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10章 壁外世界
373 vsユリバファルゴア② 開戦
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遠くのそれからでかい体をくねらせながら、蛇神ユリバファルゴアが接近中。
……なんだけど。
「暇だなぁ」
「暇だねぇ」
多分物凄いスピードでこちらに接近しているんだろうけれど、全然動いてるのか実感出来ないレベルで遠い。
近付いてきているはずなのにその実感がないって、あいつどんだけでかいんだろうな?
ジャンボ旅客機とか思っちゃったけど、そんな次元ですらないかもなぁ。下手すりゃ山脈レベルかぁ?
「記録によると、空も飛ぶけど砂にも潜れるらしいな。砂に潜られる方が厄介だよなぁ、どう考えても」
「そうだね。砂に潜られると位置が視認出来ないし、攻撃する術も無い。
仮に砂に潜られたら、どうやって引っ張り出すかが問題になってきそうだね」
理想は地上にいる間の撃破だ。
砂に潜られると戦いにくいことこの上ないし、仮に倒せたとして、素材の入手が困難になりそうだからな。
ま、素材の事考えて戦える相手だとは思ってないが。
ぼけーっと眺めているが、やはり接近してきているのは間違いないな。少しずつでかくなってる。
この速度で大きくなってくるってことは、近くに来たらマジで山脈サイズらしい。
ストレージから軽食と飲み物を取り出し、シンと一緒にもぐもぐする。
なんなんだろう。まるで緊張感がないな。
これから戦う相手って、リンカーズ最強格の1体のはずなんだけどなぁ。
暇だったのでリペアとジェネレイトをかけ直す。
これでこの2つは夜明けまで持つだろう。そこまでの長期戦は正直勘弁願いたいが。
「そろそろ始まりそうだね。戦闘が始まったら各々自由に、でいいんだよね?」
「まぁなぁ。あの大きさの魔物相手に、連携とか考えても仕方ないだろ。
お互い全力を尽くしてアイツを倒す。作戦は以上」
「ははっ! 了解だよ。分かりやすくて良いね!」
空気が重く感じられてくる。
これは気のせいじゃない。ユリバファルゴアの存在が、魔力の密度を上げているようだ。
しかし、神様って馬鹿なんじゃねぇのかなぁ?
なんで個人レベルで山脈サイズの魔物と戦わされなきゃならんのよ?
ちゃんとゲームバランスってものを考慮してほしいよね? これじゃクソゲーすぎてコントローラー投げられるよ。
ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
突如砂漠に響く爆音。ユリバファルゴアが絶叫したようだ。
山サイズの魔物が叫んだらどうなるかって、そりゃ爆音と突風が酷い事になりますわ。
音魔法で対音バリア。風魔法と洗浄魔法で、突風と砂塵に対応する。
風魔法では突風を防ぎきることは出来ないが、ただの風なら環境適応が聞いてくれるから痛くも痒くもない。
ギュウウウウアアアアアアアアアアアアアア!!
うるせえな。いちいち騒いでんじゃねぇ。
っと、叫んだだけかと思ったら、ユリバファルゴアの口部分に凄まじい勢いで魔力が集まっていく。
あれはブレスか。魔物ってのはどいつもこいつもやることが変わんないな。
鈴音に手を添え、腰を落す。
お前の巨体でブレスを放てば、殆どの相手はイチコロだろうな。
だが、甘いんだよぉっ!
「閃空っ!」 「グリーンリーパーッ!」
砂漠の夜空に煌く白い閃光と、緑の緑の閃光。
ブレスを放とうとしていたユリバファルゴアの顔に、十字の斬撃が入った。
ブレスはキャンセルされ、ユリバファルゴアの顔は4分割になって、地面に落下し始めている。
これで決まってくれたら嬉しいんだけどなぁ。
ゴアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!
咆哮が轟いたかと思うと、切り裂かれた断面から触手のようなものが伸びてきて、お互いの切断面を繋げてしまう。
決まるとは思ってなかったけど、ありゃなんだ? 再生能力だったのか、別の能力で応急処置をしたのか。
とにかく分かるのは、顔を4等分にしても殺せないって事だけだ。
「なるほど。思ったより耐久力は高そうだね。長期戦は覚悟しようか」
「そうだな。とりあえず初撃が回避されなくてほっとしたぜ。
これでアイツはブレスの危険性を認識したはずだ。多分接近戦に来るぞ。ランドビカミウリみたいにな」
「そうなったらお互い戦闘が終わるまで合流できそうにないね。
さっきの斬撃、僕に向けないでよね? あんなの回避できないよ」
「お互い様だろ。シンもあの時の一撃をちゃんと技にまで昇華したんだな。大した威力だったわ」
切断面の結合をしながら、ユリバファルゴアは迫ってきている。
安全圏から完封しようなんざ甘い甘い。
俺たちを殺したいなら、お前にも命をかけてもらうぜ。
「そんじゃ、こいつをぶっ倒してまた会おうぜ!」
「うん。次に会うのは勝利の時だ。絶対に2人で生きて帰るよ!」
シンと握り拳をぶつけ合って、お互い反対方向に向かって走り出す。
ただでさえ相手は山脈サイズ。2人で同じ場所にいたら、相手にとって有利にしかならない。
ユリバファルゴアは、俺とシンの遠距離斬撃に脅威を感じたはずだ。絶対にこれからは距離を取らないだろう。
だから俺たち2人は分散して、ユリバファルゴアの意識を散らす。
さぁて、出来れば長期戦はしたくないんだが、そんなことも言ってられなくなりそうだ。
顔を4つに割られても殺せないほどの耐久力。まずは弱点を探るところからかな?
ったく、蛇ってのは頭を潰せば死ぬんじゃねぇのかよ。
蛇じゃなくてプラナリアかテメーは。
……なんだけど。
「暇だなぁ」
「暇だねぇ」
多分物凄いスピードでこちらに接近しているんだろうけれど、全然動いてるのか実感出来ないレベルで遠い。
近付いてきているはずなのにその実感がないって、あいつどんだけでかいんだろうな?
ジャンボ旅客機とか思っちゃったけど、そんな次元ですらないかもなぁ。下手すりゃ山脈レベルかぁ?
「記録によると、空も飛ぶけど砂にも潜れるらしいな。砂に潜られる方が厄介だよなぁ、どう考えても」
「そうだね。砂に潜られると位置が視認出来ないし、攻撃する術も無い。
仮に砂に潜られたら、どうやって引っ張り出すかが問題になってきそうだね」
理想は地上にいる間の撃破だ。
砂に潜られると戦いにくいことこの上ないし、仮に倒せたとして、素材の入手が困難になりそうだからな。
ま、素材の事考えて戦える相手だとは思ってないが。
ぼけーっと眺めているが、やはり接近してきているのは間違いないな。少しずつでかくなってる。
この速度で大きくなってくるってことは、近くに来たらマジで山脈サイズらしい。
ストレージから軽食と飲み物を取り出し、シンと一緒にもぐもぐする。
なんなんだろう。まるで緊張感がないな。
これから戦う相手って、リンカーズ最強格の1体のはずなんだけどなぁ。
暇だったのでリペアとジェネレイトをかけ直す。
これでこの2つは夜明けまで持つだろう。そこまでの長期戦は正直勘弁願いたいが。
「そろそろ始まりそうだね。戦闘が始まったら各々自由に、でいいんだよね?」
「まぁなぁ。あの大きさの魔物相手に、連携とか考えても仕方ないだろ。
お互い全力を尽くしてアイツを倒す。作戦は以上」
「ははっ! 了解だよ。分かりやすくて良いね!」
空気が重く感じられてくる。
これは気のせいじゃない。ユリバファルゴアの存在が、魔力の密度を上げているようだ。
しかし、神様って馬鹿なんじゃねぇのかなぁ?
なんで個人レベルで山脈サイズの魔物と戦わされなきゃならんのよ?
ちゃんとゲームバランスってものを考慮してほしいよね? これじゃクソゲーすぎてコントローラー投げられるよ。
ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
突如砂漠に響く爆音。ユリバファルゴアが絶叫したようだ。
山サイズの魔物が叫んだらどうなるかって、そりゃ爆音と突風が酷い事になりますわ。
音魔法で対音バリア。風魔法と洗浄魔法で、突風と砂塵に対応する。
風魔法では突風を防ぎきることは出来ないが、ただの風なら環境適応が聞いてくれるから痛くも痒くもない。
ギュウウウウアアアアアアアアアアアアアア!!
うるせえな。いちいち騒いでんじゃねぇ。
っと、叫んだだけかと思ったら、ユリバファルゴアの口部分に凄まじい勢いで魔力が集まっていく。
あれはブレスか。魔物ってのはどいつもこいつもやることが変わんないな。
鈴音に手を添え、腰を落す。
お前の巨体でブレスを放てば、殆どの相手はイチコロだろうな。
だが、甘いんだよぉっ!
「閃空っ!」 「グリーンリーパーッ!」
砂漠の夜空に煌く白い閃光と、緑の緑の閃光。
ブレスを放とうとしていたユリバファルゴアの顔に、十字の斬撃が入った。
ブレスはキャンセルされ、ユリバファルゴアの顔は4分割になって、地面に落下し始めている。
これで決まってくれたら嬉しいんだけどなぁ。
ゴアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!
咆哮が轟いたかと思うと、切り裂かれた断面から触手のようなものが伸びてきて、お互いの切断面を繋げてしまう。
決まるとは思ってなかったけど、ありゃなんだ? 再生能力だったのか、別の能力で応急処置をしたのか。
とにかく分かるのは、顔を4等分にしても殺せないって事だけだ。
「なるほど。思ったより耐久力は高そうだね。長期戦は覚悟しようか」
「そうだな。とりあえず初撃が回避されなくてほっとしたぜ。
これでアイツはブレスの危険性を認識したはずだ。多分接近戦に来るぞ。ランドビカミウリみたいにな」
「そうなったらお互い戦闘が終わるまで合流できそうにないね。
さっきの斬撃、僕に向けないでよね? あんなの回避できないよ」
「お互い様だろ。シンもあの時の一撃をちゃんと技にまで昇華したんだな。大した威力だったわ」
切断面の結合をしながら、ユリバファルゴアは迫ってきている。
安全圏から完封しようなんざ甘い甘い。
俺たちを殺したいなら、お前にも命をかけてもらうぜ。
「そんじゃ、こいつをぶっ倒してまた会おうぜ!」
「うん。次に会うのは勝利の時だ。絶対に2人で生きて帰るよ!」
シンと握り拳をぶつけ合って、お互い反対方向に向かって走り出す。
ただでさえ相手は山脈サイズ。2人で同じ場所にいたら、相手にとって有利にしかならない。
ユリバファルゴアは、俺とシンの遠距離斬撃に脅威を感じたはずだ。絶対にこれからは距離を取らないだろう。
だから俺たち2人は分散して、ユリバファルゴアの意識を散らす。
さぁて、出来れば長期戦はしたくないんだが、そんなことも言ってられなくなりそうだ。
顔を4つに割られても殺せないほどの耐久力。まずは弱点を探るところからかな?
ったく、蛇ってのは頭を潰せば死ぬんじゃねぇのかよ。
蛇じゃなくてプラナリアかテメーは。
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