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10章 壁外世界
400 ターミナル運搬作業
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「というわけで、ウミガメ一家と仲良くなったんだ。そこを探索の中継地点にしたいから、マーサは明日の朝までにターミナルを1つ用意してくれるかな。
明日ターミナルを設置できたらみんなを呼びに来るから、ちょっと夜になっちゃうかもしれないけど、みんなに付き合って欲しいと思ってる」
「頼まれなくても行くに決まってるっすよー! 岩に囲まれたプライベートビーチ!? 人懐っこいウミガメ一家!? 万難を排してでも会いに行くに決まってるっすよーーー!!」
「あ~、アサヒって海の生き物大好きだから。水族館とか良くつき合わされたし。
えっと、日中は普段通りに過ごしてて平気なのよね? SP稼ぎを休むのはなるべく避けたいの」
「それは問題ないと思うよ。明日はサーチシステムを設置しながらの移動になると思うからね。日中に到着できるかどうかは微妙だと思う」
シンの言う通り、サーチシステムを設置しないと、常にウミガメさんの案内を必要としてしまって、彼らの負担になってしまうからな。
ターミナルさえ設置できれば行き来は簡単になるんだけど、毎回サーチシステムのある場所まで案内させるのも忍びない。
「今のトーマたちのストレージなら、ターミナルって収容できるんだっけか? もし収容できないんだったら、海水につけるのはあまりお勧めしねぇぞ。問題ないかもしれねぇけど、そんなの試した奴居ねぇハズだからな」
う~ん、流石にそれは平気だと思うんだけどな。
先日見つかった豪雪地帯なんかもあるし、水に濡れたせいでターミナルが使えなくなるとは考えにくい。
あーでも、水中で空間魔法を使えない事を考えると、何らかの悪影響が出てもおかしくはないのか。豪雪地帯での使用も、ターミナルが雪に覆われてしまったら作動してくれない可能性もあるか。
「あー、それじゃ小型船か何かに浮かべて引っ張ってった方がいいな。釘打ちは俺のガントレットで行ってるから、シンが浅い水域で船を引っ張ってもらえるか? ウミガメさんの相手もしてもらえると助かる」
「そうだね。別に僕がウォーハンマーを借りても構わないんだけど、釘打ちはお任せしようかな。
それと彼らにお土産を持っていく約束をしたんだけど何がいいかな? 彼らはお肉を食べないみたいなんだよね」
「うん。この世界で肉を食べない生物って珍しいね? 草食なら野菜とか、ボールクローグ産の果実とかを持っていってあげればいいんじゃないかな?
もしどれも口に合わないようだったら、海藻を集めてみるしかないんじゃない?」
「ん~そうっすねぇ。確かウミガメって種類によって、食べるものが明確に違う生物だった気がするっすよ。確か同じ物を食べないことで、他の生物との取り合いを避けるために、とか聞いた気がするっす。うろ覚えっすけど」
「争いを避けるために自らが身を引くんですね。それはそれは、本当に穏やかな性格の生物のようです。
それでしたら食べたことがない食べ物も多そうですし、色々試してみるのがいいんじゃないですか?」
「そうだね……、シンが持ち込んだものなら誰かと争う理由もないし、好みに合えば食べてくれるんじゃないかな……?
はあぁ、海の生き物かぁ……! 早く会ってみたいよぅ……!」
明日、家族全員でウミガメさん宅にお邪魔する事を確認して就寝する。
翌日、朝の日課の迷宮探索を済ませて、シンはハルと一緒にボールクローグへ行き、ストレージいっぱいの森の恵みを調達してくる。
その間に俺はヴェルトーガで今日の分の釘を作成したり、ターミナル運搬用の小船を購入したりした。
そう、残念ながらターミナルはストレージに入りきらなかったのだ。
ターミナルの設置に関しては絶対に楽はさせないぞ、という神様の意図を感じなくもない。
多少速度を出しても大丈夫なように、船にしっかり固定する。これで準備万端だ。
シンはターミナル運搬という重要な任務があるので、浅い水域を慎重に進んでいく。
俺は先に昨日の場所まで到達して、サーチシステムを1ヶ所伸ばしておく。ウミガメさんはまだ到着していないようだ。
伸ばしたポイントからとんぼ返りし、昨日ウミガメさんと出会った付近で待っていると、先にシンが到着した。ターミナルもちゃんと乗っていたが、一応乾燥と洗浄をかけ直しておく。
ウミガメさんが合流したので、俺は海底に潜っていき、シンはそのままウミガメさんの案内に従って船を運搬してく。
ウミガメさんの泳ぎは遅くないが、スクリューの推進力は段違いなので、俺に気にせず進んでもらって、俺は海底でサーチシステムを設置していく。
打ち込むほどに手持ちの荷物が減っていくので、後半になるほど快適だわ。
シンとウミガメさんを見失わないように気をつけつつ、釘を打ち込み続けること数時間。
手持ちの釘が残り5本になったところで、ウミガメハウスのある島が見えてきた。昨日よりも早い時間かな?
手持ちの釘を打ち切って、2人と合流すると問題が発生していた。海蝕洞にターミナルが入らないのだ。
かといって入り口を広げるわけにはいかない。そのせいでウミガメさんの平和が脅かされるようなことがあってはならないからな。
仕方ない。ターミナルを背負ってガチガチに固定し、土魔法を使って断崖を登っていく。
高さ的には100メートルは超えてるよな? 天然の国境壁って感じだわ。スキルと魔法がなかったら死んでたな。
崖を登りきると、そこは緑深いジャングルだった。
真っ直ぐ行けば昨日の砂浜がある穴場に着けるとは思うが、方向感覚が狂ってしまうことだけが心配だ。
自分が通った場所を見失わないように、枝や草を少し切り払いながら進んでいくと、無事に大穴に到着できた。ここまできて迷ったら馬鹿馬鹿しい。
そのまま穴に飛び降りようかと思ったけれど、今はターミナルを背負っていることを思い出し、また土魔法で足場を作りながらゆっくり降りていく。足を離す際には足場を元に戻すのも忘れない。
砂浜に降り立った時には、すっかり日が落ちてしまっていた。
せっかく昨日より早めについたのになぁ。まぁいいや。
リモデリングを使って、断崖の中に簡易的なターミナル広場を作成。
ターミナルの有効化作業を急ぐのだった。
明日ターミナルを設置できたらみんなを呼びに来るから、ちょっと夜になっちゃうかもしれないけど、みんなに付き合って欲しいと思ってる」
「頼まれなくても行くに決まってるっすよー! 岩に囲まれたプライベートビーチ!? 人懐っこいウミガメ一家!? 万難を排してでも会いに行くに決まってるっすよーーー!!」
「あ~、アサヒって海の生き物大好きだから。水族館とか良くつき合わされたし。
えっと、日中は普段通りに過ごしてて平気なのよね? SP稼ぎを休むのはなるべく避けたいの」
「それは問題ないと思うよ。明日はサーチシステムを設置しながらの移動になると思うからね。日中に到着できるかどうかは微妙だと思う」
シンの言う通り、サーチシステムを設置しないと、常にウミガメさんの案内を必要としてしまって、彼らの負担になってしまうからな。
ターミナルさえ設置できれば行き来は簡単になるんだけど、毎回サーチシステムのある場所まで案内させるのも忍びない。
「今のトーマたちのストレージなら、ターミナルって収容できるんだっけか? もし収容できないんだったら、海水につけるのはあまりお勧めしねぇぞ。問題ないかもしれねぇけど、そんなの試した奴居ねぇハズだからな」
う~ん、流石にそれは平気だと思うんだけどな。
先日見つかった豪雪地帯なんかもあるし、水に濡れたせいでターミナルが使えなくなるとは考えにくい。
あーでも、水中で空間魔法を使えない事を考えると、何らかの悪影響が出てもおかしくはないのか。豪雪地帯での使用も、ターミナルが雪に覆われてしまったら作動してくれない可能性もあるか。
「あー、それじゃ小型船か何かに浮かべて引っ張ってった方がいいな。釘打ちは俺のガントレットで行ってるから、シンが浅い水域で船を引っ張ってもらえるか? ウミガメさんの相手もしてもらえると助かる」
「そうだね。別に僕がウォーハンマーを借りても構わないんだけど、釘打ちはお任せしようかな。
それと彼らにお土産を持っていく約束をしたんだけど何がいいかな? 彼らはお肉を食べないみたいなんだよね」
「うん。この世界で肉を食べない生物って珍しいね? 草食なら野菜とか、ボールクローグ産の果実とかを持っていってあげればいいんじゃないかな?
もしどれも口に合わないようだったら、海藻を集めてみるしかないんじゃない?」
「ん~そうっすねぇ。確かウミガメって種類によって、食べるものが明確に違う生物だった気がするっすよ。確か同じ物を食べないことで、他の生物との取り合いを避けるために、とか聞いた気がするっす。うろ覚えっすけど」
「争いを避けるために自らが身を引くんですね。それはそれは、本当に穏やかな性格の生物のようです。
それでしたら食べたことがない食べ物も多そうですし、色々試してみるのがいいんじゃないですか?」
「そうだね……、シンが持ち込んだものなら誰かと争う理由もないし、好みに合えば食べてくれるんじゃないかな……?
はあぁ、海の生き物かぁ……! 早く会ってみたいよぅ……!」
明日、家族全員でウミガメさん宅にお邪魔する事を確認して就寝する。
翌日、朝の日課の迷宮探索を済ませて、シンはハルと一緒にボールクローグへ行き、ストレージいっぱいの森の恵みを調達してくる。
その間に俺はヴェルトーガで今日の分の釘を作成したり、ターミナル運搬用の小船を購入したりした。
そう、残念ながらターミナルはストレージに入りきらなかったのだ。
ターミナルの設置に関しては絶対に楽はさせないぞ、という神様の意図を感じなくもない。
多少速度を出しても大丈夫なように、船にしっかり固定する。これで準備万端だ。
シンはターミナル運搬という重要な任務があるので、浅い水域を慎重に進んでいく。
俺は先に昨日の場所まで到達して、サーチシステムを1ヶ所伸ばしておく。ウミガメさんはまだ到着していないようだ。
伸ばしたポイントからとんぼ返りし、昨日ウミガメさんと出会った付近で待っていると、先にシンが到着した。ターミナルもちゃんと乗っていたが、一応乾燥と洗浄をかけ直しておく。
ウミガメさんが合流したので、俺は海底に潜っていき、シンはそのままウミガメさんの案内に従って船を運搬してく。
ウミガメさんの泳ぎは遅くないが、スクリューの推進力は段違いなので、俺に気にせず進んでもらって、俺は海底でサーチシステムを設置していく。
打ち込むほどに手持ちの荷物が減っていくので、後半になるほど快適だわ。
シンとウミガメさんを見失わないように気をつけつつ、釘を打ち込み続けること数時間。
手持ちの釘が残り5本になったところで、ウミガメハウスのある島が見えてきた。昨日よりも早い時間かな?
手持ちの釘を打ち切って、2人と合流すると問題が発生していた。海蝕洞にターミナルが入らないのだ。
かといって入り口を広げるわけにはいかない。そのせいでウミガメさんの平和が脅かされるようなことがあってはならないからな。
仕方ない。ターミナルを背負ってガチガチに固定し、土魔法を使って断崖を登っていく。
高さ的には100メートルは超えてるよな? 天然の国境壁って感じだわ。スキルと魔法がなかったら死んでたな。
崖を登りきると、そこは緑深いジャングルだった。
真っ直ぐ行けば昨日の砂浜がある穴場に着けるとは思うが、方向感覚が狂ってしまうことだけが心配だ。
自分が通った場所を見失わないように、枝や草を少し切り払いながら進んでいくと、無事に大穴に到着できた。ここまできて迷ったら馬鹿馬鹿しい。
そのまま穴に飛び降りようかと思ったけれど、今はターミナルを背負っていることを思い出し、また土魔法で足場を作りながらゆっくり降りていく。足を離す際には足場を元に戻すのも忘れない。
砂浜に降り立った時には、すっかり日が落ちてしまっていた。
せっかく昨日より早めについたのになぁ。まぁいいや。
リモデリングを使って、断崖の中に簡易的なターミナル広場を作成。
ターミナルの有効化作業を急ぐのだった。
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