15 / 32
第一章 第二王子との出会い
15.自覚
しおりを挟む
「ええっと、取り敢えず私が舞踏会に参加しても大丈夫だということは分かりました。ですが、アルベルト様のパートナーというのは荷が重いというか……」
神の愛し子+王族の婚約者new
……なんて称号いらない。
頭の中でそんなステータス画面のようなものが思い浮かび、思わず遠い目をしてしまう。
「あはは、荷が重いのはこっちの方だと思うけど。なんて言ったって、さらちゃんは俺より立ち位置的には上だなんだよ?」
それは、そうかもしれないけど……。
これでも長年公爵令嬢をやっていたからね。
そっちの習慣が身についちゃってるというか……。
アルベルトは冗談めかしくそう言った後、ふっと急に真剣な表情へと変わりこう告げた。
「……でも、そうだな。さらちゃんが嫌って言うならやめるよ。……ねぇさらちゃん。俺のパートナーになるの、嫌?」
「……うっ」
この人は……、絶対自分の顔が整っていることをわかっててやってる!
じゃなきゃ跪いて手を差し出して……こんなプロポーズみたいな格好で、上目遣いであざとく首を傾げるなんてできない……って、わかってる。
わかってるのに……。
「……嫌じゃ、ないです。」
私の口からはいつの間にかそんな言葉が溢れ落ちていた。
だって、多分……。
私はアルベルトと親密な関係にあるって思われるのが嫌じゃないんだもん。
……あぁ、本当に手遅れだ。
ここまで堕ちてしまったら、もう誤魔化しきれそうもない。
計算高いところも、優しいところも、私の為に色々考えてくれるところも、たまに悪戯っ子のような顔をするところも、優しい笑顔も……どこをどう取っても……好き。大好き。
私は、どうしようもなくアルベルトのことを好きになってしまったのだ。
でも……だからこそ気づいてしまった。
アルベルトが私に一度だって好きと言ってくれていないことに。
結婚したいとか可愛いとか心の中でも言ってくれていた、だけど……。
肝心な言葉だけは絶対に言ってくれない。
それが、私の不安を加速させてしまった。
そして、私が彼に思いを告げるのをためらっているのもまた、そのことが原因だ。
……あれだけ心配してもらって、助けて貰ってるのに、信じられないなんて……自分でも最低だと思う。
『大切な人』だって言って貰ったのに……、私の為に怒ってくれたのに……。
それでも、それでもちゃんと言葉にしてくれなきゃ、私は……信じられそうにない。
この世界で散々裏切られたせいだとわかってはいるものの、私は自分があと一歩を踏み出せないことが、もどかしくて……同時に、とても悔しかった。
あんな人達のせいで、私は……私が大切にしたいと思う人を信じることができない。
こんなの、あんまりだ。
最初から転生が成功していれば……そもそも前世で死んだりしなければ……そんなもしもばかりが浮かんできて、後悔に苛まれる私自身が嫌になる。
過去は変えられないのに、もう前に進むしかないのに。
……結局私は、過去に囚われ続けてしまうんだ。
「……良かった。断られたらどうしようかと思ってたから。」
まるで全てを見透かしたように、アルベルトはたっぷりと間を取ってから私の頬にそっと手を伸ばしてきた。
「……まさか避けられるとは思わなかった。」
私は咄嗟に、その手を避けるように後ずさってしまった。
アルベルトに対して、後ろめたい気持ちがあったからだ。
今の中途半端なままじゃ、彼に触れてもらう権利なんてない……そう思っての行動だった。
だけど、すぐにそれは後悔へとかわる。
そんな表情、させたかったわけじゃないのに……。
アルベルトは悲しげに笑っている。
笑顔なのは彼なりの配慮だ。
傷ついたのを隠す為に、笑顔の下に本性を隠して笑っている。
「あ、の……」
「ごめん、自惚れてたみたい。これからは許可なく触ったりしないから。だから……」
「そんな不安そうな顔しないでよ」……そう言ったアルベルトの方がよっぽど辛そうな顔をしていて、私の胸がチクリと痛む。
……いいの?このままで。
私は今、やっと好きになれた人を傷つけたまま、何もできずにいるんだよ?
前と同じことを繰り返しても、いいの……?
「アルベルト様……!あの、えっと、私……」
仕立て屋を呼んでくると言って、気を利かせて部屋から出て行こうとしたアルベルトを何とか呼び止めたのは良いものの、上手く言葉が出ない。
そんな私をアルベルトは優しく見守っていてくれるので、それがかえって私の心を沈めていく。
「私っ、アルベルト様のことが……!」
「待って待って、さらちゃん。」
勇気を振り絞ってようやく言葉にできたのに、アルベルトによって阻まれてしまう。
私の気持ちは、迷惑……?
止められてしまったことで、どんどんマイナスの方向へと思考が進んでいく。
もしかして、(愛し子だから)結婚したい、(愛し子だから)可愛い(って褒めておこう)ってこと??
……あぁ、そっか。
その可能性もあるんだ。
私は見事にアルベルトの手の平で転がされ……
「お願いだから、俺から言わせて。……さらちゃん、君のことが大好きです。俺と、お付き合いしていただけませんか?」
「……っ!?」
って、え……?
そのあまりにも私に都合の良すぎる言葉に幻聴かと疑ってしまう。
でも、アルベルトが耳まで真っ赤にして目の前にいり現実がその仮説を否定してくれる。
……今度こそ、私はこの手をとっても良いんだよ、ね?
神の愛し子+王族の婚約者new
……なんて称号いらない。
頭の中でそんなステータス画面のようなものが思い浮かび、思わず遠い目をしてしまう。
「あはは、荷が重いのはこっちの方だと思うけど。なんて言ったって、さらちゃんは俺より立ち位置的には上だなんだよ?」
それは、そうかもしれないけど……。
これでも長年公爵令嬢をやっていたからね。
そっちの習慣が身についちゃってるというか……。
アルベルトは冗談めかしくそう言った後、ふっと急に真剣な表情へと変わりこう告げた。
「……でも、そうだな。さらちゃんが嫌って言うならやめるよ。……ねぇさらちゃん。俺のパートナーになるの、嫌?」
「……うっ」
この人は……、絶対自分の顔が整っていることをわかっててやってる!
じゃなきゃ跪いて手を差し出して……こんなプロポーズみたいな格好で、上目遣いであざとく首を傾げるなんてできない……って、わかってる。
わかってるのに……。
「……嫌じゃ、ないです。」
私の口からはいつの間にかそんな言葉が溢れ落ちていた。
だって、多分……。
私はアルベルトと親密な関係にあるって思われるのが嫌じゃないんだもん。
……あぁ、本当に手遅れだ。
ここまで堕ちてしまったら、もう誤魔化しきれそうもない。
計算高いところも、優しいところも、私の為に色々考えてくれるところも、たまに悪戯っ子のような顔をするところも、優しい笑顔も……どこをどう取っても……好き。大好き。
私は、どうしようもなくアルベルトのことを好きになってしまったのだ。
でも……だからこそ気づいてしまった。
アルベルトが私に一度だって好きと言ってくれていないことに。
結婚したいとか可愛いとか心の中でも言ってくれていた、だけど……。
肝心な言葉だけは絶対に言ってくれない。
それが、私の不安を加速させてしまった。
そして、私が彼に思いを告げるのをためらっているのもまた、そのことが原因だ。
……あれだけ心配してもらって、助けて貰ってるのに、信じられないなんて……自分でも最低だと思う。
『大切な人』だって言って貰ったのに……、私の為に怒ってくれたのに……。
それでも、それでもちゃんと言葉にしてくれなきゃ、私は……信じられそうにない。
この世界で散々裏切られたせいだとわかってはいるものの、私は自分があと一歩を踏み出せないことが、もどかしくて……同時に、とても悔しかった。
あんな人達のせいで、私は……私が大切にしたいと思う人を信じることができない。
こんなの、あんまりだ。
最初から転生が成功していれば……そもそも前世で死んだりしなければ……そんなもしもばかりが浮かんできて、後悔に苛まれる私自身が嫌になる。
過去は変えられないのに、もう前に進むしかないのに。
……結局私は、過去に囚われ続けてしまうんだ。
「……良かった。断られたらどうしようかと思ってたから。」
まるで全てを見透かしたように、アルベルトはたっぷりと間を取ってから私の頬にそっと手を伸ばしてきた。
「……まさか避けられるとは思わなかった。」
私は咄嗟に、その手を避けるように後ずさってしまった。
アルベルトに対して、後ろめたい気持ちがあったからだ。
今の中途半端なままじゃ、彼に触れてもらう権利なんてない……そう思っての行動だった。
だけど、すぐにそれは後悔へとかわる。
そんな表情、させたかったわけじゃないのに……。
アルベルトは悲しげに笑っている。
笑顔なのは彼なりの配慮だ。
傷ついたのを隠す為に、笑顔の下に本性を隠して笑っている。
「あ、の……」
「ごめん、自惚れてたみたい。これからは許可なく触ったりしないから。だから……」
「そんな不安そうな顔しないでよ」……そう言ったアルベルトの方がよっぽど辛そうな顔をしていて、私の胸がチクリと痛む。
……いいの?このままで。
私は今、やっと好きになれた人を傷つけたまま、何もできずにいるんだよ?
前と同じことを繰り返しても、いいの……?
「アルベルト様……!あの、えっと、私……」
仕立て屋を呼んでくると言って、気を利かせて部屋から出て行こうとしたアルベルトを何とか呼び止めたのは良いものの、上手く言葉が出ない。
そんな私をアルベルトは優しく見守っていてくれるので、それがかえって私の心を沈めていく。
「私っ、アルベルト様のことが……!」
「待って待って、さらちゃん。」
勇気を振り絞ってようやく言葉にできたのに、アルベルトによって阻まれてしまう。
私の気持ちは、迷惑……?
止められてしまったことで、どんどんマイナスの方向へと思考が進んでいく。
もしかして、(愛し子だから)結婚したい、(愛し子だから)可愛い(って褒めておこう)ってこと??
……あぁ、そっか。
その可能性もあるんだ。
私は見事にアルベルトの手の平で転がされ……
「お願いだから、俺から言わせて。……さらちゃん、君のことが大好きです。俺と、お付き合いしていただけませんか?」
「……っ!?」
って、え……?
そのあまりにも私に都合の良すぎる言葉に幻聴かと疑ってしまう。
でも、アルベルトが耳まで真っ赤にして目の前にいり現実がその仮説を否定してくれる。
……今度こそ、私はこの手をとっても良いんだよ、ね?
366
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる