異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

文字の大きさ
143 / 580
6章 波乱のヴェルトーガ

125 ヴェルトーガ観光

しおりを挟む
 四大精霊家当主に相応しい?強烈なキャラをしていたディオーヌ様。

 彼女が弁えた変態だったおかげで争いに発展しなくて済んだ。
 ここは素直に感謝しとこう。


 ディオーヌ様は用件が済むとさっさと退出して行ったが、正式に客人待遇となった俺たちは、ヴェルトーガを案内してもらえることになった。
 しかも滞在中の宿泊費はタイデリア家持ちっていうんだから、どっかの火の貴族家との格の違いを感じるな。



 案内の準備中に、案内予定の使用人さんにディオーヌ様の話を色々聞かせてもらったのだが、想像以上にぶっ飛んだ変態だった模様。

 守備範囲は11~16歳くらいまで。外見によっては多少前後することもあるそうだ。

 全ての少年に幸福を齎すことを使命とし、不幸な境遇の少年を探しては、お金と権力の力で救ってしまうらしい。

 見返りに少年は体を差し出すことになるわけだが、長くても5年くらいの拘束であり、それが終った後はこの屋敷で雇ってもらうことも出来るらしい。

 なによりヤベーのが、ディオーヌ様、今まで何人か少年達の子供を身篭ったこともあるが、その全てを出産し、子供を引き取り育てているらしいということ。

 流石に自分の息子に欲情する事はないそうだが……。


 この屋敷には多くの者が働いているが、男性使用人のまぁまぁの割合が、ディオーヌ様に救われ、かつて肉体関係にあったらしく、忠誠心は非常に高いらしい。

 ディオーヌ様は人種であろうが亜人であろうが獣人であろうが、それが少年であるならば全てウェルカムの猛者らしい。
 そしてこんなことを喜々として客に語る使用人が居るあたり、自分の性癖を隠す気もなさそうだ。


 金と権力と開き直りを得た、究極で無敵な変態紳士、それがディオーヌ様のようだ。
 良かった。この人が人並みの分別だけは持ち合わせてくれてて。

 体を差し出した少年達も結果的にみんな幸せになってると言うのだから、俺が口出しする問題でもあるまい。
 正直言えば、ディオーヌ様の性癖部分にこれ以上関わりたくない。


「お嬢様のお客様をご案内できるなんて光栄です。
 ここヴェルトーガは、まるでお嬢様のように、とても美しい都市なのですよ」


 めっちゃうっとりしてる案内担当の人。
 この人元少年だな絶対。いや元少年ってどんな言葉だよ。

 まぁ確かにあそこまで突き抜けてれば、ある意味美しいと思わないでもないわ。


「ヴェルトーガは都市の西側が海に面しており、都市の中に幾つも水路が走っております。
 魔法船を用いた物資の大量輸送で発展した都市で、まさに水のタイデリア家に相応しい都市と言えるでしょう」


 窓付きの馬車に揺られながら案内人の解説を聞いている。
 拠点となる宿と冒険者ギルドに商工ギルド、そして迷宮の入り口まで案内してくれるらしい。


「水路から見て、街はかなり高い位置に作られてますよね。
 やはり水路の氾濫対策のためにこれだけの高さが必要なんですか?」


 シンが質問している。
 確かに日本の河川もかなり堤防が高く作られてるイメージあるな。

 ただヴェルトーガの堤防は絶壁になっていて、落ちたら上がるのに苦労しそうな作りになっている。


「勿論氾濫対策でもありますが、一番は魔物対策ですね。
 水棲の魔物は陸上の魔物と比べて大型化しやすい傾向にあるので、高さがあって強固な水路は不可欠なのです」

「それだと船も危なくないのー?」

「勿論まったくの安全ではありませんが、船を沈めるほどの大型の魔物はまず水路に侵入するのは無理でしょう。
 とはいえ可能性が無いわけではないので、こうして対策が取られていると言うわけですね。
 と言っても、ヴェルトーガの都市が作られたのは数百年も前のことらしいので、私が偉そうに解説するのは少し憚られますが」


 つまりヴェルトーガは設計の時点で水防を意識されていたって事ね。


 それと川や海ならばと、水遊びできる場所について聞いてみたが、魔物が出るせいか、水に入って遊ぶという発想は一般的ではないらしい。
 洗浄魔法のおかげで生活排水はかなり少なめで、海も水路も綺麗に見えるのに残念なことだ。

 まぁ俺だって魔物が出る中を命がけで水に入ろうとは思わないけどさ。



「へぇ。ベイクから来たのかい。精々稼いでいってくれよ!」


 冒険者ギルドでヴェルトーガの迷宮の通行証を発行してもらう。これを忘れると犯罪らしいから気をつけないとな。
 対応してくれた受付嬢さんは垂れ耳のウサギ獣人だった。
 荒々しい口調とウサギの顔がなかなかミスマッチで可愛い。

 ウサギの亜人ならバニーガールだったのかもしれないけど、ウサギ顔が普通に可愛いので何も問題ない。

 商工ギルドと迷宮は位置の確認だけにして宿に案内してもらう。
 『水のせせらぎ亭』というらしい。

 ふ、ちゃんと看板も読めるようになった自分が嬉しい。


 宿は一部屋にしてもらうつもりだったが、健闘空しく二部屋にされてしまった。
 いや、決して嫌なわけではないんだけど連日は辛い。
 毎日複数人を無尽蔵に相手できるとか、その時点で既にチートなんじゃね。


 流石に陽天の報せは過ぎているが、まだまだ日暮れには時間が理想だ。
 宿に大きな荷物は置いて、観光気分で適当にぶらつくことにした。
 迷宮に入るのは明日からの予定。


 適当に出店を回ってみると、やはり魚系のお店が多い。
 基本的にただの塩焼きって感じの店が多いけれど、ベイクではあまり食べられない海産物はなかなかに新鮮な味に感じる。
 流石に醤油や味噌に類似する味の商品は無い模様。

 作りたくても知識がないからなぁ。
 味噌とか醤油とかあっさり作れるって普通にチートだよな。凡人の俺には無理だ。


「あっトーマ!」


 リーンに袖を引っ張られる。


「どうした?」

「今あそこの路地に、女の人が無理矢理連れ込まれてた!」


 うぇ、厄介事じゃないですかヤダー!

 といっても知ってしまった以上は無視も出来ないかぁ。


「事情が分からないので、衛兵を呼ぶって設定でいこう。
 叩きのめすのは最終手段で」

「設定というか僕が呼んでくるよ。あそこの路地だねリーン?」

「うん。間違いないよ!」

「では私たちは早く女性の様子を確認しに行きましょう。
 猶予がなければ介入してもいいですよね?」

「猶予がなければな。
 じゃあトルネの言うとおりに、まずは状況を確認しにいこうか」



 異世界ファンタジーにトラブル体質はつきものだけど、俺って他の誰かのトラブル体質に巻き込まれてるだけだと思う今日この頃。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!

石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。 クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に! だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。 だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。 ※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...