296 / 580
8章 異風の旋律
266 1等級冒険者
しおりを挟む
「あー悪いけどブルガーゾ様? 今こんな話してる場合じゃなくない?
俺は知らないけど、あんたらは今起きてることに心当たりがあるんでしょ? そんでそれは緊急を要する案件なわけでしょ?
ブルガーゾ様の私怨で俺に付き合ってる暇あんの?」
「私怨だと!? 貴様こそ、貴様こそカルネジア家に対して恨みでもあるのだろうが!!
当家に対する罵詈雑言、誹謗中傷の数々、最早捨て置けぬわ!!」
……誹謗中傷?
この期に及んで、未だ俺が根拠のない話をばら撒いてると主張するのか。
面の皮は分厚いみたいだな。
「わーったわーった。今起きてる騒動が終わったら相手してやっから、まずは目の前の問題から解決しようぜ?
ブルガーゾ殿は使い物にならないし退出も許してくれないらしいからさ。今何が起きてるのか、誰でも良いから説明してくんないかな?」
「相手してやる……? 相手をしてやると言ったのか……?
6等級冒険者風情が、火のカルネジア家当主、カルネジア・ブルガーゾに対して、相手してやるなどと言いおったのかぁぁぁぁっ!!!」
叫びながら一足飛びで襲い掛かってきた、けどあまり早く感じないなぁ。
複合センサーとトランスを同時発動。
カルマさんには手加減したけど、コイツは本気でやって良いだろ。
獅子の獣人だし死にはしないはず。
馬鹿面の頭を掴んで、全力でテーブルに向けて叩きつけてやる。
「うわああああああ!?」
「ヒイイイイイイイ!?」
当然のようにテーブルは粉砕されて、床をぶち抜いて1階まで落ちてしまった模様。
一応熱センサーで直下に人がいない事は確認したけど、破片とかに当たった人はいたかもしれないな。
ま、流石にそこまで考慮できない
魔力感知に反応があるから、とりあえず死んではいないようなので一安心。
瓦礫や埃を洗浄風で除去。見通しも風通しも良くなった。
「で、誰でも良いから説明してくれる?
さっき知ってそうな反応してたエルハでいいか。今何が起こってんだ?」
一応複合センサーでブルガーゾの監視は続けているが、今のところ全く動いてないっぽいな?
まぁ仮に死んだとしても正当防衛だからどうでもいい。
というか、直接聞いたエルハも、他の連中も、誰一人質問に答えてくれる気配がない。
「いやいや……。流石にこの光景を見せられて、すぐに冷静に行動しろってのは酷だと思うよ。
まぁ問題があったのは向こうだから、トーマの行動に非はないと思うけど」
「うんうん。兄さんの言うとおり、ここにいる人たちに同情するなー。
でもちょっとスカッとしたねー! 私も1発殴りたかったなー!」
相変わらず先輩は容赦がないなぁ。
「んー、じゃまぁ帰るか?
ここにいても情報が得られないし、ブルガーゾが起きたら煩そうだし、さっきまで以上にここに留まる意味無いよな?」
「ね、ねぇトーマ? ああ見えて、ブルガーゾは1等級冒険者に認定されてるんですよ……?
なんであっさり撃退できちゃってるんですか……?」
「はぁ!? 1等級なの!? あの程度で!?」
あ、やべ。ついつい本音が……。
でも1等級ってもっと雲の上に居るような存在だと思ってたんだが、ブルガーゾは動きも早く感じなかったし、トランスに反応すら出来てなかったなぁ?
「うん。やっぱり64階層をソロであっさり回ってくるトーマが異常なのが、これではっきりしたね。
チート能力持ってたって、トーマと同じことが出来る異邦人ってそうそういないと思うな」
「うん……。オーサンの気持ちが少しわかったような気がするよ……」
んー、やっぱこの世界の冒険者は探索ペース遅すぎるんだな。
考えてみたら冒険者ギルドの訓練場を使ってる奴って俺らの身内しかいないし、探索ペースも遅いけど、訓練頻度も少ないんじゃねぇの……?
「まいいか。情報も貰えないみたいだし帰ろうか。
ギルドの修理費は請求してもらえば払うんで、あとで金額教えてくださいな」
「待ってトーマ。
エルハ! 早く話せ! ブルガーゾ様を簡単に撃退できる相手をこのまま帰していいの!?
何が起こってるか知らないけど、絶望的な状況なんじゃないの!?」
クリーヌは俺を引き止めつつ、エルハの頬を思いっきり引っ叩いた。
「早く話せ! エルハに出来る事は、知っている事を洗いざらい話すことだけだ!
話せ! 話せぇっ!!」
うお、クリーヌが未だ動き出さないエルハを引っ叩きまくってる。
つうかギルドマスター相手に距離近いなクリーヌって。
「やめて! もうやめてクリーヌ! 痛い! 痛いからぁ!」
「話せ! 話せ! 話せぇっ!!」
「話す! 話すからもうやめて! もうやめてったら!
氾濫よ! 空から落ちる光の糸は、迷宮の氾濫の予兆だと言われてるの!!」
っ!!
ち、マジかよ……!
迷宮討伐の時に起きた現象の逆っぽかったから可能性はあるとは思ってたけど、5つの迷宮で同時に魔物の氾濫が起こるのかよ!?
「馬鹿じゃねぇのかテメェら!! なんなんだよテメェらは!?
迷宮が50も出来ても討伐はしないわ、魔物の氾濫が起きるって時に無駄な時間ばかり過ごすわ、テメェらボールクローグが滅びるその瞬間まで、何もしない気だったのかよ!?
……くそ、こんなくだらねぇ時間過ごさせやがって!
前例があるなら氾濫の規模や猶予時間とか分かるんだろ!? 今すぐ洗いざらい喋れ!!
一瞬でも躊躇った奴は、氾濫を待たずにこの場で叩き殺してやらぁ!!」
「話します!! 話しますからぁ!!」
クソが……!
迷宮討伐が進まなかったこともそうだけど、こいつら本気でロンメノのスパイを疑ってしまうくらい無能すぎだろ!?
消極的な方法でボールクローグを滅亡に導いてるとしか思えねぇ……!
ち、焦るな。まずは情報が足りなすぎる。
前例があるなら、氾濫に関する詳細な情報はあるはずだ。
ブルガーゾのカスが……!
5箇所同時氾濫の兆候だと知ってて、くだらねぇ時間過ごさせやがって!
一瞬でも協力的じゃなかったら、その瞬間に殺してやる……!
俺は知らないけど、あんたらは今起きてることに心当たりがあるんでしょ? そんでそれは緊急を要する案件なわけでしょ?
ブルガーゾ様の私怨で俺に付き合ってる暇あんの?」
「私怨だと!? 貴様こそ、貴様こそカルネジア家に対して恨みでもあるのだろうが!!
当家に対する罵詈雑言、誹謗中傷の数々、最早捨て置けぬわ!!」
……誹謗中傷?
この期に及んで、未だ俺が根拠のない話をばら撒いてると主張するのか。
面の皮は分厚いみたいだな。
「わーったわーった。今起きてる騒動が終わったら相手してやっから、まずは目の前の問題から解決しようぜ?
ブルガーゾ殿は使い物にならないし退出も許してくれないらしいからさ。今何が起きてるのか、誰でも良いから説明してくんないかな?」
「相手してやる……? 相手をしてやると言ったのか……?
6等級冒険者風情が、火のカルネジア家当主、カルネジア・ブルガーゾに対して、相手してやるなどと言いおったのかぁぁぁぁっ!!!」
叫びながら一足飛びで襲い掛かってきた、けどあまり早く感じないなぁ。
複合センサーとトランスを同時発動。
カルマさんには手加減したけど、コイツは本気でやって良いだろ。
獅子の獣人だし死にはしないはず。
馬鹿面の頭を掴んで、全力でテーブルに向けて叩きつけてやる。
「うわああああああ!?」
「ヒイイイイイイイ!?」
当然のようにテーブルは粉砕されて、床をぶち抜いて1階まで落ちてしまった模様。
一応熱センサーで直下に人がいない事は確認したけど、破片とかに当たった人はいたかもしれないな。
ま、流石にそこまで考慮できない
魔力感知に反応があるから、とりあえず死んではいないようなので一安心。
瓦礫や埃を洗浄風で除去。見通しも風通しも良くなった。
「で、誰でも良いから説明してくれる?
さっき知ってそうな反応してたエルハでいいか。今何が起こってんだ?」
一応複合センサーでブルガーゾの監視は続けているが、今のところ全く動いてないっぽいな?
まぁ仮に死んだとしても正当防衛だからどうでもいい。
というか、直接聞いたエルハも、他の連中も、誰一人質問に答えてくれる気配がない。
「いやいや……。流石にこの光景を見せられて、すぐに冷静に行動しろってのは酷だと思うよ。
まぁ問題があったのは向こうだから、トーマの行動に非はないと思うけど」
「うんうん。兄さんの言うとおり、ここにいる人たちに同情するなー。
でもちょっとスカッとしたねー! 私も1発殴りたかったなー!」
相変わらず先輩は容赦がないなぁ。
「んー、じゃまぁ帰るか?
ここにいても情報が得られないし、ブルガーゾが起きたら煩そうだし、さっきまで以上にここに留まる意味無いよな?」
「ね、ねぇトーマ? ああ見えて、ブルガーゾは1等級冒険者に認定されてるんですよ……?
なんであっさり撃退できちゃってるんですか……?」
「はぁ!? 1等級なの!? あの程度で!?」
あ、やべ。ついつい本音が……。
でも1等級ってもっと雲の上に居るような存在だと思ってたんだが、ブルガーゾは動きも早く感じなかったし、トランスに反応すら出来てなかったなぁ?
「うん。やっぱり64階層をソロであっさり回ってくるトーマが異常なのが、これではっきりしたね。
チート能力持ってたって、トーマと同じことが出来る異邦人ってそうそういないと思うな」
「うん……。オーサンの気持ちが少しわかったような気がするよ……」
んー、やっぱこの世界の冒険者は探索ペース遅すぎるんだな。
考えてみたら冒険者ギルドの訓練場を使ってる奴って俺らの身内しかいないし、探索ペースも遅いけど、訓練頻度も少ないんじゃねぇの……?
「まいいか。情報も貰えないみたいだし帰ろうか。
ギルドの修理費は請求してもらえば払うんで、あとで金額教えてくださいな」
「待ってトーマ。
エルハ! 早く話せ! ブルガーゾ様を簡単に撃退できる相手をこのまま帰していいの!?
何が起こってるか知らないけど、絶望的な状況なんじゃないの!?」
クリーヌは俺を引き止めつつ、エルハの頬を思いっきり引っ叩いた。
「早く話せ! エルハに出来る事は、知っている事を洗いざらい話すことだけだ!
話せ! 話せぇっ!!」
うお、クリーヌが未だ動き出さないエルハを引っ叩きまくってる。
つうかギルドマスター相手に距離近いなクリーヌって。
「やめて! もうやめてクリーヌ! 痛い! 痛いからぁ!」
「話せ! 話せ! 話せぇっ!!」
「話す! 話すからもうやめて! もうやめてったら!
氾濫よ! 空から落ちる光の糸は、迷宮の氾濫の予兆だと言われてるの!!」
っ!!
ち、マジかよ……!
迷宮討伐の時に起きた現象の逆っぽかったから可能性はあるとは思ってたけど、5つの迷宮で同時に魔物の氾濫が起こるのかよ!?
「馬鹿じゃねぇのかテメェら!! なんなんだよテメェらは!?
迷宮が50も出来ても討伐はしないわ、魔物の氾濫が起きるって時に無駄な時間ばかり過ごすわ、テメェらボールクローグが滅びるその瞬間まで、何もしない気だったのかよ!?
……くそ、こんなくだらねぇ時間過ごさせやがって!
前例があるなら氾濫の規模や猶予時間とか分かるんだろ!? 今すぐ洗いざらい喋れ!!
一瞬でも躊躇った奴は、氾濫を待たずにこの場で叩き殺してやらぁ!!」
「話します!! 話しますからぁ!!」
クソが……!
迷宮討伐が進まなかったこともそうだけど、こいつら本気でロンメノのスパイを疑ってしまうくらい無能すぎだろ!?
消極的な方法でボールクローグを滅亡に導いてるとしか思えねぇ……!
ち、焦るな。まずは情報が足りなすぎる。
前例があるなら、氾濫に関する詳細な情報はあるはずだ。
ブルガーゾのカスが……!
5箇所同時氾濫の兆候だと知ってて、くだらねぇ時間過ごさせやがって!
一瞬でも協力的じゃなかったら、その瞬間に殺してやる……!
0
あなたにおすすめの小説
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~
ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。
食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。
最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。
それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。
※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。
カクヨムで先行投稿中!
異世界でただ美しく! 男女比1対5の世界で美形になる事を望んだ俺は戦力外で追い出されましたので自由に生きます!
石のやっさん
ファンタジー
主人公、理人は異世界召喚で異世界ルミナスにクラスごと召喚された。
クラスの人間が、優秀なジョブやスキルを持つなか、理人は『侍』という他に比べてかなり落ちるジョブだった為、魔族討伐メンバーから外され…追い出される事に!
だが、これは仕方が無い事だった…彼は戦う事よりも「美しくなる事」を望んでしまったからだ。
だが、ルミナスは男女比1対5の世界なので…まぁ色々起きます。
※私の書く男女比物が読みたい…そのリクエストに応えてみましたが、中編で終わる可能性は高いです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?
木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。
追放される理由はよく分からなかった。
彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。
結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。
しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。
たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。
ケイトは彼らを失いたくなかった。
勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。
しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。
「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」
これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる