ゲームの世界に閉じ込められて魔王になりました。99万9999人のプレイヤーを倒すまで現実世界に帰れません。

でるたー

文字の大きさ
41 / 68
〜戦力強化編〜

40話 魔剣士VS魔拳士

しおりを挟む
<クエストが発生しました。『アンティークゴーレムLv40の討伐』を開始します>

「な、いや、は?」

 俺は今、5メートルほどのゴーレムと対峙している。

――時は少し遡る



 【鍛冶】を使用し新たな武器を得た俺達は、この辺りに残っているかもしれない魔物達を探していた。
 レイによるとどうやら、モーニングバードの悪夢を乗り越えた後、たまに声量に鼓膜がやられ気絶している魔物がいるのだとか。

「お、いた」

 暫く付近を探っていると、仰向けになった状態で気絶している3体のファイアリザードを発見する。

「カイザ様、あくまでも気絶ですので、魔術は連射した方がよろしいと思われます」

 レイが助言を告げる。まあ、その情報は嬉しいのだが……こいつらやるの、あくまでも俺なのね。

「分かった」

 確かあいつをやった時は5発だったか?

「ガルマダ、ガルマダガルマダガル――」

<ファイアリザードLv34,ファイアリザードLv33,ファイアリザードLv34を撃破しました>

 おっと、どうやらあの時は過剰に当てていたようだ。

「さて、次いこう」



 1時間ほど歩き回ったが、気絶している魔物は最初の3体以降見つからなかった。
 そもそも、ああして発見できただけでも幸運だったようだ。

「ん?あれ、なんだ?」

 俺の視線の先、そこには、小さな遺跡のようなものが不自然に佇んでいた。

「皆、これが何か分かるか?」

「申し訳ありません、このような建造物は存じ上げません」
「私もです」
「俺も」
「私もですわ~」

 ビャクラの言葉に続くように皆が知識にないことを告げる。

「うーーん。見た目は縮小版遺跡みたいな感じだけど……」

 ごつごつ、というよりところどころ削られたという感想を抱かせる壁面。等間隔に空いている隙間。立方体のような形。そのどれもが、知識として頭に入っている遺跡と一致している。

「ちょっと探って――」

 遺跡のようなこの建造物を調べようと、壁面に触れた瞬間、どこかへ

――シュイン

「「「カイザ様‼」」」



「うおっと」

 体勢を崩すことなく着地。

「さっきのあれは転移するための建造物、なのか?」

 まあ、疑問形で口にしてしまったがそれぐらいしか考えられないだろう。

「……‼びっくりしたぁ。あれは……ゴーレムか?」

 前を見据えると、そこには顔を俯かせている、薄汚れた茶色の肌を持つ人型のゴーレムがいた。
 まあ、『ゴーレム』と実際に表示されているわけではないので定かではないが、逆にゴーレム以外の何かと言われてもピンとこない。それほどゴーレムゴーレムしい。

 呑気にそんなことを思っていると、突如ゴーレムの目が怪しい赤い光を放つ。

――ヴン

 ヴン?こいつ今、ヴンって言ったか?その音、機械が起動したときの定番の音だぞ?

『侵入者発生、侵入者発生、これより排除を開始します』

 ゴーレムから無機質な女性の声が聞こえ、頭上に『アンティークゴーレム Lv40』と表示されたウィンドウが出現する。

「いや、排除って、え?」

 普通に逃げたいんだが?出口どこよ。

<クエストが発生しました。『アンティークゴーレムLv40の討伐』を開始します>

「な、いや、は?」

 いやいやいや、ちょっと待ってくれ、急すぎるって!ていうかクエストってなんだよ!初めて聞いたぞ!

「いや、ちょ、あぶな!」

 俺が混乱している時に静観しているゴーレムではない。その体躯からは考えられない程の速さで迫り、丸太ほどあるその太い腕を力任せに上から叩きつける。
 横に跳び、咄嗟に躱す。叩きつけられた床は相当頑丈なのだろうか、破壊はされなかったものの衝撃が凄まじく腰を落としていなければ体制を崩し、今頃巨腕の餌となっていただろう。

 一先ず、大きく後退し距離をとる。至近距離で何回もあの勢いの巨腕を振るわれては、間違いなくいつか避けきれずに直撃するだろう。

『ドライガ』

 距離をとった俺に対し、余裕は与えんと言わんばかりにゴーレムが岩弾を放つ。どうやらこいつは俺と似たようなスタンスのようだ。俺が魔剣士ならば、さしずめゴーレムは魔拳士だろう。
 AGIは恐らく僅かに俺の方が上、ATKは間違いなくゴーレムの方が上だな。さて、どうするか……。

 こちらが勝機を探っている間にも、ゴーレムは休まず俺を排除しようと迫り来る。

 だが、どうやら性能が高い代わりに動きが単調なようで、先程と同様に横に跳ぶことで避け、再び距離をとる。

「AGIがもう少し高くなればいいんだけど……」

 AGIでさらにゴーレムとの差をつけることが出来れば、動きで翻弄し攻勢に出れるはずだ。

「……あ、じゃん」

 そうだ、あいつは俺が好きに呼べるじゃん。

召喚サモン、ネロ!」



「カイザ様、大丈夫でしょうか……」

「カイザ様だよ?大丈夫に決まってるじゃん」

「カイザ様は、とてもグオォン!?」

「カイザ様の召喚術か」

「召喚術でしょうね~」

「召喚術ですね」

「召喚術だね」



「グオォン!?」

 いや、なんでお前驚いてんだよ……。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】 自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...