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告白タイム2
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「あなたが戦ったのがいつ頃か知らないけど、群雄割拠の昔は手段を選ばす勝つことが戦士の全てだったそうよ。果たし合いというのは、殺すか殺されるかしか無かった。名誉とは自分のメンツのこと。自分を侮辱した相手は殺す。でも、勝つためには徒党を組んで闇討ち当たり前の時代だから、わざわざ一対一であなたと闘った剣士は、誰かに命じられたか、何かの罰か。いずれにしろ、あなたの首を取らずに生きて帰ることは赦されなかったのかもね」
小さい頃教導師に聞いた、この国の歴史の講義を思い出しながら言った。
ふと、この男と闘って、命乞いをした者は居なかったのだろうか?と考えたが、ひょっとすると、その程度の剣士はこの男の記憶に残ってすらいないのかもしれない。
「その後、豪族の戦争が落ち着いて統一王権が立つ頃には、そんな山賊紛いの連中じゃ困るから、戦士は忠誠こそ名誉、礼儀が第一と教育されるようになった。主従関係が明確になり、自分の負けは主の恥、不名誉な生より名誉の死を選ぶ風潮になっちゃったそうよ。次に来たのはそんな時代の剣士なのかもね」
ふんふんと興味深げに聞いている<夜明けの雲>に、ステレは微妙な違和感を感じていた。ところどころに長い年月を生きた魔人とは思えない反応があるのはなぜだ?。
「平和が続いた今はもっと緩くなってるわ。剣の腕を磨くため、剣の腕の優劣を競うため、殺し合いではなく『試合』として勝負する。それが普通になっているわ。私が負けを認めたのもそういう理由よ」
「そうなのかぁ、、、ようやく時代が俺に追いついたって感じ?」
「それは、、、ちょっと違うんじゃないかしら」
ステレは、歴史の講義でしか習わなかった自分が、その時代を実際に生きた魔人に、事実を見たかの如く語るおかしさに気づいた。彼はなぜこんなにも知らないのだ?
「王都に行ったりしなかったの?。あなたの求める腕自慢がたくさんいるのに」
「俺はこの森を離れることができないんだよ。俺はここで待つ事しかできない」
彼は管理人と名乗った。それによる何かの制約か誓約があるのだろうか?だが、それなら彼の語る勝負も、全てこの広場の中だけなのか腑に落ちた。この森がこの広場が彼の世界の全てなのだ。
そしてそれは、王都にとっては一つ安堵できる情報だ。こんな化物が『俺より強いヤツに会いに行く』とばかりに王城に突入でもしたら、どれほどの騒ぎになるか判ったものではない。
「あなた、普段はどこで暮らしてるの?。仲間はいないの?、、、あ、私以外の鬼人に会ったことあるんだっけ?」
矢継ぎ早のステレの質問を、「今は言えないかな」とだけ誤魔化す。彼女に魔人の事はあまり知らせたく無い。できればこのまま、自分との勝負にのみ集中して欲しい。200年近く待ち望んだ剣士なのだから。
「あ、あそこ入らない方がいいよ、たぶん碌なことにならないから。念のためね」
<夜明けの雲>が遺跡を指さして言う。やはり入らなくて正解だったらしい。
「それよりさ、俺との勝負は『試合』じゃない『立合い』だよ。なんで真面目に来たのさ?。そんな面白い剣まで作ってさ」
「私?私は、、、、確かにあなたと正面から勝負したいという気持ちもあったわね。それで負けて死ぬなら仕方ないと覚悟してここに来たわ。ま、いつ死んでも良いつもりでこの森に来たんだし、ある意味気楽というか」
「さすが鬼人、、、と言いたいところだけど、あんまり刹那的というか自暴自棄は良くないね。生きてりゃいろいろやりたいこともあるだろに」
<夜明けの雲>の言い分に、ステレは「うわぁ」という表情になる。とても殺し合いを求める戦闘狂の言う言葉ではない。
「あなたが言うのにそれほど似合わないセリフは無いわね。私は、もうやりたいことは全部終わらせてこの森に来たのよ。後は悠々自適で死ぬだけなの」
「その歳で?、、、あ、見た目通りの歳なんだよね?」
「女性にその質問は減点5」
「ゴメンナサイ」
真面目に謝る<夜明けの雲>にステレはついつい笑ってしまった。
「なんであなたと戦いたいと思ったのか、それが鬼人の本能なのか。よく判らないわ。鬼人の初心者なんでね、私」
「なにそれ」
(言葉のままの意味なのだけどね、、、)とは口に出さなかった。
「ね、また俺と戦ってくれない?」
しばらくの沈黙のあと、<夜明けの雲>が言った。真っ直ぐに見つめる視線は、愛の告白のようである。実際は殺し合いの申し込みなのだが。
「やること無いならさ。腕を磨いて、いつか俺を倒せるぐらいに強くなるまで、付き合ってよ」
歪んだ男。
歪んだことを止められない男。
欲したものを手に入れられず、人の立ち入りが禁じられた森で待つことしかできない男。
この男はステレと同じだ。
決定的に違うのは、悠久の時を延々と待ち続けなければならないことだ。それは、どれほどの渇きなのだろうか。ステレはまだマシだ。恐らくは、心が擦り切れる前に死ぬことができる。
ただ死ぬまで生きるだけの残りの人生、遥かな高みに居る男に付き合って剣の腕を磨くのも悪くないかもしれない。ステレはそう思った。
「頻繁には無理よ。ここまで往復一日かかるんだから。でもまぁ、腕が上がったと自覚できたら、腕試しくらいには来るのも悪く無いかな」
魔人の表情がぱあっと明るくなる。
「でも、今後は誰かに教えを受けなきゃ無理ね。私は思いつくことを全部やってきたけど、それでも届かなかった。魔人のあなたと釣り合う腕になるまで、何年かかるか分かったもんじゃないわ。その前に私が死ぬんじゃないかしら」
「即死しない限りは傷を治すよ。寿命を延ばす魔法もある。あ、あと、三日ぐらい延々闘っても疲れを感じなくなるクスリもあるよ、これおススメ」
前言撤回したくなった。やっぱりコイツはどこかオカシイ。死ぬことも許されず、ただひたすらコイツと戦い続けるってのは、世間一般に言う所の「呪い」じゃなかろうか。
「ゴメン、そういうのはちょっと辞退したいんだけど。というか、最後のそれ、絶対使っちゃダメなやつでしょ。そもそも、私別に勝負にも強さにもそれほど執着してないし」
「うそぉ~、君絶対こっち側だよ」
「何処が?」
<夜明けの雲>もステレも、互いに『大いに心外だ』と言わんばかりだ。
「例えばさ、、、、あれだけ手こずった俺が、最後何故君の剣の間合いの内に入れた?」
「そりゃ、私の剣の型は一つだけしか無いもの。いくら速くてもじきに読まれると思ってたわ」
「で、次に俺とやるとしたら君はどうするつもり?」
「読まれようが避けられないくらい速く剣を振れるようになるわよ」
「ね?」
「いや、意味わかんない」
「えー?俺と同じこと考えてるーって言いたかったの」
「やだ、私まで脳が筋肉に侵され始めたのかしら?魔人の変な病気うつさないでよね」
「鬼人なんだから元からそうだよー。だから俺と戦ってよ~」
「そんな、泣きそうな顔されても困るって」
「捨ーてーなーいーでー」
「ええぃ、縋るなって」
「ようやく身体の相性がピッタリの子を見つけたのにー」
「誤解を招くようなことを言うなーーっ!」
無敗の魔人は、付き合っていた女に別れ話を切り出され、泣きながら復縁を迫るダメ男のようになっていた。
小さい頃教導師に聞いた、この国の歴史の講義を思い出しながら言った。
ふと、この男と闘って、命乞いをした者は居なかったのだろうか?と考えたが、ひょっとすると、その程度の剣士はこの男の記憶に残ってすらいないのかもしれない。
「その後、豪族の戦争が落ち着いて統一王権が立つ頃には、そんな山賊紛いの連中じゃ困るから、戦士は忠誠こそ名誉、礼儀が第一と教育されるようになった。主従関係が明確になり、自分の負けは主の恥、不名誉な生より名誉の死を選ぶ風潮になっちゃったそうよ。次に来たのはそんな時代の剣士なのかもね」
ふんふんと興味深げに聞いている<夜明けの雲>に、ステレは微妙な違和感を感じていた。ところどころに長い年月を生きた魔人とは思えない反応があるのはなぜだ?。
「平和が続いた今はもっと緩くなってるわ。剣の腕を磨くため、剣の腕の優劣を競うため、殺し合いではなく『試合』として勝負する。それが普通になっているわ。私が負けを認めたのもそういう理由よ」
「そうなのかぁ、、、ようやく時代が俺に追いついたって感じ?」
「それは、、、ちょっと違うんじゃないかしら」
ステレは、歴史の講義でしか習わなかった自分が、その時代を実際に生きた魔人に、事実を見たかの如く語るおかしさに気づいた。彼はなぜこんなにも知らないのだ?
「王都に行ったりしなかったの?。あなたの求める腕自慢がたくさんいるのに」
「俺はこの森を離れることができないんだよ。俺はここで待つ事しかできない」
彼は管理人と名乗った。それによる何かの制約か誓約があるのだろうか?だが、それなら彼の語る勝負も、全てこの広場の中だけなのか腑に落ちた。この森がこの広場が彼の世界の全てなのだ。
そしてそれは、王都にとっては一つ安堵できる情報だ。こんな化物が『俺より強いヤツに会いに行く』とばかりに王城に突入でもしたら、どれほどの騒ぎになるか判ったものではない。
「あなた、普段はどこで暮らしてるの?。仲間はいないの?、、、あ、私以外の鬼人に会ったことあるんだっけ?」
矢継ぎ早のステレの質問を、「今は言えないかな」とだけ誤魔化す。彼女に魔人の事はあまり知らせたく無い。できればこのまま、自分との勝負にのみ集中して欲しい。200年近く待ち望んだ剣士なのだから。
「あ、あそこ入らない方がいいよ、たぶん碌なことにならないから。念のためね」
<夜明けの雲>が遺跡を指さして言う。やはり入らなくて正解だったらしい。
「それよりさ、俺との勝負は『試合』じゃない『立合い』だよ。なんで真面目に来たのさ?。そんな面白い剣まで作ってさ」
「私?私は、、、、確かにあなたと正面から勝負したいという気持ちもあったわね。それで負けて死ぬなら仕方ないと覚悟してここに来たわ。ま、いつ死んでも良いつもりでこの森に来たんだし、ある意味気楽というか」
「さすが鬼人、、、と言いたいところだけど、あんまり刹那的というか自暴自棄は良くないね。生きてりゃいろいろやりたいこともあるだろに」
<夜明けの雲>の言い分に、ステレは「うわぁ」という表情になる。とても殺し合いを求める戦闘狂の言う言葉ではない。
「あなたが言うのにそれほど似合わないセリフは無いわね。私は、もうやりたいことは全部終わらせてこの森に来たのよ。後は悠々自適で死ぬだけなの」
「その歳で?、、、あ、見た目通りの歳なんだよね?」
「女性にその質問は減点5」
「ゴメンナサイ」
真面目に謝る<夜明けの雲>にステレはついつい笑ってしまった。
「なんであなたと戦いたいと思ったのか、それが鬼人の本能なのか。よく判らないわ。鬼人の初心者なんでね、私」
「なにそれ」
(言葉のままの意味なのだけどね、、、)とは口に出さなかった。
「ね、また俺と戦ってくれない?」
しばらくの沈黙のあと、<夜明けの雲>が言った。真っ直ぐに見つめる視線は、愛の告白のようである。実際は殺し合いの申し込みなのだが。
「やること無いならさ。腕を磨いて、いつか俺を倒せるぐらいに強くなるまで、付き合ってよ」
歪んだ男。
歪んだことを止められない男。
欲したものを手に入れられず、人の立ち入りが禁じられた森で待つことしかできない男。
この男はステレと同じだ。
決定的に違うのは、悠久の時を延々と待ち続けなければならないことだ。それは、どれほどの渇きなのだろうか。ステレはまだマシだ。恐らくは、心が擦り切れる前に死ぬことができる。
ただ死ぬまで生きるだけの残りの人生、遥かな高みに居る男に付き合って剣の腕を磨くのも悪くないかもしれない。ステレはそう思った。
「頻繁には無理よ。ここまで往復一日かかるんだから。でもまぁ、腕が上がったと自覚できたら、腕試しくらいには来るのも悪く無いかな」
魔人の表情がぱあっと明るくなる。
「でも、今後は誰かに教えを受けなきゃ無理ね。私は思いつくことを全部やってきたけど、それでも届かなかった。魔人のあなたと釣り合う腕になるまで、何年かかるか分かったもんじゃないわ。その前に私が死ぬんじゃないかしら」
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「うそぉ~、君絶対こっち側だよ」
「何処が?」
<夜明けの雲>もステレも、互いに『大いに心外だ』と言わんばかりだ。
「例えばさ、、、、あれだけ手こずった俺が、最後何故君の剣の間合いの内に入れた?」
「そりゃ、私の剣の型は一つだけしか無いもの。いくら速くてもじきに読まれると思ってたわ」
「で、次に俺とやるとしたら君はどうするつもり?」
「読まれようが避けられないくらい速く剣を振れるようになるわよ」
「ね?」
「いや、意味わかんない」
「えー?俺と同じこと考えてるーって言いたかったの」
「やだ、私まで脳が筋肉に侵され始めたのかしら?魔人の変な病気うつさないでよね」
「鬼人なんだから元からそうだよー。だから俺と戦ってよ~」
「そんな、泣きそうな顔されても困るって」
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