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第一章 第二王子との出会い
27.自分の気持ちと向き合って
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国王様との謁見が無事に終わり、明日は舞踏会もあるということで早めに帰らされた私は、これからお世話になる部屋へとアルに案内をしてもらっていた。
「ここだよ。」
そう言って指を指された先にあったのは、どう見ても豪華な造りの扉。
目的地の予想外の華やかさに私はぴたりと足を止めた。
「本当にここで合ってますか……?」
不安になりながらアルに確認すると、「あってるよ」という返事が返ってきたので、場所が間違っているわけではないようだ。
そっか……。
これでも一応愛し子って呼ばれる立場の身な訳だし、この対応なのも頷けはする。
するけど……。
こんな豪華な部屋、公爵家にもなかった。
そんな場所に私が泊まっても良いのかな。
「ちなみに、俺の隣だよ。」
「えぇっ!?」
さらに衝撃的なことに、アルの隣部屋ということが発覚したことで、私は驚いて声を上げる。
だって、王族の隣の部屋なんて結婚相手とかだよ!?
そこに私を泊めるって、それはつまり……。
チラリとアルの方を見ると、嬉しそうに微笑み返されて確信した。
あぁ、やっぱりアルはそれを理解して受け入れているのだと。
「あの、流石に早いのではないでしょうか……?」
「そんなことないよ、父上も認めてくれたんだし。」
遠回しに無理だと伝えると、親公認だからと一刀両断されてしまう。
この笑顔を浮かべている時のアルには何を言っても誤魔化されてしまうということを前世からよく知っていた私は、早々に諦めて中へと歩みを進めたのだった。
*
「わぁ、可愛い。」
思わず声が漏れてしまったのも当然で、部屋の中は私の好みの家具で埋め尽くされていた。
水色で統一されたシンプルだけど質の良さそうなその家具に、私は感嘆の言葉を上げた。
「喜んでもらえてよかった。」
ニコニコと嬉しそうな笑顔を浮かべるアルを見て、1つの疑問が浮かんでくる。
「えっと、どうしてこんなにも私の好みなんでしょうか?」
嫌な予感が走り、そうであって欲しくないと思いながらもアルへと質問を投げかけると、私の予感を肯定するかのように困ったような曖昧な表情を返されてしまう。
この反応はやっぱり……。
多分私のために変えてくれたんだろうな。
そうじゃなきゃ、アルの部屋の隣がたまたま私好みなんてこと、どんな確率なんだってくらいあるはずがないことだもん。
アルは私がお金をかけるのを苦手だと知ってるから、わざと濁した返事を返したのだろう。
「嫌、だった……?」
悲しそうに眉を下げて、まるで捨てられた子犬のような表情で聞かれた私は、うっと言葉を詰まらせた。
もちろん嫌というわけではない。
アルが私のためを思ってやってくれたのは嬉しいくらいだもん。
ただ、申し訳なさがあるだけで……。
「嫌ではないですよ。でも、次からは確認を取ってからにしてくれると嬉しいです。」
「わかった、そうする。」
私の気持ちを汲んでくれたようで、アルはすぐに頷いてくれた。
それを見て、肩の荷が降りた私は「お茶にしよう」というアルの提案に乗って、ソファへ腰掛けたのだった。
「……さらちゃんが宰相と上手くいってないって知らなかった。」
ほっと息をついた後、アルは徐にそう言って、私の目を真っ直ぐに見つめる。
「隠していたわけではないんですが……。でも今考えてみると、公の場では普通の親子って感じでしたよね。」
あははと軽く返すと、アルは眉を顰めて口を開いた。
「無理に笑わなくても良いよ。……寂しかったよね。」
「……っ」
不意に図星を突かれた私は、笑顔のまま固まってしまった。
確かにすぐに笑い話に変えられるほど気持ちの整理はついてなかった。
だけど、それをすぐに見破って、欲しい言葉をかけてくれるアルは凄すぎる。
最初の言葉が慰めるでもなくて、共感なのが、モテポイントをあげたいくらいだ。
なんて、そこまで思考を誤魔化して、私の心はようやく落ち着きを取り戻せてきた。
「寂しかったのは確かです。でも、こうやって仲直りもできましたし、それに……」
そこで言葉を区切って、アルを見つめる。
「こうやってアルにも会えて、沢山愛情を貰えてますから。寂しくないですよ。」
これは本心からの言葉。
ずっとお父様から愛されてないと思っていて、婚約者にもあんな形で捨てられて、私は孤独の中にいた。
だけど、アルが話しかけてくれて、窮屈だったこの世界で初めて寄り添ってくれて……。
多分、あの時には好きになっちゃったてたと思う。
ともかく、私は今幸せだから、過去を乗り越えるぞ!と意気込んでるくらいなのだ。
だから、
「ありがとうございます。私と出会ってくれて。」
アルは目を見開いた後、優しく私を抱きしめてくれる。
「これからは絶対に寂しい思いなんてさせない。」
そんなかっこいいセリフと共に。
その温もりと優しさに少しだけ泣きそうになってしまったのは内緒だ。
「ここだよ。」
そう言って指を指された先にあったのは、どう見ても豪華な造りの扉。
目的地の予想外の華やかさに私はぴたりと足を止めた。
「本当にここで合ってますか……?」
不安になりながらアルに確認すると、「あってるよ」という返事が返ってきたので、場所が間違っているわけではないようだ。
そっか……。
これでも一応愛し子って呼ばれる立場の身な訳だし、この対応なのも頷けはする。
するけど……。
こんな豪華な部屋、公爵家にもなかった。
そんな場所に私が泊まっても良いのかな。
「ちなみに、俺の隣だよ。」
「えぇっ!?」
さらに衝撃的なことに、アルの隣部屋ということが発覚したことで、私は驚いて声を上げる。
だって、王族の隣の部屋なんて結婚相手とかだよ!?
そこに私を泊めるって、それはつまり……。
チラリとアルの方を見ると、嬉しそうに微笑み返されて確信した。
あぁ、やっぱりアルはそれを理解して受け入れているのだと。
「あの、流石に早いのではないでしょうか……?」
「そんなことないよ、父上も認めてくれたんだし。」
遠回しに無理だと伝えると、親公認だからと一刀両断されてしまう。
この笑顔を浮かべている時のアルには何を言っても誤魔化されてしまうということを前世からよく知っていた私は、早々に諦めて中へと歩みを進めたのだった。
*
「わぁ、可愛い。」
思わず声が漏れてしまったのも当然で、部屋の中は私の好みの家具で埋め尽くされていた。
水色で統一されたシンプルだけど質の良さそうなその家具に、私は感嘆の言葉を上げた。
「喜んでもらえてよかった。」
ニコニコと嬉しそうな笑顔を浮かべるアルを見て、1つの疑問が浮かんでくる。
「えっと、どうしてこんなにも私の好みなんでしょうか?」
嫌な予感が走り、そうであって欲しくないと思いながらもアルへと質問を投げかけると、私の予感を肯定するかのように困ったような曖昧な表情を返されてしまう。
この反応はやっぱり……。
多分私のために変えてくれたんだろうな。
そうじゃなきゃ、アルの部屋の隣がたまたま私好みなんてこと、どんな確率なんだってくらいあるはずがないことだもん。
アルは私がお金をかけるのを苦手だと知ってるから、わざと濁した返事を返したのだろう。
「嫌、だった……?」
悲しそうに眉を下げて、まるで捨てられた子犬のような表情で聞かれた私は、うっと言葉を詰まらせた。
もちろん嫌というわけではない。
アルが私のためを思ってやってくれたのは嬉しいくらいだもん。
ただ、申し訳なさがあるだけで……。
「嫌ではないですよ。でも、次からは確認を取ってからにしてくれると嬉しいです。」
「わかった、そうする。」
私の気持ちを汲んでくれたようで、アルはすぐに頷いてくれた。
それを見て、肩の荷が降りた私は「お茶にしよう」というアルの提案に乗って、ソファへ腰掛けたのだった。
「……さらちゃんが宰相と上手くいってないって知らなかった。」
ほっと息をついた後、アルは徐にそう言って、私の目を真っ直ぐに見つめる。
「隠していたわけではないんですが……。でも今考えてみると、公の場では普通の親子って感じでしたよね。」
あははと軽く返すと、アルは眉を顰めて口を開いた。
「無理に笑わなくても良いよ。……寂しかったよね。」
「……っ」
不意に図星を突かれた私は、笑顔のまま固まってしまった。
確かにすぐに笑い話に変えられるほど気持ちの整理はついてなかった。
だけど、それをすぐに見破って、欲しい言葉をかけてくれるアルは凄すぎる。
最初の言葉が慰めるでもなくて、共感なのが、モテポイントをあげたいくらいだ。
なんて、そこまで思考を誤魔化して、私の心はようやく落ち着きを取り戻せてきた。
「寂しかったのは確かです。でも、こうやって仲直りもできましたし、それに……」
そこで言葉を区切って、アルを見つめる。
「こうやってアルにも会えて、沢山愛情を貰えてますから。寂しくないですよ。」
これは本心からの言葉。
ずっとお父様から愛されてないと思っていて、婚約者にもあんな形で捨てられて、私は孤独の中にいた。
だけど、アルが話しかけてくれて、窮屈だったこの世界で初めて寄り添ってくれて……。
多分、あの時には好きになっちゃったてたと思う。
ともかく、私は今幸せだから、過去を乗り越えるぞ!と意気込んでるくらいなのだ。
だから、
「ありがとうございます。私と出会ってくれて。」
アルは目を見開いた後、優しく私を抱きしめてくれる。
「これからは絶対に寂しい思いなんてさせない。」
そんなかっこいいセリフと共に。
その温もりと優しさに少しだけ泣きそうになってしまったのは内緒だ。
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