ゲームの世界に閉じ込められて魔王になりました。99万9999人のプレイヤーを倒すまで現実世界に帰れません。

でるたー

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〜"デス"ゲーム、開幕〜

5話 ファーストターゲット

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「ここがレジェンダリーフォレストか……」

 セバスに案内され辿り着いた先。そこは正に『伝説の森』の名に相応しい程の天然の大森林。森の木々たちが風に吹かれてさやさやと揺れる。内部からひんやりとした風に乗って聞こえてくる様々な鳴き声は、生命の鼓動を感じさせる。
 俺は暫くの間、その想像以上の広大な自然に圧巻されていた。その広さの余り、現在位置から見える山々は豆粒ほどの大きさに見える。セバス達、いわゆるNPCや食料などを見ていても思ったが、とてもここがゲームの世界だとは思えない。『あなたはこの世界に転生しました』と言われても素直に納得できるだろう。

「ん?これは……」

 我に返ると、今俺たちが立っている場所の直ぐそこに違和感を感じる。注意深く目を凝らすと、そこにはギリギリ肉眼で捉えられるほどの、僅かに濁った薄い膜のようなものが張り巡らされている。

「こちらは『エリアホライズン』でございます。ここより先は『レジェンダリーフォレスト』の領域、それより前は『魔王城リベリオン』の領域でございます。レジェンダリーフォレストの魔物達が、カイザ様の領域に立ち入らないようにするための壁と考えていただければよろしいかと」

 セバスがすかさず説明を入れてくれる。魔王城リベリオンと言うのは恐らく、と言うより間違いなく俺に与えられた城の名だろう。

「なるほどな」

 いわゆるエリア区画だろう。例えるなら、1ステージの魔物が2ステージに、2ステージの魔物が1ステージに入らないように設けられた境界線という事だ。こういうところはしっかりとゲーム感を出しているな。まあ、よくよく考えてみれば俺以外はこの世界にゲームのプレイヤーとして存在しているのだ。当然っちゃ当然だ。

「よし、それじゃあ行くか!」

 特に通過した時に何か感じるわけでもないエリアホライズンを越え、レジェンダリーフォレストに足を踏み入れた。



~始まりの草原 奥地~

「ヘル・キティンさん!今です!」

「$#$#&&##!」

「はああ!」

<ゴブリンLv5を撃破しました。Lvが7にアップしました。スキルポイントを1獲得しました>

「いよっし!レベル上がったあ!ぽめぽめぽりんさん、ナイスアシストです!」

「ヘル・キティンさんもナイス連携です!私もレベル上がりましたあ!」

 僕は佐藤浩二さとうこうじ、大学2年生だ。つい最近までやっていたゲームに飽きが回り、何か面白いゲームを探していたところ『BFO』の存在を知り、何とか予約に成功し獲得することが出来た。
 そして何を隠そう、今僕がやっているこのゲームがその『BFO』である。『VRW』初のMMORPGという事もあり、このゲームにドはまりした。といってもまだ初めてから一日しか経っていないため、まだまだ初心者の域を出ない。
 だが、昨日からやり込んだかいあって、今は第一ステージのボス前のエリアに到達している。現在、ボス討伐の適正LvであるLv10を目指してレベリングを『ぽめぽめぽりん』という方と一緒にしている。
 このぽめぽめぽりんさんとは昨日から『パーティー』を結成している。このゲームには『パーティー』という機能が存在し、最大5人まで一緒のパーティーになることが出来る。
 僕がゴブリンに殺されそうになったところを彼女が助けてくれたことから行動を共にし、パーティーを結成しているのだ。

「ふあ~~あ。ちょっと眠気が限界なので落ちますね。お疲れ様でしたあ!」

 おっと、どうやらぽめぽめぽりんさんはログアウトするそうだ。

「はい!ありがとうございました!またやりましょう!」

「はーい!それではまたー」

 ぽめぽめぽりんさんがステータスを表示しログアウトボタンを押す。すると体が瞬時に上下に引っ張られるようにして消えていった。

「ふー、ステータスはどうなっているかな~、オープン」

 ステータスを表示し鼻歌交じりに成長具合を確認する。


ヘル・キティン ♂ 見習い剣士

Lv7

HP 72/72
MP 26/26

ATK 54
INT 22
DEF 48
MND 24
AGI 35

スキル 【初級剣術】(→)

スキルポイント 6(→)

装備 鉄の剣(F)
   革の鎧(F)
   革の靴(F)


「んふ、んふふふふ」

 自分のステータスを見ているとつい下品な笑いが漏れてしまう。見習い剣士という事から分かるとは思うが僕のステータスはHP,ATK,DEFが伸びやすい。それを含めてもATK、つまり攻撃力50を超えているというのは、現在、全プレイヤーの上位5%に食い込む程のの攻撃力なのだ。これが普通でいられるだろうか。

「さて、俺もそろそろ落ちよっか……あれは……」

 そろそろ俺も休憩を挟もうと、赤く光るログアウトボタンを押そうとした矢先、何者かの気配を感じ辺りを見渡す。すると、右奥の木々の中をプレイヤーと思わしき人物がゆっくりと、辺りを探るように歩いている。

「あれは多分プレイヤーだよな……あんなローブ、始まりの街には売っていなかったはず……」

 その人が身に纏っているのは、金の刺繍が入った質の良さそうな漆黒のローブだった。何故かぎりぎり鼻が見える程、深くフードをかぶっている。
 その時に悟った。この人は間違いなく最上位プレイヤーだと。そしてローブは第二ステージ以降で手に入るもので、理由は知らないが何らかの素材集めなどでここにきているのだろう。

「あ、あの!」

 つい声を掛けてしまう。喋りかけるなオーラがどばどば出ているが、好奇心には逆らえなかった。
 すると、黒フードの人は顔は見せないままこちらを振り向いた。

「あの、僕今レベリングしてるんですけど……手伝ってもらえたりしませんか!?」

 勢いで言ってしまったが間違いなく断られ、そしてどこか行ってしまうだろう。ああーもう!フレンドなって下さいとかにしておけばよかった……。

「……いいよ」

「……え?」

 返ってきた言葉は予想とは裏腹のものだった。

「……レベリング、手伝う」

 なんと、黒フードの人は僕のお願いを了承してくれたのだ。

「じゃ、じゃあパーティー結成を!」

「……パーティー結成?」

「はい!……もしかして、知らないとか?」

 まさかとは思うが反応からすると……。

――コクンッ

 まさかのまさかだった。どうやらパーティー結成の存在を知らないらしい。これは仲良くなるためのチャンスなのでは!?

「なら、僕がやり方を教えます!あの、失礼なのは承知ですがステータスを表示してもらっていいですか?」

「……オープン」

 黒フードの人が僕のお願いを聞き入れステータスを開く。ちょっとずつ近寄り中を覗くと、そこには意外な文字が表示されていた。

(この人もLv7なんだ……)

 どうやらこの人は僕と同じLv7らしい。それを見た途端、なんだか気が緩んでしまった。

(ちなみに職業は魔法使いかな?)

 視線を僅かに右に逸らす。すると、そこに表示されているのは想像もしないものだった。

「……え?まお――」

 言葉を口に出そうとした瞬間、視点がぐらつく。それが首を切断されたためだと気付くのに、数秒のタイムラグがあった。

<魔王に撃破されました。リポップ不可能です。このデータは使用不可になりました>

 そのアナウンスが聞こえた瞬間、世界が黒に染まり現実世界に引き戻された。
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