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二十二話 十二単でそわそわ。私も女ですから…
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「あの女半端ないって!大剣振り上げる前に肩打ち抜くってどういう事?そんなんできひいやん!信じられへんわ!!!!!!!」
帰り道の一角の酒場からそんな声が聞こえてきましたが、気のせい気のせいと通り過ぎる女二人は宿に向かって歩いていきます。
夕暮れから夜になるにつれ、食事や酒を用意する場所が増え、徐々に賑やかになる風景を楽しそうに見ながらにこにこしているたえを見て、チカも楽しそうにしています。
「このようないとおかしな風景。チカさんが私を見つけてくれなかったら見れなかったのでしょうね」
「ん?ここってそんなにおかしい風景なの?たえさんの住んでた場所ってどんなんだったのかな?」
「いえいえ、私の田舎にはこのような賑やかな場所はございませんでした。毎日働いて疲れて寝ての繰り返しでございましたので、この様に毎日を楽しく生きようとしている人達が沢山集まる風景は、私にとってとても貴重で珍しく、そしてとても楽しい風景なのですよ」
田舎から出てきて、木曾の義仲様と一緒に都に入った当初、都というところはどういったところなのだろう?と心を躍らせていたのですが、実際のところ、食うに困る方々がそこら中にいる状態。そして自分たちも何もない状態だったため、いろいろな場所から食料を強奪と言ってもいい行動で得た平安時代の事を思い出し、もうあの頃のような悲しい事は見たくないと思うたえ。
出来る事ならこの夢は冷めて欲しくないと思いながら、隣のチカとだらだら話しながら宿に着くと、さっそくおかみさんに声をかけられる二人。
「たえちゃん!たえちゃんにお客様来てたんだけど、冒険者だから帰りがわからないって言ったら、これお礼にって渡してくれたのよ。どうしようかねぇ?」
そう言いながらおかみさんが指さす先を見ると、食事処に置いてある箱にこれでもか!と言わんばかりに積んである野菜の山がありまして、たえは思わず目を輝かせます。
「お野菜がいっぱいでございますね!このように美味しそうなお野菜は皆で一緒に食べるのが美味しい事でしょう。もし宜しければ、このお野菜を使って何かお料理を作ってくださると嬉しいのですが、いかがでしょうか?」
「いいのかい?みんな!今日のご飯はたえちゃんが貰った野菜沢山の料理だよ!お礼言いなよ!」
そう言うおかみさんの言葉に、周りの冒険者達から「「ゴチです!」」と返事があり、いつの間にか食堂に人の輪が出来、気が付けば冒険者同士の交流会のような形になってしまいました。二人はちょっと戸惑いながらも楽しい時を過ごすことが出来たので、明日にでもお礼を言いに行こうと思ったたえでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
自分の部屋に帰り、なんとなく行李を見たたえは思わずああっ!と声をあげました。
その声に驚いたチカが近くに寄ると、行李の中には何やら何重にも重なった色鮮やかな服があり、出会ってから見たことの無いようなそわそわしてとても可愛らしい表情をしたたえに戸惑うチカ。
「たえさん?この綺麗な色の服って・・・全部たえさんのなの?」
「いいえ・・・私が一時お借りした行李の中には最初小袖の着物しか入っていなかったのですが、先ほど見てみたら、十二単がありましたのでとても驚いてしまいまして・・・・本当にすいません」
そう言いながらもどこかそわそわしているたえに、遠慮しながらも着たいんだろうなぁ~と察し、チカはきちゃえきちゃえ~!!と十二単を行李から取り出します。これは私へのご褒美なのでしょうか?とぼそぼそと言いながらも、一人で着れないと言い、たえはチカにお手伝いをお願いすることにしました。
白い下着代わりの着物に赤いはかまをはき、単(ひとえ)という裏地のない着物を着る。
そのうえから少し小さな単を何枚も重ねて着ていくにつれ、重なった場所が美しく重なっていくのを手伝いながら、たえが徐々に美しくなっていくのを見て少し羨ましくなってしまったチカは、たえさんは綺麗だから羨ましいとこぼしました。すると、たえは驚いてあたふたしはじめました。
「私は日ノ本の国では、日に焼け肌が黒く、目が大きく、顔が細かく口が大きかったので、日ノ本の貴族の美しい方々とは逆に醜女と言われることがあったくらいなのですよ。私は自分の顔に自信などありませんし、こんな私の事を受け入れてくれている方々は本当に心が広い方なのだと感謝してもしきれないくらいなのです」
そう言いながら、最後に渡された扇子を手にうっとりとしながら、やっと慣れた鏡を見ていたたえは、自分には勿体ないからと十二単を脱ごうとしましたが、ちょっと待って!というチカの剣幕に推され、少し待っていたところ、おかみさんや同じ宿に住んでいた女性冒険者たちが押し寄せ、見たこともない姿のたえに賛美の声をあげました。
綺麗!
かわいい!
そんな言葉を聞きながら、気が付けば涙が流れていたたえは、自分にも女というものがあったのだなと思い、それに気が付かせてくれたチカに改めて感謝をしながら、抱き着き涙しました。その後、二人の部屋では女性冒険者&おかみさんが十二単を着たり、最近のファッション事情などを話したりと、女性同士の話に華が咲くことになりました。
冒険者だけど女ですもの。
少しだけ、おしゃれもしたいし、可愛いものも好きですから、そんな話をするのも悪くないんじゃないかな?と一緒にいた女性冒険者に言われて、改めて自分が女なんだなぁと思ったたえは、重ねた十二単のシルエットの美しさにも感謝するのでありました。
※十二単と言っても実際に十二枚着た訳ではないみたいですね。
ただ、重ね着という事もあり、総重量は軽く10KGはあったそうですので、どの時代の女性もオシャレには気合を入れていたのかな?と思った作者です。
帰り道の一角の酒場からそんな声が聞こえてきましたが、気のせい気のせいと通り過ぎる女二人は宿に向かって歩いていきます。
夕暮れから夜になるにつれ、食事や酒を用意する場所が増え、徐々に賑やかになる風景を楽しそうに見ながらにこにこしているたえを見て、チカも楽しそうにしています。
「このようないとおかしな風景。チカさんが私を見つけてくれなかったら見れなかったのでしょうね」
「ん?ここってそんなにおかしい風景なの?たえさんの住んでた場所ってどんなんだったのかな?」
「いえいえ、私の田舎にはこのような賑やかな場所はございませんでした。毎日働いて疲れて寝ての繰り返しでございましたので、この様に毎日を楽しく生きようとしている人達が沢山集まる風景は、私にとってとても貴重で珍しく、そしてとても楽しい風景なのですよ」
田舎から出てきて、木曾の義仲様と一緒に都に入った当初、都というところはどういったところなのだろう?と心を躍らせていたのですが、実際のところ、食うに困る方々がそこら中にいる状態。そして自分たちも何もない状態だったため、いろいろな場所から食料を強奪と言ってもいい行動で得た平安時代の事を思い出し、もうあの頃のような悲しい事は見たくないと思うたえ。
出来る事ならこの夢は冷めて欲しくないと思いながら、隣のチカとだらだら話しながら宿に着くと、さっそくおかみさんに声をかけられる二人。
「たえちゃん!たえちゃんにお客様来てたんだけど、冒険者だから帰りがわからないって言ったら、これお礼にって渡してくれたのよ。どうしようかねぇ?」
そう言いながらおかみさんが指さす先を見ると、食事処に置いてある箱にこれでもか!と言わんばかりに積んである野菜の山がありまして、たえは思わず目を輝かせます。
「お野菜がいっぱいでございますね!このように美味しそうなお野菜は皆で一緒に食べるのが美味しい事でしょう。もし宜しければ、このお野菜を使って何かお料理を作ってくださると嬉しいのですが、いかがでしょうか?」
「いいのかい?みんな!今日のご飯はたえちゃんが貰った野菜沢山の料理だよ!お礼言いなよ!」
そう言うおかみさんの言葉に、周りの冒険者達から「「ゴチです!」」と返事があり、いつの間にか食堂に人の輪が出来、気が付けば冒険者同士の交流会のような形になってしまいました。二人はちょっと戸惑いながらも楽しい時を過ごすことが出来たので、明日にでもお礼を言いに行こうと思ったたえでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
自分の部屋に帰り、なんとなく行李を見たたえは思わずああっ!と声をあげました。
その声に驚いたチカが近くに寄ると、行李の中には何やら何重にも重なった色鮮やかな服があり、出会ってから見たことの無いようなそわそわしてとても可愛らしい表情をしたたえに戸惑うチカ。
「たえさん?この綺麗な色の服って・・・全部たえさんのなの?」
「いいえ・・・私が一時お借りした行李の中には最初小袖の着物しか入っていなかったのですが、先ほど見てみたら、十二単がありましたのでとても驚いてしまいまして・・・・本当にすいません」
そう言いながらもどこかそわそわしているたえに、遠慮しながらも着たいんだろうなぁ~と察し、チカはきちゃえきちゃえ~!!と十二単を行李から取り出します。これは私へのご褒美なのでしょうか?とぼそぼそと言いながらも、一人で着れないと言い、たえはチカにお手伝いをお願いすることにしました。
白い下着代わりの着物に赤いはかまをはき、単(ひとえ)という裏地のない着物を着る。
そのうえから少し小さな単を何枚も重ねて着ていくにつれ、重なった場所が美しく重なっていくのを手伝いながら、たえが徐々に美しくなっていくのを見て少し羨ましくなってしまったチカは、たえさんは綺麗だから羨ましいとこぼしました。すると、たえは驚いてあたふたしはじめました。
「私は日ノ本の国では、日に焼け肌が黒く、目が大きく、顔が細かく口が大きかったので、日ノ本の貴族の美しい方々とは逆に醜女と言われることがあったくらいなのですよ。私は自分の顔に自信などありませんし、こんな私の事を受け入れてくれている方々は本当に心が広い方なのだと感謝してもしきれないくらいなのです」
そう言いながら、最後に渡された扇子を手にうっとりとしながら、やっと慣れた鏡を見ていたたえは、自分には勿体ないからと十二単を脱ごうとしましたが、ちょっと待って!というチカの剣幕に推され、少し待っていたところ、おかみさんや同じ宿に住んでいた女性冒険者たちが押し寄せ、見たこともない姿のたえに賛美の声をあげました。
綺麗!
かわいい!
そんな言葉を聞きながら、気が付けば涙が流れていたたえは、自分にも女というものがあったのだなと思い、それに気が付かせてくれたチカに改めて感謝をしながら、抱き着き涙しました。その後、二人の部屋では女性冒険者&おかみさんが十二単を着たり、最近のファッション事情などを話したりと、女性同士の話に華が咲くことになりました。
冒険者だけど女ですもの。
少しだけ、おしゃれもしたいし、可愛いものも好きですから、そんな話をするのも悪くないんじゃないかな?と一緒にいた女性冒険者に言われて、改めて自分が女なんだなぁと思ったたえは、重ねた十二単のシルエットの美しさにも感謝するのでありました。
※十二単と言っても実際に十二枚着た訳ではないみたいですね。
ただ、重ね着という事もあり、総重量は軽く10KGはあったそうですので、どの時代の女性もオシャレには気合を入れていたのかな?と思った作者です。
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