コンビニ行ったら異世界女子が当たりました・・・俺どうしたらいいの?

とうちゃんすらいむ

文字の大きさ
4 / 50

暗闇(イデア視点)

しおりを挟む
あの男が私に覆いかぶさってきた時、私の未来は終わったと諦めた。

今まで、失望は散々繰り返してきた。

いつも、私はひとりぼっち。


私には親の記憶がない。

気がついたら一人。

親の暖かさを感じた事はなく、気がつけば暗い中、ほんの少しの固いパンと冷たいスープを食べ、洞穴のような場所で鞭に打たれながら働く日々を送っていた。

私の他にも同じくらいの年の子が何人もいたけど、その子達はいつも、親を怨み、鞭打つ大人を怨み、神や境遇を怨みながら倒れていった。

それに関しては私は恵まれていたかもしれない。

私は、この世に神などいない、神様がいれば私のように鞭を打たれ働かされる子もいないのではないかと思っていたし、親の愛も知らないからだ。

ただ、日々空腹や痛みに耐え、ひたすら時が過ぎ去るのを待つだけ。

今日を生きていくのが精一杯、終わりの見えない苦痛に希望や夢は見えず、諦めるしかなかった。

周りの子が倒れていく中、次は私ではないかといつも思っていたけど、獣人である私は他の子より丈夫らしく、何度も何度も失望しながらも いつのまにか時は経ち、大人のような体になってしまった。

大きくなった私の仕事は、貴族様の狩りのお手伝い。

貴族の前に出るのだからと、恥ずかしくない教養を叩き込まれ、獣追いかけるからと剣や弓を身に付けらされ、ここでも鞭 鞭 鞭の繰り返し。

一部の裕福な貴族のために、私は獣を追いかけ殺し、血を浴び、いつも私は血に染まっていた。

私は獣を殺すために、殺すために生きてきたのかと、ここでも毎晩苦痛や空腹、孤独、そのようなものに追いかけられ追い込まれ、明日に希望を見ないように、明日の私はないと言い聞かせていた。


男に襲われた時、

そんな私にもやっと終わりが来た。
この苦痛の日々を送らないで良くなったのかと思ったけど、世は無情なもの。

時が止まったかと思ったら、白いローブに金色の髪の毛。背中には羽が生え、頭には光り輝く輪っかがついた・・・周りの人達が「女神さま」と呼んでいたような容姿の人が立っていた。

ふと男を見ると、私を襲う寸前のまま、まるで時が止まったかのように、周りは何もかも止まっていた。

目の前の天使は私に向かってこう言った。

「あなたがここにいるのは間違いです。あなたの人生はこれから光り輝くものでなければなりません」

「このような場所でこのような男に汚され、明日の夢を見ることもなく、生きることを諦めながら、この世からいなくなるという諦めの気持ちを捨て、光り輝くもとに向かわなければなりません。その時が来るまで、しばしお休みなさい」

そう言うと私の体は 自分の意思とは関係なく、徐々に固まって行く。

手も足も動かなくなり、自分というものがなくなっていたように思えた。

死ぬ事も出来ず、ただ時が経つのを待つばかり。神様と言うものは、私に死と言う安楽も与えてくれないのか!と忘れかけていた怒りと言う感情が沸き立った時・・・

気が付いたら、私はとても暖かい場所にいた。

見えない、聞こえない、体も動かない。
けど、感じる事は出来た。

温度もそうだけど、私が夢見た事のある『家庭』の暖かさ。男の人と女の人が何か話していて、あったかと思ったら、私の体は誰かに暖かい何かに囲まれ、暖かい腕に抱かれた。

そして、何か温かいものに包まれた後、

「少し痛いかもしれないけど体を拭くね。疲れてるのかな?ゆっくりお休みなさい」

と言われた気がした。

女の人の温かい手で、暖かい布で体拭かれ、すっかり冷たくなってしまった私の体が少しずつ暖かくなってきたように思えた。

ここがどこだか分からない。

分からないけど、何か温かいものを感じた。

もしかしたら、これが『家庭』というものなのかもしれない。

お父さんとお母さんがいて、子供がいて、一つの暖かい部屋に集まり、温かいご飯を食べて今日あった事を話す。

そんな、今まで私にはなかった温かい経験がここにあるのではないか?と、顔はみえないけど存在を感じてる、男の人と女の人から感じ、私はこの二人に身を預けた。

しばらくして、そろそろおやすみなさい と男の人の言葉で、女の人が離れたように思えた。

正直に言うと、私の隣に知らない男の人が一人だけ立つというのは、とても怖いと思ったのだけど、男の人は

『ごめんな、今、かみさん寝かしてあげないと可哀想だし辛いから。俺はお前さん怖いことはしないから、ただ見守らせてくれよ』

と声が聞こえ、少しほっとした。

私の額に冷たいタオルが置かれ、少しするとその冷たいものがなくなり、また冷たいものが乗っかる。

それらが定期的に続くのを感じながら、男の人がたまに話すのを聞いていた。

『こんなに色々な傷がついて・・・お前さんも辛い思いしてたんだな。せめてここにいる間だけでもあったかいものを食べて、色々な楽しい所に行って、俺らと楽しいことができるといいんだけどな』

『だから、目を開けて元気な顔を見せてくれるといいんだけどな』

『元気になったら、どこか楽しいところに出かけようか? あ、 ま、まぁ、俺はお前さんの身内でもないんだけど』

『何言ってるんだろうな俺? まるでお前さんの父ちゃんみたいだな』

そんな声が聞こえてきて、私は少し嬉しくなった。

見ず知らずの私に向かって、そんな声をかけてくれた人など、今まで誰もいなかったからだ。

しばらくすると、その男の人の姿も、消えたり戻ったりを繰り返すようになった。

それを感じるたびに私は怖くなった。

この暖かい雰囲気がすべて夢ではないかと思うようになったのだ。

今感じているこの温かい気持ちが夢であって、夢から覚めたら、またあのくらい生活に戻るのか?

時が止まった後、あの男に襲われ、私は明日を見る見ないまま世からいなくなってしまうのではないか?

そう思ったら怖くて怖くて、思わず何かにしがみついたら、私は男の人の何かを掴んでいたらしい。

男の人はしばらくしてから、私の頭を優しく撫で、

『大丈夫大丈夫、父ちゃんここにいるからな安心してゆっくりおやすみ』

そう言ってくれた男の人の声に、私は涙が止まらなかった。

自分の体は動かないが、私の目から温かいものが流れていくのを感じ、私にもまだこんな感情が残っていたのか?と驚いた。

もし、私に父親母親2人の記憶が残っていたのであれば、おそらく私の頭を撫でたその温かい大きい手の記憶は絶対忘れなかったのだろうと思う。

その温かい存在感を感じ、私も少しは明日への希望というものが感じられたのかもしれない。

できることであれば、この暖かい場所で、この温かい人達と何気ない話をして、何気ない生活送り、そして、その何気ないひとときに幸せを感じながら年を取りたい。

私が生きていてもいいんだ!という気持ちを持って生きていきたい!

そう思いながら、私の記憶は徐々に徐々に夢の中に消えていった。

私が次に起きる時はどこにいるのだろうか?

できることなら、この暖かい場所で目を覚ましたい。そして男の人と女の人の前で暖かさを感じさせてくれたことを、ありがたく思ったことを伝えたい。

この世に本当に神様がいるものなら、最後にこの夢くらい叶えて欲しい!と強く願いながら、私は夢に呑み込まれて行った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

処理中です...