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とある鬼人の戦記 2 嫌われる女 1
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グリフ一行が、ツェンダフ侯爵 マーキス・デルリメントの屋敷に入って直ぐ、旅塵を落とす暇もそこそこにグリフとマーキス卿の会談が行われた。
グリフが国境を越えてツェンダフ領に入った時点で、ブレス王からはグリフを捕らえるよう命令書が届いていた。マーキス卿は勅書を黙殺しており、既に王家の敵に回った事が明らかとなっている。王は諸侯に出兵を命じており、討伐の軍が出るのは時間の問題だった。もはや悠長に構えている余裕はなかった。
会談は護衛もつけず、一対一で行われた。
グリフは側近の意見をよく聞くと聞いている。マーキス卿は、素のグリフの為人を確認したかった。それがこの3年でどう変わったのかも。
護衛も同席させない事には、両者の側近にも異を挟ませなかった。マーキス卿がグリフを害するつもりなら、ただ援助を打ち切れば良かった。グリフがマーキス卿を害すれば、忘恩の徒としての糾弾は免れない。ブレス王を追い落とすまで二人は一蓮托生である。
その先も引き続き友好でいられるかは、この会談で道筋が付くだろう。
「マーキス卿には感謝の言葉も無い」
会談早々、最初にグリフがそう切り出した。
言葉だけではなく、立ち上がりかなり長い間頭を下げて礼を示した。公爵と公子、わずかにグリフの位が高い。だが、支援への礼と長幼の序で、グリフはマーキス卿に対しては遜った態度で接していた。
「勿体無い事です」
3年もの間グリフを支援し、大きな貸しを作ったマーキス卿もまた、グリフに対して尊大な態度に出る事は無かった。立ち上がって即座に礼を受けると席に着くよう促す。
「まずは無事の到着、祝着です。今更ですが、表立っての支援ができなかった点についてはご容赦下さい」
「事情は理解しています。こうして迎えていただけたという事は、私は…私達は試練を乗り越え、公爵の眼鏡にかなったと考えて良いでしょうか」
「無論です。3年前、誰もが殿下はも終わった…と思っていました。しかし、幾度もの危機を乗り越え、今こうしてここにいます。その間に国内の情勢は変わりました。ブレス王は、…少々精神の安定を欠いております。ご休息いただく事が、陛下と国、双方のためであると考えています。後を継ぐに足る血筋はいくつかありますが、玉座に最も近いのは殿下である事は間違いありません」
ブレス王は、王妃はあるものの、まだ後継者たる王子は誕生していない。他の血筋はといえば、キブト王は在位の間に王家の血筋のうち、害悪となりそうな家は真っ先に潰していた。と言っても大粛清をした訳ではなく、円卓の名誉を与えて玉座から遠ざけたのである(その上で円卓をほぼ無視していたのだが)。だが、その円卓を牛耳ったアルデ卿のために命を失う事になったのは、性急な改革の揺り戻しだったのかもしれない。いずれにしろ、円卓の貴族は王位を継げないという掟はまだ生きており、継承権を持つ男子で現在最も王の血筋に近いのがグリフだった。血筋は問題無い。あとは本人の資質と意欲である。
「王はそれほどに?」
「陛下はもはや自分とゴージ以外を信用しておりません。そういった態度が多くの貴族家を遠ざけ、それが王が貴族家に不信の念を抱かせる悪循環になっています」
これは事実だったが、マーキス卿は一つ隠し事をしている。ブレス王が猜疑心の塊のようになってしまった責任の一端は、マーキス卿なのだ。
ブレス王にもある程度期待していたマーキス卿は、懇意の貴族を通して王に中央集権促進の意見具申をしていた。円卓の大物貴族としてブレス王の不興を買ったマーキス卿としては苦肉の策であったが、献策としては的を得ていた。王を至上とする政権を作りたいブレス王の考えとも一致しており、実際に貴族の権限を制限するいくつかの政策が進められた。
しかし、ブレス王はどこかでこの政策の裏にマーキス卿が居ると勘づいたらしいのだ。アルデ卿の献策に乗せられグリフと決別する事になって以来、ブレス王は自分が利用される事をこの上なく嫌悪するようになっていた。王は自分の判断で献策を受け、意に適うとして実際に政策を進めたはずだが、この時感情が理性を上回ってしまった。「またしても円卓の貴族に利用された」と激怒した王は、以降は宰相や各大臣でさえ近づけなくなり、ただ一人で政務を行っている。これはブレス王のトラウマを軽く見ていたマーキス卿の失態であるが、そのために王が支持を失っているのもまた事実だった。
「王が支持を失いつつある今は、殿下が王位を求めるなら好機と言えるでしょう……ただ…」
「ただ?」
「先の殿下の公言。役に立つ人間は、人種も問わずに登用する……が、貴族家を中心に波紋を呼んでいるのも事実です」
「でしょうね」
「率直にお聞きしますが、王となりこの国をどうされるのか。殿下の志は何処にありましょうや?」
彼が王国をどう変えるのか、それによりマーキス卿も日和見の貴族もグリフに対する態度を明確にするだろう。マーキス卿が言った通り、貴族の歓心を買えば玉座を近くに引き寄せる事はできる。だが、それはマーキス卿が進めたい改革の後退でもある。それに、グリフが先の発言を取り消すとは思えない。グリフの主張する政策の方が、保守派貴族の反感を買うのは明らかである。グリフが実を取り主張を捨てるか、主張を取り貴族の支持を捨てるか。神輿であるグリフの態度は、そのままマーキス卿の今後の計画にも影響する。
だが、グリフの答えはマーキス卿の斜め上を行っていた。
「私が王になりすべき事は、支えてくれた皆に褒賞を送る。ただそれだけになります」
「……なんです…と?」
「私が王位を求めたのは、私が間違っていないと示す、ただそれだけのためです。私は私と私を支えてくれた皆の名誉のために内戦を起こした身勝手な男なのですよ」
呆気にとられるマーキス卿をよそに、グリフはさも何でも無い事のように続けた。
「そも、私はブレス王の命に逆らうつもりは一切なかった。ただ私のみに召喚を命じれば、私はブレス王の許に下っていたでしょう。結果的にそれで首を落とされてもどうという事も無かったのですよ。だが、私と親しかったという理由で謀反の嫌疑をかけカンフレー男爵家を滅ぼしたこと、私に従った食客達を実家から放逐させ、またその家を潰した事、これらは看過できん」
「それがアルデ卿の命令だったとしてもですか?」
「王命の責任を王以外に押し付けて平然としているなら、王など陶器人形でも務まる」
マーキス卿が、命令は王命を装ったアルデ卿の陰謀であることを指摘したがグリフの決意は変わらない。王命の責任は王が負わねばならない。グリフはそう考えている。そう、3年前からずっと。そしてその想いは燃え上がる事はあっても静まる事は無いようだった。今まで淡々としていたグリフの言葉に、次第に力が籠ってきた。
「私が国外に逃れたのは、王の責任を問うためだ。だが、至高の地位にある王を裁くためには私が王になる以外に無い。そして、私と私の家臣と食客には何も落ち度が無い事を証明し、彼らの地位を旧に復し、そしてこの三年の褒章を与える。それが何も持たずに亡命する事となった私が、彼らに示せる唯一の誓いだった。私はその誓いを果たさねばならない。そして、私を支えてくれたのは只人ばかりではない。獣人の商人、鬼人の剣士、彼らにも報いなければならない。そのために王国の伝統が邪魔をするなら、それらを全て破壊する以外にはない」
(この男の頭の中には、人材に対する愛しか詰まっていないのだろうか)
愕然とするマーキス卿の目は「この男は正気か?」と語っているようだった。
「……別に、王国の全てを否定する訳ではないのだ」
と、言葉を継いだグリフにマーキス卿は我に返った。明らかに空気が変わっていた。
「私は私の主張を取り下げる気は無いが、私は彼らに与えるべきものを何も持っていない。私が私を支えてくれた者たち報いるなら、既にある王国の利権を削って分配する以外には無い。少なくとも、私に敵対した貴族から取り上げ、私を助けてくれた貴族に配分しなければならない。だが、それはごく普通の論功行賞であろう」
「ですが、殿下は獣人や鬼人にも報いたい、と。それは只人以外を貴族に列するという意味でしょうか?」
「私はそのつもりだ」
マーキス卿の目が厳しくなる。この発言を取り消さぬまま王位を得るには、かなりの困難を伴うはずだ。
「公爵は、王位を求める好機だと言った。が、それは間違いだ。私が有利になる…とは、今ブレス王に反感を抱いている貴族を懐柔して味方につける事だろう。つまりは、私に主義主張を捨てるべきだ…と言っているに等しい。だが、私は主義を取り下げる気は無い、それが私が私である所以だからだ。そしてもう一つ、それは私の不利を意味しない。賭けてもいいが、ブレス王も主義を変える事はない。つまりは、どちらも嫌われて決定的な支持を得られない。だから貴族の支持に関しては王と私の条件は互角という事になる」
(ほう…)とマーキス卿は、若干グリフを見る目を変える必要があると感じた。意地で固執しているだけでなく、きちんと現状を把握している。そして、実際の所ブレス王の政策を全否定されても困るのだ。何しろ、進めさせたのは自分なのだから。
「さて、そうなると日和見を決め込んでいる大物貴族連中は困る事になるだろう。ブレス王は貴族の利権を奪い取る、私は只人の特権を奪い取る。どちらを支持しても自分は損をする。どちらがよりマシだろうか?どちらも支持せず中立を保つ事はできるだろうか…と。ま、大物貴族には、どちらを支持するかせいぜい悩んもらおうかと思っている。そして、上位貴族にもなって『中立』などという寝言が通ると思ってるような間抜けなら、多少分捕っても差し支えあるまい」
「ですが、やはり只人以外を…」
言いかけたマーキス卿を、グリフが片手を上げて遮る。
「…と、大きな事を言ってみたが、実際の所只人以外が貴族になることはないから、公爵は心配する必要はない。そもそも彼らは爵位を受けない……」
「彼らにとって王国の爵位に価値など無いと?」
「彼らは自分たちがこの国でどう思われているか知っている。それを無理に爵位を受けてどうなるか、損得を考える知恵も持っている。何より、私が王にならなければ全てが空手形になる以上、私が不利になる事は受けない。彼らは蛮人などではなく、我々と変わらない。それだけの話だ」
それは、只人の世界で生きる貴族のマーキス卿にとっては、新鮮な驚きだった。
(我々と変わらない…か)
「だからこそ私は諦める気は無いよ?今の王国の貴族より、よほど貴族に相応しいじゃないか」
安堵の表情が表に出てしまったのだろうか、グリフが意地悪そうにくぎを刺してきた。
「結構です。当面保留していただけるなら、致命傷にはならないでしょう。ですが、それだけですか?王国の有り様を根本から変えて、目的は殿下を支えた騎士の褒美を出すだけ。本当にそれだけなのですか?」
「私は、自分が凡人だという事を誰よりも知っているんだ。王の器では無いとね。だから私が一人で政をする事は無い。私は皆を頼り、取捨選択し、私の責任において政を行う。先ほど言った通り、責任を取らぬ王など陶器人形にも務まる。王となった以上はその責任を取らねばなるまい。そのためには人材が要る。私の力不足を補う、あらゆる方面の専門家が欲しい。爵位ばかり高い無能ではなく、優秀な官僚が欲しい。能力さえあれば平民だろうが奴隷だろうが獣人だろうが構わない。最終的に責任を負うのは王である私だからだ。私が王たるには、私を支える人材を、垣根を越えて集めなければならない」
そこまで一気に言うと、グリフは大きく息を吐いた。
「すまない、興奮しすぎたようです」
「…いえ、気になさらず」
「王に追われた私を助けてくれたのは、貴族の最高位であるあなたを除けば、爵位も持たぬ兵と、貴族の三男坊や女剣士、それに獣人の商人と鬼人の剣士でした。つまるところ、地位も人種も性別も、私の許で働くための障害にはならないという事です。その私が王になる以上、王の許で働くための障害にしてはならない…と考えています。機会は与えられるべきだ…と。そして、今にして思えば、キブト陛下は才無く、責も果たさず、ただ特権のみを享受する貴族を許さなかった…と思えます。そして、才ある者は王城に出仕させていました。それは、領主のためではなく、王国のために働くべきである。と、そう考えていたのではないかと」
それは確かにキブト王が進めた政策の目標である。だが、マーキス卿は、あえてそれを肯定しなかった。
「殿下をお助けした騎士は、皆貴族の子弟です。三男だろうが四男だろうが。彼らからも貴族の特権を奪うのですか?」
「今の私の主張は、私の騎士達と長く話し合って得た結論です。私は彼らを皆実家の爵位より上…侯爵に叙すつもりですが、そのうえで少しずつ特権を返上してもらうことになります。王位簒奪功労の侯爵から、真っ先に特権が返上される。これなら他の貴族も文句が言いづらいでしょう。あとはまぁ。貴族から特権を奪うと引き換えに貴族の義務も一つ免除する。そのようにしようと考えています。最終的には、爵位とは領主の称号ではなく、いかに功を為したかを示す名誉を表すものになるでしょう。…当然、公爵にも割を食ってもらうつもりです」
「私も?」
「支援を受ける見返りとして、公爵の娘を王妃として迎える事はかねてよりの約束であるし、あなたは優秀な貴族であり領主である。だが、あなたに、それ以上の地位と権限を約束する事はできない。それどころか、今言ったように、特権を少しずつ返上してもらう事になります」
「……殿下は能力に見合った地位を約束してくださる方かと思っておりましたが。共に旅をしたご家来で恩賞の枠は一杯ですかな?」
皮肉を交えて返したが、グリフは首を振る。
「あなたは既に最高位の貴族だ。そして、過去の事績を見る限り、あなたがアルデ卿のような特権を望んでいたとは思えない。現に、今私が爵位をただの名誉にすると言っても、あなたは全く動じなかった。あなたが求めているのは、もっと他のものであろう…と私は考えている」
グリフは、わずかに挑発するような視線を向けた。
「もし、私の考えが誤っており、公爵が今以上の地位を望むというなら…そうですね、ケッセンリング家を取り潰して、ツェンダフ領に加えてヴィッテルス領をお任せする事を約束しましょうか?。王の外戚にして、王家を凌駕するほどの領地を支配する大貴族の誕生だ」
薄く笑ったままグリフの話を聞いていたマーキス卿は、しばらくして両手を肩の高さまで上げた。
「確かに、これ以上の領地など私の手には余りますな。ケッセンリング家がおとなしく引き下がるとも思えませんし。さて、そうなると私は何を手にすることができるのでしょうか?」
「その前に、公爵の目的をお聞きしたい。私を王に据えるのは、旧と変わらぬ政策を進めるためですか?ブレス王がいま進めている政策を全部元に戻して?。公爵はキブト王と近い立場であったと聞いていましたが」
マーキス卿は、ほんの一拍逡巡した。今、自分の胸の内を明かして、すり合わせが可能だろうか?。いままでのグリフの言を聞く限り、同じ目的に向かう事自体は可能に思える。
「そうですね、正直に申し上げます。私は、ブレス王の今の政策をむしろ進めたいと考えています。もやは諸侯の集合体では行き止まりです。大きな港を抑えるヴィッテルス領や、河川、街道を抑える我がツェンダフ領、穀倉地帯を持つ領は発展し、街道の整備できない小さな領、水に乏しい領は飢えに苦しむようでは先がありません。亡命している間、皇国の治世をご覧になって来たでしょうか?。皇国の領主は権限の大きな代官のようなものです。国としての権力は朝議が、権威は皇主が独占して持ち、そして各領からは税が中央に納められ、朝議はその税で国家全体の政策を進める事ができます。同じように出来なければ、我らと皇国の国力の差は開く一方でしょう」
グリフは黙ってうなずいた。
「ならばこそ、今は王から遠ざけられているという円卓を旧に復し、公爵にその差配をして欲しいと願っています」
「円卓を?」
「才の無い私が大きな権限を集中して持つ。私を助け、私を止める機関がなければならないでしょう」
「貴族で構成される円卓が、貴族の利権を手放す政策に同意するとは思えません、円卓に権限を持たせれば、殿下の構想を実現するのは不可能では?」
「円卓には、今までのように自分たちが不利になる事にのみ口出しし、それ以外は王に丸投げするような運営は許さない。私と共に実際に国を動かしてもらわねばならない。それができない貴族など、円卓には必要ないから去ってもらいます。そして、円卓をもう一つ作るつもりです。下位貴族か有力平民から任命して、なお同様の権限を持つ。そして政策を競ってもらうつもりです」
「……円卓は……大きな権限を持ちますね」
「同時に責任もです。王を補佐する権限を担うのは円卓しかない。そして王が失敗すればもちろん王はその責を負うが、政策を立案した円卓もまた非難される事になる。公爵、あなたもです」
マーキス卿の微笑が引き攣る。つまりグリフは、自分の求める政治を王に頼らず、自分で実現しろとマーキス卿に言っているのだ。円卓の貴族を指揮し貴族特権の削減を了承させ、その代わりに国を豊かにし納得させて見せろ…と。
「……私を含め、今の王国の貴族には困難な仕事でしょうな」
「それが出来なければ、出来る者に席を譲っていただく事になるでしょう。だからこそ、優秀な人材を任命しなければならない。あらゆる階層から、あらゆる才能を王城に集める。円卓と官僚さえ機能すれば、王は凡人だろうが国家は揺るがない」
「それはまるで……」
(これは…予想以上の破壊者だ…ひょっとするとキブト王以上の…。貴族だけではない、行く行くは王ですら国家の代官にしようとしているのだ、この男は)
「えぇ、私が手本とするのはクヴァルシル公国という事になる。あそこまで極端な国にはできないでしょうがね。王を投票で選ぶようにすれば、今の王国は間違いなく崩壊するし、才ある者のみが生きられる国などにしたら、真っ先に私が乞食になるしか無くなるでしょう。だが、少なくとも才ある者が、生まれや血で拒まれるという国にだけはならないようにしたいと思っています」
マーキス卿は、しばらくは無言でグリフの政策を吟味していた。そしてそれ自体には納得したようではあったが、グリフの前であるにも関わず、「ふ~~~~~~~」と長く息を吐いた。
困惑するグリフを余所にマーキス卿がパンパンと手を打つと、ややあって「失礼いたします」という声と共に、一人の女性が会談の間へと入って来た。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今回、キリが悪くて長いうえにセリフばっかりです。しかもタイトル回収に失敗。どうにもまとまらなくて…
グリフが国境を越えてツェンダフ領に入った時点で、ブレス王からはグリフを捕らえるよう命令書が届いていた。マーキス卿は勅書を黙殺しており、既に王家の敵に回った事が明らかとなっている。王は諸侯に出兵を命じており、討伐の軍が出るのは時間の問題だった。もはや悠長に構えている余裕はなかった。
会談は護衛もつけず、一対一で行われた。
グリフは側近の意見をよく聞くと聞いている。マーキス卿は、素のグリフの為人を確認したかった。それがこの3年でどう変わったのかも。
護衛も同席させない事には、両者の側近にも異を挟ませなかった。マーキス卿がグリフを害するつもりなら、ただ援助を打ち切れば良かった。グリフがマーキス卿を害すれば、忘恩の徒としての糾弾は免れない。ブレス王を追い落とすまで二人は一蓮托生である。
その先も引き続き友好でいられるかは、この会談で道筋が付くだろう。
「マーキス卿には感謝の言葉も無い」
会談早々、最初にグリフがそう切り出した。
言葉だけではなく、立ち上がりかなり長い間頭を下げて礼を示した。公爵と公子、わずかにグリフの位が高い。だが、支援への礼と長幼の序で、グリフはマーキス卿に対しては遜った態度で接していた。
「勿体無い事です」
3年もの間グリフを支援し、大きな貸しを作ったマーキス卿もまた、グリフに対して尊大な態度に出る事は無かった。立ち上がって即座に礼を受けると席に着くよう促す。
「まずは無事の到着、祝着です。今更ですが、表立っての支援ができなかった点についてはご容赦下さい」
「事情は理解しています。こうして迎えていただけたという事は、私は…私達は試練を乗り越え、公爵の眼鏡にかなったと考えて良いでしょうか」
「無論です。3年前、誰もが殿下はも終わった…と思っていました。しかし、幾度もの危機を乗り越え、今こうしてここにいます。その間に国内の情勢は変わりました。ブレス王は、…少々精神の安定を欠いております。ご休息いただく事が、陛下と国、双方のためであると考えています。後を継ぐに足る血筋はいくつかありますが、玉座に最も近いのは殿下である事は間違いありません」
ブレス王は、王妃はあるものの、まだ後継者たる王子は誕生していない。他の血筋はといえば、キブト王は在位の間に王家の血筋のうち、害悪となりそうな家は真っ先に潰していた。と言っても大粛清をした訳ではなく、円卓の名誉を与えて玉座から遠ざけたのである(その上で円卓をほぼ無視していたのだが)。だが、その円卓を牛耳ったアルデ卿のために命を失う事になったのは、性急な改革の揺り戻しだったのかもしれない。いずれにしろ、円卓の貴族は王位を継げないという掟はまだ生きており、継承権を持つ男子で現在最も王の血筋に近いのがグリフだった。血筋は問題無い。あとは本人の資質と意欲である。
「王はそれほどに?」
「陛下はもはや自分とゴージ以外を信用しておりません。そういった態度が多くの貴族家を遠ざけ、それが王が貴族家に不信の念を抱かせる悪循環になっています」
これは事実だったが、マーキス卿は一つ隠し事をしている。ブレス王が猜疑心の塊のようになってしまった責任の一端は、マーキス卿なのだ。
ブレス王にもある程度期待していたマーキス卿は、懇意の貴族を通して王に中央集権促進の意見具申をしていた。円卓の大物貴族としてブレス王の不興を買ったマーキス卿としては苦肉の策であったが、献策としては的を得ていた。王を至上とする政権を作りたいブレス王の考えとも一致しており、実際に貴族の権限を制限するいくつかの政策が進められた。
しかし、ブレス王はどこかでこの政策の裏にマーキス卿が居ると勘づいたらしいのだ。アルデ卿の献策に乗せられグリフと決別する事になって以来、ブレス王は自分が利用される事をこの上なく嫌悪するようになっていた。王は自分の判断で献策を受け、意に適うとして実際に政策を進めたはずだが、この時感情が理性を上回ってしまった。「またしても円卓の貴族に利用された」と激怒した王は、以降は宰相や各大臣でさえ近づけなくなり、ただ一人で政務を行っている。これはブレス王のトラウマを軽く見ていたマーキス卿の失態であるが、そのために王が支持を失っているのもまた事実だった。
「王が支持を失いつつある今は、殿下が王位を求めるなら好機と言えるでしょう……ただ…」
「ただ?」
「先の殿下の公言。役に立つ人間は、人種も問わずに登用する……が、貴族家を中心に波紋を呼んでいるのも事実です」
「でしょうね」
「率直にお聞きしますが、王となりこの国をどうされるのか。殿下の志は何処にありましょうや?」
彼が王国をどう変えるのか、それによりマーキス卿も日和見の貴族もグリフに対する態度を明確にするだろう。マーキス卿が言った通り、貴族の歓心を買えば玉座を近くに引き寄せる事はできる。だが、それはマーキス卿が進めたい改革の後退でもある。それに、グリフが先の発言を取り消すとは思えない。グリフの主張する政策の方が、保守派貴族の反感を買うのは明らかである。グリフが実を取り主張を捨てるか、主張を取り貴族の支持を捨てるか。神輿であるグリフの態度は、そのままマーキス卿の今後の計画にも影響する。
だが、グリフの答えはマーキス卿の斜め上を行っていた。
「私が王になりすべき事は、支えてくれた皆に褒賞を送る。ただそれだけになります」
「……なんです…と?」
「私が王位を求めたのは、私が間違っていないと示す、ただそれだけのためです。私は私と私を支えてくれた皆の名誉のために内戦を起こした身勝手な男なのですよ」
呆気にとられるマーキス卿をよそに、グリフはさも何でも無い事のように続けた。
「そも、私はブレス王の命に逆らうつもりは一切なかった。ただ私のみに召喚を命じれば、私はブレス王の許に下っていたでしょう。結果的にそれで首を落とされてもどうという事も無かったのですよ。だが、私と親しかったという理由で謀反の嫌疑をかけカンフレー男爵家を滅ぼしたこと、私に従った食客達を実家から放逐させ、またその家を潰した事、これらは看過できん」
「それがアルデ卿の命令だったとしてもですか?」
「王命の責任を王以外に押し付けて平然としているなら、王など陶器人形でも務まる」
マーキス卿が、命令は王命を装ったアルデ卿の陰謀であることを指摘したがグリフの決意は変わらない。王命の責任は王が負わねばならない。グリフはそう考えている。そう、3年前からずっと。そしてその想いは燃え上がる事はあっても静まる事は無いようだった。今まで淡々としていたグリフの言葉に、次第に力が籠ってきた。
「私が国外に逃れたのは、王の責任を問うためだ。だが、至高の地位にある王を裁くためには私が王になる以外に無い。そして、私と私の家臣と食客には何も落ち度が無い事を証明し、彼らの地位を旧に復し、そしてこの三年の褒章を与える。それが何も持たずに亡命する事となった私が、彼らに示せる唯一の誓いだった。私はその誓いを果たさねばならない。そして、私を支えてくれたのは只人ばかりではない。獣人の商人、鬼人の剣士、彼らにも報いなければならない。そのために王国の伝統が邪魔をするなら、それらを全て破壊する以外にはない」
(この男の頭の中には、人材に対する愛しか詰まっていないのだろうか)
愕然とするマーキス卿の目は「この男は正気か?」と語っているようだった。
「……別に、王国の全てを否定する訳ではないのだ」
と、言葉を継いだグリフにマーキス卿は我に返った。明らかに空気が変わっていた。
「私は私の主張を取り下げる気は無いが、私は彼らに与えるべきものを何も持っていない。私が私を支えてくれた者たち報いるなら、既にある王国の利権を削って分配する以外には無い。少なくとも、私に敵対した貴族から取り上げ、私を助けてくれた貴族に配分しなければならない。だが、それはごく普通の論功行賞であろう」
「ですが、殿下は獣人や鬼人にも報いたい、と。それは只人以外を貴族に列するという意味でしょうか?」
「私はそのつもりだ」
マーキス卿の目が厳しくなる。この発言を取り消さぬまま王位を得るには、かなりの困難を伴うはずだ。
「公爵は、王位を求める好機だと言った。が、それは間違いだ。私が有利になる…とは、今ブレス王に反感を抱いている貴族を懐柔して味方につける事だろう。つまりは、私に主義主張を捨てるべきだ…と言っているに等しい。だが、私は主義を取り下げる気は無い、それが私が私である所以だからだ。そしてもう一つ、それは私の不利を意味しない。賭けてもいいが、ブレス王も主義を変える事はない。つまりは、どちらも嫌われて決定的な支持を得られない。だから貴族の支持に関しては王と私の条件は互角という事になる」
(ほう…)とマーキス卿は、若干グリフを見る目を変える必要があると感じた。意地で固執しているだけでなく、きちんと現状を把握している。そして、実際の所ブレス王の政策を全否定されても困るのだ。何しろ、進めさせたのは自分なのだから。
「さて、そうなると日和見を決め込んでいる大物貴族連中は困る事になるだろう。ブレス王は貴族の利権を奪い取る、私は只人の特権を奪い取る。どちらを支持しても自分は損をする。どちらがよりマシだろうか?どちらも支持せず中立を保つ事はできるだろうか…と。ま、大物貴族には、どちらを支持するかせいぜい悩んもらおうかと思っている。そして、上位貴族にもなって『中立』などという寝言が通ると思ってるような間抜けなら、多少分捕っても差し支えあるまい」
「ですが、やはり只人以外を…」
言いかけたマーキス卿を、グリフが片手を上げて遮る。
「…と、大きな事を言ってみたが、実際の所只人以外が貴族になることはないから、公爵は心配する必要はない。そもそも彼らは爵位を受けない……」
「彼らにとって王国の爵位に価値など無いと?」
「彼らは自分たちがこの国でどう思われているか知っている。それを無理に爵位を受けてどうなるか、損得を考える知恵も持っている。何より、私が王にならなければ全てが空手形になる以上、私が不利になる事は受けない。彼らは蛮人などではなく、我々と変わらない。それだけの話だ」
それは、只人の世界で生きる貴族のマーキス卿にとっては、新鮮な驚きだった。
(我々と変わらない…か)
「だからこそ私は諦める気は無いよ?今の王国の貴族より、よほど貴族に相応しいじゃないか」
安堵の表情が表に出てしまったのだろうか、グリフが意地悪そうにくぎを刺してきた。
「結構です。当面保留していただけるなら、致命傷にはならないでしょう。ですが、それだけですか?王国の有り様を根本から変えて、目的は殿下を支えた騎士の褒美を出すだけ。本当にそれだけなのですか?」
「私は、自分が凡人だという事を誰よりも知っているんだ。王の器では無いとね。だから私が一人で政をする事は無い。私は皆を頼り、取捨選択し、私の責任において政を行う。先ほど言った通り、責任を取らぬ王など陶器人形にも務まる。王となった以上はその責任を取らねばなるまい。そのためには人材が要る。私の力不足を補う、あらゆる方面の専門家が欲しい。爵位ばかり高い無能ではなく、優秀な官僚が欲しい。能力さえあれば平民だろうが奴隷だろうが獣人だろうが構わない。最終的に責任を負うのは王である私だからだ。私が王たるには、私を支える人材を、垣根を越えて集めなければならない」
そこまで一気に言うと、グリフは大きく息を吐いた。
「すまない、興奮しすぎたようです」
「…いえ、気になさらず」
「王に追われた私を助けてくれたのは、貴族の最高位であるあなたを除けば、爵位も持たぬ兵と、貴族の三男坊や女剣士、それに獣人の商人と鬼人の剣士でした。つまるところ、地位も人種も性別も、私の許で働くための障害にはならないという事です。その私が王になる以上、王の許で働くための障害にしてはならない…と考えています。機会は与えられるべきだ…と。そして、今にして思えば、キブト陛下は才無く、責も果たさず、ただ特権のみを享受する貴族を許さなかった…と思えます。そして、才ある者は王城に出仕させていました。それは、領主のためではなく、王国のために働くべきである。と、そう考えていたのではないかと」
それは確かにキブト王が進めた政策の目標である。だが、マーキス卿は、あえてそれを肯定しなかった。
「殿下をお助けした騎士は、皆貴族の子弟です。三男だろうが四男だろうが。彼らからも貴族の特権を奪うのですか?」
「今の私の主張は、私の騎士達と長く話し合って得た結論です。私は彼らを皆実家の爵位より上…侯爵に叙すつもりですが、そのうえで少しずつ特権を返上してもらうことになります。王位簒奪功労の侯爵から、真っ先に特権が返上される。これなら他の貴族も文句が言いづらいでしょう。あとはまぁ。貴族から特権を奪うと引き換えに貴族の義務も一つ免除する。そのようにしようと考えています。最終的には、爵位とは領主の称号ではなく、いかに功を為したかを示す名誉を表すものになるでしょう。…当然、公爵にも割を食ってもらうつもりです」
「私も?」
「支援を受ける見返りとして、公爵の娘を王妃として迎える事はかねてよりの約束であるし、あなたは優秀な貴族であり領主である。だが、あなたに、それ以上の地位と権限を約束する事はできない。それどころか、今言ったように、特権を少しずつ返上してもらう事になります」
「……殿下は能力に見合った地位を約束してくださる方かと思っておりましたが。共に旅をしたご家来で恩賞の枠は一杯ですかな?」
皮肉を交えて返したが、グリフは首を振る。
「あなたは既に最高位の貴族だ。そして、過去の事績を見る限り、あなたがアルデ卿のような特権を望んでいたとは思えない。現に、今私が爵位をただの名誉にすると言っても、あなたは全く動じなかった。あなたが求めているのは、もっと他のものであろう…と私は考えている」
グリフは、わずかに挑発するような視線を向けた。
「もし、私の考えが誤っており、公爵が今以上の地位を望むというなら…そうですね、ケッセンリング家を取り潰して、ツェンダフ領に加えてヴィッテルス領をお任せする事を約束しましょうか?。王の外戚にして、王家を凌駕するほどの領地を支配する大貴族の誕生だ」
薄く笑ったままグリフの話を聞いていたマーキス卿は、しばらくして両手を肩の高さまで上げた。
「確かに、これ以上の領地など私の手には余りますな。ケッセンリング家がおとなしく引き下がるとも思えませんし。さて、そうなると私は何を手にすることができるのでしょうか?」
「その前に、公爵の目的をお聞きしたい。私を王に据えるのは、旧と変わらぬ政策を進めるためですか?ブレス王がいま進めている政策を全部元に戻して?。公爵はキブト王と近い立場であったと聞いていましたが」
マーキス卿は、ほんの一拍逡巡した。今、自分の胸の内を明かして、すり合わせが可能だろうか?。いままでのグリフの言を聞く限り、同じ目的に向かう事自体は可能に思える。
「そうですね、正直に申し上げます。私は、ブレス王の今の政策をむしろ進めたいと考えています。もやは諸侯の集合体では行き止まりです。大きな港を抑えるヴィッテルス領や、河川、街道を抑える我がツェンダフ領、穀倉地帯を持つ領は発展し、街道の整備できない小さな領、水に乏しい領は飢えに苦しむようでは先がありません。亡命している間、皇国の治世をご覧になって来たでしょうか?。皇国の領主は権限の大きな代官のようなものです。国としての権力は朝議が、権威は皇主が独占して持ち、そして各領からは税が中央に納められ、朝議はその税で国家全体の政策を進める事ができます。同じように出来なければ、我らと皇国の国力の差は開く一方でしょう」
グリフは黙ってうなずいた。
「ならばこそ、今は王から遠ざけられているという円卓を旧に復し、公爵にその差配をして欲しいと願っています」
「円卓を?」
「才の無い私が大きな権限を集中して持つ。私を助け、私を止める機関がなければならないでしょう」
「貴族で構成される円卓が、貴族の利権を手放す政策に同意するとは思えません、円卓に権限を持たせれば、殿下の構想を実現するのは不可能では?」
「円卓には、今までのように自分たちが不利になる事にのみ口出しし、それ以外は王に丸投げするような運営は許さない。私と共に実際に国を動かしてもらわねばならない。それができない貴族など、円卓には必要ないから去ってもらいます。そして、円卓をもう一つ作るつもりです。下位貴族か有力平民から任命して、なお同様の権限を持つ。そして政策を競ってもらうつもりです」
「……円卓は……大きな権限を持ちますね」
「同時に責任もです。王を補佐する権限を担うのは円卓しかない。そして王が失敗すればもちろん王はその責を負うが、政策を立案した円卓もまた非難される事になる。公爵、あなたもです」
マーキス卿の微笑が引き攣る。つまりグリフは、自分の求める政治を王に頼らず、自分で実現しろとマーキス卿に言っているのだ。円卓の貴族を指揮し貴族特権の削減を了承させ、その代わりに国を豊かにし納得させて見せろ…と。
「……私を含め、今の王国の貴族には困難な仕事でしょうな」
「それが出来なければ、出来る者に席を譲っていただく事になるでしょう。だからこそ、優秀な人材を任命しなければならない。あらゆる階層から、あらゆる才能を王城に集める。円卓と官僚さえ機能すれば、王は凡人だろうが国家は揺るがない」
「それはまるで……」
(これは…予想以上の破壊者だ…ひょっとするとキブト王以上の…。貴族だけではない、行く行くは王ですら国家の代官にしようとしているのだ、この男は)
「えぇ、私が手本とするのはクヴァルシル公国という事になる。あそこまで極端な国にはできないでしょうがね。王を投票で選ぶようにすれば、今の王国は間違いなく崩壊するし、才ある者のみが生きられる国などにしたら、真っ先に私が乞食になるしか無くなるでしょう。だが、少なくとも才ある者が、生まれや血で拒まれるという国にだけはならないようにしたいと思っています」
マーキス卿は、しばらくは無言でグリフの政策を吟味していた。そしてそれ自体には納得したようではあったが、グリフの前であるにも関わず、「ふ~~~~~~~」と長く息を吐いた。
困惑するグリフを余所にマーキス卿がパンパンと手を打つと、ややあって「失礼いたします」という声と共に、一人の女性が会談の間へと入って来た。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今回、キリが悪くて長いうえにセリフばっかりです。しかもタイトル回収に失敗。どうにもまとまらなくて…
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
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