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四 メタルヒーロー、立つ。
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深緑の町マーテルの冒険者ギルド支部。重厚そうな執務机に乗った大量の書類の山の隙間から、ギルド長のロウェインが頭を抱える姿が見えた。
「モーガンの方から突っかかって来たんだぜ? ゴーギャンは悪くねぇよ」
ソファーに座るなり、ロウェインに言うナミル。
彼女の言う通りゴーギャンは単に因縁を付けられただけに過ぎず、決闘も、モーガンのヤロウから吹っ掛けられてそれを撃退しただけだ。
「分かっている。周りからの聴取でもアイツが悪い事もな」
『彼は、何故あんな真似を?』
魔魅の女性的な声が男性的なイケボに変換されて室内に響いた。
「あー、それなんだが……」
ロウェインは視線を少し落としてため息を吐いた。
「実は以前、彼が受けた依頼の最中に仲間の一人がマッドイーターに襲われてしまってね。それからというもの、彼はマッドイーター殲滅に執念を燃やす様になったんだ」
『そんな事が……』
「ああ。宴の時に姿が見えなかったからおかしいと思っていたが、囮の家畜を探しに町を出ていたとはね。私も気付かなかったよ」
目の前で仲間を失った無力感。それが自身のミスからだとしたらやりきれない思いだろう。殲滅させてやる。と、そう思うのも無理はない。
事情を知らぬとはいえ狩ってしまって申し訳なく思う魔魅。それが姿勢と連動して俯き加減に座っている。その様子を見てロウェインが口を開いた。
「何もゴーギャン君が悪い訳ではない。そう畏るな」
『しかし……』
「世の中は弱い者から死んでいく。ならば強くなるしかない。自身だけじゃなく仲間をも守れる程に。それくらい彼も分かっているさ。いずれは立ち直ってくれるとオレは信じているよ」
そう言いながら、ロウェインの視線は一瞬だけ遠い過去に向けられた。
「さて。キミ達をここへと呼んだのは、件の騒ぎを咎める為ではない。他に理由があったからだ」
『理由とは?』
「先ずはこれを見てくれ」
言ってロウェインは書類の山の影から何かを投げて寄越す。それは丸められた羊皮紙だった。ナミルがそれをキャッチして広げると、彼女の額に皺が寄った。
「何だこりゃ。この周辺の地図じゃねぇか」
『このバツ印は……?』
赤いインクで大きくバツと書かれたその場所は周囲を山に囲まれている。マーテルの町からかなり離れた場所だ。
「守備隊から聞いた話では、その場所でゴブリンの砦が作られていたそうだ」
「ゴブリンの砦だって!?」
話の内容に目を剥いて再度地図に視線を落とすナミル。
ゴブリンは通常、小さな集落を作って生活している。数にして数匹から十匹程度。それが砦となると数百からの集団が生活している事になる。
「そばを流れる川は大きく迂回して別な所へと流れていて、人の往来も無い事から気付くのが遅れたと言っていたな」
ロウェインは無意識に顎に触れる。再び伸びてきたヒゲの感触を楽しむ様に指を動かした。
「キミ達が倒したゴブリンは恐らくはここから来たのだろう。守備隊は斥候部隊ではないかと疑っている。もし部隊行動を取れる程に教育されているとなると少し厄介な事になる」
「厄介な事?」
「十七年前に起きた厄災。それが再び訪れる」
今から約十七年前。周囲のゴブリン集落を統廃合し、その数が極大に膨れ上がったゴブリン達が王都へと大挙として押し寄せた事件があった。
「騎士団の活躍によって辛うじて国が陥ちる事は免れたがな。間に合わなかった町や村は何処もかしこも死体だらけだったんだ」
犠牲者の数は数千人に上ると事後調査で判明している。
「とにかく酷い有様だった」
天井を見上げ当時を振り返るロウェイン。城壁の厚い街などは被害は少なかったが、壁の薄い。もしくは壁自体が無い町や村は何処へ行っても腐臭が漂っていた。
「んじゃ、その厄災を防ぐ為にオイラ達で砦を攻略するって事だな」
手と拳をパシンと合わせ、話は済んだとばかりに立ち上がるナミル。だがロウェインは落ち着いた声で諌めた。
「待て。そうはやるな。砦攻略は王国軍の領分だ。邪魔は出来ん。恐らくだが、冒険者ギルドはマーテル防衛を言い渡されるはずだ」
流石に国家の一大事に信用のおけない冒険者を投入する訳にはいかない。軍隊が出動する以上は脇役に徹するのが普通である。その采配にナミルは不機嫌そうであった。
「何だよそりゃ。オイラだって活躍してぇよ。ゴーギャンもそう思うだろ?」
ゴーギャンの活躍を間近で見たからこそオレも。と、感化されたナミルからの言葉に首を横に振って魔魅は応える。
『前線に立つ事だけが活躍じゃないよ。後方で守るべきを守る。それも活躍の内だよ』
地味だけどね。と魔魅は付け加えた。
「ゴーギャン君の言う通りだな。国の一大事に率先して最前線に立つのが、民から税を貰っている彼等の責務だ。我々の場合は一般民では解決出来ない、かといって軍が出るほどでもない案件を処理するのが役目だ。まあ、いわゆる便利屋ってやつだな」
「便利屋……」
「ナミル君が採って来てくれていた薬草。あれだって立派な活躍だ。依頼主は大変喜んでいたぞ」
「え? そ、そうなのか?」
その目的が王都へ行く為の路銀稼ぎだとしても、安い賃金でコストが抑えられている事には変わりはないので依頼主は大喜びだ。けれど安い賃金でこき使った分、ナミルの様な鼻の効く亜人族が居なくなったら痛い目を見る事になるだろう。
「さて。そういう訳で、『鋼』ランクのゴーギャン君と『鉄』ランクになったナミル君にはマーテルを防衛する為に『活躍』してもらうぞ」
「! 任せてくれよ!」
ロウェインは殊更に活躍を強調すると、ナミルは一度落ち着けた腰を勢いよく上げた。と同時に、ギルドマスターの執務室の扉が勢い良く開け放たれた。
執務室の扉を勢い良く開けたのは受付嬢のアリサ。その顔色は悪く、余程慌てていたのか肩で荒い息を繰り返していた。彼女が扉を開けるのと同時に外からの喧騒も室内へと流れ込み、それがただ事ではない事にロウェインは気付き勢い良く立ち上がる。
「どうした、何事だ!?」
アリサはゴクリと呼吸で渇いた喉を潤してから口を開いた。
「ゴブリンの、襲撃です!」
「何だと?!」
『何?!』
「何だって?!」
ロウェインと魔魅とナミル。三人が同時に声を上げた。
☆
冒険者ギルドを飛び出し町中へと出ると喧騒は悲鳴へと変わっていた。小さな子を連れた母親や、杖を突いて歩く老人などが列を成し、守備隊によって町の中心部へと案内されていた。
ロウェインは兵士の一人に声をかけ、隊長のアラン殿は何処に居るのかを聞いた。
「隊長なら守備隊詰め所に居るはずだ」
「分かった。ありがとう」
礼を言って兵士を見送り、ゴーギャンの方へと振り返る。
「私はアラン殿の所へ行ってくる。キミ達は路地裏を回って、逃げ遅れている人達を町の中心部へと案内してくれ」
『分かった!』
「了解だぜ!」
三人はそれぞれに頷き三方向へと散った。
☆ ☆ ☆
マーテル守備隊の建物へと近付くにつれ、鎧をガチャつかせた兵士達が行き交う。その手には弓と矢を持っている事から高台から狙い撃とうとしてるのが分かる。
ロウェインが開け放たれたままの扉を潜ると、兵士の一人に指示を出し終えたアランがドッカリと椅子に座る所だった。
「ギルドマスターか」
疲れた様子でロウェインを見るアラン。
「状況はどうなっているんだ!?」
「ゴブリンが大挙として押し寄せた。その数は分からない。とにかく多いだそうだ」
「まさか砦の中にそんな数が居たのか?」
「居たのだろうな」
参ったよ。とアランは頭を抱える。
「こちらの準備が整う前に襲撃されるとは予想外だ。辛うじて町への侵入は阻止できたがな、ぐるりと町を包囲されてしまった」
「く……マッドイーターを狩った事が裏目に出てしまったか」
町の南方にある沼地に棲息していた魔物を倒してしまったが為に、ゴブリンが沼地へと入り込む結果となってしまっていた。
「どうなんだ? 町は保つのか?」
「町は大丈夫だ。門を含め千年樹で出来た外壁はどんな攻撃にもビクともしない。しかし、逃げ道を完全に塞がれてしまった」
「って事は籠城しかない訳だが……」
頭の中で計算をするロウェイン。その結果は握り拳を作って苦い顔となった。
「今、ギルドマスターが思っている通りだ。食料はある。水も汲ませているし酒もある。が、川に毒を流されては非常に不味い事になる」
揮発した毒素が人体に悪影響を及ぼす可能性がある為だ。
「王国軍の到着は?」
「早くて二十二日後だ」
「絶望的だな」
ゴブリン急襲の伝令は既に出した。それが王都に到着し軍を緊急編成して王都を進発。その往復にそれだけの日数がかかる。騎馬隊だけならもっと早いだろうが、深い森の中では馬は何の役にも立たない。
「とにかく、隊には遠距離から弓を使って攻撃する様に伝えているが、ゴブリンの毒矢に倒れる者が増えてきている。このままでは人手不足は否めない」
「攻城兵器が無いのが幸いか……」
「ああ。あったらもう既に陥ちているだろうな」
アランがそう言うのと同時に、体の芯へと響く様な音が何処からともなく響いてきた。
「な、なんだ?!」
振動で埃が落ちる天井を見上げ、ロウェインが狼狽えていると、一人の兵士が詰め所に駆け込んで来た。
「隊長っ、大変です!」
「どうした!?」
「ゴブリン達が丸太を使って門を破ろうとしています!」
「何だと!?」
アランは机を叩きながら勢い良く立ち上がり、兵士に向かって阻止する様にと伝える。
「不味い事になったな」
「ああ。まさか破城槌まで持ち出すとはな……」
破城槌。最も簡素な攻城兵器で、木を切り倒し枝を落とした丸太状の棒を数人から数十人が両側から持ち、何度も突進して城門にぶつけて破壊するものである。
「どうする? 町へ侵入されたら終わるぞ」
「分かっている」
アランとてそれくらいは分かっている。そして皆殺しにされるくらいなら僅かな可能性に賭けてみようと思い立った。
「……この町に冒険者はどれ位居る?」
地図から視線を逸らさずに言ったアランにロウェインの目がスッと細くなる。
「今、何を考えた?」
「町の住民をリムウッドに逃す」
町の南の沼地を通り、森を抜けた先にある農村リムウッド。アランの頭の中にはそこへの退避がベストだと結論を出していた。
しかし、住民には女子供や老人も居る為に移動速度はかなり遅くなる。敵の追撃を受けるのは確実であり、注意を逸らす為の人員が必要となる。アランはそれを冒険者に任せようと考えていた。それを見透かしたロウェインが拳をテーブルに叩き付けた。
「我々に囮になれというのか!?」
「……お前の怒りも最もだが、他に方法が無いのだ。我々が殿を引き受けては一体誰が民を率いるのだ?」
机に拳を叩き付けたままの格好でギリギリと奥歯を噛むロウェイン。二人の対決はゴブリンが町へと雪崩れ込んでくるまで続くかと思えた。
一方その頃、逃げ遅れた住民の避難誘導を行なっていたゴーギャンは、その異形な姿に驚いて木の枝に登って降りて来られなくなった猫を捕獲していた。
☆ ☆ ☆
ドォン――。腹の底に響く衝撃がマーテルの町を駆け抜けていった。積もった埃がパラパラと下に落ち、避難所へと急いでいた住人たちは思わず立ち止まる。町は静寂に包まれた。
ドォン――。二度目の衝撃。それは門の外から聞こえた。群衆は恐怖に駆られて先を争う様に避難所へと走り出す。幼い我が子を抱え祈る母親。杖を突きながら急ぐ老人。一転して町には悲鳴が上がった。
ドォン――。三度目。破城槌を確認した兵士は報告と指示を受ける為に守備隊詰め所に駆け戻り、残った兵士たちは矢を放つ。しかし、効果は薄い。
ドォン――。四度目の音と共に千年樹で作られた門に亀裂が走る。その亀裂の向こう側では緑色の物体が蠢いていた。懸命に矢を射続けていた兵士達も町の未来に絶望を感じていた。
今にも破壊されそうな門の前に、一人の人物が立っていた。門の亀裂から漏れ出る笑い声ともつかぬ魔物の言葉を受け流し、亀裂の奥で蠢く緑を睨み付けていた。その人物は見た事もない素材で出来た甲冑を着込み、胸に付いたエンブレムや関節部から淡い光を放っている異形な者であった。
『フィストオン』
『フィスト・オン。ウェポンスキル・レディ』
その者が言葉を放つと同じ甲冑の中から、今度は別な声色が言葉を放った。異形な者がドッシリと腰を据えて構えたその拳には、腕よりは二回り程の大きさのナックルが付いていた。
そして五度目。破城槌はひしゃげた門を突き破って大穴を開けた。異形の者はそれを待っていたかの様に言葉を口にする。
『メテオインパクト』
『マキシマムアタック』
その言葉と同時に異形の者の姿が掻き消える。直後、破城槌で開けた穴より更に大きな穴が開いた。その向こうでまだかまだかと出番を待ち侘びていた緑色の侵略者達が瞬時にこの世から消え失せた。
急加速の空気摩擦によってその身に熱気を纏い、突然現れた異形の者にゴブリン達は恐れ慄いた。
『そうはさせない』
静かに吠えた。撮影時に幾度となく叫んだ台詞だったが、今の彼女の瞳には確固たる意志の光が宿っていた。そして再びあの言葉を解き放つ。
『メテオインパクト!』
『マキシマムアタック』
初めの熱のこもった台詞。続く冷静沈着な声が、静まり返った戦場を貫いた。そしてゴブリン達が気付いた時には隣に居た仲間がゴッソリと居なくなっていた。
普通なら、恐怖に駆られて蜘蛛の子を散らす様に逃げ出していたゴブリンも、兵士として鍛え上げられていた為に一匹たりとて逃げ出す者は居ない。それは過去にファンタジー関連の勉強をしていた魔魅には誤算だった。
(目の前で恐怖を味わえば、逃げ出すと思っていたけれど……)
周りをグルリと見渡す。目の前だけでなくその奥にもまだまだ多くの緑で埋め尽くされていた。
(敵対反応は……三桁越え!?)
バイザーが算出した数値に驚きを隠せない魔魅。現時点でのゴーギャンの武装は多々数の敵に対して効果のあるモノは無い。けれどそれを少しでも補う技なら存在する。ほんの数秒でも町への侵入路を開けてしまう事にはなるが背に腹は代えられない。と、そう判断した魔魅は空を見上げた。
『ジェットブラスト!』
『アンチグラビティ・アクティベート』
魔魅の声にAIが反応してゴーギャンの各部スラスターを作動させる。その推力は星殻鎧を空へと押し上げるほど。そして上空から敵が密集している場所を目標に、魔魅がロックオンする。
『メテオインパクト・グランドアタック!』
『アンチグラビティ・オフライン。フルスラスター』
物見台の兵士には空から降ってきた何かが地面に激突した様に見えた。地面に叩きつけた衝撃は波紋の様に波を打ち、直後に轟音が森に木霊する。そして、地が抉れた。
その範囲に巻き込まれたゴブリン達は宙を舞い、木に叩きつけられ、飛来した岩片に押し潰された。蠢く緑がそこだけ円状に消えていた。
「なんという力だ……」
危うく落ちそうになって物見台にしがみ付いていた防衛隊の兵士は、その威力に矢を撃つ事も忘れてただただ驚いていた。
土煙漂うクレーターの中心でゴーギャンが立ち上がる。彼女は少し荒い息をしていた。
(結構キツイな……これ)
スーツの反重力装置を作動させているとはいえ急加速に対する重力までは遮断が出来てはいない。その度に体に負担が掛かるのは特撮と現実との違いだ。
魔魅はスーツアクターとしての訓練を欠かせずやって来たが、それはあくまで着ぐるみ状態のスーツを動かす場合に限っての事だ。本物と化した星殻鎧の負荷は魔魅が思っている以上に高い。
(あまり無理は出来ない、か)
そうは思っても無理をしないとどうにか出来る数ではない。仕方がない。もう一度さっきの技をお見舞いしてやろう。そう思って空を見上げた魔魅に、丸太が土煙を割いて飛来した。
『クッ!』
飛んで来た丸太を辛うじてかわす。その丸太に魔魅は見覚えがあった。
『これは、さっきの破城槌?!』
初撃のメテオインパクトで吹き飛ばした筈の破城槌。それが今まで彼女が立っていた場所に突き刺さっている。
『こんな重い物が飛ばせる訳がない。という事は……』
数人から数十人で扱う物である以上、投げるなんて芸当は出来ない。という事は、この重量物を投げられる存在が向こう側には居る。そしてゴーギャンのバイザーはそれを投げた存在を土煙の中に輪郭のみを表示させた。
(大きい……)
土煙を掻き分けて姿を見せたゴブリン。背は魔魅よりも高く筋骨隆々なその体に丸太のような腕。粗末な腰布から大地に根を下ろした巨木の様に逞しい足が伸びる。
周囲のゴブリン達はそのものの出陣を鼓舞する様に地面に足を踏み付けて鳴らしながら、「ウォッフ。ウォッフ」と一斉に吠え立っていた。
その様子からもそれが一線を画している相手である事が魔魅にも理解が出来た。
普通のゴブリンよりも知能が高く、戦略や戦術を理解し、野良同然のゴブリン達に教育を施して軍隊行動を可能とさせた。それはゴブリン達の指揮官的存在。そのものの名はゴブリンジェネラル。その名を知る者はここにはいない。
「コロサレタブカノウラミ、オマエノチデアガナッテモラウゾ」
犬歯を覗かせながら魔魅に向かって指を差すジェネラル。片言ながら言葉を発したゴブリンに魔魅は驚きを隠せなかった。
『ゴブリンが喋った!? ファンタジー関連は一通り勉強したけど、そんな設定なかったわよ?!』
勉強不足だったのか。と、魔魅は呟く。ゴーギャンの武装リストから肩の武器を選択すると、肩部分の装甲開いて中から筒状の棒がせり出る。腕をクロスさせて引き抜くと棒は伸びて円筒となった。
『ショルダーアームズ・オンライン』
AIの音声で円筒が僅かに光る。その中では粒子が加速して摩擦を生み出し、エネルギーを蓄積させていく。
「イクゾ、チイサキヨワキモノヨ!」
ジェネラルは駆け出して魔魅との距離をあっという間に詰めると、両手を組んで合掌落としを放つ。
(疾い! けどっ!)
華麗なステップを踏んでジェネラルの攻撃を躱してライトニングソーサーに指示を出し、自身は大きく後退する。その魔魅を追いかけようとするジェネラルにライトニングソーサーから轟音と共に雷撃が放たれた。
「ガアッ!?」
『今っ!』
雷を受けてその動きが一瞬止まる。その隙を突いて、魔魅は必殺のメテオインパクトを放った。しかし――
『ウソでしょ?!』
魔魅は目を見開き驚愕する。ゴブリンを爆散させる程の威力を持つ技を、受け止められる存在が居るとは思いもよらなかったからだ。
慌てて距離を取る魔魅の目の前を破城槌の様な拳が空を切る。あれが直撃していたらと思うとゾッとした。
「ニゲルノカ? チイサキヨワキモノヨ」
周囲のゴブリン達から笑いとも取れる声が上がる。お前達の方が私よりも小さいじゃんよ。と心の中で突っ込みを入れた。
『それよりも、まさか中級怪人みたいなのがこんな間近に居るとは思わなかったわ』
番組内においてメテオインパクトは下級戦闘員にこそ効果がある技だ。それが通用しないのが中級以上の怪人だ。
ファンタジー世界を学ぶ過程で魔魅の中では最強種のドラゴンを上級怪人と位置付けていた。それよりも少し弱いのが中級だとも。もちろんその辺の小さいゴブリンは下級の戦闘員である。
しかし、そのゴブリンの中に中級が居た事によって自身の認識を改めねばならなかった。
『これが異世界か……』
設定資料だけでなく、小説やマンガを読み込んで勉強をした魔魅。転移者がすんなりと戦いの中に身を投じているのがほとんどで、戦いそのもののの恐怖はあまり描かれてはいなかった。今までは格下相手に無双をしていただけに過ぎないと思った途端に身が竦んだ。
右腕の内側の装甲が開き、手の平の中に一本の筒が滑り込む。それをグッと握り締めると、筒の先端から光の棒が伸び出した。その奇怪な現象にゴブリン達が騒めく。
『コアブレード・オンライン』
AIの音声が武器の名を告げる。その武器が僅かながら震えていた。
(正直怖い。今すぐ逃げ出したいくらいに。でも、私が逃げたらこの町の人々が犠牲になってしまう。だから私が引く訳にはいかない)
魔魅は奥歯を噛み締めブレードを強く握る。それに応えてかブレードの太さが僅かに増えた。
『正義のヒーローが、怖いからといって逃げ出す訳にはいかないっ!』
彼女はそう叫び、光刃を構えて巨大な敵に立ち向かった――
☆ ☆ ☆
薄暗い深い森の中に、コアブレードの光が時折火花を飛び散らせながら流れる様な軌跡を残していた。何でも焼き切るヒートソード。公式設定ではそう説明があるのだが、槍よりも長い巨大な長剣を焼き切る事は易くない。
何処からか奪ったのか。あるいは自らが作り出したのかは分からない。長さが五メートルはあろうかという長剣を易々と振り回していて魔魅は懐に入る事ができずにいた。
『クッソッ。一体、何処からこんな、武器をっ、持ってきたのよっ』
遠心力によって高速で振り回され、土埃を上げる剣を愚痴りながら避ける魔魅。余裕がありそうに見えて一発でも当たれば行動に支障が出る威力。まともに撃ち合ったところで押し負けるのは目に見えている。かといってこのまま避け続けていても限界はくる。それが目の前のデカいやつより早いか遅いか。
(アレさえ使えればこんなヤツ簡単に倒せるのに)
魔魅の言うアレとはゴーギャン最大の必殺技である。星殻鎧の限界値を超えて繰り出すこの技の威力は絶大を誇る。
(コイツが倒れて周りのゴブリンが逃げてくれればいいけど……)
彼女がそう言うのも、その必殺技を使うとスーツが強制的にクールダウンを行なってしまい、数分間は身動きが取れなくなってしまうという公式設定があるからだ。その間、魔魅はゴブリンの群れの中で無防備な状態になってしまう。
空気を裂く音と共に長剣が振り下ろされる。それを辛うじて弾き返す。ここへきて魔魅の動きは繊細さを欠いていた。
今まで躱していた敵の攻撃をコアブレードでいなす場面が増えてきていた。それによりブレードを持つ手に負荷がかかり始め、痺れを感じ始めていた。魔魅はハッと気付く。
(ダメだ。これ以上はもう保たない。スーツが持ち堪えてくれるのを信じて使うしかないっ)
魔魅は待機状態のライトニングソーサーを呼び寄せる。雷撃を放ち硬直した隙を突いて技を放つつもりだ。エネルギーはチャージが完了していて即、雷撃が放てる様になっていた。
魔魅は攻撃をいなしながらライトニングソーサーを配置に付かせる。そしてジェネラルの攻撃を弾き返した所で雷撃を放った。
「グアッ!?」
『今だ! スタースーツ・ブレイ……』
最終奥義を発動させる為のプロセスを実行に移そうとした瞬間、痺れて動けないはずのジェネラルが動き出す。
『なっ!?』
「バカメ。オナジワザガニド、ツウヨウスルトデモオモッタノカ」
ゴブリンジェネラルは剣を大きく振りかぶり、隙だらけの魔魅の脳天へと振り下ろす。眼前に迫る長剣。その動きは魔魅にはスローに見えた。
(あ。ダメだ)
ジェネラル渾身の一撃が軽度のダメージで済むはずがない。スーツは破壊されて魔魅には死のビジョンが見えた。
しかし、それは現実とはならなかった。
「ナニッ!?」
何処からともなく飛んできた何かによって長剣は大きく弾かれた。ジェネラルに大きな隙が生じた。
『今だ!』
死の香りを感じながらも魔魅はコアブレードを構えて腰を低く落とした。
『星殻鎧・光翼展開!』
『コアシステム・アクティベート。全機能解放』
AIの音声と同時にゴーギャンの各部位から光が溢れ出す。背中のスラスターからは光の粒子が溢れて翼の形を成し、ゴーグル部分は目が輝き始めた。
『スタンバイ。……オールシステムズ・アクティベート』
スーツに搭載されたAIがゴーサインを出すと、バイザーに『Standby』と記されていた表示が『Online』サインに切り替わった。
『行くぞ! ゴーギャンスラッシュ!』
『限界突破・全力運転』
AIの音声が響いたその瞬間、ゴーギャンは一筋の光となってゴブリンジェネラルを貫いた。そしてジェネラルの背後に再び姿を現したゴーギャンは排熱口から噴き出した水蒸気の中にその姿を消した。
ズズン。と、地響きをあげて倒れるジェネラル。その風圧でゴーギャンから吐き出た水蒸気が霧散する。コアブレードを突き出した格好のままで動かないゴーギャンと、胸に風穴を開けられ地に伏すジェネラル。熱狂的だったゴブリン達も何が起こったのか理解が出来ず場は静寂に包まれた。
その中で、魔魅だけが冷静ではいられなかった。技の発動後のクールダウンで指先一つ動かす事の出来ない魔魅。バイザーにはあと四分のカウンターが表示されていた。
(お願い、そのまま気付かないで呆けていて)
早く、早く。と、急く魔魅。それを嘲笑うかの様に時はゆっくりと流れていく。その時、一匹の好奇心旺盛なゴブリンが、おぼつかない足取りで動けない魔魅の側に近寄る。
(あっ、ダメ。こっちに来ないで、来ちゃダメだってば! しっしっ、しーっ!)
ふー、ふーっ。とヘルメットの中でつい息を吹きかけている魔魅。ゴブリンは魔魅を覗き込むように見上げていた。そして――
「ギャーッ、ギャッギャッ!」
『ギャーッ!』
(不味いっ!)
ゴブリンに呼応するかの様に周りのゴブリも騒ぎ始める。ゴーギャンの翻訳機能をもってしてもゴブリンの言葉は分からない。けれど魔魅には自分が動けない状態にある事がバレたと感じた。
(まだ動けないの?!)
バイザーに表示されているカウントダウンはまだ二分以上残っている。徐々に狭まる囲みに焦りが募る。
(お願い、動いて! 動いてよぉっ!)
必死になって力任せにスーツを動かそうとする魔魅。ゴブリン達の刃はすぐソコに迫っていた――
「モーガンの方から突っかかって来たんだぜ? ゴーギャンは悪くねぇよ」
ソファーに座るなり、ロウェインに言うナミル。
彼女の言う通りゴーギャンは単に因縁を付けられただけに過ぎず、決闘も、モーガンのヤロウから吹っ掛けられてそれを撃退しただけだ。
「分かっている。周りからの聴取でもアイツが悪い事もな」
『彼は、何故あんな真似を?』
魔魅の女性的な声が男性的なイケボに変換されて室内に響いた。
「あー、それなんだが……」
ロウェインは視線を少し落としてため息を吐いた。
「実は以前、彼が受けた依頼の最中に仲間の一人がマッドイーターに襲われてしまってね。それからというもの、彼はマッドイーター殲滅に執念を燃やす様になったんだ」
『そんな事が……』
「ああ。宴の時に姿が見えなかったからおかしいと思っていたが、囮の家畜を探しに町を出ていたとはね。私も気付かなかったよ」
目の前で仲間を失った無力感。それが自身のミスからだとしたらやりきれない思いだろう。殲滅させてやる。と、そう思うのも無理はない。
事情を知らぬとはいえ狩ってしまって申し訳なく思う魔魅。それが姿勢と連動して俯き加減に座っている。その様子を見てロウェインが口を開いた。
「何もゴーギャン君が悪い訳ではない。そう畏るな」
『しかし……』
「世の中は弱い者から死んでいく。ならば強くなるしかない。自身だけじゃなく仲間をも守れる程に。それくらい彼も分かっているさ。いずれは立ち直ってくれるとオレは信じているよ」
そう言いながら、ロウェインの視線は一瞬だけ遠い過去に向けられた。
「さて。キミ達をここへと呼んだのは、件の騒ぎを咎める為ではない。他に理由があったからだ」
『理由とは?』
「先ずはこれを見てくれ」
言ってロウェインは書類の山の影から何かを投げて寄越す。それは丸められた羊皮紙だった。ナミルがそれをキャッチして広げると、彼女の額に皺が寄った。
「何だこりゃ。この周辺の地図じゃねぇか」
『このバツ印は……?』
赤いインクで大きくバツと書かれたその場所は周囲を山に囲まれている。マーテルの町からかなり離れた場所だ。
「守備隊から聞いた話では、その場所でゴブリンの砦が作られていたそうだ」
「ゴブリンの砦だって!?」
話の内容に目を剥いて再度地図に視線を落とすナミル。
ゴブリンは通常、小さな集落を作って生活している。数にして数匹から十匹程度。それが砦となると数百からの集団が生活している事になる。
「そばを流れる川は大きく迂回して別な所へと流れていて、人の往来も無い事から気付くのが遅れたと言っていたな」
ロウェインは無意識に顎に触れる。再び伸びてきたヒゲの感触を楽しむ様に指を動かした。
「キミ達が倒したゴブリンは恐らくはここから来たのだろう。守備隊は斥候部隊ではないかと疑っている。もし部隊行動を取れる程に教育されているとなると少し厄介な事になる」
「厄介な事?」
「十七年前に起きた厄災。それが再び訪れる」
今から約十七年前。周囲のゴブリン集落を統廃合し、その数が極大に膨れ上がったゴブリン達が王都へと大挙として押し寄せた事件があった。
「騎士団の活躍によって辛うじて国が陥ちる事は免れたがな。間に合わなかった町や村は何処もかしこも死体だらけだったんだ」
犠牲者の数は数千人に上ると事後調査で判明している。
「とにかく酷い有様だった」
天井を見上げ当時を振り返るロウェイン。城壁の厚い街などは被害は少なかったが、壁の薄い。もしくは壁自体が無い町や村は何処へ行っても腐臭が漂っていた。
「んじゃ、その厄災を防ぐ為にオイラ達で砦を攻略するって事だな」
手と拳をパシンと合わせ、話は済んだとばかりに立ち上がるナミル。だがロウェインは落ち着いた声で諌めた。
「待て。そうはやるな。砦攻略は王国軍の領分だ。邪魔は出来ん。恐らくだが、冒険者ギルドはマーテル防衛を言い渡されるはずだ」
流石に国家の一大事に信用のおけない冒険者を投入する訳にはいかない。軍隊が出動する以上は脇役に徹するのが普通である。その采配にナミルは不機嫌そうであった。
「何だよそりゃ。オイラだって活躍してぇよ。ゴーギャンもそう思うだろ?」
ゴーギャンの活躍を間近で見たからこそオレも。と、感化されたナミルからの言葉に首を横に振って魔魅は応える。
『前線に立つ事だけが活躍じゃないよ。後方で守るべきを守る。それも活躍の内だよ』
地味だけどね。と魔魅は付け加えた。
「ゴーギャン君の言う通りだな。国の一大事に率先して最前線に立つのが、民から税を貰っている彼等の責務だ。我々の場合は一般民では解決出来ない、かといって軍が出るほどでもない案件を処理するのが役目だ。まあ、いわゆる便利屋ってやつだな」
「便利屋……」
「ナミル君が採って来てくれていた薬草。あれだって立派な活躍だ。依頼主は大変喜んでいたぞ」
「え? そ、そうなのか?」
その目的が王都へ行く為の路銀稼ぎだとしても、安い賃金でコストが抑えられている事には変わりはないので依頼主は大喜びだ。けれど安い賃金でこき使った分、ナミルの様な鼻の効く亜人族が居なくなったら痛い目を見る事になるだろう。
「さて。そういう訳で、『鋼』ランクのゴーギャン君と『鉄』ランクになったナミル君にはマーテルを防衛する為に『活躍』してもらうぞ」
「! 任せてくれよ!」
ロウェインは殊更に活躍を強調すると、ナミルは一度落ち着けた腰を勢いよく上げた。と同時に、ギルドマスターの執務室の扉が勢い良く開け放たれた。
執務室の扉を勢い良く開けたのは受付嬢のアリサ。その顔色は悪く、余程慌てていたのか肩で荒い息を繰り返していた。彼女が扉を開けるのと同時に外からの喧騒も室内へと流れ込み、それがただ事ではない事にロウェインは気付き勢い良く立ち上がる。
「どうした、何事だ!?」
アリサはゴクリと呼吸で渇いた喉を潤してから口を開いた。
「ゴブリンの、襲撃です!」
「何だと?!」
『何?!』
「何だって?!」
ロウェインと魔魅とナミル。三人が同時に声を上げた。
☆
冒険者ギルドを飛び出し町中へと出ると喧騒は悲鳴へと変わっていた。小さな子を連れた母親や、杖を突いて歩く老人などが列を成し、守備隊によって町の中心部へと案内されていた。
ロウェインは兵士の一人に声をかけ、隊長のアラン殿は何処に居るのかを聞いた。
「隊長なら守備隊詰め所に居るはずだ」
「分かった。ありがとう」
礼を言って兵士を見送り、ゴーギャンの方へと振り返る。
「私はアラン殿の所へ行ってくる。キミ達は路地裏を回って、逃げ遅れている人達を町の中心部へと案内してくれ」
『分かった!』
「了解だぜ!」
三人はそれぞれに頷き三方向へと散った。
☆ ☆ ☆
マーテル守備隊の建物へと近付くにつれ、鎧をガチャつかせた兵士達が行き交う。その手には弓と矢を持っている事から高台から狙い撃とうとしてるのが分かる。
ロウェインが開け放たれたままの扉を潜ると、兵士の一人に指示を出し終えたアランがドッカリと椅子に座る所だった。
「ギルドマスターか」
疲れた様子でロウェインを見るアラン。
「状況はどうなっているんだ!?」
「ゴブリンが大挙として押し寄せた。その数は分からない。とにかく多いだそうだ」
「まさか砦の中にそんな数が居たのか?」
「居たのだろうな」
参ったよ。とアランは頭を抱える。
「こちらの準備が整う前に襲撃されるとは予想外だ。辛うじて町への侵入は阻止できたがな、ぐるりと町を包囲されてしまった」
「く……マッドイーターを狩った事が裏目に出てしまったか」
町の南方にある沼地に棲息していた魔物を倒してしまったが為に、ゴブリンが沼地へと入り込む結果となってしまっていた。
「どうなんだ? 町は保つのか?」
「町は大丈夫だ。門を含め千年樹で出来た外壁はどんな攻撃にもビクともしない。しかし、逃げ道を完全に塞がれてしまった」
「って事は籠城しかない訳だが……」
頭の中で計算をするロウェイン。その結果は握り拳を作って苦い顔となった。
「今、ギルドマスターが思っている通りだ。食料はある。水も汲ませているし酒もある。が、川に毒を流されては非常に不味い事になる」
揮発した毒素が人体に悪影響を及ぼす可能性がある為だ。
「王国軍の到着は?」
「早くて二十二日後だ」
「絶望的だな」
ゴブリン急襲の伝令は既に出した。それが王都に到着し軍を緊急編成して王都を進発。その往復にそれだけの日数がかかる。騎馬隊だけならもっと早いだろうが、深い森の中では馬は何の役にも立たない。
「とにかく、隊には遠距離から弓を使って攻撃する様に伝えているが、ゴブリンの毒矢に倒れる者が増えてきている。このままでは人手不足は否めない」
「攻城兵器が無いのが幸いか……」
「ああ。あったらもう既に陥ちているだろうな」
アランがそう言うのと同時に、体の芯へと響く様な音が何処からともなく響いてきた。
「な、なんだ?!」
振動で埃が落ちる天井を見上げ、ロウェインが狼狽えていると、一人の兵士が詰め所に駆け込んで来た。
「隊長っ、大変です!」
「どうした!?」
「ゴブリン達が丸太を使って門を破ろうとしています!」
「何だと!?」
アランは机を叩きながら勢い良く立ち上がり、兵士に向かって阻止する様にと伝える。
「不味い事になったな」
「ああ。まさか破城槌まで持ち出すとはな……」
破城槌。最も簡素な攻城兵器で、木を切り倒し枝を落とした丸太状の棒を数人から数十人が両側から持ち、何度も突進して城門にぶつけて破壊するものである。
「どうする? 町へ侵入されたら終わるぞ」
「分かっている」
アランとてそれくらいは分かっている。そして皆殺しにされるくらいなら僅かな可能性に賭けてみようと思い立った。
「……この町に冒険者はどれ位居る?」
地図から視線を逸らさずに言ったアランにロウェインの目がスッと細くなる。
「今、何を考えた?」
「町の住民をリムウッドに逃す」
町の南の沼地を通り、森を抜けた先にある農村リムウッド。アランの頭の中にはそこへの退避がベストだと結論を出していた。
しかし、住民には女子供や老人も居る為に移動速度はかなり遅くなる。敵の追撃を受けるのは確実であり、注意を逸らす為の人員が必要となる。アランはそれを冒険者に任せようと考えていた。それを見透かしたロウェインが拳をテーブルに叩き付けた。
「我々に囮になれというのか!?」
「……お前の怒りも最もだが、他に方法が無いのだ。我々が殿を引き受けては一体誰が民を率いるのだ?」
机に拳を叩き付けたままの格好でギリギリと奥歯を噛むロウェイン。二人の対決はゴブリンが町へと雪崩れ込んでくるまで続くかと思えた。
一方その頃、逃げ遅れた住民の避難誘導を行なっていたゴーギャンは、その異形な姿に驚いて木の枝に登って降りて来られなくなった猫を捕獲していた。
☆ ☆ ☆
ドォン――。腹の底に響く衝撃がマーテルの町を駆け抜けていった。積もった埃がパラパラと下に落ち、避難所へと急いでいた住人たちは思わず立ち止まる。町は静寂に包まれた。
ドォン――。二度目の衝撃。それは門の外から聞こえた。群衆は恐怖に駆られて先を争う様に避難所へと走り出す。幼い我が子を抱え祈る母親。杖を突きながら急ぐ老人。一転して町には悲鳴が上がった。
ドォン――。三度目。破城槌を確認した兵士は報告と指示を受ける為に守備隊詰め所に駆け戻り、残った兵士たちは矢を放つ。しかし、効果は薄い。
ドォン――。四度目の音と共に千年樹で作られた門に亀裂が走る。その亀裂の向こう側では緑色の物体が蠢いていた。懸命に矢を射続けていた兵士達も町の未来に絶望を感じていた。
今にも破壊されそうな門の前に、一人の人物が立っていた。門の亀裂から漏れ出る笑い声ともつかぬ魔物の言葉を受け流し、亀裂の奥で蠢く緑を睨み付けていた。その人物は見た事もない素材で出来た甲冑を着込み、胸に付いたエンブレムや関節部から淡い光を放っている異形な者であった。
『フィストオン』
『フィスト・オン。ウェポンスキル・レディ』
その者が言葉を放つと同じ甲冑の中から、今度は別な声色が言葉を放った。異形な者がドッシリと腰を据えて構えたその拳には、腕よりは二回り程の大きさのナックルが付いていた。
そして五度目。破城槌はひしゃげた門を突き破って大穴を開けた。異形の者はそれを待っていたかの様に言葉を口にする。
『メテオインパクト』
『マキシマムアタック』
その言葉と同時に異形の者の姿が掻き消える。直後、破城槌で開けた穴より更に大きな穴が開いた。その向こうでまだかまだかと出番を待ち侘びていた緑色の侵略者達が瞬時にこの世から消え失せた。
急加速の空気摩擦によってその身に熱気を纏い、突然現れた異形の者にゴブリン達は恐れ慄いた。
『そうはさせない』
静かに吠えた。撮影時に幾度となく叫んだ台詞だったが、今の彼女の瞳には確固たる意志の光が宿っていた。そして再びあの言葉を解き放つ。
『メテオインパクト!』
『マキシマムアタック』
初めの熱のこもった台詞。続く冷静沈着な声が、静まり返った戦場を貫いた。そしてゴブリン達が気付いた時には隣に居た仲間がゴッソリと居なくなっていた。
普通なら、恐怖に駆られて蜘蛛の子を散らす様に逃げ出していたゴブリンも、兵士として鍛え上げられていた為に一匹たりとて逃げ出す者は居ない。それは過去にファンタジー関連の勉強をしていた魔魅には誤算だった。
(目の前で恐怖を味わえば、逃げ出すと思っていたけれど……)
周りをグルリと見渡す。目の前だけでなくその奥にもまだまだ多くの緑で埋め尽くされていた。
(敵対反応は……三桁越え!?)
バイザーが算出した数値に驚きを隠せない魔魅。現時点でのゴーギャンの武装は多々数の敵に対して効果のあるモノは無い。けれどそれを少しでも補う技なら存在する。ほんの数秒でも町への侵入路を開けてしまう事にはなるが背に腹は代えられない。と、そう判断した魔魅は空を見上げた。
『ジェットブラスト!』
『アンチグラビティ・アクティベート』
魔魅の声にAIが反応してゴーギャンの各部スラスターを作動させる。その推力は星殻鎧を空へと押し上げるほど。そして上空から敵が密集している場所を目標に、魔魅がロックオンする。
『メテオインパクト・グランドアタック!』
『アンチグラビティ・オフライン。フルスラスター』
物見台の兵士には空から降ってきた何かが地面に激突した様に見えた。地面に叩きつけた衝撃は波紋の様に波を打ち、直後に轟音が森に木霊する。そして、地が抉れた。
その範囲に巻き込まれたゴブリン達は宙を舞い、木に叩きつけられ、飛来した岩片に押し潰された。蠢く緑がそこだけ円状に消えていた。
「なんという力だ……」
危うく落ちそうになって物見台にしがみ付いていた防衛隊の兵士は、その威力に矢を撃つ事も忘れてただただ驚いていた。
土煙漂うクレーターの中心でゴーギャンが立ち上がる。彼女は少し荒い息をしていた。
(結構キツイな……これ)
スーツの反重力装置を作動させているとはいえ急加速に対する重力までは遮断が出来てはいない。その度に体に負担が掛かるのは特撮と現実との違いだ。
魔魅はスーツアクターとしての訓練を欠かせずやって来たが、それはあくまで着ぐるみ状態のスーツを動かす場合に限っての事だ。本物と化した星殻鎧の負荷は魔魅が思っている以上に高い。
(あまり無理は出来ない、か)
そうは思っても無理をしないとどうにか出来る数ではない。仕方がない。もう一度さっきの技をお見舞いしてやろう。そう思って空を見上げた魔魅に、丸太が土煙を割いて飛来した。
『クッ!』
飛んで来た丸太を辛うじてかわす。その丸太に魔魅は見覚えがあった。
『これは、さっきの破城槌?!』
初撃のメテオインパクトで吹き飛ばした筈の破城槌。それが今まで彼女が立っていた場所に突き刺さっている。
『こんな重い物が飛ばせる訳がない。という事は……』
数人から数十人で扱う物である以上、投げるなんて芸当は出来ない。という事は、この重量物を投げられる存在が向こう側には居る。そしてゴーギャンのバイザーはそれを投げた存在を土煙の中に輪郭のみを表示させた。
(大きい……)
土煙を掻き分けて姿を見せたゴブリン。背は魔魅よりも高く筋骨隆々なその体に丸太のような腕。粗末な腰布から大地に根を下ろした巨木の様に逞しい足が伸びる。
周囲のゴブリン達はそのものの出陣を鼓舞する様に地面に足を踏み付けて鳴らしながら、「ウォッフ。ウォッフ」と一斉に吠え立っていた。
その様子からもそれが一線を画している相手である事が魔魅にも理解が出来た。
普通のゴブリンよりも知能が高く、戦略や戦術を理解し、野良同然のゴブリン達に教育を施して軍隊行動を可能とさせた。それはゴブリン達の指揮官的存在。そのものの名はゴブリンジェネラル。その名を知る者はここにはいない。
「コロサレタブカノウラミ、オマエノチデアガナッテモラウゾ」
犬歯を覗かせながら魔魅に向かって指を差すジェネラル。片言ながら言葉を発したゴブリンに魔魅は驚きを隠せなかった。
『ゴブリンが喋った!? ファンタジー関連は一通り勉強したけど、そんな設定なかったわよ?!』
勉強不足だったのか。と、魔魅は呟く。ゴーギャンの武装リストから肩の武器を選択すると、肩部分の装甲開いて中から筒状の棒がせり出る。腕をクロスさせて引き抜くと棒は伸びて円筒となった。
『ショルダーアームズ・オンライン』
AIの音声で円筒が僅かに光る。その中では粒子が加速して摩擦を生み出し、エネルギーを蓄積させていく。
「イクゾ、チイサキヨワキモノヨ!」
ジェネラルは駆け出して魔魅との距離をあっという間に詰めると、両手を組んで合掌落としを放つ。
(疾い! けどっ!)
華麗なステップを踏んでジェネラルの攻撃を躱してライトニングソーサーに指示を出し、自身は大きく後退する。その魔魅を追いかけようとするジェネラルにライトニングソーサーから轟音と共に雷撃が放たれた。
「ガアッ!?」
『今っ!』
雷を受けてその動きが一瞬止まる。その隙を突いて、魔魅は必殺のメテオインパクトを放った。しかし――
『ウソでしょ?!』
魔魅は目を見開き驚愕する。ゴブリンを爆散させる程の威力を持つ技を、受け止められる存在が居るとは思いもよらなかったからだ。
慌てて距離を取る魔魅の目の前を破城槌の様な拳が空を切る。あれが直撃していたらと思うとゾッとした。
「ニゲルノカ? チイサキヨワキモノヨ」
周囲のゴブリン達から笑いとも取れる声が上がる。お前達の方が私よりも小さいじゃんよ。と心の中で突っ込みを入れた。
『それよりも、まさか中級怪人みたいなのがこんな間近に居るとは思わなかったわ』
番組内においてメテオインパクトは下級戦闘員にこそ効果がある技だ。それが通用しないのが中級以上の怪人だ。
ファンタジー世界を学ぶ過程で魔魅の中では最強種のドラゴンを上級怪人と位置付けていた。それよりも少し弱いのが中級だとも。もちろんその辺の小さいゴブリンは下級の戦闘員である。
しかし、そのゴブリンの中に中級が居た事によって自身の認識を改めねばならなかった。
『これが異世界か……』
設定資料だけでなく、小説やマンガを読み込んで勉強をした魔魅。転移者がすんなりと戦いの中に身を投じているのがほとんどで、戦いそのもののの恐怖はあまり描かれてはいなかった。今までは格下相手に無双をしていただけに過ぎないと思った途端に身が竦んだ。
右腕の内側の装甲が開き、手の平の中に一本の筒が滑り込む。それをグッと握り締めると、筒の先端から光の棒が伸び出した。その奇怪な現象にゴブリン達が騒めく。
『コアブレード・オンライン』
AIの音声が武器の名を告げる。その武器が僅かながら震えていた。
(正直怖い。今すぐ逃げ出したいくらいに。でも、私が逃げたらこの町の人々が犠牲になってしまう。だから私が引く訳にはいかない)
魔魅は奥歯を噛み締めブレードを強く握る。それに応えてかブレードの太さが僅かに増えた。
『正義のヒーローが、怖いからといって逃げ出す訳にはいかないっ!』
彼女はそう叫び、光刃を構えて巨大な敵に立ち向かった――
☆ ☆ ☆
薄暗い深い森の中に、コアブレードの光が時折火花を飛び散らせながら流れる様な軌跡を残していた。何でも焼き切るヒートソード。公式設定ではそう説明があるのだが、槍よりも長い巨大な長剣を焼き切る事は易くない。
何処からか奪ったのか。あるいは自らが作り出したのかは分からない。長さが五メートルはあろうかという長剣を易々と振り回していて魔魅は懐に入る事ができずにいた。
『クッソッ。一体、何処からこんな、武器をっ、持ってきたのよっ』
遠心力によって高速で振り回され、土埃を上げる剣を愚痴りながら避ける魔魅。余裕がありそうに見えて一発でも当たれば行動に支障が出る威力。まともに撃ち合ったところで押し負けるのは目に見えている。かといってこのまま避け続けていても限界はくる。それが目の前のデカいやつより早いか遅いか。
(アレさえ使えればこんなヤツ簡単に倒せるのに)
魔魅の言うアレとはゴーギャン最大の必殺技である。星殻鎧の限界値を超えて繰り出すこの技の威力は絶大を誇る。
(コイツが倒れて周りのゴブリンが逃げてくれればいいけど……)
彼女がそう言うのも、その必殺技を使うとスーツが強制的にクールダウンを行なってしまい、数分間は身動きが取れなくなってしまうという公式設定があるからだ。その間、魔魅はゴブリンの群れの中で無防備な状態になってしまう。
空気を裂く音と共に長剣が振り下ろされる。それを辛うじて弾き返す。ここへきて魔魅の動きは繊細さを欠いていた。
今まで躱していた敵の攻撃をコアブレードでいなす場面が増えてきていた。それによりブレードを持つ手に負荷がかかり始め、痺れを感じ始めていた。魔魅はハッと気付く。
(ダメだ。これ以上はもう保たない。スーツが持ち堪えてくれるのを信じて使うしかないっ)
魔魅は待機状態のライトニングソーサーを呼び寄せる。雷撃を放ち硬直した隙を突いて技を放つつもりだ。エネルギーはチャージが完了していて即、雷撃が放てる様になっていた。
魔魅は攻撃をいなしながらライトニングソーサーを配置に付かせる。そしてジェネラルの攻撃を弾き返した所で雷撃を放った。
「グアッ!?」
『今だ! スタースーツ・ブレイ……』
最終奥義を発動させる為のプロセスを実行に移そうとした瞬間、痺れて動けないはずのジェネラルが動き出す。
『なっ!?』
「バカメ。オナジワザガニド、ツウヨウスルトデモオモッタノカ」
ゴブリンジェネラルは剣を大きく振りかぶり、隙だらけの魔魅の脳天へと振り下ろす。眼前に迫る長剣。その動きは魔魅にはスローに見えた。
(あ。ダメだ)
ジェネラル渾身の一撃が軽度のダメージで済むはずがない。スーツは破壊されて魔魅には死のビジョンが見えた。
しかし、それは現実とはならなかった。
「ナニッ!?」
何処からともなく飛んできた何かによって長剣は大きく弾かれた。ジェネラルに大きな隙が生じた。
『今だ!』
死の香りを感じながらも魔魅はコアブレードを構えて腰を低く落とした。
『星殻鎧・光翼展開!』
『コアシステム・アクティベート。全機能解放』
AIの音声と同時にゴーギャンの各部位から光が溢れ出す。背中のスラスターからは光の粒子が溢れて翼の形を成し、ゴーグル部分は目が輝き始めた。
『スタンバイ。……オールシステムズ・アクティベート』
スーツに搭載されたAIがゴーサインを出すと、バイザーに『Standby』と記されていた表示が『Online』サインに切り替わった。
『行くぞ! ゴーギャンスラッシュ!』
『限界突破・全力運転』
AIの音声が響いたその瞬間、ゴーギャンは一筋の光となってゴブリンジェネラルを貫いた。そしてジェネラルの背後に再び姿を現したゴーギャンは排熱口から噴き出した水蒸気の中にその姿を消した。
ズズン。と、地響きをあげて倒れるジェネラル。その風圧でゴーギャンから吐き出た水蒸気が霧散する。コアブレードを突き出した格好のままで動かないゴーギャンと、胸に風穴を開けられ地に伏すジェネラル。熱狂的だったゴブリン達も何が起こったのか理解が出来ず場は静寂に包まれた。
その中で、魔魅だけが冷静ではいられなかった。技の発動後のクールダウンで指先一つ動かす事の出来ない魔魅。バイザーにはあと四分のカウンターが表示されていた。
(お願い、そのまま気付かないで呆けていて)
早く、早く。と、急く魔魅。それを嘲笑うかの様に時はゆっくりと流れていく。その時、一匹の好奇心旺盛なゴブリンが、おぼつかない足取りで動けない魔魅の側に近寄る。
(あっ、ダメ。こっちに来ないで、来ちゃダメだってば! しっしっ、しーっ!)
ふー、ふーっ。とヘルメットの中でつい息を吹きかけている魔魅。ゴブリンは魔魅を覗き込むように見上げていた。そして――
「ギャーッ、ギャッギャッ!」
『ギャーッ!』
(不味いっ!)
ゴブリンに呼応するかの様に周りのゴブリも騒ぎ始める。ゴーギャンの翻訳機能をもってしてもゴブリンの言葉は分からない。けれど魔魅には自分が動けない状態にある事がバレたと感じた。
(まだ動けないの?!)
バイザーに表示されているカウントダウンはまだ二分以上残っている。徐々に狭まる囲みに焦りが募る。
(お願い、動いて! 動いてよぉっ!)
必死になって力任せにスーツを動かそうとする魔魅。ゴブリン達の刃はすぐソコに迫っていた――
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