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第一章 第二王子との出会い
28.決戦前夜(アルベルト視点)
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「今日は疲れただろうから、ゆっくり休んでね。」
さらちゃんの部屋をその言葉と共に後にして、自室ではなく執務室へ足を運ぶ。
「……状況は?」
部屋の中で待機していた影と呼ばれる王族直属の情報屋に問いかける。
「はい。第一王子は明日の舞踏会に聖女と参加するようです。」
質問に簡潔に答えた影は、そう言って一礼を取った。
その予想通りの報告を聞き、思わず口角が上がる。
「聖女とか……」
兄上はよっぽど入れ込んでいるらしい。
そのことがより明瞭になった。
父上に散々クロエ嬢のことで怒られたはずなのに、舞踏会への参加。
さらには聖女をパートナーとするとは。
一体何を考えているんだか。
正直、わかりたくもないが手に取るようにわかってしまう。
おそらく公爵令嬢を無実の罪で断罪したが、聖女の心を射止めた王子として評判のバランスを取るつもりなのだろう。
そう上手くいくはずもないというのに。
まず、クロエ嬢を断罪したことで兄上には謹慎が言い渡されている。
それを破って舞踏会に参加するともなると、父上の逆鱗に触れるのは目に見えている。
さらに加えるならあの聖女……。
相当な男好きだ。
俺も何度も声をかけられては、誘惑紛いなことをされたくらいだし。
まあ、一切靡かなくて早々に諦められたが。
そんなわけで、兄上以外にも関係を持っている者がいたって何も不思議ではない。
そもそも『聖女』と一言に言っても、彼女は歴代でも良く言って下の中と言った所だろう。
そこまで期待が集まってるわけでもなければ、ほっとかれているわけでもない。
宙ぶらりんな状態にある。
そんな中、彼女よりも圧倒的に地位の高い愛し子と呼ばれる存在が現れたら……。
一気に利用価値は下がってしまうだろう。
それどころか、今まで甘い蜜を吸うために媚を売っていた貴族達が一斉にそっぽを向くだろうな。
そこまで思考を巡らせて、ふっと笑みを浮かべる。
……明日の舞踏会が楽しみだ。
さらちゃんを苦しめたあの2人に制裁を加えられる。
やっとだ……。
長年耐えてきたが、ようやく……さらちゃんを手に入れられる。
「10年、か……」
さらちゃんに一目惚れしたのは本当だ。
だけど、それよりずっと前から、それこそクロエ嬢の時から彼女に惹かれていたのだ。
……兄上の婚約者だからと気持ちに蓋をしていたわけだが。
やらかしてくれたお陰で恋焦がれた人が手に入るとは。
兄上も惜しいことをしたよな。
今更返してと言われても渡す気は一切ないが、絶対に後悔するだろう。
見た目が変わったさらちゃんに求婚してたくらいだし、容姿が好みな上に愛し子とまでなれば、兄上が欲しいと思うのは当然のこと。
その兄上から守る為に明日の舞踏会でさらちゃんが俺のパートナーである必要があったのもまた事実。
だけど、打算であの言葉を口にしたわけではない。
もうさらちゃんに傷ついてほしくないと思ったのも本心だ。
まぁ、兄上にあった時点で不可能に近いから、せめて清算して欲しいと思って明日の舞台を用意した。
俺が守るから、安心して兄上との決着をつけてね。
さらちゃんの部屋をその言葉と共に後にして、自室ではなく執務室へ足を運ぶ。
「……状況は?」
部屋の中で待機していた影と呼ばれる王族直属の情報屋に問いかける。
「はい。第一王子は明日の舞踏会に聖女と参加するようです。」
質問に簡潔に答えた影は、そう言って一礼を取った。
その予想通りの報告を聞き、思わず口角が上がる。
「聖女とか……」
兄上はよっぽど入れ込んでいるらしい。
そのことがより明瞭になった。
父上に散々クロエ嬢のことで怒られたはずなのに、舞踏会への参加。
さらには聖女をパートナーとするとは。
一体何を考えているんだか。
正直、わかりたくもないが手に取るようにわかってしまう。
おそらく公爵令嬢を無実の罪で断罪したが、聖女の心を射止めた王子として評判のバランスを取るつもりなのだろう。
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まず、クロエ嬢を断罪したことで兄上には謹慎が言い渡されている。
それを破って舞踏会に参加するともなると、父上の逆鱗に触れるのは目に見えている。
さらに加えるならあの聖女……。
相当な男好きだ。
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宙ぶらりんな状態にある。
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一気に利用価値は下がってしまうだろう。
それどころか、今まで甘い蜜を吸うために媚を売っていた貴族達が一斉にそっぽを向くだろうな。
そこまで思考を巡らせて、ふっと笑みを浮かべる。
……明日の舞踏会が楽しみだ。
さらちゃんを苦しめたあの2人に制裁を加えられる。
やっとだ……。
長年耐えてきたが、ようやく……さらちゃんを手に入れられる。
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俺が守るから、安心して兄上との決着をつけてね。
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