異世界で目指せハーレム生活! でも仲間のほうがモテモテです

りっち

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10章 壁外世界

422 精神安定を広めよう

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 俺の大きなアドバンテージだったけど仕方ない。
 それに全く知られていないスキルって訳じゃあないはずだ。
 狩人達がハイブリッドなりヒュームなり狩ってるわけだし。


「あんまり公開したくないんですけど、冒険者を強くするためには必要な情報なので、開示してしまいましょうか。
 皆さんは『精神安定』ってスキルの存在をご存知ですかね?」

「――――何故貴様がその名を出したのかは知らぬが、我は知っているぞ。
 ボールクローグでは比較的取得者が多いスキルだと聞く。カルネジア家の者に取得者は殆ど居ないがな」


 ああ、獅子のビーストはボールクローグには出ないんだろうな。


「異邦人がスキルの取得条件を見られるのは知ってま……」

「貴様! あのスキルの取得条件を知っていると言うのかっ!?」


 あー、カルネジア家の人間は殆ど取れなかったんだっけ。
 なのに取得している狩人が多くて、コンプレックスになってたのかもね。


「知ってますしこれから開示しますよ。『精神安定』の取得条件は、自分と同じ種族のヒューム、ハイブリッド、ビーストを殺すことです。
 人種の冒険者ならヒュームを殺せば取得できます。亜人と獣人は、自分に対応した魔物を探す必要がありますが」

「――――そういう、ことだったのかぁ!! 道理でカルネジアの者には取得出来ん筈だぁ!!」


 ブルガーゾうるせぇな。少しは落ち着けよ。


「それで? 『精神安定』の取得条件を開示した理由の方も聞かせてくれるかい?」


 ファーガロン様に促され、説明の続きを語る。


「実は『精神安定』って、その後の有用なスキルの取得条件に必要なスキルなんですよ。これを持っていれば将来的にカラードラゴンクラスと戦える事になるんです。逆を言えば、これを持ってないとカラードラゴンには傷を付けられません。支援魔法無しではね」

「そ、んなことが、そんな条件があったのですかっ! 『精神安定』の先に、冒険者が強くなる道があったと!」

「ええ。これは皆さんにお詫び申し上げないといけない事なんですけど、以前お話した『任意発動スキル強化』ですね。これの前提条件が『精神安定』なんですよ。勿論これだけじゃないんですけど。前回はうっかりお伝えするのを忘れてしまいまして……」


 あ、俺の言葉を聞いてディオーヌ様が普通に頭を抱えてしまった。
 本当に申し訳ない。マジで気付かなかったんですあの時は。


「今までは俺たちにとって秘匿していたほうが有利な情報だと言えましたけどね。エリアキーパーの討伐を王国民に託すのであれば、この情報は開示しないわけにはいきませんからね。
 それに異邦人は増え続けています。これ以上このスキルを秘匿しているのは限界でしょうから。
 このスキルを取るためには国境壁外に出なければなりませんけど、迷宮を踏破した冒険者なら何の問題もないでしょう。
 エリアキーパーへの警告と同時に、『精神安定』の情報開示もお願い致します」

「嘘を仰らないで下さい。普通にうっかり忘れていただけでしょう? 騙されませんよ」


 流石に付き合いの長いディオーヌ様を誤魔化すのは無理だったか。マジ済みません。


「個人的に取得条件が分かりにくいと感じたのは『精神安定』くらいですかね? あと『暗視』は1番夜が深い時間帯に魔物を倒すことだったり、『環境適応:中』と『免疫力強化:中』は国境壁の外へ出ることです。厳密には王国領を出ることとなっていますが、恐らくは現在の国境壁の範囲を出ることが条件だと思ってます」


 あと特殊っぽいのは『集中』かなぁ。でもマーサも普通に持ってたからな。これは取れない奴が悪いだろ。

 一定基準以上のSPを持つ魔物を倒すこと、ってのが微妙なんだけどなぁ。
 ベイクのガーディアンを倒したマーサでも取れたんだから、迷宮踏破すれば多分いける……はず?

 個人的には、必要SP10万までのスキルは、取得するのが前提のスキルだと思う。
 一流を目指す冒険者は、その先のスキルの取得を目指す感じなんじゃねぇかなぁ。

 エリアキーパーの獲得SPが15万であることを考えると、そんな気がするんだよねー。


「『任意発動スキル強化』がある状態でシルバーライト以上の武器、確かドラゴンスケイルで作られたスネークソードでなら、ランドビカミウリを切り裂くことが出来ましたからね。スキルさえ整えば、エリアキーパーの討伐は夢ではなくなってくると思いますよ。
 まぁ軽い気持ちで挑んだら、一瞬で全滅すると思いますけど」

「激励してるのか警告しているのか分からないね……。その装備水準で『任意発動スキル強化』を持っている状態で、エリアキーパーに勝てる可能性はあるのかい?」

「いや? ゼロだと思いますよ。あいつらって基本的に攻撃力、防御力、敏捷性、耐久力、魔力総量、なにを取っても桁外れですからね。
 生まれたばかりのランドビカミウリですら、1呼吸ごとに範囲魔法連発で、俺達の攻撃を掠らせもしなかったんですよ? その程度で勝てるなら苦労しませんよ」

「むしろどうやってトーマさんがエリアキーパーを倒してきたのか、話を聞くほどに意味が分からないよ……」


 ああ、ディオーヌ様に続いて、ファーガロン様まで頭を抱えてしまった。
 別に俺が悪いとは思ってないけど、申し訳ないとは思う。


「ふむぅ……。少なくともスキルの情報開示は、確実かつ速やかに行わねばならんな。
 そしてエリアキーパーの存在も開示するしかないな。開示したスキルがあっても絶対勝てない相手だから、絶対に近寄ってはいけないと」

「ちなみにエリアキーパーの標的にされると、基本的には逃げ切れませんよ。ザルトワシルドアと遭遇した時は逃げ切れませんでしたし、ユリバファルゴアと遭遇した時は、砂漠に適応した生物の身体能力のおかげでなんとかって感じでしたから。
 興味本位で近付いたら確実に帰ってこれません。補足されたらゲートも使えなくなるでしょうしね」

「……うむ。そこまで警告しても興味本位で近づく者は、もうどうしようもなかろうな。
 皆の者。今回の話を聞いて、スキルとエリアキーパーの情報開示は速やかに行うこととする。エリアキーパーの脅威度は、可能な限り的確に伝えて欲しい。力を持った冒険者が、気軽に腕試しになど赴かぬようにな……」


 あっはっは。エリアキーパーの存在は嫌になってくるだろう?
 ランドビカミウリ含め、3体も討伐した今でも、絶対に戦いたくねぇもんな。

 王国のみんな、焦らず確実に実力を付けて、将来的にはちゃんと討伐してくれよ!
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