんな機能教えてくれなかったんですけど?





「それでは今回は私が降参しますので、是非シロクマについて語り合いましょう!先程あなたが捕まえたシロクマ達は、そのまま大事に育ててあげて下さい。また後で!」





 そう言って互いにフレンド登録と会う約束をし、通話を終えた。







【彼女お貸ししますが降参しました。勝利報酬として1,000,000WPが与えられます。

 あなたは創造神ランクが49になりました。おめでとうございます。

 格上討伐報酬として10万上げる君を40個進呈します。】











 オンラインゲームを通して付き合うようになったカップルの話は時々聞くが、もしかして俺も…。と想像するとワクワクが抑えられない。





 早く会いたいな。声は可愛かった。きっと顔も可愛いに違いない。























 しかし、どっかで聞いた事ある声だったような……。

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