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勇者の孫にTS転生した。今更やり直しを要求してももう遅い
かわのよろいをきたおとこ
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「で、そっちの森人はなんだ?助っ人か?」
トールが憮然とした口調で、アイナスマーの隣の人影に向かって顎をしゃくった。
外套をかぶったままの人影は、アイマスナーとシリオンのやり取りには口を挟まず無言を貫いていたが、トールが水を向けるとようやく口を開いた。男の声だった。
「なぜ…森人と判る?」
男は、出会ったばかりのトールに得体の知れなさを感じていた。自分の体格は只人と変わらない、気配も消している。どうして初見で森人と見抜いたのだろうか?。ハッタリや引っ掛けではない。確信をもって森人だと断言していた。そもそも、どうやってアイマスナーの隠蔽を看破したのだ。あの魔法は森人から見ても見事なものだったというのに。
トールは面倒くさげに言った。
「あぁ?『俺には判る』。これ以上言う必要あるか?」
「いや。……なるほど、これが勇者か……」
答えになっていない答えなのに、男にはトールの力の大きさが判ってしまった。勇者トールにとっては、それが当たり前の事なのだ。たった一言のやりとり、先ほどの隠蔽を看破した能力、それだけで十分に判った。この男を今敵に回すのは得策ではない。
男が優雅な手つきで外套を脱ぎ去ると、現れたのは革の鎧を着た森人の男だった。
「名乗らずに失礼した。私はアダミス、シンシナーの森のアダミスだ」
そう名乗ると、只人の儀礼に則った紳士の礼を取る。
彼を知る者が見たら驚愕しただろう。森人である事に誇りを持つ彼が、只人に敬意を示すなどついぞ無い事だったのだから。
「私の目的はそこの森人トリスキスだ。アイマスナーとは目的が一致したから同道したが、目当てに相対したら互いに干渉しない約束になっている」
トールは視線を動かした。
「そいつの言う通りだよ。これはお互い、種族の問題だから他所の助けを借りる気はないよ」
視線を向けられたアイマスナーが、聞かれる前にそう答えた。
「だから<勇者>トールよ、あなたも我々に干渉しないでもらいたい」
アダミスがアイマスナーの言葉を継ぐ。
ことさら<勇者>を強調したアダミスを、トールは胡乱な目で見た。勇者として…神の代行者として振る舞えと要求しているのだろう。
「俺は、この二人を預かってる立場なんでな。はいそうですかって言う訳無いって判るだろ?」
「それは『この二人が只人に仇為す事の無いようにせよ』という意味だと理解している。その手間を省いてやろうというのだが?」
一応は礼を見せた相手だから気を使ってみたトールだが、(話しても無駄だな)と判断した。礼を尽くし下手に出ているように見えて、変わらず自分以外を見下している男だ。まぁ、今のトールもそうなのであるし、アダミスはトールも自分の同類だと思っているのだから間違いではないのだが。
だが、自分もそうなら、気に入らない要求に従う事などあり得ないと判るものだろうに。
(面倒くせぇな…殺るか…)
「いいよトール。私が相手をする」
物騒な事を考えた所でトリスキスが割って入った。確かにトールがその気になれば始末はできるだろうが、ウルスラの話を聞いた今は、トールにはなるべく穏便に生涯を終えて欲しいと思っている。シリオンが分の悪い(地上なら迷わず逃げている)戦いに望んでいるのもそれが理由の一つだ、自分も逃げる訳には行かないだろう。
「おめぇ…」
「大丈夫だから。私よりシリオンを見てあげなよ」
そう言われてトールも引き下がった。確かにトリスキスよりシリオンの方が格段に危険だ。
トールが下がると、トリスキスはゆっくり前に出て来る。その間も何時もの微笑みをたたえたまま(と言っても半面つけているので口元だけだが)アダミスの顔を無言で見ていたが、やがて僅かに頭を傾げた。
「君の顔と名前、記憶にないんだけど面識あったっけ?」
「いや、初対面だ」
トリスキスは反対側に僅かに首を傾げる。
「じゃあ、私になんの用?」
「理由は二つ。一つは<執行人>が罪人に会いに来た…と言って理解できるか?」
「…」
無言だったが、トリスキスが小さなため息をついたのにアダミスも気が付いた。
「ほう、その様子だと<執行人>を知っているか」
「……森人の、虚飾と傲慢の象徴だろ」
「まぁ、どう思おうと構わん。罪人の感想に大した意味など無い」
確かにトリスキスは、罪を犯して額の森人の証を失い郷を追放された罪人<堕ちた森人>だ。だが、只人の国で暮らすほとんどの森人は同じ<堕ちた森人>である。彼らは紋章を失って追放された事で既に報いを受けており、それ以上の裁きを受ける事は無いはずだった。
死刑の存在しない森人の社会においては、重犯罪者も最高刑は追放でしかないが、只人の国で暮らす<堕ちた森人>は、トリスキス以外は生きるために止むに止まれず罪を犯した森人ばかりである。それをもって森人達は「我々は他種族とは違う。死刑が必要な犯罪者など生まれる余地が無い」と主張していた。
欺瞞である。
同族殺しは森人の禁忌である。同族を殺した犯罪者も、その犯罪者を処刑した者も、等しく森人の紋章を失ってしまう。これは人の判断ではなく紋章の判断である、忖度や情状酌量は通用しない。そして、森人としての誇りを失うことに躊躇しない者はいても、森人としての優位性を捨てる事に躊躇しない者はいない。逃れようのない明確な罰があるからこそ誰もそれを避けようとする。それをあたかも種族としての優位性として主張しているのだ。
欺瞞はそれだけではない。
トリスキスが養母を殺したように、同族を殺す森人は居るのだ。なのに、トリスキス以外に追放された重犯罪者が居ない理由。
森人を殺す森人…<執行人>の存在である。森人の中で唯一、同族殺しを許された者。同族を殺しても紋章を失う事無く、人知れず種族の醜聞を消すための存在。穢れ無き虚飾を作るための穢れた刃。重犯罪の森人は彼らにより密かに処刑され、『重犯罪を犯す森人は存在しない』という神話を作り上げているのだ。
「<執行人>なら、私には処断令が出ていないって知ってるでしょ?」
「…あぁ。どんな手を使って生き延びたか知らんがな」
<執行人>は勝手な処断はできない。あくまで決定を<執行>するだけだ。そして<執行人>が罪人を消すのは、その存在が知られる前でなければならない。既に存在が公になり勇者預かりのトリスキスは同族全てから忌避されているが、だからこそ<執行人>が闇に葬るのは既に手遅れだった。今更トリスキスを始末したら、<執行人>の存在すら明らかになりかねない。
「命令に無い殺しをしたら、どうなるか判らないよ?」
「……判っているさ」
アダミスが心底忌々しそうに同意する。
「なら…」
「理由は二つと言った。もう一つの理由は、その『氷室』だ」
アダミスがトリスキスの右腰に吊られた剣を指差す。
「それを渡せ。それは罪人が持っていて良いものではない」
アダミスがそう告げた瞬間、トリスキスの顔から表情が抜け落ちた。
「例え処断令が無くとも…職務を掛けて種族の恥を処したかったが、<勇者>の面目もあろう。そこは私も引こう。『氷室』を渡すなら穏便に済ませてやってもいい。……そうでなければ、私と決闘だ。処断ではないぞ、正々堂々の決闘だ。殺しはせんが、手足を落とされる覚悟で来い。さぁ選べ!」
「………ふぅん?」
トリスキスは無表情のまま首を傾げたが、おもむろに外套を脱ぐと腕と首をぐるぐる回してから左腰の剣を抜いた。
そしてアダミスには目もくれず、シリオンとアイマスナーに向けて声をかけた。
「こっちも決裂したよ。どうする、二戦同時にやるの?それとも片方ずつ?」
「おい、聞いて無かったのか?」
無視されたアダミスが憤るが、トリスキスは無表情で聞き流した。
「……同時にやろう。互いに邪魔はされたくないだろ」
アイマスナーがそう答えるのに頷くと、五月蠅いとでも言いたげに冷めた目を向ける。
「聞いたし理解してるよ。剣を渡すか戦うかの二択だろ?なら存分に闘ろうよ」
あっさりと言ってのけるトリスキスに、アダミスは一瞬だが面食らった。元々、この勝負は結果の決まった出来レースなのだ。男の魔法使いが魔女に勝てないように、紋章を失った<堕ちた森人>が紋章付きに勝てる道理が無い。
「……何故だ?その剣を使うためには膨大な魔力が必要だ。紋章を失ったお前が持っていても何の役にも立つまい」
事実、トリスキスは左腰の剣は抜いたが、右腰の剣…『氷室』はそのままだ。使い物にならない武器が命より大事なのか。
「別におかしくないでしょ。君ははじめからボクを殺すつもりなんだから、闘る以外の選択肢は無い」
「何を言っている?。お前の言った通り、私はお前を処断する指令を受けていない。だから条件によっては見逃してもいいと交渉しているのだが?」
「そんなに殺意満々でどこが交渉なのさ?」
「<執行人>という私の立場からしたら、罪人に対するには相当に穏便なつもりだがな」
憤慨するように言うアダミスを、トリスキスは鼻で笑った。
「こうして話しながら、素知らぬ顔で魔法を練っているのに?」
「…!」
指摘されたアダミスは、しかしニヤリと嗤った。
そう、アダミスは交渉する体を取りながら、魔法を練っていた。それに気づかれたのに嗤ったのは、アダミスが勝利を確信しているからだ。トリスキスが<堕ちた>分際でそれに気づいたのは想定外だが、だからと言って対抗手段を取るには遅すぎる。
「気付いても遅いっ!」
歪んだ笑みと共に印を切って拘束の魔法を放つと同時にアダミスは剣を抜いて飛び出した。空間から出現した魔法の縛鎖がトリスキスをぐるぐる巻きに拘束する。
同時にアイマスナーとシリオンは互いに障壁を展開し始めた。
トールが憮然とした口調で、アイナスマーの隣の人影に向かって顎をしゃくった。
外套をかぶったままの人影は、アイマスナーとシリオンのやり取りには口を挟まず無言を貫いていたが、トールが水を向けるとようやく口を開いた。男の声だった。
「なぜ…森人と判る?」
男は、出会ったばかりのトールに得体の知れなさを感じていた。自分の体格は只人と変わらない、気配も消している。どうして初見で森人と見抜いたのだろうか?。ハッタリや引っ掛けではない。確信をもって森人だと断言していた。そもそも、どうやってアイマスナーの隠蔽を看破したのだ。あの魔法は森人から見ても見事なものだったというのに。
トールは面倒くさげに言った。
「あぁ?『俺には判る』。これ以上言う必要あるか?」
「いや。……なるほど、これが勇者か……」
答えになっていない答えなのに、男にはトールの力の大きさが判ってしまった。勇者トールにとっては、それが当たり前の事なのだ。たった一言のやりとり、先ほどの隠蔽を看破した能力、それだけで十分に判った。この男を今敵に回すのは得策ではない。
男が優雅な手つきで外套を脱ぎ去ると、現れたのは革の鎧を着た森人の男だった。
「名乗らずに失礼した。私はアダミス、シンシナーの森のアダミスだ」
そう名乗ると、只人の儀礼に則った紳士の礼を取る。
彼を知る者が見たら驚愕しただろう。森人である事に誇りを持つ彼が、只人に敬意を示すなどついぞ無い事だったのだから。
「私の目的はそこの森人トリスキスだ。アイマスナーとは目的が一致したから同道したが、目当てに相対したら互いに干渉しない約束になっている」
トールは視線を動かした。
「そいつの言う通りだよ。これはお互い、種族の問題だから他所の助けを借りる気はないよ」
視線を向けられたアイマスナーが、聞かれる前にそう答えた。
「だから<勇者>トールよ、あなたも我々に干渉しないでもらいたい」
アダミスがアイマスナーの言葉を継ぐ。
ことさら<勇者>を強調したアダミスを、トールは胡乱な目で見た。勇者として…神の代行者として振る舞えと要求しているのだろう。
「俺は、この二人を預かってる立場なんでな。はいそうですかって言う訳無いって判るだろ?」
「それは『この二人が只人に仇為す事の無いようにせよ』という意味だと理解している。その手間を省いてやろうというのだが?」
一応は礼を見せた相手だから気を使ってみたトールだが、(話しても無駄だな)と判断した。礼を尽くし下手に出ているように見えて、変わらず自分以外を見下している男だ。まぁ、今のトールもそうなのであるし、アダミスはトールも自分の同類だと思っているのだから間違いではないのだが。
だが、自分もそうなら、気に入らない要求に従う事などあり得ないと判るものだろうに。
(面倒くせぇな…殺るか…)
「いいよトール。私が相手をする」
物騒な事を考えた所でトリスキスが割って入った。確かにトールがその気になれば始末はできるだろうが、ウルスラの話を聞いた今は、トールにはなるべく穏便に生涯を終えて欲しいと思っている。シリオンが分の悪い(地上なら迷わず逃げている)戦いに望んでいるのもそれが理由の一つだ、自分も逃げる訳には行かないだろう。
「おめぇ…」
「大丈夫だから。私よりシリオンを見てあげなよ」
そう言われてトールも引き下がった。確かにトリスキスよりシリオンの方が格段に危険だ。
トールが下がると、トリスキスはゆっくり前に出て来る。その間も何時もの微笑みをたたえたまま(と言っても半面つけているので口元だけだが)アダミスの顔を無言で見ていたが、やがて僅かに頭を傾げた。
「君の顔と名前、記憶にないんだけど面識あったっけ?」
「いや、初対面だ」
トリスキスは反対側に僅かに首を傾げる。
「じゃあ、私になんの用?」
「理由は二つ。一つは<執行人>が罪人に会いに来た…と言って理解できるか?」
「…」
無言だったが、トリスキスが小さなため息をついたのにアダミスも気が付いた。
「ほう、その様子だと<執行人>を知っているか」
「……森人の、虚飾と傲慢の象徴だろ」
「まぁ、どう思おうと構わん。罪人の感想に大した意味など無い」
確かにトリスキスは、罪を犯して額の森人の証を失い郷を追放された罪人<堕ちた森人>だ。だが、只人の国で暮らすほとんどの森人は同じ<堕ちた森人>である。彼らは紋章を失って追放された事で既に報いを受けており、それ以上の裁きを受ける事は無いはずだった。
死刑の存在しない森人の社会においては、重犯罪者も最高刑は追放でしかないが、只人の国で暮らす<堕ちた森人>は、トリスキス以外は生きるために止むに止まれず罪を犯した森人ばかりである。それをもって森人達は「我々は他種族とは違う。死刑が必要な犯罪者など生まれる余地が無い」と主張していた。
欺瞞である。
同族殺しは森人の禁忌である。同族を殺した犯罪者も、その犯罪者を処刑した者も、等しく森人の紋章を失ってしまう。これは人の判断ではなく紋章の判断である、忖度や情状酌量は通用しない。そして、森人としての誇りを失うことに躊躇しない者はいても、森人としての優位性を捨てる事に躊躇しない者はいない。逃れようのない明確な罰があるからこそ誰もそれを避けようとする。それをあたかも種族としての優位性として主張しているのだ。
欺瞞はそれだけではない。
トリスキスが養母を殺したように、同族を殺す森人は居るのだ。なのに、トリスキス以外に追放された重犯罪者が居ない理由。
森人を殺す森人…<執行人>の存在である。森人の中で唯一、同族殺しを許された者。同族を殺しても紋章を失う事無く、人知れず種族の醜聞を消すための存在。穢れ無き虚飾を作るための穢れた刃。重犯罪の森人は彼らにより密かに処刑され、『重犯罪を犯す森人は存在しない』という神話を作り上げているのだ。
「<執行人>なら、私には処断令が出ていないって知ってるでしょ?」
「…あぁ。どんな手を使って生き延びたか知らんがな」
<執行人>は勝手な処断はできない。あくまで決定を<執行>するだけだ。そして<執行人>が罪人を消すのは、その存在が知られる前でなければならない。既に存在が公になり勇者預かりのトリスキスは同族全てから忌避されているが、だからこそ<執行人>が闇に葬るのは既に手遅れだった。今更トリスキスを始末したら、<執行人>の存在すら明らかになりかねない。
「命令に無い殺しをしたら、どうなるか判らないよ?」
「……判っているさ」
アダミスが心底忌々しそうに同意する。
「なら…」
「理由は二つと言った。もう一つの理由は、その『氷室』だ」
アダミスがトリスキスの右腰に吊られた剣を指差す。
「それを渡せ。それは罪人が持っていて良いものではない」
アダミスがそう告げた瞬間、トリスキスの顔から表情が抜け落ちた。
「例え処断令が無くとも…職務を掛けて種族の恥を処したかったが、<勇者>の面目もあろう。そこは私も引こう。『氷室』を渡すなら穏便に済ませてやってもいい。……そうでなければ、私と決闘だ。処断ではないぞ、正々堂々の決闘だ。殺しはせんが、手足を落とされる覚悟で来い。さぁ選べ!」
「………ふぅん?」
トリスキスは無表情のまま首を傾げたが、おもむろに外套を脱ぐと腕と首をぐるぐる回してから左腰の剣を抜いた。
そしてアダミスには目もくれず、シリオンとアイマスナーに向けて声をかけた。
「こっちも決裂したよ。どうする、二戦同時にやるの?それとも片方ずつ?」
「おい、聞いて無かったのか?」
無視されたアダミスが憤るが、トリスキスは無表情で聞き流した。
「……同時にやろう。互いに邪魔はされたくないだろ」
アイマスナーがそう答えるのに頷くと、五月蠅いとでも言いたげに冷めた目を向ける。
「聞いたし理解してるよ。剣を渡すか戦うかの二択だろ?なら存分に闘ろうよ」
あっさりと言ってのけるトリスキスに、アダミスは一瞬だが面食らった。元々、この勝負は結果の決まった出来レースなのだ。男の魔法使いが魔女に勝てないように、紋章を失った<堕ちた森人>が紋章付きに勝てる道理が無い。
「……何故だ?その剣を使うためには膨大な魔力が必要だ。紋章を失ったお前が持っていても何の役にも立つまい」
事実、トリスキスは左腰の剣は抜いたが、右腰の剣…『氷室』はそのままだ。使い物にならない武器が命より大事なのか。
「別におかしくないでしょ。君ははじめからボクを殺すつもりなんだから、闘る以外の選択肢は無い」
「何を言っている?。お前の言った通り、私はお前を処断する指令を受けていない。だから条件によっては見逃してもいいと交渉しているのだが?」
「そんなに殺意満々でどこが交渉なのさ?」
「<執行人>という私の立場からしたら、罪人に対するには相当に穏便なつもりだがな」
憤慨するように言うアダミスを、トリスキスは鼻で笑った。
「こうして話しながら、素知らぬ顔で魔法を練っているのに?」
「…!」
指摘されたアダミスは、しかしニヤリと嗤った。
そう、アダミスは交渉する体を取りながら、魔法を練っていた。それに気づかれたのに嗤ったのは、アダミスが勝利を確信しているからだ。トリスキスが<堕ちた>分際でそれに気づいたのは想定外だが、だからと言って対抗手段を取るには遅すぎる。
「気付いても遅いっ!」
歪んだ笑みと共に印を切って拘束の魔法を放つと同時にアダミスは剣を抜いて飛び出した。空間から出現した魔法の縛鎖がトリスキスをぐるぐる巻きに拘束する。
同時にアイマスナーとシリオンは互いに障壁を展開し始めた。
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