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6章 波乱のヴェルトーガ
155 ベイクに帰ろう
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空間魔法は全体的に、かなり癖が強いことが分かった。使いこなすには、そもそもの魔力量も足りてない。訓練あるのみだ。SPが大量に稼げるなら、魔力量増加を取るのが手っ取り早いんだろうけど。1500SPはちょっと遠すぎっすわ。
宿に戻るとタイデリア家からと、手紙を渡される。明日ゲート使いを貸してくれるそうだ。
そして手紙に追記してあったのだが、ゲートの使用は、ゲート取得後にターミナルに触れることによって、初めて出口の設定が行えるようになるらしい。
つまりどっちにしろ、俺が自力でベイクまでゲートを開くのは無理だったようだ。指摘じゃなくて解説に留めてあるあたり、気を遣われてるなぁ。
「異風の旋律のご一行様にご利用頂いた事、当店の自慢となりました。次にヴェルトーガに訪れた時も、ぜひご利用ください。またのお越しをお待ちしております」
なんだかんだと迷惑をかけまくった、水のせせらぎ亭を後にする。もちろん今朝も堪能させていただきました。ナニをとは言いませんが。
「また来いよ!迷宮も2階層までしか行ってないんだろ?ここの迷宮は他とは違うから、いつか攻略しに来いよな!
ヴェルトーガは、異風の旋律をいつでも歓迎してやるぜ!」
ピリカトさんに挨拶をして、ターミナルに向かう。ゲートはどこからでも使用可能だけど、恐らく俺のためにターミナルを指定してくれたんだろうな。
「なんか10日も居なかったのに、すげぇ長期間居たような気がするわ。色々ありすぎたな」
「ほんとねー。まぁ兄さんにも良い人が見つかったみたいだし、結果的にはいい遠征だったねー」
「リーン!?あんまり急かすのやめてくれないかな!
くっ、トーマのときは何を悩んでるんだと思ってたけど、自分が当事者になると、あの時のトーマの気持ちが良くわかるよ……!」
「ハルもベイクの家で暮らすとなると、賑やかになりそうですね。
ふふ、賑やか。楽しい。私がこんなこと思う日が来るなんて」
「うん。私もベイクの家に行くの楽しみ。それにみんな料理できるんでしょ。私にも教えてね!一応向こうでは家事は一通りこなしてたから、手伝えることはあると思うしさ!」
来た時は馬車で強制連行されたから、微妙に道に自信が無かったんだけど、他のみんながしっかり位置を覚えていてくれたおかげで、迷わずターミナルに到着できた。俺って迷宮のMAP覚えるのはわりと得意な気がするんだけど、街の中を把握するの苦手かもなぁ。
「お待ちしておりました皆さん」
ターミナルには、ゲート使いとスカーさんが待っていた。
「ゲートを覚えた方は、ターミナルに触れてください。もし隠したければ全員で触れて頂いても構いません」
「覚えたの俺だけど、せっかくだからみんなも触れてみたら?ヴェルトーガに来た記念にさ」
ターミナルに触れる。ターミナルと自分の中で魔力が交換されたような感覚。なるほど、このターミナルに飛べるってことが、感覚的に分かるな。ステータス弄って、登録済みのターミナルは表示できるようにしておこうかな?
「無事にゲートの認証は済んだようですね。それではゲートを発動させてよろしいですか?何かお忘れ物などないかお気をつけ下さい。
まぁゲートを覚えたパーティは、都市間移動の概念が変わってくると思いますけど」
忘れ物しても気軽に取りに来れるもんな。仲間の顔を見渡し、問題が無いことを伝えて、ゲートを発動してもらう。
「きっかけはお嬢様のワガママでは御座いましたが、皆さんがヴェルトーガに来ていたことが、この街と当家にとって最大の幸運であったと思います。お嬢様に代わって、改めて感謝申し上げます。
これからも様々な騒動が待っていそうですけど、お互い無事でまたお会いしましょう」
「こちらこそ、スカーさんにもディオーヌ様にもお世話になりました。タイデリア家のおかげで、リヴァーブ王国の貴族に対する認識も少し良くなったよ。結果的にだけど、ヴェルトーガに来て良かった。得る物も多かったし、ハルにも会えたしね」
スカーさんと握手を交わす。この人が居なかったら、内田の消滅魔法で全滅してた可能性もあるんだよね。お世話になったのはこっちだろう。
「スカーさん。今回の件で、俺たちはもっと強くならないといけないと思ったんだよ。迷宮でスキルを獲得するのは勿論として、戦いの技術とかを学ぶ方法とかって、なにかないかな?」
「ふむ。難しいですね。戦闘技術は発言力、影響力に直結しますから、どこも秘匿しているのが普通です。皆さんは基本はすでに出来上がっていると思いましたので、やはり迷宮の攻略を進めるのが一番ではないでしょうか?
皆さんはベイクの迷宮20階層まで攻略済みと聞きましたが、みなさんの実力であれば、既に50階層以降の深階層域で戦っていてもおかしくありません。
皆さんが現在攻略中の階層が簡単すぎるのです。強さを求めるのであれば、もっと先に進むべきですよ」
結局は迷宮の攻略速度を速めるのが正解か。1日1階層進んでいるんだけど、それでも遅いくらいに騒動が起こるもんなぁ。
「分かった。ベイクに戻ったら見直してみるよ。今度来るときにはベイク土産でも持ってくる。最後の最後までお世話になりました」
ゲートを潜ってヴェルトーガを後にする。いやぁ濃い旅行だった。旅行と言っていいのかすら分からないレベルで。
忘れずにベイクのターミナルにも触れておく。行きは自宅前からゲート使ったから、ベイクのターミナルって初めて見たなぁ。
「ようやく帰ってきたな。今日は1日のんびりしようか。挨拶回りだけ済ませとくか?カズラさんのとこもポーションいくつか出来てるだろうし、ホムロにも相談したいし、オーサンにハルを見てもらうのもいいかもしれないし」
「全然のんびりしてないでしょそれ。まぁ僕も挨拶はしておきたいかな」
「じゃあみんなでベイクを回ろうかー!ハルにもベイクを案内してあげたいしね、先輩としてー!」
「ふふ、私もベイクに帰ってきたって気持ちになりました。嬉しいですね、こういうの」
「うん。早く私もベイクに馴染みたいな。一生住む事になりそうだしね、シン!」
異風の旋律初の遠征は、無事に終ることが出来た。
しっかし今後のことを考えると、あんまりのんびりもしてられないよなぁ。
まぁそれはそれ、今日はのんびりして英気を養おう。クリリクさんとオードルにも、ハルを紹介しないとね。
俺がオードルに会いたいだけなんだけど。
宿に戻るとタイデリア家からと、手紙を渡される。明日ゲート使いを貸してくれるそうだ。
そして手紙に追記してあったのだが、ゲートの使用は、ゲート取得後にターミナルに触れることによって、初めて出口の設定が行えるようになるらしい。
つまりどっちにしろ、俺が自力でベイクまでゲートを開くのは無理だったようだ。指摘じゃなくて解説に留めてあるあたり、気を遣われてるなぁ。
「異風の旋律のご一行様にご利用頂いた事、当店の自慢となりました。次にヴェルトーガに訪れた時も、ぜひご利用ください。またのお越しをお待ちしております」
なんだかんだと迷惑をかけまくった、水のせせらぎ亭を後にする。もちろん今朝も堪能させていただきました。ナニをとは言いませんが。
「また来いよ!迷宮も2階層までしか行ってないんだろ?ここの迷宮は他とは違うから、いつか攻略しに来いよな!
ヴェルトーガは、異風の旋律をいつでも歓迎してやるぜ!」
ピリカトさんに挨拶をして、ターミナルに向かう。ゲートはどこからでも使用可能だけど、恐らく俺のためにターミナルを指定してくれたんだろうな。
「なんか10日も居なかったのに、すげぇ長期間居たような気がするわ。色々ありすぎたな」
「ほんとねー。まぁ兄さんにも良い人が見つかったみたいだし、結果的にはいい遠征だったねー」
「リーン!?あんまり急かすのやめてくれないかな!
くっ、トーマのときは何を悩んでるんだと思ってたけど、自分が当事者になると、あの時のトーマの気持ちが良くわかるよ……!」
「ハルもベイクの家で暮らすとなると、賑やかになりそうですね。
ふふ、賑やか。楽しい。私がこんなこと思う日が来るなんて」
「うん。私もベイクの家に行くの楽しみ。それにみんな料理できるんでしょ。私にも教えてね!一応向こうでは家事は一通りこなしてたから、手伝えることはあると思うしさ!」
来た時は馬車で強制連行されたから、微妙に道に自信が無かったんだけど、他のみんながしっかり位置を覚えていてくれたおかげで、迷わずターミナルに到着できた。俺って迷宮のMAP覚えるのはわりと得意な気がするんだけど、街の中を把握するの苦手かもなぁ。
「お待ちしておりました皆さん」
ターミナルには、ゲート使いとスカーさんが待っていた。
「ゲートを覚えた方は、ターミナルに触れてください。もし隠したければ全員で触れて頂いても構いません」
「覚えたの俺だけど、せっかくだからみんなも触れてみたら?ヴェルトーガに来た記念にさ」
ターミナルに触れる。ターミナルと自分の中で魔力が交換されたような感覚。なるほど、このターミナルに飛べるってことが、感覚的に分かるな。ステータス弄って、登録済みのターミナルは表示できるようにしておこうかな?
「無事にゲートの認証は済んだようですね。それではゲートを発動させてよろしいですか?何かお忘れ物などないかお気をつけ下さい。
まぁゲートを覚えたパーティは、都市間移動の概念が変わってくると思いますけど」
忘れ物しても気軽に取りに来れるもんな。仲間の顔を見渡し、問題が無いことを伝えて、ゲートを発動してもらう。
「きっかけはお嬢様のワガママでは御座いましたが、皆さんがヴェルトーガに来ていたことが、この街と当家にとって最大の幸運であったと思います。お嬢様に代わって、改めて感謝申し上げます。
これからも様々な騒動が待っていそうですけど、お互い無事でまたお会いしましょう」
「こちらこそ、スカーさんにもディオーヌ様にもお世話になりました。タイデリア家のおかげで、リヴァーブ王国の貴族に対する認識も少し良くなったよ。結果的にだけど、ヴェルトーガに来て良かった。得る物も多かったし、ハルにも会えたしね」
スカーさんと握手を交わす。この人が居なかったら、内田の消滅魔法で全滅してた可能性もあるんだよね。お世話になったのはこっちだろう。
「スカーさん。今回の件で、俺たちはもっと強くならないといけないと思ったんだよ。迷宮でスキルを獲得するのは勿論として、戦いの技術とかを学ぶ方法とかって、なにかないかな?」
「ふむ。難しいですね。戦闘技術は発言力、影響力に直結しますから、どこも秘匿しているのが普通です。皆さんは基本はすでに出来上がっていると思いましたので、やはり迷宮の攻略を進めるのが一番ではないでしょうか?
皆さんはベイクの迷宮20階層まで攻略済みと聞きましたが、みなさんの実力であれば、既に50階層以降の深階層域で戦っていてもおかしくありません。
皆さんが現在攻略中の階層が簡単すぎるのです。強さを求めるのであれば、もっと先に進むべきですよ」
結局は迷宮の攻略速度を速めるのが正解か。1日1階層進んでいるんだけど、それでも遅いくらいに騒動が起こるもんなぁ。
「分かった。ベイクに戻ったら見直してみるよ。今度来るときにはベイク土産でも持ってくる。最後の最後までお世話になりました」
ゲートを潜ってヴェルトーガを後にする。いやぁ濃い旅行だった。旅行と言っていいのかすら分からないレベルで。
忘れずにベイクのターミナルにも触れておく。行きは自宅前からゲート使ったから、ベイクのターミナルって初めて見たなぁ。
「ようやく帰ってきたな。今日は1日のんびりしようか。挨拶回りだけ済ませとくか?カズラさんのとこもポーションいくつか出来てるだろうし、ホムロにも相談したいし、オーサンにハルを見てもらうのもいいかもしれないし」
「全然のんびりしてないでしょそれ。まぁ僕も挨拶はしておきたいかな」
「じゃあみんなでベイクを回ろうかー!ハルにもベイクを案内してあげたいしね、先輩としてー!」
「ふふ、私もベイクに帰ってきたって気持ちになりました。嬉しいですね、こういうの」
「うん。早く私もベイクに馴染みたいな。一生住む事になりそうだしね、シン!」
異風の旋律初の遠征は、無事に終ることが出来た。
しっかし今後のことを考えると、あんまりのんびりもしてられないよなぁ。
まぁそれはそれ、今日はのんびりして英気を養おう。クリリクさんとオードルにも、ハルを紹介しないとね。
俺がオードルに会いたいだけなんだけど。
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