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3章 別れと出会い
044 5階層へ挑戦
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「両親が戻ってきたのか。んと、今日はどうする?探索はやめておくか?」
行商やってる両親が帰ってきたのなら、少しでも長く一緒に居たいんじゃないかな?と思って聞いてみる。
「え、なんでー?いくよーいくに決まってるよー!5階層突破して、父さん母さんに自慢するんだー!」
「そういうもん?シンも良いのか?」
「勿論。トーマに迷惑をかけたくないし、5階層に挑戦したいって気持ちも本当だよ。
それに両親は昨日帰ってきたばかりだから、今日は1日寝てるだけだと思う。親の寝顔なんて見てても仕方ないし」
あー確かに俺だって長期出張から帰ってきたらとりあえず爆睡しそうだ。長期出張なんて経験したこと無いけど。
「そっか。それじゃ予定通り5階層に挑むとしようか。自慢しようにも攻略失敗したんじゃ元も子もないしな。気合入れてくかー」
「気合いれてこー!」
そうかー両親が帰ってきたかー。
まぁ先のことは一旦忘れよう。まずは目の前のことに集中だ。
カズラの魔法薬屋で暗視ポーションを受け取る。
「あの2人帰ってきたのかい。ならここにも顔出すように言っておくれ」
2人の両親とカズラは知り合いらしい。
そういえば初めて会った時も、2人とは妙に距離が近かった気がする。家族ぐるみでの付き合いがあったのかもしれないな。
迷宮に入り、4階層の入り口で暗視ポーションを服用する。
不味くは無いんだけど旨くもないんだよなぁこれ。早く暗視スキル覚えたいところだわ。
4階層も最短距離で突っ切る。今日の目的は5階層なので、道中は無理に戦闘は行わない。
勿論遭遇してしまった相手はきっちりとお肉になって頂いたが。
「さて、この先だね」
5階層への階段前に到着。この先は未知の領域だ。難易度も上がるらしいし、正直少し緊張する。
「じゃあ確認するよ。今日は初日なのでギルドで確認した分岐の少ないルートで。頭上と地上のどちらにも気を配ること。
先頭はトーマで、その後ろに僕たち2人が並ぶ形。地図はリーンが持って後ろから行き先を指示する。
複数種類の魔物が一緒に出てきた場合は、一番攻撃力の高いシャドウボアを最優先でトーマが担当。次に危なそうなキラーラットは僕たち2人で、他は各々遊撃して殲滅。
なにかあったら大声で呼んで欲しい。2人は何かある?」
「異論無し」
「よーし、5階層攻略するぞー!」
気合充分。5階層の攻略を開始する。
5階層に降り立った。なんというか、今までよりも全体的に、通路や広場や小部屋などのスペースが広く取られているような感じだ。
頭上警戒と言われているのでつい上を見上げてしまう。今までの階層と比べて天井も高いように見える。目視での計測なんて自信ないけど、10メートルくらいはあるんじゃないか?
「よし、それじゃあ行ってみるか。地図には目を通したけど、道間違ったら教えてくれよ」
「はいはーい確認してるから安心してねー」
とりあえず一当てして見ないことには始まらない。警戒しつつも足を進めた。
むむ?
魔物と遭遇しないので、練習がてらちょいちょい音魔法の練習をしていると、何も聞こえていないのに魔力が音を感知した。音を捉えた方向に目を向けると、天井に白くて小さい魔物が数体ぶら下がってるのが見えた。
おおお、これって正にエコーロケーションか!これで、音魔法を使って超音波を知覚出来ることは証明されたな。
「2人とも、あそこに恐らくキラーラットがぶら下がってるぞ。近付いてみるか無視するかは任せる」
2人に場所を伝え、判断を任せる。
「本当だ。よく気付いたね。僕は戦ってみたいかな。他の魔物も居ないことだし」
「私も戦っておきたいな」
「了解だ。このまま近付くから気をつけよう。どんな動きをするかまだわからないからな」
俺が先頭のままキラーラットとの距離を詰める。距離にして5メートルほどの射程に入った瞬間、キラーラットは一斉に飛び立ちこちらに襲い掛かってきた。奴らの攻撃範囲はこの距離か。
直線的に滑空してこちらに迫る。なかなかの早さだ。でも事前に察知出来ていたので、正面から向かってくるだけなら問題ない。
野球のバッターの要領で、飛んでくるキラーラット目掛けて石斧をフルスイング!
「なっ!?」
石斧は思い切り空を切る。こいつ、避けやがった!
攻撃失敗した個体はもう一度上昇して手が届かない高さに。
後ろから迫ってきたキラーラットは俺を無視して、後方の2人へと狙いを定めたようだ。
シンとリーンの2人は正面からキラーラットを見据え、落ち着いた素振りで武器を一閃。2人とも一撃でキラーラットを両断した。
外したの俺だけかよ、かっこわりー!
2人が魔物を斬ったタイミングで、石斧を避けたヤツが再度俺に向かってきた。2度も外すわけには行かないので、ちょっと悔しいけど石斧は手放す。
右手で短剣を握り、速度を意識して武器を振るう。今度はしっかりとキラーラットを真っ二つにすることが出来た。
残敵ゼロ。戦闘終了だ。
「あはー思いっきり外してたねー!」
「リーンセンパイ?そういうのは見なかったことにするのが大人ってモンですよ」
ドロップアイテムを回収しているとやっぱり弄られた。キラーラットまじ許すまじ。
「奇襲じゃなければこんなものか。他の魔物と一緒に出てこられるとなんとも言えないけど、キラーラットの個体戦闘力は大した事無いね。完全に奇襲に特化してる感じだ」
確かに発見が遅れるとやばい感じだな。タヌキくらいの大きさの蝙蝠が高スピードで襲い掛かってくるわけだし。
キラーラットの攻撃で体勢を崩されて、地上の魔物に追撃されるってのが一番やばそうだ。特にシャドウボアの攻撃は一撃死がありえるし。
最初にキラーラットだけと戦えたのはラッキーだったな。動き自体はなんとなく掴めた気がする。
さて探索を続けよう。
行商やってる両親が帰ってきたのなら、少しでも長く一緒に居たいんじゃないかな?と思って聞いてみる。
「え、なんでー?いくよーいくに決まってるよー!5階層突破して、父さん母さんに自慢するんだー!」
「そういうもん?シンも良いのか?」
「勿論。トーマに迷惑をかけたくないし、5階層に挑戦したいって気持ちも本当だよ。
それに両親は昨日帰ってきたばかりだから、今日は1日寝てるだけだと思う。親の寝顔なんて見てても仕方ないし」
あー確かに俺だって長期出張から帰ってきたらとりあえず爆睡しそうだ。長期出張なんて経験したこと無いけど。
「そっか。それじゃ予定通り5階層に挑むとしようか。自慢しようにも攻略失敗したんじゃ元も子もないしな。気合入れてくかー」
「気合いれてこー!」
そうかー両親が帰ってきたかー。
まぁ先のことは一旦忘れよう。まずは目の前のことに集中だ。
カズラの魔法薬屋で暗視ポーションを受け取る。
「あの2人帰ってきたのかい。ならここにも顔出すように言っておくれ」
2人の両親とカズラは知り合いらしい。
そういえば初めて会った時も、2人とは妙に距離が近かった気がする。家族ぐるみでの付き合いがあったのかもしれないな。
迷宮に入り、4階層の入り口で暗視ポーションを服用する。
不味くは無いんだけど旨くもないんだよなぁこれ。早く暗視スキル覚えたいところだわ。
4階層も最短距離で突っ切る。今日の目的は5階層なので、道中は無理に戦闘は行わない。
勿論遭遇してしまった相手はきっちりとお肉になって頂いたが。
「さて、この先だね」
5階層への階段前に到着。この先は未知の領域だ。難易度も上がるらしいし、正直少し緊張する。
「じゃあ確認するよ。今日は初日なのでギルドで確認した分岐の少ないルートで。頭上と地上のどちらにも気を配ること。
先頭はトーマで、その後ろに僕たち2人が並ぶ形。地図はリーンが持って後ろから行き先を指示する。
複数種類の魔物が一緒に出てきた場合は、一番攻撃力の高いシャドウボアを最優先でトーマが担当。次に危なそうなキラーラットは僕たち2人で、他は各々遊撃して殲滅。
なにかあったら大声で呼んで欲しい。2人は何かある?」
「異論無し」
「よーし、5階層攻略するぞー!」
気合充分。5階層の攻略を開始する。
5階層に降り立った。なんというか、今までよりも全体的に、通路や広場や小部屋などのスペースが広く取られているような感じだ。
頭上警戒と言われているのでつい上を見上げてしまう。今までの階層と比べて天井も高いように見える。目視での計測なんて自信ないけど、10メートルくらいはあるんじゃないか?
「よし、それじゃあ行ってみるか。地図には目を通したけど、道間違ったら教えてくれよ」
「はいはーい確認してるから安心してねー」
とりあえず一当てして見ないことには始まらない。警戒しつつも足を進めた。
むむ?
魔物と遭遇しないので、練習がてらちょいちょい音魔法の練習をしていると、何も聞こえていないのに魔力が音を感知した。音を捉えた方向に目を向けると、天井に白くて小さい魔物が数体ぶら下がってるのが見えた。
おおお、これって正にエコーロケーションか!これで、音魔法を使って超音波を知覚出来ることは証明されたな。
「2人とも、あそこに恐らくキラーラットがぶら下がってるぞ。近付いてみるか無視するかは任せる」
2人に場所を伝え、判断を任せる。
「本当だ。よく気付いたね。僕は戦ってみたいかな。他の魔物も居ないことだし」
「私も戦っておきたいな」
「了解だ。このまま近付くから気をつけよう。どんな動きをするかまだわからないからな」
俺が先頭のままキラーラットとの距離を詰める。距離にして5メートルほどの射程に入った瞬間、キラーラットは一斉に飛び立ちこちらに襲い掛かってきた。奴らの攻撃範囲はこの距離か。
直線的に滑空してこちらに迫る。なかなかの早さだ。でも事前に察知出来ていたので、正面から向かってくるだけなら問題ない。
野球のバッターの要領で、飛んでくるキラーラット目掛けて石斧をフルスイング!
「なっ!?」
石斧は思い切り空を切る。こいつ、避けやがった!
攻撃失敗した個体はもう一度上昇して手が届かない高さに。
後ろから迫ってきたキラーラットは俺を無視して、後方の2人へと狙いを定めたようだ。
シンとリーンの2人は正面からキラーラットを見据え、落ち着いた素振りで武器を一閃。2人とも一撃でキラーラットを両断した。
外したの俺だけかよ、かっこわりー!
2人が魔物を斬ったタイミングで、石斧を避けたヤツが再度俺に向かってきた。2度も外すわけには行かないので、ちょっと悔しいけど石斧は手放す。
右手で短剣を握り、速度を意識して武器を振るう。今度はしっかりとキラーラットを真っ二つにすることが出来た。
残敵ゼロ。戦闘終了だ。
「あはー思いっきり外してたねー!」
「リーンセンパイ?そういうのは見なかったことにするのが大人ってモンですよ」
ドロップアイテムを回収しているとやっぱり弄られた。キラーラットまじ許すまじ。
「奇襲じゃなければこんなものか。他の魔物と一緒に出てこられるとなんとも言えないけど、キラーラットの個体戦闘力は大した事無いね。完全に奇襲に特化してる感じだ」
確かに発見が遅れるとやばい感じだな。タヌキくらいの大きさの蝙蝠が高スピードで襲い掛かってくるわけだし。
キラーラットの攻撃で体勢を崩されて、地上の魔物に追撃されるってのが一番やばそうだ。特にシャドウボアの攻撃は一撃死がありえるし。
最初にキラーラットだけと戦えたのはラッキーだったな。動き自体はなんとなく掴めた気がする。
さて探索を続けよう。
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