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可愛いにも程がある。
最終話・未来への約束
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陽一は料理が得意なわけではないけれど、仕事が立て込んでる時以外は簡単な自炊程度のことはする。コンビニの弁当より野菜が取れるし、節約にもなるからだ。
二人の休日が合ったこの日、陽一が一緒にカレーを作ろうと、晴瑠を誘った。
少し、晴瑠が浮かない顔をしている。
晴瑠には過去に真っ白なはずのクリームシチューを真っ黒に大変身させた前科があるからだ。
陽一はその時のことを思い出すと、今でも笑いが込み上げてくる。
(あの時はビックリしたけど。料理全然得意じゃないのに俺のために頑張ってくれようとしたんだよなあ)
思い出し笑いと同時に、ドジな恋人への愛しさも湧き上がってきた。
「大丈夫、俺が教えるから。簡単だよ」と手招きする陽一に、晴瑠は元気よく「ご指導よろしくお願いします!」と返事をした。
二人並んで台所に立ち、晴瑠が洗って皮を剥いてくれた人参やジャガイモを次々と受け取って、陽一がトントンとリズミカルに切っていく。
それを晴瑠が今度は鍋で炒めるという見事な連携プレーで、二人の料理はサクサク進んだ。
「なんつーか、幸せだなあ」
使い終わった道具を洗いながら、陽一がほこほこした笑顔でしみじみと言う。
晴瑠もその意見に満面の笑みで同意した。些細な日常が、こんなに温かくて楽しいものだなんて知らなかった。
晴瑠は陽一と出会ってからずっと幸せだった。陽一も同じ気持ちでいてくれたことが、いま、何よりも嬉しい。
コトコトとじっくり煮込まれたカレーの美味しそうな香りが鼻をくすぐる。
「いただきます」
「いっただきまーす!」
二人ちゃぶ台に向かい合って座り、手を合わせて食べようとした時だ。
ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
「誰だろ?」
はいはい…と言いながら玄関に向かった陽一が、扉を開けた瞬間「えっ!??」と大きな声を上げた。
そこには、陽一の母と、弟の賢二が立っていたのだ。
「なんだって急に。来るなら来るで連絡ぐらい」
「たまたま、こっちに用があったから寄ってみただけよ。あ、賢二はオマケ。なんか勝手に付いてきちゃって」
そう言いながら、母は大きなタッパーいっぱいに詰められた手作りの豚の角煮と、野菜たっぷりのお煮しめを手渡してきた。どちらも陽一の好物だ。
たまたまなんて言っていたけれど、角煮なんてすごく手間のかかる料理だ。母の優しさが身に染みる。
「あんたロクに家に顔も見せないで、恋人と同棲するから引っ越したって連絡だけ寄越すんだから」
「だから仕事だって言っただろ」
俺だって忙しいんだよ、と言い訳する。相手が親という安心感からか、陽一の言葉はいつもより少しぶっきらぼうだ。
はたと母が晴瑠の存在に気付く。
「あ、あら…こんにちは。お友達が遊びに来てたとは知らなくてごめんなさいね」
「兄貴、同棲してるっていう彼女は?」
勝手に母にくっついてきたという賢二が、好奇心の塊のような瞳でキョロキョロとあたりを見回す。
こいつ、これが目当てだったのか。そのためにわざと連絡を入れなかったんじゃないかと陽一が訝しむ。
どうしたらいいのだろう。冷や汗が出た。カミングアウトするには、まだ心の準備ができていない。
動揺しながら陽一が晴瑠に視線をやると、晴瑠も同じく動揺しているようだ。
きっと、ここで彼女は出かけてて今はいないとかなんとか言えば、晴瑠は話を合わせてくれるだろう。
しかしここまできて二人に嘘をつくことはしたくなかった。遅かれ早かれ家族にはいつか話すつもりだったのだ。それがちょっと前倒しになっただけだ。
陽一は、誤魔化すことなく正直に話すことにした。
こほん、とひとつ咳払いをして、改めて晴瑠を紹介する。
「えっと、彼が今俺がお付き合いさせていただいている恋人の晴瑠くんです」
「あっ、朝比奈晴瑠です!はじめまして」
陽一の言葉に続けて、晴瑠が慌ててペコリと頭を下げた。
突然のことに、二人とも鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。
「陽一…あんたゲイだったの?」
動揺する母に、陽一は自分はゲイではないが晴瑠は特別な相手なのだと説明する。母はますます混乱したようで、まだ気持ちの整理がつかない顔をしていた。
そんな母の横にいた賢二は、意外にもカラッとした表情で、二人の仲を歓迎した。
「まあ、いいんじゃない。兄貴女運悪いし、男の方が安心かもよ」
賢二の言葉に、陽一が少しムッとする。
「なんだよ、それ」
「だってさ、高校の時の彼女には二股かけられてたし、大学の時の彼女は、やれどこどこに連れてけだのプレゼントは奮発しろだの散々我儘言ったあげくバイト三昧だった兄貴に文句言ったりしてただろ。兄貴に金が無いのは兄貴のせいじゃないのにさ」
確かにそんなこともあったなと思い返したが、恥ずかしい過去を弟の口から晴瑠の前で暴露され、陽一は今すぐ穴を掘って埋まってしまいたい気分になった。
「俺が彼氏として不甲斐なかっただけだから、彼女達は別に悪くないよ…」
「ほんっとお人好しだね。そんなんだから付け込まれるんだよ」
弟にズバズバ言われ、心なしか陽一がシュンとなっている。
どうやら陽一の弟は、血こそ繋がっているものの陽一とは正反対の性格のようだ。
「まあ…最近、LGBTとか流行ってるし、ねぇ…?」
困惑しながらもフォローを入れる母親。
別に流行ってないし流行りだから付き合ったわけでもないが、母親なりに気を遣ってくれてるのがわかるから、スルーした。
「とにかく幸せそうなら良かったよ。兄貴、どこで見つけてきたんだよってくらい性悪な女とばっか付き合ってたから心配だったんだ」
一応、その時々できちんと好きになった相手としか付き合ってなかった陽一は、賢二のあまりの言いように反論しようとしたが、確かにハッとする部分はある。一度でも好いた相手を性悪とまでは思わないが、あの頃の自分はとにかく無理してたように感じる。
「兄貴わかりやすいもんね。彼女といる時はいつもすっごく疲れた顔してて、別れてからは魂抜けたような呆けた顔になって。でも今は、リラックスした良い顔になってる」
そんなふうに思われていたのか。恋人の晴瑠のことをわかりやすい子だなと思っていたけれど、自分もたいがいわかりやすいタイプらしい。
「幸せなんだろ?」
賢二の言葉に、陽一は迷うことなく笑顔で「うん」と答えた。
「それより陽一、恋人と同棲するっていうからどんな立派な部屋に引っ越したかと思えば相変わらずのボロアパートじゃないの。こんなとこじゃ晴瑠くんが可哀想でしょう」
母の意見に、賢二もウンウンと同意する。
「そうそう、こんな薄い壁じゃさ、夜も困るじゃん?」
陽一が無神経な賢二の頭をペシリと叩く。その顔は恥ずかしさで真っ赤になっていた。
実際、何度か苦情がきたことがあり、それからは隣人が在宅してる時は控えるようにしたりして、気を使っていた。正直、つらい。
陽一だって、引っ越せるものなら引っ越したい。
「そうは言ってもさ、金が無いんだからしょうがないだろ」
そう言う陽一に、母が思いついたように「そうそう、その話!」と手を叩く。
「もう、仕送りしなくて大丈夫だから」
「ええっ、だって仕送りがないとそっちが困るだろう。年金支給だってまだまだ先なんだし」
母が痩せ我慢で無理して言ってるのではないかと思って慌てる陽一に、弟の賢二が理由を補足する。
「俺、春から働くからさ。家から通うからかなり金には余裕できるんだ。兄貴のお陰で俺は奨学金なしで大学行けたから借金もないし」
「父さんも母さんもなんとか頑張ってやってるから、心配いらないのよ」
ギリギリだけどね、と言いながら、母がふふっと笑った。
「これからは俺が家を支えていくからさ、任せてよ」
賢二が、胸を張って言う。
年の離れた弟の賢二。あんなに幼かったのに、いつの間にこんなに頼りがいがある青年に成長していたのだろう。
「陽一、今まで本当にありがとうね。親が不甲斐ないばっかりに長男のあなたにはたくさん苦労させたけれど…あなたは我が家の誇りだわ」
涙交じりに語るそんな母の言葉に、大げさだな…と言いながら、照れくさそうに陽一が笑った。
陽一の父には、その日のうちに母の方から伝えてくれた。
「孫の顔が見たかったんだよおおおお」
そう叫びながらオーバーリアクション気味に全身でショックをあらわす父親の姿に思わず笑ってしまったと、後日賢二から聞いた。ちょっと見たい。
「あなた、まだ賢二が残ってるから」
「ちょっと、変なプレッシャーかけないでくれる。俺、結婚とかキョーミないし」
母のフォローを一刀両断する賢二。田中家は、いつもこういうノリなのだ。
それから何週間かたって、陽一と晴瑠は仕事の休みを合わせ、揃って陽一の実家に帰ることにした。是非一緒に遊びに来て、と母に言われたのだ。
孫がどうとか喚いていた父だったが、晴瑠の姿を見た途端すっかり気に入ったようで、にこにこしながら出迎えた。
「まあ、晴瑠くんが孫みたいなもんだからいいか!うん!」
「孫じゃなくて嫁ね」
すかさず賢二がツッコミを入れるが、そのツッコミもズレている。
「どっちでもないし…ちょっと、二人とも晴瑠に失礼だとは思わないの?」
変なテンションの二人に対して、陽一が呆れたように窘めた。
「見た目が中学生なんだから、60の俺にいてもおかしくないだろ」
「中学生は言い過ぎじゃない?まあ、高校生って言われても信じるけど」
父と賢二が、次々に好き勝手なことを言う。若く見えると言っても晴瑠は26歳の青年なのだ。散々言われて不愉快になってないかと晴瑠の顔を見ると、本人は楽しそうに笑っている。
「なんだか、陽ちゃんの家族って漫才みたいで面白いね!」
「おう!うちの家族気に入ってくれたか、そうかそうか!もっと呑みなさい」
気をよくした父が、赤ら顔をくしゃりとさせながら晴瑠にどんどん酒をすすめる。晴瑠はにこにこしながらコップをかかげ、父の酌を受けた。
「ちょっと父さんやめてってば。晴瑠も無理しなくていいから、も~」
「晴瑠ごめんな、うちの家族デリカシーってもんがなくてさ」
「へへ…陽ちゃんの家族って面白いねぇ」
ぽふん、と布団の上に全身を投げ出した晴瑠が楽しげに言った。お酒は飲めるが強くはない晴瑠の顔は、父に散々呑まされて真っ赤になっている。
酒の席で、晴瑠の実家の話になった。何も知らない陽一の母が「そういえば、晴瑠くんのご家族は?」と尋ねたのがきっかけだ。
晴瑠は実家と確執があって、18の時に家を出た。言いづらかったら、無理して言わなくていいんだよと陽一が告げると、晴瑠がテーブルの下で陽一の手をぎゅっと握り、意を決して話し始めた。
陽一の家族の前で、隠し事はしたくなかったのだ。
「父はごく普通の会社員で、母はパート主婦です。兄は多分、今頃は医者を…妹は大学生のはずです」
多分、とか、はず、というのは随分連絡を取っておらず、近況を知らないから。
「元々、出来の悪かった俺は親に嫌われてたんです。けど、そうは言っても家族だし、もしかしたら受け入れてくれるかもしれないと希望を持って18の頃にカミングアウトしたんです。でも…結果は、お前なんてうちの子じゃないって怒らせちゃっただけで」
それから実家とは連絡を取っていないと晴瑠が告げると、その場がしぃんと静まり返った。
重苦しい雰囲気を先に壊したのは賢二だ。
「なに、それ。酷すぎる。晴瑠くん、そんなの全っ然気にしなくていいからね!」
賢二に母が同調する。
「そうよそうよ、こんな可愛らしい子になんてこと言うのかしら。まったくもう」
「勉強ができるとかできないとかは人間性にまったく関係ないもんだ。晴瑠くん、うちにはいつでも遊びに来ていいからな!なんてったって晴瑠くんはもううちの嫁なんだから!」
ガハハ、と豪快に笑う父を見て、晴瑠も笑った。
「いいなあ、あったかくて、優しくて…」
晴瑠が少し遠い目で羨ましげに零すと、陽一が照れた顔をしながらコホンと咳払いをした。
「晴瑠も、もう家族の一員だよ。だってほら、嫁とか言ってたじゃん…?」
その言葉に晴瑠は一瞬目を見開き、それから嬉しそうに、えへへっと笑った。男である晴瑠を嫁呼ばわりはあんまりだが、それは陽一の家族が晴瑠を歓迎していることを示す言葉のあやだと晴瑠もわかっている。
「なあ、晴瑠、今度一緒に指輪買いに行こっか。今の日本の法律じゃ男同士は結婚できないけどさ、でも俺は晴瑠とこれからもずっと一緒にいたいと思ってるんだ」
それはもうほとんどプロポーズのようなものだ。晴瑠はお酒で赤くなった顔を更に紅く染め、照れながらもこくりと頷いた。
そんな晴瑠を抱き締めながら、耳元で「晴瑠、愛してるよ」と囁く。晴瑠が嬉しそうにぎゅうっと抱き返して、「俺も、陽ちゃんのこと、愛してる」と応えた。
「あ…やば…」
「陽ちゃん…?」
「晴瑠が可愛くて…勃っちゃった」
晴瑠と付き合うようになってから、陽一はまるで男子中学生のように反応するようになってしまった。淡白なことが理由で彼女と拗れていた過去が嘘のようである。
でも、そうは言ってもここは陽一の実家だ。
「抜こうか…?」
晴瑠が気を遣って、ヒソヒソと小声で提案する。確かに性欲はそれで収まるけれど、陽一がしたいのはそうではない。
「晴瑠の中に入りたい…声、我慢できる?」
「ん…」
晴瑠が照れくさそうにしながらコクリと頷いた。布団を頭まで被って、ゴソゴソとまさぐりながらゆっくりと愛撫する。
「ふ…あ」
晴瑠の吐息混じりの控え目な喘ぎ声が陽一の鼓膜を震わせ、余計に興奮してしまう。
声を必死に我慢している姿が、たまらなく可愛くて色っぽい。
何度も何度もキスを交わしながら、自身を晴瑠の中に埋めていった。
「んん…っ」
何度も繋がったその場所は、すんなりと陽一を受け入れた。
「晴瑠の中、柔らかくて、あったかくて、めちゃくちゃ気持ちいい…」
晴瑠の声が漏れないように、あまり激しくはせずゆっくりと上下に動く。ねっとりと絡み合う粘膜が、普段とはまた違った快感を呼び起こした。
「ふ…ぅん」
いつもより、自分の中で脈打つ陽一の形がリアルに感じられて、晴瑠の気持ちも高ぶった。
「陽ちゃんの…すごくおっきくなってる」
「晴瑠のせいだぞ?責任とってもらうからな」
そう冗談っぽく言って笑う。そんな陽一に晴瑠もつられて「とる」と笑った。
その日は少し遠出をして、晴瑠と陽一は揃って都内のジュエリーショップに指輪を買いに来ていた。
都会では男同士のカップルも珍しくないのか、結婚指輪を選びに来たと言う二人に、店員は一切戸惑うことなく上品な笑顔で迎えてくれた。
「気になるデザインあった?」
「俺、これがいいな」
晴瑠が指差したのは、シンプルでありながらも美しく流線を描いているデザインのものだった。陽一もその指輪を一目で気に入った。
「うん、いいね。俺も素敵だと思う」
仲睦まじく指輪を選ぶ二人を、店員も微笑ましく見守る。サイズを測ってもらい、注文を済ませた。
それから1ヶ月後、仕上がった指輪を手に、少し緊張した顔の陽一が、晴瑠に向き合う。
「朝比奈晴瑠さん、俺と結婚して下さい!」
法律上入籍はできないけれど、せめて気持ちだけは伝えたい。婚約指輪じゃなくて結婚指輪だから、今更このセリフは変かも?と思いつつ、細かいことは気にしない。
改めてプロポーズする陽一に、晴瑠は「よろしくお願いします」と嬉しそうに微笑んだ。可愛すぎる。
指輪の交換をする時には、なんだか気恥ずかしくて、お互い照れてしまった。
これから二人は夫夫になるのだと、少しずつ実感がわいてくる。
「いつか、新婚旅行とかも行きたいな。晴瑠はどこか行きたいとことかある?」
「そうだなあ…えっとねぇ」
引っ越し、デート、旅行……次々と希望が膨らむ。
指にはめられたお揃いの輪っか。これからの人生を共に生きてゆくと決めた二人の繋がり。
キラリと光る指を互いに絡ませ合いながら、晴瑠と陽一は二人で紡ぐ長い長い未来を見つめていた。
END
二人の休日が合ったこの日、陽一が一緒にカレーを作ろうと、晴瑠を誘った。
少し、晴瑠が浮かない顔をしている。
晴瑠には過去に真っ白なはずのクリームシチューを真っ黒に大変身させた前科があるからだ。
陽一はその時のことを思い出すと、今でも笑いが込み上げてくる。
(あの時はビックリしたけど。料理全然得意じゃないのに俺のために頑張ってくれようとしたんだよなあ)
思い出し笑いと同時に、ドジな恋人への愛しさも湧き上がってきた。
「大丈夫、俺が教えるから。簡単だよ」と手招きする陽一に、晴瑠は元気よく「ご指導よろしくお願いします!」と返事をした。
二人並んで台所に立ち、晴瑠が洗って皮を剥いてくれた人参やジャガイモを次々と受け取って、陽一がトントンとリズミカルに切っていく。
それを晴瑠が今度は鍋で炒めるという見事な連携プレーで、二人の料理はサクサク進んだ。
「なんつーか、幸せだなあ」
使い終わった道具を洗いながら、陽一がほこほこした笑顔でしみじみと言う。
晴瑠もその意見に満面の笑みで同意した。些細な日常が、こんなに温かくて楽しいものだなんて知らなかった。
晴瑠は陽一と出会ってからずっと幸せだった。陽一も同じ気持ちでいてくれたことが、いま、何よりも嬉しい。
コトコトとじっくり煮込まれたカレーの美味しそうな香りが鼻をくすぐる。
「いただきます」
「いっただきまーす!」
二人ちゃぶ台に向かい合って座り、手を合わせて食べようとした時だ。
ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
「誰だろ?」
はいはい…と言いながら玄関に向かった陽一が、扉を開けた瞬間「えっ!??」と大きな声を上げた。
そこには、陽一の母と、弟の賢二が立っていたのだ。
「なんだって急に。来るなら来るで連絡ぐらい」
「たまたま、こっちに用があったから寄ってみただけよ。あ、賢二はオマケ。なんか勝手に付いてきちゃって」
そう言いながら、母は大きなタッパーいっぱいに詰められた手作りの豚の角煮と、野菜たっぷりのお煮しめを手渡してきた。どちらも陽一の好物だ。
たまたまなんて言っていたけれど、角煮なんてすごく手間のかかる料理だ。母の優しさが身に染みる。
「あんたロクに家に顔も見せないで、恋人と同棲するから引っ越したって連絡だけ寄越すんだから」
「だから仕事だって言っただろ」
俺だって忙しいんだよ、と言い訳する。相手が親という安心感からか、陽一の言葉はいつもより少しぶっきらぼうだ。
はたと母が晴瑠の存在に気付く。
「あ、あら…こんにちは。お友達が遊びに来てたとは知らなくてごめんなさいね」
「兄貴、同棲してるっていう彼女は?」
勝手に母にくっついてきたという賢二が、好奇心の塊のような瞳でキョロキョロとあたりを見回す。
こいつ、これが目当てだったのか。そのためにわざと連絡を入れなかったんじゃないかと陽一が訝しむ。
どうしたらいいのだろう。冷や汗が出た。カミングアウトするには、まだ心の準備ができていない。
動揺しながら陽一が晴瑠に視線をやると、晴瑠も同じく動揺しているようだ。
きっと、ここで彼女は出かけてて今はいないとかなんとか言えば、晴瑠は話を合わせてくれるだろう。
しかしここまできて二人に嘘をつくことはしたくなかった。遅かれ早かれ家族にはいつか話すつもりだったのだ。それがちょっと前倒しになっただけだ。
陽一は、誤魔化すことなく正直に話すことにした。
こほん、とひとつ咳払いをして、改めて晴瑠を紹介する。
「えっと、彼が今俺がお付き合いさせていただいている恋人の晴瑠くんです」
「あっ、朝比奈晴瑠です!はじめまして」
陽一の言葉に続けて、晴瑠が慌ててペコリと頭を下げた。
突然のことに、二人とも鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしている。
「陽一…あんたゲイだったの?」
動揺する母に、陽一は自分はゲイではないが晴瑠は特別な相手なのだと説明する。母はますます混乱したようで、まだ気持ちの整理がつかない顔をしていた。
そんな母の横にいた賢二は、意外にもカラッとした表情で、二人の仲を歓迎した。
「まあ、いいんじゃない。兄貴女運悪いし、男の方が安心かもよ」
賢二の言葉に、陽一が少しムッとする。
「なんだよ、それ」
「だってさ、高校の時の彼女には二股かけられてたし、大学の時の彼女は、やれどこどこに連れてけだのプレゼントは奮発しろだの散々我儘言ったあげくバイト三昧だった兄貴に文句言ったりしてただろ。兄貴に金が無いのは兄貴のせいじゃないのにさ」
確かにそんなこともあったなと思い返したが、恥ずかしい過去を弟の口から晴瑠の前で暴露され、陽一は今すぐ穴を掘って埋まってしまいたい気分になった。
「俺が彼氏として不甲斐なかっただけだから、彼女達は別に悪くないよ…」
「ほんっとお人好しだね。そんなんだから付け込まれるんだよ」
弟にズバズバ言われ、心なしか陽一がシュンとなっている。
どうやら陽一の弟は、血こそ繋がっているものの陽一とは正反対の性格のようだ。
「まあ…最近、LGBTとか流行ってるし、ねぇ…?」
困惑しながらもフォローを入れる母親。
別に流行ってないし流行りだから付き合ったわけでもないが、母親なりに気を遣ってくれてるのがわかるから、スルーした。
「とにかく幸せそうなら良かったよ。兄貴、どこで見つけてきたんだよってくらい性悪な女とばっか付き合ってたから心配だったんだ」
一応、その時々できちんと好きになった相手としか付き合ってなかった陽一は、賢二のあまりの言いように反論しようとしたが、確かにハッとする部分はある。一度でも好いた相手を性悪とまでは思わないが、あの頃の自分はとにかく無理してたように感じる。
「兄貴わかりやすいもんね。彼女といる時はいつもすっごく疲れた顔してて、別れてからは魂抜けたような呆けた顔になって。でも今は、リラックスした良い顔になってる」
そんなふうに思われていたのか。恋人の晴瑠のことをわかりやすい子だなと思っていたけれど、自分もたいがいわかりやすいタイプらしい。
「幸せなんだろ?」
賢二の言葉に、陽一は迷うことなく笑顔で「うん」と答えた。
「それより陽一、恋人と同棲するっていうからどんな立派な部屋に引っ越したかと思えば相変わらずのボロアパートじゃないの。こんなとこじゃ晴瑠くんが可哀想でしょう」
母の意見に、賢二もウンウンと同意する。
「そうそう、こんな薄い壁じゃさ、夜も困るじゃん?」
陽一が無神経な賢二の頭をペシリと叩く。その顔は恥ずかしさで真っ赤になっていた。
実際、何度か苦情がきたことがあり、それからは隣人が在宅してる時は控えるようにしたりして、気を使っていた。正直、つらい。
陽一だって、引っ越せるものなら引っ越したい。
「そうは言ってもさ、金が無いんだからしょうがないだろ」
そう言う陽一に、母が思いついたように「そうそう、その話!」と手を叩く。
「もう、仕送りしなくて大丈夫だから」
「ええっ、だって仕送りがないとそっちが困るだろう。年金支給だってまだまだ先なんだし」
母が痩せ我慢で無理して言ってるのではないかと思って慌てる陽一に、弟の賢二が理由を補足する。
「俺、春から働くからさ。家から通うからかなり金には余裕できるんだ。兄貴のお陰で俺は奨学金なしで大学行けたから借金もないし」
「父さんも母さんもなんとか頑張ってやってるから、心配いらないのよ」
ギリギリだけどね、と言いながら、母がふふっと笑った。
「これからは俺が家を支えていくからさ、任せてよ」
賢二が、胸を張って言う。
年の離れた弟の賢二。あんなに幼かったのに、いつの間にこんなに頼りがいがある青年に成長していたのだろう。
「陽一、今まで本当にありがとうね。親が不甲斐ないばっかりに長男のあなたにはたくさん苦労させたけれど…あなたは我が家の誇りだわ」
涙交じりに語るそんな母の言葉に、大げさだな…と言いながら、照れくさそうに陽一が笑った。
陽一の父には、その日のうちに母の方から伝えてくれた。
「孫の顔が見たかったんだよおおおお」
そう叫びながらオーバーリアクション気味に全身でショックをあらわす父親の姿に思わず笑ってしまったと、後日賢二から聞いた。ちょっと見たい。
「あなた、まだ賢二が残ってるから」
「ちょっと、変なプレッシャーかけないでくれる。俺、結婚とかキョーミないし」
母のフォローを一刀両断する賢二。田中家は、いつもこういうノリなのだ。
それから何週間かたって、陽一と晴瑠は仕事の休みを合わせ、揃って陽一の実家に帰ることにした。是非一緒に遊びに来て、と母に言われたのだ。
孫がどうとか喚いていた父だったが、晴瑠の姿を見た途端すっかり気に入ったようで、にこにこしながら出迎えた。
「まあ、晴瑠くんが孫みたいなもんだからいいか!うん!」
「孫じゃなくて嫁ね」
すかさず賢二がツッコミを入れるが、そのツッコミもズレている。
「どっちでもないし…ちょっと、二人とも晴瑠に失礼だとは思わないの?」
変なテンションの二人に対して、陽一が呆れたように窘めた。
「見た目が中学生なんだから、60の俺にいてもおかしくないだろ」
「中学生は言い過ぎじゃない?まあ、高校生って言われても信じるけど」
父と賢二が、次々に好き勝手なことを言う。若く見えると言っても晴瑠は26歳の青年なのだ。散々言われて不愉快になってないかと晴瑠の顔を見ると、本人は楽しそうに笑っている。
「なんだか、陽ちゃんの家族って漫才みたいで面白いね!」
「おう!うちの家族気に入ってくれたか、そうかそうか!もっと呑みなさい」
気をよくした父が、赤ら顔をくしゃりとさせながら晴瑠にどんどん酒をすすめる。晴瑠はにこにこしながらコップをかかげ、父の酌を受けた。
「ちょっと父さんやめてってば。晴瑠も無理しなくていいから、も~」
「晴瑠ごめんな、うちの家族デリカシーってもんがなくてさ」
「へへ…陽ちゃんの家族って面白いねぇ」
ぽふん、と布団の上に全身を投げ出した晴瑠が楽しげに言った。お酒は飲めるが強くはない晴瑠の顔は、父に散々呑まされて真っ赤になっている。
酒の席で、晴瑠の実家の話になった。何も知らない陽一の母が「そういえば、晴瑠くんのご家族は?」と尋ねたのがきっかけだ。
晴瑠は実家と確執があって、18の時に家を出た。言いづらかったら、無理して言わなくていいんだよと陽一が告げると、晴瑠がテーブルの下で陽一の手をぎゅっと握り、意を決して話し始めた。
陽一の家族の前で、隠し事はしたくなかったのだ。
「父はごく普通の会社員で、母はパート主婦です。兄は多分、今頃は医者を…妹は大学生のはずです」
多分、とか、はず、というのは随分連絡を取っておらず、近況を知らないから。
「元々、出来の悪かった俺は親に嫌われてたんです。けど、そうは言っても家族だし、もしかしたら受け入れてくれるかもしれないと希望を持って18の頃にカミングアウトしたんです。でも…結果は、お前なんてうちの子じゃないって怒らせちゃっただけで」
それから実家とは連絡を取っていないと晴瑠が告げると、その場がしぃんと静まり返った。
重苦しい雰囲気を先に壊したのは賢二だ。
「なに、それ。酷すぎる。晴瑠くん、そんなの全っ然気にしなくていいからね!」
賢二に母が同調する。
「そうよそうよ、こんな可愛らしい子になんてこと言うのかしら。まったくもう」
「勉強ができるとかできないとかは人間性にまったく関係ないもんだ。晴瑠くん、うちにはいつでも遊びに来ていいからな!なんてったって晴瑠くんはもううちの嫁なんだから!」
ガハハ、と豪快に笑う父を見て、晴瑠も笑った。
「いいなあ、あったかくて、優しくて…」
晴瑠が少し遠い目で羨ましげに零すと、陽一が照れた顔をしながらコホンと咳払いをした。
「晴瑠も、もう家族の一員だよ。だってほら、嫁とか言ってたじゃん…?」
その言葉に晴瑠は一瞬目を見開き、それから嬉しそうに、えへへっと笑った。男である晴瑠を嫁呼ばわりはあんまりだが、それは陽一の家族が晴瑠を歓迎していることを示す言葉のあやだと晴瑠もわかっている。
「なあ、晴瑠、今度一緒に指輪買いに行こっか。今の日本の法律じゃ男同士は結婚できないけどさ、でも俺は晴瑠とこれからもずっと一緒にいたいと思ってるんだ」
それはもうほとんどプロポーズのようなものだ。晴瑠はお酒で赤くなった顔を更に紅く染め、照れながらもこくりと頷いた。
そんな晴瑠を抱き締めながら、耳元で「晴瑠、愛してるよ」と囁く。晴瑠が嬉しそうにぎゅうっと抱き返して、「俺も、陽ちゃんのこと、愛してる」と応えた。
「あ…やば…」
「陽ちゃん…?」
「晴瑠が可愛くて…勃っちゃった」
晴瑠と付き合うようになってから、陽一はまるで男子中学生のように反応するようになってしまった。淡白なことが理由で彼女と拗れていた過去が嘘のようである。
でも、そうは言ってもここは陽一の実家だ。
「抜こうか…?」
晴瑠が気を遣って、ヒソヒソと小声で提案する。確かに性欲はそれで収まるけれど、陽一がしたいのはそうではない。
「晴瑠の中に入りたい…声、我慢できる?」
「ん…」
晴瑠が照れくさそうにしながらコクリと頷いた。布団を頭まで被って、ゴソゴソとまさぐりながらゆっくりと愛撫する。
「ふ…あ」
晴瑠の吐息混じりの控え目な喘ぎ声が陽一の鼓膜を震わせ、余計に興奮してしまう。
声を必死に我慢している姿が、たまらなく可愛くて色っぽい。
何度も何度もキスを交わしながら、自身を晴瑠の中に埋めていった。
「んん…っ」
何度も繋がったその場所は、すんなりと陽一を受け入れた。
「晴瑠の中、柔らかくて、あったかくて、めちゃくちゃ気持ちいい…」
晴瑠の声が漏れないように、あまり激しくはせずゆっくりと上下に動く。ねっとりと絡み合う粘膜が、普段とはまた違った快感を呼び起こした。
「ふ…ぅん」
いつもより、自分の中で脈打つ陽一の形がリアルに感じられて、晴瑠の気持ちも高ぶった。
「陽ちゃんの…すごくおっきくなってる」
「晴瑠のせいだぞ?責任とってもらうからな」
そう冗談っぽく言って笑う。そんな陽一に晴瑠もつられて「とる」と笑った。
その日は少し遠出をして、晴瑠と陽一は揃って都内のジュエリーショップに指輪を買いに来ていた。
都会では男同士のカップルも珍しくないのか、結婚指輪を選びに来たと言う二人に、店員は一切戸惑うことなく上品な笑顔で迎えてくれた。
「気になるデザインあった?」
「俺、これがいいな」
晴瑠が指差したのは、シンプルでありながらも美しく流線を描いているデザインのものだった。陽一もその指輪を一目で気に入った。
「うん、いいね。俺も素敵だと思う」
仲睦まじく指輪を選ぶ二人を、店員も微笑ましく見守る。サイズを測ってもらい、注文を済ませた。
それから1ヶ月後、仕上がった指輪を手に、少し緊張した顔の陽一が、晴瑠に向き合う。
「朝比奈晴瑠さん、俺と結婚して下さい!」
法律上入籍はできないけれど、せめて気持ちだけは伝えたい。婚約指輪じゃなくて結婚指輪だから、今更このセリフは変かも?と思いつつ、細かいことは気にしない。
改めてプロポーズする陽一に、晴瑠は「よろしくお願いします」と嬉しそうに微笑んだ。可愛すぎる。
指輪の交換をする時には、なんだか気恥ずかしくて、お互い照れてしまった。
これから二人は夫夫になるのだと、少しずつ実感がわいてくる。
「いつか、新婚旅行とかも行きたいな。晴瑠はどこか行きたいとことかある?」
「そうだなあ…えっとねぇ」
引っ越し、デート、旅行……次々と希望が膨らむ。
指にはめられたお揃いの輪っか。これからの人生を共に生きてゆくと決めた二人の繋がり。
キラリと光る指を互いに絡ませ合いながら、晴瑠と陽一は二人で紡ぐ長い長い未来を見つめていた。
END
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