ゲームの世界に閉じ込められて魔王になりました。99万9999人のプレイヤーを倒すまで現実世界に帰れません。

でるたー

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〜"デス"ゲーム、開幕〜

6話 まぐれは稀に牙をむく。

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 レジェンダリーフォレストに踏み入り、歩を進めること15分。そいつらは俺らに気付かないまま、木々を手で掻き分けながらやってきた。

『ゴブリン Lv1』『ゴブリン Lv2』『ゴブリン Lv1』

 そう、ゴブリンの群れだ。ゴブリンと言えばゲーム界隈ではモブの骨頂。様々な種類の戦闘系ゲームならば、『このゲームで初めて倒した魔物は?』という質問があるとすれば、8割方スライム、又はゴブリンと答えるだろう。

 ゴブリン達はところどころ、いぼのようにぼつぼつとしている黄緑色の肌が特徴の全長1メート程の魔物だ。
 されど侮るべからず。その身は低身長ながらも、しっかりと筋肉が隆起するほどには肉体が出来上がっている。ゴブリン達が一つずつ手に持っている棍棒を振り下ろされれば、間違いなく痛手になるだろう。
 俺がこのゴブリン達を見た時、一番最初に湧いてきた感情は『敵意』ではなく『驚き』だった。なんと、セバス達のような俺専属のNPCのみならず、ありふれているであろう魔物達からも、『生きている』という感想を抱かせられるのだ。
 普通ならばここまで現実味のあるクオリティに仕上げたのならば、細かすぎる部分には手が回らない筈だ。だがしかし、今現在俺が見ているゴブリンは一定の間隔で呼吸をし、それにあわせて体が僅かに上下に動いているのだ。更には機械的に動いているわけではなく、しっかりと目線をあちこちに動かし、周囲を見渡しながら行動している。『ゲームワールド』の最先端技術の片鱗を見たような気がした。

「セバスと俺で前衛、レオとレイは後衛を頼む!」

「御意」
「「任せてください!」」

 初めての戦闘。まずは堅実に前衛と後衛を分けるスタンスで行く。

 先程まで身を潜めていた茂みから体を乗り出し、ゴブリン達に迫る。

「最初に両端のゴブリンを叩く!レオ達は中央のゴブリンを牽制してくれ!倒せるなら倒して構わない!」

「「了解!」」

「%#$$&&%#!」

 ゴブリンが俺たちの存在に気付き得物を手に担ぐ。

 俺が左前、セバスが右前、レオとレイが後方の茂みという、トライアングルを形成しゴブリン達に襲い掛かる。

「はああ!」
「ふんっ」

 ゴブリンの首めがけ横薙ぎに振るった魔剣は、いとも容易く首を刎ね、そのまま剣の軌道上にいた

<ゴブリンLv1,ゴブリンLv2を撃破しました。Lvが2にアップしました。スキルポイントを2獲得しました>

「あっ」

 アナウンスと同時に気の抜けた、だらしない声が口から漏れる。まぐれで2体同時に倒してしまった。これは出番を取ってしまったレオ達に謝らなければ。ちなみにセバスが相手取ったゴブリンは心臓部分にぽっかり穴が出来ていた。想像するだけで身の毛がよだつ。
 10秒ほど時間が経過すると、地面に倒れ伏していた3体のゴブリン達は幾つもの青い光の球体となり雲散していった。
 は~あ。なんでこういう時にまぐれがおきるかなぁ……めちゃくちゃ気まずいって……。

「すまんレ――」

「流石はカイザ様。一閃で2体同時撃破とは」

「カイザ様、凄いです!」

「流石ですカイザ様!その卓越した剣技に思わず見惚れてしまいました」

 どうやら俺の心配していることは大丈夫なようだが……もっと重大な問題が発生したんだが!?
 やばい、セバスはめちゃくちゃ尊敬した目で見てくるし、レオの目なんてきらっきらしてる。レイに関しては目をハートにしてとろんとした表情しちゃってるよ!
 ただただ距離感間違えて、剣の柄ぎりぎりのところの刃が1体目のゴブリンの首に当たって、そのまま剣の先端が2体目に当たっただけなのに!あーまずいまずいどうしよう!

「あ、あはははは、ありがとう」

 なーに手を頭の後ろにおいて『ありがとう』とか言ってんだよ!この状況を打開するにはー、えーと、えーと……。

「な、なあ、今実際に戦闘してみて分かったんだけどさ、Lv5くらいの相手なら一人で十分倒せると思うんだ。そこで提案なんだが……俺達1時間くらい別行動しないか?あ、勿論Lv5以下の敵としか戦闘しないとかルールを設けて。……どうだ?」

 3人は顔を暫く見合わせた後、セバスが代表して言葉を口にする。

「そうですね。確かにこの辺りの魔物相手にしては過剰戦力かもしれません。私はカイザ様の意見を支持致します」

 どうやらセバスは俺の意見に賛成のようだ。

「俺も!」

「私は常にカイザ様の意見に賛成です」

 セバスの言葉に続くように2人も賛成の意を示す。

「おし、それじゃあここに1時間後、集合な!」

 これで暫くの間は誤魔化せる。……ひたすら剣を練習しよう。



「ふっ」

<レッサーボアLv5を撃破しました。レベルが7にアップしました。スキルポイントを2獲得しました>

「よし、順調にレベルアップと」

 3人と別れた後、俺は血眼になりながらひたすら魔物の首めがけ剣を振るっていた。そのおかげか、剣を持っている時の敵との間合いを段々と理解してきた。これでゴブリン程度ならば、あの『まぐれの2体同時撃破』を『実力を持ってしての2体同時撃破』に出来るだろう。

「さて、そろそろ1時間経つかな。……ん?」

 丁度いい頃合いを見つけ踵を返そうとした矢先、偶々動かした視線の先に、何か神秘的な光を発している物体が木々の間から垣間見える。

「……ちょっと行ってみるか」


 光の下へ辿り着くと、そこにあったのは先程から見えていた、神秘的な光を謎の紋様のような部分から発している2メートル程の巨大な石碑だった。

「すごい……なんだこれ……」

 その幻想的な石碑に、吸い込まれるようにゆっくりと足が向かう。

――シュインッ

「うおっ!?」

 石碑に手を触れた瞬間、神秘的な光が広がり俺の体を呑み込んだ。
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