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~樹生side~
仲間として、恋人として
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仁太郎の家庭の事情も、それとなく聞いた。
夜の世界で生きている樹生にとってそう珍しい話ではなかったが、仁太郎が父親から受けた数々の仕打ちの内容を聞いた樹生は眉をひそめた。
家に帰りづらいと言う仁太郎に、なら一緒に住もうと提案したのは樹生だ。
今まで、どんなに頼み込まれようとも自分のプライベートに他人を絶対に踏み込ませなかった樹生が、自ら自宅へ仁太郎を招いた。
不遇な境遇の仁太郎を、自分が幸せにしてやりたいと、その時思ったのだ。
ほぼ身ひとつで転がり込んできた仁太郎の生活の世話を、樹生が全面的にバックアップした。
面倒事に巻き込まれることが何よりも大嫌いな樹生が、不思議と仁太郎のこととなると全く苦にならない。むしろ仁太郎の力になれることが嬉しくて、そんな自分の変化に驚いたりもした。
表面上ではどんなに穏やかに接していても、樹生は他人とは常に一線を引いていた。そんな自分に、誰かと住む日が来るなんて想像もしていなかった。
(最悪な家庭環境を生き抜いてきて、よくここまで真っ直ぐに育ったもんだ)
人としての道を踏み外す人間など今まで飽きるほど見てきた樹生からしてみれば、不良を拗らせた程度の仁太郎なんてまだまだ可愛いレベルだ。
一緒に住み始めて仁太郎の人間性に触れるたび、樹生はますます仁太郎に惹かれていった。
仁太郎が樹生の店で働くようになって一ヶ月ほどが経った。
身内だからと言って、仕事上では一切忖度しない樹生だ。時には厳しく指導することもあった。しかし樹生の指摘を仁太郎は真摯に受け止め改善していった。
色々あってグレてはいたけれど、本来、真面目な性格の仁太郎だ。自ら率先して動き、掃除も雑用も手を抜くことは一切なくがむしゃらに働いた。そんな仁太郎に、他の従業員も段々信頼を置くようになっていた。
「頑張ってんじゃん。まあ元々特別扱いする気はなかったけど、思った以上に動いてくれてるなって」
閉店後、誰もいないバックヤードの清掃をしていた仁太郎を引き止めて声をかけた。
樹生の賛辞に仁太郎が少し照れながら答える。
「ま、まあこれぐらいは…樹生さんの顔に泥塗るわけにいかないし」
思いがけない褒め言葉にまごまごしている仁太郎がなんだか可愛くて、そのまま顎をとらえてキスをした。
「なっ…!」
「わり、公私混同した」
突然のことに顔を真っ赤にし動揺している仁太郎に、樹生がいたずらっぽく笑った。
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不遇な境遇の仁太郎を、自分が幸せにしてやりたいと、その時思ったのだ。
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