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第一章 第二王子との出会い
19.薬指の意味
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アルベルトの謝罪に戸惑いを隠せない私は驚いて固まってしまう。
私が責められるならまだしも、アルベルトになんの非もないはずだ。
そのことに気づき、すぐに取り敢えず頭を上げて欲しいとお願いする。
アルベルトはゆっくり顔を上げると、罰が悪そうな顔をしながら口を開いた。
「……俺にとっては1番良い求婚のつもりだったけど、さらちゃんに気づかれいくらいだから、きっと良くなかったんだろうなって思って。」
「いえっ、そんなことは……!ごめんなさい、エドワード様ともそういったことは一切なかったので、頭から抜け落ちていました。それに、自分の身に起こるはずがないと勝手に思い込んでて、理解するのに時間がかかってしまったと言いますか……」
非はあくまでも私にあってアルベルトは悪くない、と必死になって訴えると、クスッとアルベルトが笑う声が聞こえて顔を上げる。
「ごめんごめん。さらちゃんがあんまりにも必死だったから、つい。」
笑われたことに私がムッと不機嫌なことをアピールすると、アルベルトは謝罪の言葉を述べてくれる。
でも、顔は横に背けてしまっているもののその肩は揺れているので、笑っているのが丸わかりだ。
……ツボに入ったのかな?
アルベルトが声を出して笑っているのはゲームでも見たことが無い。
それで笑われたことに対する怒りというか恥ずかしさはどこかえ消え、その珍しい光景に見入ってしまった。
「……そんなに見つめられると、照れるんだけど……」
じっと目に焼き付けていると、笑い終わったのであろうアルベルトにそんなことを言われてしまう。
その頬はほんのり赤く色づいていたので、私も釣られて赤くなってふいと目を逸らす。
「……サラちゃんのいたとこは、どんなプロポーズの仕方だったの?」
少しの沈黙の後、アルベルトから問いかけられた私はパッと彼の方を見た。
まさか、元いた世界のことを聞かれるなんて思ってもいなかったので、少し嬉しく感じる。
「指輪を渡しながら結婚して欲しいって言うのが一般的だと思います。」
「指輪……?へぇ、そうなんだ。」
アルベルトは意外だというように目を瞬かせた。
この世界だとそう思うよね……。
この国では、女性にはネックレスを男性には剣を送るのが主流だ。
男性は自分の瞳の色の宝石がついたネックレスを意中の相手に身につけてもらうことで、自分のものだとアピールできる……という理由からネックレスを送り、女性は私を守ってという意味を込めて剣を送る。
どっちも大きければ大きいほど自身の存在を主張できるので、どれだけ大きな宝石をもらえるのかが女性にとっては愛されていることの証明になったりする。
男性にとっても同じことが言え、立派な剣を贈られることがこれ程のものを贈れる女性の心を射止めたと権威の主張にもなるのだ。
だから結婚において、指輪みたいに小さい贈り物をするのはこの国だとまずあり得ない。
それでアルベルトは驚いてたというわけなのだ。
「それは、何か意味があったりするのかな?」
「もちろんあります!」
私は待ってました!と言わんばかりに勢いよく答える。
だって、(多分)全女子の憧れだよ?
知らないわけないし、なんならこの国に広めたいくらい素敵な風習だと思っている。
「まず指輪を渡すのは、丸い形をした指輪は『永遠に途切れることのない愛情』を意味しているからだって言われているんです。結婚式では指輪を交換するんですが、そこには愛が永遠に続きます様にって願いが込められていて、とても素敵なんですよ!」
実は前世で気になって調べたことがあり、その理由がめちゃくちゃロマンチックだったので、指輪交換に憧れがあったのだ。
とはいっても、結婚願望があったわけではなく、なんとなく素敵だなぁって思うだけだったけど。
「指輪を交換するときには、相手の左手の薬指に指輪をはめるんですが、これにも意味があってですね!……って、すみません。つい興奮して話してしまいました。」
ついつい指輪以外の方向に話が進んでしまいそうになって、慌てて口を紡ぐ。
「大丈夫だよ、続けて?」
チラッとアルベルトの方を見ると、興味深そうに私の話に耳を傾けてくれていた。
だけど、また話が止まらなくなってしまう自信があった私は、続きを話していいかどうか迷ってしまう。
「さらちゃんの国のこと聞きたいから、教えてほしいな。」
そんな私の心配を察したのか、アルベルトは足を組み直した後、気遣いの言葉を述べてくれる。
そんな優しさに感激した私は、なるべく冷静に……っと自分に言い聞かせながら口を開いた。
「……元々は左手の薬指は心臓と一本の管で繋がっていると信じられていて、お互いの心をつなぐという意味があったそうです。現在では左手が信頼を薬指が愛情を意味しているのからって考えもあるからだと思います。……あ、ですが、一般的に聞くのは左手の薬指が1番心臓に近いからって理由ですかね?」
「指それぞれに意味が存在するんだ。面白い考え方だね。」
「ロマンチックですよね!他にも、プレゼントするアクセサリーによって違う意味があったり……あっ!バレンタインのお返しにも意味がありますよ!」
アルベルトが興味を持ってくれたことに嬉しくなった私は、前世で友達に熱弁する様に話してしまう。
多分この世界で前世のことを話すなんて初めてで、浮かれてしまっていたのだろう。
だけどすぐ我に帰り、勢いのまま前のめりになってしまった姿勢を正して、アルベルトの方を恐る恐る見る。
「……さらちゃんに誤解されないように、俺も覚えるの頑張らなきゃね。」
アルベルトはそんな私を微笑ましそうに見ていたようで、目が合うと柔らかく笑って冗談めかしくそう言った。
私が責められるならまだしも、アルベルトになんの非もないはずだ。
そのことに気づき、すぐに取り敢えず頭を上げて欲しいとお願いする。
アルベルトはゆっくり顔を上げると、罰が悪そうな顔をしながら口を開いた。
「……俺にとっては1番良い求婚のつもりだったけど、さらちゃんに気づかれいくらいだから、きっと良くなかったんだろうなって思って。」
「いえっ、そんなことは……!ごめんなさい、エドワード様ともそういったことは一切なかったので、頭から抜け落ちていました。それに、自分の身に起こるはずがないと勝手に思い込んでて、理解するのに時間がかかってしまったと言いますか……」
非はあくまでも私にあってアルベルトは悪くない、と必死になって訴えると、クスッとアルベルトが笑う声が聞こえて顔を上げる。
「ごめんごめん。さらちゃんがあんまりにも必死だったから、つい。」
笑われたことに私がムッと不機嫌なことをアピールすると、アルベルトは謝罪の言葉を述べてくれる。
でも、顔は横に背けてしまっているもののその肩は揺れているので、笑っているのが丸わかりだ。
……ツボに入ったのかな?
アルベルトが声を出して笑っているのはゲームでも見たことが無い。
それで笑われたことに対する怒りというか恥ずかしさはどこかえ消え、その珍しい光景に見入ってしまった。
「……そんなに見つめられると、照れるんだけど……」
じっと目に焼き付けていると、笑い終わったのであろうアルベルトにそんなことを言われてしまう。
その頬はほんのり赤く色づいていたので、私も釣られて赤くなってふいと目を逸らす。
「……サラちゃんのいたとこは、どんなプロポーズの仕方だったの?」
少しの沈黙の後、アルベルトから問いかけられた私はパッと彼の方を見た。
まさか、元いた世界のことを聞かれるなんて思ってもいなかったので、少し嬉しく感じる。
「指輪を渡しながら結婚して欲しいって言うのが一般的だと思います。」
「指輪……?へぇ、そうなんだ。」
アルベルトは意外だというように目を瞬かせた。
この世界だとそう思うよね……。
この国では、女性にはネックレスを男性には剣を送るのが主流だ。
男性は自分の瞳の色の宝石がついたネックレスを意中の相手に身につけてもらうことで、自分のものだとアピールできる……という理由からネックレスを送り、女性は私を守ってという意味を込めて剣を送る。
どっちも大きければ大きいほど自身の存在を主張できるので、どれだけ大きな宝石をもらえるのかが女性にとっては愛されていることの証明になったりする。
男性にとっても同じことが言え、立派な剣を贈られることがこれ程のものを贈れる女性の心を射止めたと権威の主張にもなるのだ。
だから結婚において、指輪みたいに小さい贈り物をするのはこの国だとまずあり得ない。
それでアルベルトは驚いてたというわけなのだ。
「それは、何か意味があったりするのかな?」
「もちろんあります!」
私は待ってました!と言わんばかりに勢いよく答える。
だって、(多分)全女子の憧れだよ?
知らないわけないし、なんならこの国に広めたいくらい素敵な風習だと思っている。
「まず指輪を渡すのは、丸い形をした指輪は『永遠に途切れることのない愛情』を意味しているからだって言われているんです。結婚式では指輪を交換するんですが、そこには愛が永遠に続きます様にって願いが込められていて、とても素敵なんですよ!」
実は前世で気になって調べたことがあり、その理由がめちゃくちゃロマンチックだったので、指輪交換に憧れがあったのだ。
とはいっても、結婚願望があったわけではなく、なんとなく素敵だなぁって思うだけだったけど。
「指輪を交換するときには、相手の左手の薬指に指輪をはめるんですが、これにも意味があってですね!……って、すみません。つい興奮して話してしまいました。」
ついつい指輪以外の方向に話が進んでしまいそうになって、慌てて口を紡ぐ。
「大丈夫だよ、続けて?」
チラッとアルベルトの方を見ると、興味深そうに私の話に耳を傾けてくれていた。
だけど、また話が止まらなくなってしまう自信があった私は、続きを話していいかどうか迷ってしまう。
「さらちゃんの国のこと聞きたいから、教えてほしいな。」
そんな私の心配を察したのか、アルベルトは足を組み直した後、気遣いの言葉を述べてくれる。
そんな優しさに感激した私は、なるべく冷静に……っと自分に言い聞かせながら口を開いた。
「……元々は左手の薬指は心臓と一本の管で繋がっていると信じられていて、お互いの心をつなぐという意味があったそうです。現在では左手が信頼を薬指が愛情を意味しているのからって考えもあるからだと思います。……あ、ですが、一般的に聞くのは左手の薬指が1番心臓に近いからって理由ですかね?」
「指それぞれに意味が存在するんだ。面白い考え方だね。」
「ロマンチックですよね!他にも、プレゼントするアクセサリーによって違う意味があったり……あっ!バレンタインのお返しにも意味がありますよ!」
アルベルトが興味を持ってくれたことに嬉しくなった私は、前世で友達に熱弁する様に話してしまう。
多分この世界で前世のことを話すなんて初めてで、浮かれてしまっていたのだろう。
だけどすぐ我に帰り、勢いのまま前のめりになってしまった姿勢を正して、アルベルトの方を恐る恐る見る。
「……さらちゃんに誤解されないように、俺も覚えるの頑張らなきゃね。」
アルベルトはそんな私を微笑ましそうに見ていたようで、目が合うと柔らかく笑って冗談めかしくそう言った。
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