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第一章 第二王子との出会い
14.神の愛し子
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「それじゃ、さらちゃんに似合うドレスを仕立てよっか。」
「……ドレスを仕立てる?」
エドワードとアルベルトがゲーム通りの関係でなく、アルベルトが傷ついてないとわかった私がほっと一息つけたのも束の間で、その言葉に嫌な予感が浮かんで聞き返してしまう。
「そう。ほら、明日は王族主催の舞踏会があるでしょ?」
「確かに、ありますね。」
卒業パーティーが終わってすぐ、今度は卒業生と在校生だけでなく、皆んなでこれから未来を背負っていく若者の門出を祝おうという意味も込めて、明日は貴族の殆どが参加する大規模な舞踏会が開催されるのだ。
そのことは公爵令嬢として育てられたからもちろん知っているし、なんなら参加したこともある。
でも、今の転生した私には関係のないことのはずだ。
そう思ってアルベルトを見ると、
「そこで、俺のパートナーとしてさらちゃんを紹介したくて……」
ととんでも発言をされてしまう始末。
今までアルベルトは特定の女性をエスコートしたことなんてない。
それなのにパートナーとして紹介すると言うことはつまり……。
実質『結婚報告』……!?
その言葉が頭をよぎり、振り払うようにぶんぶんと首を振った。
アルベルトはわかってて言っているのだろうか。
真意を探る為にじぃっと見つめると笑い返されてしまう。
……あ、この顔は確信犯だ。
「そもそも、沙羅が舞踏会に出ても大丈夫なんですか?私みたいな存在って、国家秘密なんですよね……?」
女神様がそう言っていたし、何よりも私が知らないという事実がそれを証明している。
そんな存在となってしまった私を簡単に舞踏会に出すなんて、危険ではないのだろうか。……と思っての発言だった。
「いや、そうでもないよ。」
が、あっさり否定されてしまったことで数秒フリーズしてしまう。
「さらちゃんも知ってるはずだよ?……神の愛し子のこと。」
『神の愛し子』……その名の通り神様に愛されて様々な能力を授かったというこの世界ではよく聞く御伽話に出てくる男の子を指す言葉。
伝説上の存在で、魔法を自由自在に操り、そして新しい知識をもたらしてくれるという……って、ちょっと待って。
そこまで考えて私はようやく気がついた。
「……もしかして、愛し子は転生者なんですか?」
だって、あまりにも転生者と条件が同じ過ぎる。
「ご名答。だから、君を愛し子ですって紹介すれば済む話なんだよ。」
アルベルトは軽く言ってのけているけれど、愛し子……その存在がどれほどこの世界に影響を及ぼしたことか。
物語の中でしか知らないけれど、それだけでも誰もが崇めるような能力を持っている、まさに伝説の中だけであって欲しい存在なのだ。
人1人で国境をも書き換えることも時代を何百年だって一気に進めることができる。
そんな存在、現実にいて良いはずがない。
……と王妃教育を受けていた私なら思ったはずだ。
だって、味方なら心強いけど敵になると頭を抱えたくなるほど厄介な存在になる。
アルベルトだって王子という立場だからその点は理解しているとは思うんだけど、私を不安にさせない為なのかはたまたどうにかなると思っているのか、どちらにせよそんな簡単に口にして良い問題ではないのだけれど。
「確か500年前に現れたのが最後って言われてる。」
「500年前って、この国ができた年、ですか……?」
「流石だね。……建国の年って、ただでさえ忙しいからさ、全然記録が残ってないんだよ。親から子へ代々語り継がれてるって感じ。俺もさらちゃんに出会うまで半信半疑だったくらいだしね。」
うん、気持ちはすっごくわかる。
私も前世で親から魔法使いが500年前にいたんだと言われても、信じられないだろう。
この世界はまだ聖女という存在がいるからもしかしたら……くらいには思えるけど、前世の魔法が存在しない世界だと、そもそも信じようとする気すら起きない。
それで……私は国家機密→伝説の存在へとグレードアップしてしまったわけか。
うん、深く考えないことにしよう。
これ以上なんか要素が追加されたら胃が痛くなりそうだし。
「……ドレスを仕立てる?」
エドワードとアルベルトがゲーム通りの関係でなく、アルベルトが傷ついてないとわかった私がほっと一息つけたのも束の間で、その言葉に嫌な予感が浮かんで聞き返してしまう。
「そう。ほら、明日は王族主催の舞踏会があるでしょ?」
「確かに、ありますね。」
卒業パーティーが終わってすぐ、今度は卒業生と在校生だけでなく、皆んなでこれから未来を背負っていく若者の門出を祝おうという意味も込めて、明日は貴族の殆どが参加する大規模な舞踏会が開催されるのだ。
そのことは公爵令嬢として育てられたからもちろん知っているし、なんなら参加したこともある。
でも、今の転生した私には関係のないことのはずだ。
そう思ってアルベルトを見ると、
「そこで、俺のパートナーとしてさらちゃんを紹介したくて……」
ととんでも発言をされてしまう始末。
今までアルベルトは特定の女性をエスコートしたことなんてない。
それなのにパートナーとして紹介すると言うことはつまり……。
実質『結婚報告』……!?
その言葉が頭をよぎり、振り払うようにぶんぶんと首を振った。
アルベルトはわかってて言っているのだろうか。
真意を探る為にじぃっと見つめると笑い返されてしまう。
……あ、この顔は確信犯だ。
「そもそも、沙羅が舞踏会に出ても大丈夫なんですか?私みたいな存在って、国家秘密なんですよね……?」
女神様がそう言っていたし、何よりも私が知らないという事実がそれを証明している。
そんな存在となってしまった私を簡単に舞踏会に出すなんて、危険ではないのだろうか。……と思っての発言だった。
「いや、そうでもないよ。」
が、あっさり否定されてしまったことで数秒フリーズしてしまう。
「さらちゃんも知ってるはずだよ?……神の愛し子のこと。」
『神の愛し子』……その名の通り神様に愛されて様々な能力を授かったというこの世界ではよく聞く御伽話に出てくる男の子を指す言葉。
伝説上の存在で、魔法を自由自在に操り、そして新しい知識をもたらしてくれるという……って、ちょっと待って。
そこまで考えて私はようやく気がついた。
「……もしかして、愛し子は転生者なんですか?」
だって、あまりにも転生者と条件が同じ過ぎる。
「ご名答。だから、君を愛し子ですって紹介すれば済む話なんだよ。」
アルベルトは軽く言ってのけているけれど、愛し子……その存在がどれほどこの世界に影響を及ぼしたことか。
物語の中でしか知らないけれど、それだけでも誰もが崇めるような能力を持っている、まさに伝説の中だけであって欲しい存在なのだ。
人1人で国境をも書き換えることも時代を何百年だって一気に進めることができる。
そんな存在、現実にいて良いはずがない。
……と王妃教育を受けていた私なら思ったはずだ。
だって、味方なら心強いけど敵になると頭を抱えたくなるほど厄介な存在になる。
アルベルトだって王子という立場だからその点は理解しているとは思うんだけど、私を不安にさせない為なのかはたまたどうにかなると思っているのか、どちらにせよそんな簡単に口にして良い問題ではないのだけれど。
「確か500年前に現れたのが最後って言われてる。」
「500年前って、この国ができた年、ですか……?」
「流石だね。……建国の年って、ただでさえ忙しいからさ、全然記録が残ってないんだよ。親から子へ代々語り継がれてるって感じ。俺もさらちゃんに出会うまで半信半疑だったくらいだしね。」
うん、気持ちはすっごくわかる。
私も前世で親から魔法使いが500年前にいたんだと言われても、信じられないだろう。
この世界はまだ聖女という存在がいるからもしかしたら……くらいには思えるけど、前世の魔法が存在しない世界だと、そもそも信じようとする気すら起きない。
それで……私は国家機密→伝説の存在へとグレードアップしてしまったわけか。
うん、深く考えないことにしよう。
これ以上なんか要素が追加されたら胃が痛くなりそうだし。
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